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Access Accepted第619回:PCゲームの復権とコンシューマ機の将来
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印刷2019/07/29 00:00

業界動向

Access Accepted第619回:PCゲームの復権とコンシューマ機の将来

画像(001)Access Accepted第619回:PCゲームの復権とコンシューマ機の将来

 かつて,「PCゲームは死んだ」と言われた時代があったが,気がつけばeスポーツやゲーム実況などのゲームカルチャーが登場し,レイトレーシングやオンライン販売のような技術/ビジネス面では今も革新を続ける存在であり続けている。2019年9月にはUbisoft Entertainmentのサブスクリプションサービス「UPlay+」がPC向けにスタートするが,こうした流れからはむしろ,以前とは正反対の方向性が見えてくる。


2019年のUbisoft EntertainmentはPCがメインに


 2019年7月17日,Ubisoft Entertainmentが2019年第1四半期(4月1日〜6月30日)の業績報告を行った。同社は3月に「ディビジョン 2」をリリースしているが,2018年のヒット作は多くはなく,前期比を下回るであろうと予想されていた。
 しかし,報告によれば同社の業績は良好で,とくにUbisoftが「2019年前半のゲーム市場における最大のヒット作」と呼ぶ「ディビジョン 2」と,6月にサービス開始から4年半を迎えたにもかかわらず,月間アクティブユーザー数が過去最高を記録した「レインボーシックス シージ」などが好調さを牽引したという。
 6月に開催されたE3 2019では,「Tom Clancy's Ghost Recon: Breakpoint」「ローラーチャンピオンズ」,そして「ウォッチドッグス レギオン」などの大型タイトルがアナウンスされており,2019年後半も好調を維持しそうだ。

Ubisoft Entertainmentがアナウンスしたサブスクリプションサービス,「UPlay+」。次々とヒット作を生み出す同社の将来においては,想像以上にPCゲームが重視されているようだ
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 この業績報告には,オンラインでゲームを予約した人の34%がPCゲーマーであったことも記載されている。この結果は,4月にPC専用タイトルとして発売された都市建設シム「アノ1800」に負うところが大きいと同社は述べているが,欧米で9月のローンチが発表されている新たなサービス,「UPlay+」に弾みをつけるものだとも見ている。
 「UPlay+」は,月額制でゲームが遊び放題になるというPC専用のサブスクリプションサービスで(関連記事),サービス開始時点で100以上のタイトルが用意されるという。これまで,コンシューマ機を中心にしたマルチプラットフォーム展開に力を入れていたUbisoftにとって,PCをメインにするサービス展開は久々のことだ。

 かつて盛んに言われた「PCゲームは死んだ」という言葉は,久しく聞かれなくなった。2000年代中盤は,革新的なPlayStation 3やXbox 360,Nintendo Wiiなどが矢継ぎ早に市場に投入され,世界的な好景気の中,コンシューマ機がグローバルに展開していた頃だ。歩調を合わせるように,モバイルゲームなどの新しいプラットフォームが次々に登場してゲーム産業の裾野が急速に広がったが,その反面,PCゲーム市場は,固定ファンが大多数を占めるMMORPGや,まだ規模が小さかったインディーズゲームに絞られつつあり,伸びしろはほとんどないと考えられていた。
 人気ゲームシリーズの最新作もコンシューマ機版の開発が優先され,しばしば,PC版が登場しなかったり後回しになったりしていた。また,たとえ発売されても,インタフェースがPC向けに調整されていないといった作品が続出し,ベテランゲーマーならよく記憶しているはずだが,確かにPCゲームは死に体という雰囲気だったのだ。


イノベーションを生み出し続けるPCプラットフォーム


 2000年代の初めから,アメリカではブロードバンドのネットワーク環境が整いつつあり,MMORPGやネットワーク対戦が可能になっていた。当時のコンシューマ機ではネット環境が不十分だったため,その頃のPCゲーム市場を支えた,“PCにこだわりのあるゲーマー達”は「PCゲームの特権」として,こうしたジャンルのタイトルを楽しんでいたが,見方を変えれば,それしかメリットがなかったとも言えそうだ。
 転機となったのは2002年,「Counter-Strike 1.6」β版のサポート的な役割も担うオンライン配信サービス,「Steam」の登場だ。

バトルロイヤルゲーム「Fortnite」をサービス中のEpic Gamesは2019年3月,全プラットフォーム累計で2億5000万人のユーザーを獲得したと発表した。そのうち,PC版をプレイしている人がどれくらいいるのかは分からないものの,Epic Games Storeのアカウント数が8500万と発表されていることから,「コンシューマ機の人気作」と言われる「Fortnite」でも,かなりの人はPCでプレイしていると考えられそうだ
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 Steamは,2002年3月にカリフォルニアのサンノゼで開催されたGame Developers Conference 2002で発表が行われ,登壇したValveのCEO,ゲイブ・ニューウェル(Gabe Newell)氏は,「ユーザーアンケートで,75%のゲーマーがブロードバンド環境にあった」ことが,Steamを立ち上げた理由の1つだと語った。今から見れば「歴史的な発表」なのだろうが,セッションルームには空席が目立ち,聴衆は座席の3分の1ほどに腰を下ろすという控えめなものだった。
 そんなSteamが17年後,2億以上のアカウントを抱え,2019年始めには月間アクティブユーザー数が9000万に達するなどとは,Valve自身,考えていなかったかもしれない。

