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Access Accepted第586回:北米ゲーム市場に空前のサメブームが到来か
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印刷2018/08/20 12:00

業界動向

Access Accepted第586回:北米ゲーム市場に空前のサメブームが到来か

画像集 No.001のサムネイル画像 / Access Accepted第586回:北米ゲーム市場に空前のサメブームが到来か

 「いよいよ俺達の時代がやってきた!」とサメが思っているかどうかは分からないが,映画「ジョーズ」以降,安定した人気を保ってきたサメが,ヤギやゾンビ,フライパンに続いて北米ゲーム市場に躍り出てきた。まだまだ暑さが続き,海へ行きたくなる今日この頃,北米のサメについてのトレンドを紹介しつつ,新作の“サメゲー”をチェックしてみたい。


アメリカのカルチャーになったサメ


 アメリカ人が「サメ」と聞いてまず思い浮かべるのは,1975年に公開された映画「ジョーズ」だろう。スティーヴン・スピルバーグ監督の出世作である「ジョーズ」は,ビーチリゾートに現れた人食いザメの恐怖を描くパニック映画として大ヒットし,シリーズ化もされた。
 タイトルの“Jaw”は「顎」だが,複数形のJawsになると,今やほとんどのアメリカ人がサメを想像する。偏向レンズを使ったメガネをかけて見る「Jaws 3‐D」(1983年。邦題は「ジョーズ3」)がなぜか印象に残る筆者だが,亜流の映画も次々に登場し,海やプールでは子供達がジョーズのテーマを口ずさみながら遊ぶといったジョーズブームが長く続いたと記憶している。

北米における現在のサメの地位を確立したコンテンツといえば,映画「ジョーズ」。そのジョーズの正式ライセンスゲーム「Jaws Unleashed」(2006年)は,映画シリーズ終わってから,かなり時間をおいてのリリースだったうえにゲームの評価も相当に低かったが,それでも75万本というスマッシュヒットを記録したという
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 ケーブルテレビのディスカバリーチャンネルは,毎年夏季限定で「Shark Week」(シャークウイーク)を開催している。1988年に始まったシャークウイークは,1週間にわたってサメをテーマにしたドキュメンタリー番組やドラマを放映するというもので,開始から20年を迎えた2008年頃までには,“誰でも知っているテレビイベント”として認知されるようになった。アメリカ人の多くが,「最近,テレビ見ないよね」「何言ってんだよ,シャークウイークがもうすぐ来るってのに」というやりとりを普通に理解できる。

 このシャークウイークは若者の間で「生理」を意味するスラングになり,怒りっぽい女性をからかうときにも使われる。ジョーズ同様,シャークウイークもアメリカ文化の一部としてすっかり定着しているのだ。

 サメとテレビの話題を続けると,アメリカでカルト的な人気を獲得しているのが,ケーブルテレビSyfyが年に1度放映する「Sharknado」(シャークネード)シリーズだ。日本でも「シャークネード サメ台風」として放映されたことがあるが,何万匹ものサメを巻き込んだ巨大な竜巻が全米各地を襲い,大きな被害を出すというテレビ映画なので,当然ながら「サメ台風」ではなく,「サメ竜巻」とすべきだろう。
 2013年以降,6本のシリーズ作品が登場しており,こんなバカバカしい一発ネタでよく6本も長編映画が作れたなという気がするが,人気は非常に高い。もっとも,2018年8月19日に放映された第6弾は,「The Last Sharknado: It's About Time」というタイトルで,どうやら今年が最後になるようだ。


サメゲーブームの到来を感じさせる最新ゲーム


 「北米サメ事情」が予定より長くなってしまったが,ここからはゲームの話をしたい。サブカルチャーとして確固たる地位を築いた人食いザメだが,「Tomb Raider II」(1996年)のホオジロザメとの戦いや,「Armed & Dangerous」(2003年)のランドシャークガンなどで,脇役としてはたびたび登場していたにせよ,サメを主人公としたゲームとなると少ない。

