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Access Accepted第512回:なぜ今,農業シミュレーションなのか
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印刷2016/09/26 12:00

業界動向

Access Accepted第512回:なぜ今,農業シミュレーションなのか

画像集#001のサムネイル/Access Accepted第512回:なぜ今,農業シミュレーションなのか

 スイスのGIANTS Softwareが開発する「Farming Simulator」が,シリーズ累計で400万本のヒットを収めているという。広大な農地を舞台に巨大な農業機械を操作し,より多くの収穫に挑むという本作。ゲームに出てくるような大規模農場は,日本の場合,限られた地域でしか見られないかもしれないが,それにしてもなぜ「農場シミュレーション」というニッチなジャンルがここまで支持されるのだろうか。今回は,農業ゲームの面白さを考えつつ,同ジャンルに参入する2つの新作ゲームを紹介しよう。


「Farming Simulator」シリーズはなぜ,成功したのか


 チューリッヒに本拠を置くGIANTS Softwareは,2004年に設立されたゲームメーカーで,スイスでは最古参デベロッパの1つだ。いくつかのシミュレーションゲームを開発したり販売したりしているが,2008年にシリーズ第1作となる農場経営シミュレーション「Farming Simulator」(現在は“Farming Simulator Classic”と呼ばれる)をリリースして以来,ほぼ,同シリーズの開発元として多くのゲーマーに認知されている。
 2012年にリリースした「Farming Simulator 13」が50万本のセールスを記録してからは,偶数年にモバイル向け,奇数年にPC/コンシューマ向けの「Farming Simulator」をリリースしており,最新作の「Farming Simulator 15」は250万本のヒットとなったという。シリーズは累計で400万本に達し,この10月には,最新作となる「Farming Simulator 17」が発売を控えている。

gamescom 2016では例年以上に大きなブースを会場に設置し,勢いが感じられるGIANTS Software。ブースに集まるファンを見ると,老若男女,広い層に受けていることが分かる
画像集#002のサムネイル/Access Accepted第512回:なぜ今,農業シミュレーションなのか

 スイス最大手のメーカーとはいえ,E3 2015で同社スタッフにインタビューしたときには,社員がわずか16人だと聞いて驚いた記憶がある。
 しかし,そんな小規模な会社にも関わらず,これまでのシリーズタイトルすべてに独自開発したゲームエンジンが使用されており,「Farming Simulator 17」では6世代めとなる「GIANTS Engine 6」が使われているとのこと。照明やパーティクル効果などが強化されており,見た目は前作に比べて大きく進歩した。
 ゲームの内容は,毎回,それほど変わった印象を受けないが,多くの固定ファンがいるため,大きく変更できないという事情もありそうだ。最新作の新たな要素としては,畜産に「養豚」が加わり,生産したものを貨物列車で運搬するために,線路を敷き,列車を運転して輸送できるようになったことなどが挙げられる。発売時にはChallenger,Fendt,Valtra,Massey Fergusonなど,欧米のメーカー75社の,実に250種類におよぶ農業機械が登場し,従来作のように,DLCでさらに追加される可能性も高い。

2016年10月25日にリリースされるシリーズ最新作,「Farming Simulator 17」。農業機械に乗るアバターが女性になったのも,女性ファンに向けた,ちょっとしたサービスだろう。個人的には,農場を歩き回るときに三人称視点になってくれれば嬉しいところ。ひまわり畑なども登場するが,タネから油でも採るのだろうか
画像集#003のサムネイル/Access Accepted第512回:なぜ今,農業シミュレーションなのか

 それにしても,なぜここまでニッチな農業シムがシリーズ累計で400万本というヒットを記録したのだろうか?
 ゲームとして見た「Farming Simulator」シリーズは,かなりユルい。資金が底を尽きゲームオーバーになるとか,気象条件の変化で作物が育たないといった要素はなく,プレイヤーはほぼ自分のペースで農作業や酪農,農作物の売買,機器の買い増しなどを行える。アクションゲームやストラテジーゲームに慣れた人なら,つまらなく感じてしまいそうだ。