 まさに,「PCプラットフォーム」と呼ぶにふさわしいSteamの存在により,オンライン配信やコミュニティサポート,DLCなどさまざまなサービスが一般化していったのだが,ゲームジャンルでもPCゲームが先鞭をつけたものは多い。大人数のバトルロイヤルやMOBA,さらにローグライクなアクションなどはおおむね,PCタイトルをルーツとしている。さらに,eスポーツの元祖とも呼べそうな「BYOC」(Bring Your Own Computer)スタイルのLANパーティなど,ゲーム周辺のカルチャーもPCから次々に生まれている。

 ハードウェアが固定されたコンシューマ機に比べて,PCでは技術的なイノベーションもコンスタントに起きる。
 次世代Xboxとなる,「Project Scarlett」はAMDの「Navi」をベースにしたカスタムチップを採用しているが,これは2018年のハイエンドPCに相当するという。もちろん最適化が行われて性能は向上しており,話題のリアルタイムレイトレーシングにも対応するとのことだが,PCでは,2018年に発売されたNVIDIAのGeForce RTXを使うことで,すでにリアルタイムレイトレーシングが楽しめている。「Project Scarlett」は2020年のホリデーシーズンの発売が発表されているので,PCは2年ほど先行していることになる。

 PCのネックとなるのはもちろん価格で,リアルタイムのレイトレーシングを体験したい場合はそれなりの出費を強いられるだろう。とはいえ,「Counter-Strike: Global Offensive」「リーグ・オブ・レジェンド」などの人気対戦ゲームをフルHDで遊ぶ程度なら,北米でも2〜3万円で買える中古PCでも十分だ。10年前に比べれば,PCの相対価格はずいぶんと安くなっている。



サブスクリプションシステムの発達とその先のクラウド


 さて,最近の欧米ゲーム業界の大きなトレンドがサブスクリプションシステムだ。上記の「UPlay+」もこの流れに沿ったものだが,先駆けとなったのは,2011年にMMORPG「EverQuest II」を基本プレイ料金無料のマイクロトランザクションに変更したことに合わせて発表された,「SOE All Access」(現Daybreak All Access)だろう。Sony Online Entertainment(現Daybreak Games Company)が発表したこのサービスは,月に19.99ドルを払うことで「Free Realms」「Star Wars Galaxies」,そして「PlanetSide 2」など,10作以上のオンラインゲームが自由に好きなだけプレイできるというサービスだ。

 2015年にはSony Interactive Entertainmentが,サブスクリプションサービス「PlayStation Now」をスタートさせた。これは,PS4とPS3タイトルが定額でプレイできるもので,クラウド型のサービスであることが特徴だ。PS4でPS3のゲームがプレイできるだけでなく,PCにも対応している。
 続く2015年,Electronic Artsは2016年にPC向けのサブスクリプションサービス「EA Access」を開始し,2017年にはMicrosoftが,Xbox One向けの「Xbox Game Pass」を欧米向けにローンチした。Xbox Game PassはPCへの対応も予定しており(関連記事),一部地域を対象にPC版のβテストを行っている。

4人までのCo-opにも対応しているUbisoftの「Tom Clancy’s Ghost Recon: Breakpoint」だが,「UPlay+」に最初から用意されているというのは,ゲーマーにとって気になるところ
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 このように,月額課金で好きなゲームが自由にプレイできる,「Netflix型モデル」などとも呼ばれるサービスが,次々と立ち上がっている。とりわけ「UPlay+」は,月額15ドルで「ウォッチドッグス レギオン」や「Tom Clancy's Ghost Recon: Breakpoint」などの新旧タイトルが遊べるとのことで,後発だけにかなりアグレッシブに攻めている印象だ。

 サブスクリプションサービスは,ゲームを個別に購入するのではなく,プレイ時間の対価としてあらかじめ決められた金額を支払うシステムで,ユーザーにとっては選択肢が広がるという点でメリットがある。メーカーにとってはユーザーの囲い込み戦略として有効だが,大手パブリッシャやプラットフォームホルダーがサブスクリプションサービスを通して将来に見ているのは,やはりゲームのクラウド化だろう。

 Googleが発表したクラウドゲーム「Stadia」が遊び放題のサブスクリプションサービスではなかった(関連記事)ことについては,多くのゲーマーが落胆したが,最近,北米の大型掲示板RedditのセッションにStadiaのプロダクトマネージャーが登場して,ファンからのさまざまな質問に答えるようになった。その中で,サービスの意図として「StadiaをNetflixだと思っていた人が多かったようだけど,どちらかというと(Xbox Game Passではなく)Xbox Goldに近いもの」と解説されている。
 つまり,Googleは自社のデータセンターを使ったクラウドゲームの土台作りを積極的に行い,UbisoftやElectronic ArtsなどのゲームメーカーがStadiaでそれぞれのサブスクリプションサービスを展開するという未来を描いているのだ。

Ubisoftも深く関わるGoogleの「Stadia」。遊び放題ではないものの,レイトレーシングや8K解像度をサポートした最高環境のゲームを,さまざまなデバイスで楽しめる
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 かつて,「PCゲームは死んだ」と言われていたが,特定のハードウェアを必要としないクラウドゲームが進歩することで,やがて「コンシューマ機は死んだ」と言われるときが来ることになるかもしれない。もちろん,以前にも書いたとおり,新型コンシューマ機に対する市場の熱狂ぶりを見る限り,そうなるまでには,かなりの時間がかかるだろうし,クラウドゲームには克服すべき問題がまだ少なくないのも事実だ。
 とはいえ,PCゲームをメインとしたサブスクリプションサービスの拡大と,プラットフォームホルダーを含めたメーカーがクラウドゲームに高い関心を寄せているのは事実であり,こうした動きは今後も注視していく必要があるだろう。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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