 思い浮かぶのは,2006年にMajesco Entertainmentが発売した「Jaws Unleashed」くらいだろうか。これは映画ジョーズの正式ライセンスを獲得した作品で,映画の主要な舞台だったアミティ島の30年後が描かれる。研究目的のために捕らえられ,シーワールドで見世物にされていたホオジロザメが逃げ出し,街を牛耳る企業幹部や研究者に復讐をするという物語で,「コークスクリュー」「ボディボム」といった特殊ムーブが繰り出せる三人称視点のアクションゲームだった。しかし,ストーリーの荒唐無稽さ以前にカメラワークや操作感がとても悪く,その年の「最悪ゲーム大賞」に選出するメディアもあった。

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ダイバーでもサメでもいける「Depth」
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妙なほのぼの感を漂わせる「Shark Simulator」

 そんな状況ではあったが,ここ数年,サメを大胆にフィーチャーしたゲーム(以下,サメゲー)が次々に登場してきたのだ。口火を切ったのは,ニュージーランドに本拠を置くDigital Confectionersが2014年にリリースしたPC向けの「Depth」だった。武器を持ったダイバーとしてFPSを楽しむだけでなく,三人称視点でサメを操作することも可能で,非対称型のオンライン対戦まで用意されていた。

 2017年にはフランスのAerilon Studiosが,「Shark Simulator」をリリース。サメになって観光地を恐怖のどん底に陥れるというアクションゲームで,ローポリゴンのグラフィックスによるコミカルな描写も特徴の1つだ。発売から半年が過ぎた2018年4月には,完全無料のゲームになっている。Steamのユーザーレビューを見る限り,「Depth」「Shark Simulator」もすこぶる評判が良い。

「オープンワールドSPG」の先駆者になりそうな「Maneater」
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 6月に開催されたE3 2018では,サメゲーファンのアドレナリン値を急上昇させるような最新プロジェクトが発表された。「Killing Floor」シリーズでおなじみのTripwire Interactiveがパブリッシングを担当するサメゲー「Maneater」は,上記の「Depth」と「Killing Floor」の開発スタッフが意気投合して設立したスタジオBlindside Interactiveの処女作となる。「オープンワールドSPG」が謳われており,プレイヤーは広大な海の中を自由に動き回り,人食いザメのやるべきことをやる。ちなみに,SPGとはシャーク・プレイング・ゲームの略で,アクションだけでなく,レベルアップによってサメの機能を高めていくというRPG要素がしっかり用意されてはいるものの,ロールはサメしかないので,シャーク・プレイング・ゲームというわけだ。

水中バトルロイヤルにサメを噛ませてみた「Last Tide」
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 Digital Confectionersも,「Depth」に続くサメがらみの新作,「Last Tide」のアーリーアクセス版を8月中にリリースする予定だ。以前のタイトルは「King Tide: Aquatic Royale」で,さまざまなタイプの獰猛なサメがうろつく海の中を舞台に,100人のダイバー(プレイヤー)が最後の1人になるまで戦うバトルロイヤルゲームとなっている。沈没船や海中の研究所などを探索して武器やアイテムを集めるという要素はあるが,海中の移動スピードはどんな感じなのか,あるいはサメ要素がゲームにどのような影響を与えるのかといったところは不明で,興味深い部分でもある。
 ユーザーインタフェースが日本語に対応しているとのことなので,サメ+バトルロイヤルという,おいしいとこ取りの本作については,今後も注目していきたい。

 ユービーアイソフトの「ハングリーシャーク ワールド」など,このほかにもいくつかのサメゲーが登場しており,サメの底力が強く感じられる。筆者の予想ではサメゲーブームが必ず来るので,そろそろゾンビには飽きたというゲーマーは,ぜひこのビッグウェーブに乗っかってみよう。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。

来週の「奥谷海人のAccess Accepted」は,筆者取材のためお休みします。次回の掲載は9月3日を予定しています。
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