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印刷2018/03/12 12:00

業界動向

Access Accepted第568回:政治的に利用される欧米ゲーム業界


 アメリカは,合衆国憲法修正第2条で銃の所持が国民の権利と認められている銃社会だ。それだけに,銃を使った事件も頻発しており,なぜか,そのたびにゲームの暴力表現が批判されてきた。2018年2月14日,フロリダ州の高校で再び銃乱射事件が起きたが,繰り返される悲劇を前に,トランプ大統領が動き出したという。


ホワイトハウスでゲームの暴力表現を規制する動きが


 2018年2月14日,フロリダ州南部のパークランドにあるマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で銃乱射事件が発生し,現在までに生徒14人と職員3人が命を落としている。犯人は,退学処分を受けた19歳の元生徒で,口径5.56mmのAR-15ライフルなどの武器で武装していたという。

 2017年10月には,ラスベガスのライブイベントに参加していた人々に対し,会場を見下ろすホテルの窓から1100発もの銃弾が撃ち込まれ,58人の犠牲者が出たばかりだ。なくならない銃乱射事件に,アメリカ国民は大きな衝撃を受けている。

 銃社会であるアメリカには現在,3億丁以上の銃器が出回っており,2016年には約1万人が銃によって死亡しているという。

 報道によれば,高校乱射事件の容疑者は,幼い頃に養父母となった老齢の両親を相次いで失し,その後,親戚の家を転々とするという複雑な幼少期を過ごした。周囲には素行の悪い少年として知られ,インターネットにマイノリティを中傷するようなコメントを書き込み,高校在籍時にはエアライフル部に所属しており,また,銃器の出てくるゲームに親しんでいたという。そう,こうした事件が起こると,いつものようにゲームが問題視されるのだ。

アメリカ第45代大統領,ドナルド・トランプ氏(画像: White House公式サイト:https://www.whitehouse.gov/)より

 2月22日,ドナルド・トランプ大統領はホワイトハウスでの会議の席上,「我々は迅速に動き出さなければならない。ビデオゲームの暴力表現は,若者達の心を形作っている。その先には映画もある。我々はメディアの表現を緩めるのではなく,規制すべきときに来ている」と語った。

 そして,3月8日にはゲーム業界関係者をホワイトハウスに集めて話し合いが持たれた。現時点ではどんな話題だったのか,あるいは,政府からどんな要請があったのなどは明らかになっていないが,3月7日付けのワシントンポスト誌などが,この会合の参加者が挙げている。
 記事によれば,「Fallout」シリーズで知られるZenimax MediaのCEO,ロバート・アルトマン(Robert Altman)氏「Grand Theft Auto」シリーズを販売するTake-Two InteractiveのCEO,ストラウス・ゼルニック(Strauss Zelnick)氏,そしてElectronic Entertainment Expoを主催する業界団体Entertainment Software Associationのマイケル・ギャラハー(Michael Gallagher)氏であるという。

サンディフック小学校銃乱射事件の際に行われた調査によると,アメリカ全土に存在する銃器は3億5700万丁で,アメリカの全人口より4000万丁も多い (M&R Glasgow/Flickr)

 これらの業界人に対して,以前からゲームの暴力表現を批判してきた政治団体,Parents Television Councilのブレント・ボーゼル(L. Brent Bozell III)氏ら3人も出席しており,とくにボーゼル氏は,「民主党は,こうした銃撃事件が起こると全米ライフル協会(NRA)を槍玉にあげても,暴力的なメディアには何もしようともしない」と,銃規制に比較的積極的な民主党さえ批判する強硬派として知られている。
 この会合の趣旨は「双方の意見を聞く」というものらしいが,トランプ大統領がどのような判断を下すのかに対して,ゲーム業界関係者には不安が広がっているようだ。


暴力表現が悪いのか,銃に近い環境が問題なのか


 グラフィックスの進歩でゲームのリアリティが劇的に向上しつつあったときに発生したのが,13人の死者を出した1999年4月のコロンバイン高校銃乱射事件だった。犯人が「DOOM」を日常的にプレイしていたことが報じられると,ゲームが事件に関連づけられて議論された。

20年ほど前,プレイした青少年が強い影響を受けて暴力的になると主張された「DOOM」だが,現在の視点でゲームのグラフィックスを見ると……
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 また,2012年12月にコネティカット州で幼い児童20人を含む26人が死亡したサンディフック小学校銃乱射事件が起こると,このときにも犯人がゲームを遊んでいたことが報じられている。犯人はNRAの認定証を所持しており,学校での銃乱射を描いた映画なども持っていたが,報道によれば,彼が没頭していたのは「ダンスダンスレボリューション」だったという。

 このように,銃乱射犯の共通点として,ことさらゲームが強調されるわけだが,現代のアメリカ社会では大多数の青少年がゲームに熱中しており,そのことが意味を持つとは考えにくい。

フロリダの銃乱射事件を受けて検討されているのが,いざというとき役に立つ「防弾ホワイトボード」の公立学校への導入らしい。画像はHardwireというメーカーの「Bulletproof Peel-N-Stick Door Armor」で,価格は24万円ほど
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 銃撃事件とゲームとの関係については,2005年に掲載した本連載の第52回「シュワちゃん vs. ゲーム業界」や,2006年9月の「銃乱射事件とPCゲーム」などで,たびたびお伝えしてきた。
 2015年9月14日に掲載した本連載の第473回「過激なゲーム表現に寛容になってきた北米ゲーム市場」で筆者は,サンディフック小学校銃乱射事件以降,ゲームの暴力表現と銃乱射を関連づける論調が減りつつあることを紹介したが,それでもこうした事件が起きるたびに,必ずゲームの話題が出てくるようだ。

 今のところ,トランプ大統領は中立的な立場にいるようにも見える。ゲームにおける暴力表現の規制を訴えると同時に,銃を購入できる年齢の引き上げや,銃を改造する部品の禁止,銃購入者の身元確認の強化なども訴え,NRAはそれに反発している。銃規制に積極的だった民主党のバラク・オバマ前大統領やヒラリー・クリントン元国務長官でさえ,NRAとの直接対立は避けていたので,メディアや関係者はいくぶん驚いているようだ。
 行動的なトランプ大統領が,どのような判断を下すのかは不明だが,今後の経過を注意して追っていくべきだろう。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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