 そこで,ユーザーコメントを読み漁ってみると,本作を「リラックスするためのゲーム」と考えるプレイヤーが多いことに気がつく。麦やポテトの収穫に飽きたら,林業に挑戦するための機材を揃えるとか,牛乳を製品化するための施設を整えるとか,何かしら新しいことに挑戦できるのだ。広大な農地を開墾していく様子は,子供の頃,砂場でダンプカーやショベルカーのオモチャで遊んだような雰囲気を与えてくれるし,機能一点ばりのはずだが,どこかしらメーカー独自のデザインが感じられる農業機械は,メカ好きの人にとってたまらないものがあったりする。


新たな農業シミュレーションを紹介


 日本の農業関係者の人口は,急速に減少しているという。1995年には400万人いた就労者は5年ごとに20%という,ものすごいスピードで減っており,そろそろ200万人を切るところに来ているそうだ。EU圏でも状況は同じで,ドイツでは2000年から2010年の10年間に農業人口が101.7万人から74.9万人へ,率でいうと26%も減少したという。世界の食糧需要を支える農業大国のアメリカでさえ,こうした傾向が見られるそうだ。

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 農業人口減少の理由は素人の筆者には分からないが,このように,先進国における農業離れは深刻だが,その一方で,「不況になると,帰農運動が盛んになる」とも言われているらしく,庭でガーデニングを楽しむ人や,田舎に移り住んで本格的に農業に挑戦する人の話もよく聞く。
 Facebookゲームとして一世を風靡した「Farmville」は,もしかすると,都会暮らしの我々の持つ,土に対する憧れをゲームとしてうまく表現できていたからヒットしたのかもしれない,などとも思う。

 もう,かなり昔のことのように感じられるが,今からひと月ほど前,ドイツのケルンで8月22日から26日まで開催されたgamescom 2016では,「Farming Simulator」に続けとばかりに,いくつかの農業シミュレーションが発表されていた。筆者が気になったそのうちの2つがどんなゲームなのか,簡単に紹介したい。


■Farm Expert 2017
開発元:Siden
発売元:PlayWay S.A.
発売予定日:発売中
公式サイトhttp://www.playway.com/10004-games/545-farm-expert-2017-5


画像集#004のサムネイル/Access Accepted第512回:なぜ今,農業シミュレーションなのか

 昨年の「Farm Expert 2016」に続き,シリーズ最新作として発売された「Farm Expert 2017」は,デベロッパの地元ポーランドで「Polska Farma」というタイトルで発売されている。19.99ドルという手頃な価格帯で,農場経営シムのジャンルにおけるシェア拡大を狙っているようだ。
 インタフェースが「Farming Simulator」シリーズと非常に似ており,実在の農業機械が登場するところもそっくりだが,画面表示が工夫されているなど,後発らしく,より遊びやすくまとめられている印象だ。
 最大の特徴と言えるのが,土壌の物理シミュレーションを行っていることで,農業機械で土地を掘り下げればちゃんと窪みができるし,雨が降るとぬかるみになってトラクターが立ち往生することもある。
 また,コンピュータ制御で温度や湿度が自動調整される温室が用意されており,収穫物は酸味などいくつかの項目で評価され,それによって売値が変わるという点も面白い。用意されている農業機械は170種類ほどで,MODにも対応しているとのことだ。

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Pure Farming 17: The Simulator
開発元:Techland
発売元:Techland
発売予定日:2017年第1四半期
公式サイトhttp://purefarminggame.com/


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 「Dying Light」「Dead Island」など,一人称視点のアクションゲームに強い印象のポーランドのTechlandが,意外にも農場経営シムジャンルに参入することを明らかにし,その第一弾として「Pure Farming 17: The Simulator」の制作を発表した。自社開発のゲームエンジン「Chrome Engine」が採用されており,グラフィックスもかなり見応えのあるものになっている。
 日本人プレイヤーにとって嬉しいのが,アメリカ,イタリア,そしてコロンビアに加えて,日本での農業が楽しめることだろう。詳細は明らかにされていないものの,日本では田植えやさくらんぼの収穫などができ,農業機械としては三菱重工のライセンスを取得しているとのこと。
 自由な農場経営が楽しめる「Free」モードのほか,小さな農家から大規模農場の経営者として成長させていく「Career」モード,そして特定の目的を達成する「Scenario」モードの3つが用意されている。また,最大4人のCo-opもあり,仲間と共に農場経営を楽しめる。ゾンビゲームでおなじみのメーカーが農場経営シムをどのように作り上げてくるのか,非常に興味深い。

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著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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