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Access Accepted第481回:「Day-1パッチ」を考える
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印刷2015/12/14 12:00

業界動向

Access Accepted第481回:「Day-1パッチ」を考える

画像(001)Access Accepted第481回:「Day-1パッチ」を考える

 呪文のようなプログラム言語を操り,複雑なCGツールを使いこなして,すばらしいゲームを提供してくれる開発者達に日頃から尊敬の念を抱く筆者だが,最近,業界のある習慣に少し我慢できなくなりつつある。それが,ゲームの発売当日,プレイヤーにダウンロードを強いる,いわゆる「Day-1パッチ」だ。そのパッチでゲーム性が向上するときもあるが,反対に悪影響を与えてしまうケースもあるというから始末が悪い。今週は,そんな「Day-1パッチ」とバグの問題を考えてみたい。


普通のことになってきた「Day-1パッチ」


 楽しみに待っていたゲームがようやく家に届き,さっそくプレイしようとディスクを挿入。しかし,パブリッシャのロゴが表示されることもなく,何やらダウンロードが始まった。「まぁ,先にトイレにでも行ってこよう」と席を立ち,帰ってくると,ダウンロードはようやく始まったばかり。「ちょっと長丁場になるかな」と今度はキッチンでエナジードリンクをあさり,スナックを抱えて戻ってくるが,ゲームをプレイできそうな気配はまったくない……。
 ゲーマーの皆さんなら,たぶん,こんな経験があるはずだ。

 初めてゲームを立ち上げると共に開始されるパッチのダウンロード。これが「Day-1パッチ」だ。コンシューマ機のオンライン接続が一般的になってから,すでに10年以上経つ。昔はそれほどでもなかったが,ハードウェアの機能向上に歩調を合わせるようにして増え続け,ついには「Day-1パッチ」という言葉が生まれるほどになってしまった。これに割り切れない思いを抱くのは筆者だけではないはずだ。

「Day-1パッチ」のダウンロード中。いつになったらゲームをプレイできるのだろうか
画像(002)Access Accepted第481回:「Day-1パッチ」を考える

 この「Day-1 パッチ」,「The Witcher 3: Wild Hunt」の580MBや,「Fallout 4」の500MBはカワイイもので,調べてみると,「Grand Theft Auto V」は1.14GB,「Batman: Arkham Knight」は3.5GB,「Call of Duty: Black Ops III」は2.5GB,そして北米でつい最近リリースされた「Just Cause 3」は2.8GBだった。
 大きいところでは,「Halo: The Master Chief Collection」の20GB,「Halo 5:Guardians」の9GB,「Borderlands: The Handsome Collection」の16GBが挙げられる。久々のシリーズ最新作としてリリースされた「Tony Hawk’s Pro Skater 5」は,ゲーム本体よりも大きな7GBものパッチが当てられ,その後,同じくらいのサイズのパッチが配信されたが,当初狙った改善は見られず,ゲームの評価向上には結びついていないようだ。

 PCゲーマーにとって,割と普通の行為である「パッチ当て」だが,オンライン以前のコンシューマ機向けタイトルにパッチを当てるというコンセプトはなく,バグが多かったりパフォーマンスが悪かったりすれば,単にデキの悪いゲームとして忘れられるだけだった。それだけに,開発者達は最後まで高い緊張感をもって制作に当たったはずだ。そういう視点から考えると,最近の「Day-1パッチ」を前提にした多数のゲームは,未完成のままで商品を発売しているとさえ言えるのかもしれない。


看板シリーズさえ揺るがす,“壊れたゲーム”の恐怖


 こうした「Day-1 パッチ」だが,開発側にも事情があることは筆者も理解している。洋ゲーといえば,発売延期が付きもの,というイメージがあるが,最近の大手パブリッシャは「プロジェクトを減らし,1作になるべく多くの人員と広告費を使う」というビジネスモデルにシフトしているため,発売予定日を厳守することへのプレッシャーは以前よりずっと大きくなっている。シリーズ作品を毎年リリースすることが既定路線になっている作品もあり,そうなると開発の遅延は許されない。

 PCゲームの話になってしまうが,それに関連して記憶に新しいのが,2015年にWarner Bros. Interactive Entertainment(以下,WBIE)がリリースした「Batman: Arkham Knight」だ。コンシューマ機版は3.5GBの「Day-1パッチ」を経て順調に滑り出したが,PC版は解像度がコンシューマ機版より低く,しかも,ちょっとしたアクションが始まるたびにプレイ継続が不可能になるほどフレームレートが落ちるなど,さまざまな問題が噴出した。

 発売は直ちに中止され,その後はすでに購入済みのゲーマーのために何度かパッチがリリースされたものの,結局,販売が再開したのは10月末になってからのことだった。PC版の移植は20人ほどのスタッフを擁する外部のメーカーに委託されていたそうだが,WBIEの全力を挙げたサポートでも満足できるバージョン(完全に治っていないという報道もある)までに4か月もかかったのだから,PC版だけでも発売に延期させるべきだったはずだ。発売日厳守のプレッシャーのもと,どこかで誰かが未完成のものにゴーサインを出してしまったようだ。

PC版とコンシューマ版の比較がたびたび行われている「Batman: Arkham Knight」。テクスチャの解像度がコンシューマ機版より低いのは,PCゲーマーにとってはさすがに我慢できないことだろう
画像(003)Access Accepted第481回:「Day-1パッチ」を考える

 こうした問題については,本連載の第477回「バグ問題の対応を迫られる大手パブリッシャ」で紹介したとおりだが,バグの存在が大手メーカーの看板タイトルさえ揺るがす現在,「Day-1 パッチ」に頼る傾向はさらに強くなっていきそうだ。これからのゲーマーは,テレビの前でイライラしながらも,「Day-1 パッチ」を仕方ないことと受け入れていくことになるのかもしれない。

 とはいえ,世界的に見ればインターネットのインフラ整備が不十分な地域も少なくない。オフラインでしかプレイできない人々に,半完成のゲームを売るようなことが普通になれば,いずれ消費者にそっぽを向かれ,ゲーム業界全体の損失になってしまうだろう。
 残念ながら筆者は解決の妙案は持ち合わせていないが,「Day-1パッチ」というコンセプトは,業界の未来にとってプラスには作用しない,問題をはらんだものだということを,開発者もパブリッシャも意識すべきではないだろうか。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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