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Access Accepted第468回:Daybreak Game CompanyのCEOが退職
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印刷2015/08/03 12:00

業界動向

Access Accepted第468回:Daybreak Game CompanyのCEOが退職


 Sony Computer Entertainment America傘下のスタジオとして,オンラインゲームを中心に開発してきたSony Online Entertainment。「H1Z1」のアーリーアクセス版のリリースにタイミングを合わせて独立し,社名を新たにDaybreak Game Companyとして新たに船出した。ところが,独立から半年も経たないうちに,長らく同社を率いてきたCEOが一時的とはいえ退職すると発表されたのだ。今週は,その話題を追ってみたい。


MMORPGビジネスに長く関わってきたベテランの退職


 2015年7月22日,「H1Z1」「PlanetSide 2」などのオンラインゲームの開発・運営を行うDaybreak Game CompanyのCEO,ジョン・スメドレー(John Smedley)氏の退職が発表された。後任として,これまでCOO(チーフ・オペレーション・オフィサー)を務めてきたラッセル・シャンクス(Russell Shanks)氏がCEOの職を引き継ぐことになるという。興味深いのは「近いうちにスメドレー氏は復帰し,別の新しいポジションに就くことになる」とも発表されていることだろう。

月額制のMMORPGからFree-to-Playのオンラインゲームまで,ビジネスモデルの変化やユーザーの好みを的確に読み取りつつ会社を率いてきた,ジョン・スメドレー氏
 2015年2月3日に掲載した記事でもお伝えしたとおり,Daybreak Game Companyは今年の2月2日まではSony Computer Entertainment America傘下のスタジオとして「EverQuest」シリーズのほか,「Free Realms」「Vanguard: Saga of Heroes」,そして「Star Wars Galaxies」など,40近い作品を,「Sony All Access」(現在は「Daybreak All Access」)でサービスしてきたSony Online Entertainmentの新たな名称だ。

 ここで,Daybreak Game Companyが今日に至る道を簡単に振り返ってみよう。1989年,CBS・ソニーグループ(CSG)がロサンゼルスにSony Imagesoftというパブリッシャを設立した(設立当初は,CSG Imagesoft)。北米およびヨーロッパ向けに「熱血高校ドッジボール部」(欧米でのタイトルは「Super Dodfe Ball」)を販売したことを皮切りに,やがて,セガのメガドライブ(GENESIS),任天堂のスーパーファミコン(Super NES),さらにはPC向けのタイトルの販売も手がけるようになった。

 1995年に北米でのPlayStationの発売をにらんだ組織再編が行われ,従業員が100人ほどだったSony Imagesoftは解散して一部はサンタモニカに移動し,残ったスタッフによって新たなデベロッパ,Sony Interactive Studio America(SISA)が設立されている。

 SISAは,「Bust A Groove」(邦題「バスト ア ムーブ Dance&Rhythm Action」),「Syphon Filter」「Jet Moto 3」のほか,セガからIPを購入したスポーツタイトルなどを開発したが,1998年に989 Studiosという社名へと変更し,その翌年にはPC向けの作品を手掛けていたスタッフが独立して,Verant Interactiveが設立される。
 このVerant Interactiveの立ち上げに関わったのが,のちに経営を担当することになるスメドレー氏だ。独立の理由は「これまでとまったく異なるゲームビジネスを始めるため」であり,それがMMORPGの黎明期に登場して多数のプレイヤーを獲得し,日本でも人気になった「EverQuest」だったのだ。「EverQuest」は同社のフラッグシップであり,登録アカウント数45万という,当時としては最大のヒット作だった。

 2000年,Verant InteractiveはSony Online Entertaimentに吸収される形で,消滅する。Sony Online Entertaimentは,Sony Pictures Entertainmentが開発したオンラインゲームを運営するため1998年に設立されたのだが,Verant Interactiveと一緒にすることで,オンラインゲームを一社に集約するという狙いがあったようだ。



悪質なハッカーに対する,強硬な発言


 そして今年,Sony Online Entertainmentは,音楽配信サービス「Rhapsody」などを運営するColumbus Nova Technologyの投資を受け,Daybreak Game Companyとして独立することになった。海外メディアとのインタビューで独立の理由を聞かれたスメドレー氏は,「開発者がやりたいことを実現できる,経営拡大のため」と述べている。
 「H1Z1」のローンチを目前に控え,また「PlanetSide 2」は好調で,さらには「EverQuest Next」の準備が進んでいるという同社だけに,開発者達の士気も高く,新たなアイデアも次々に出ていたはずだ。
 そんなとき,今回の独立劇を成功裏に導いてきたスメドレー氏が退職を発表したのだ。理由は述べられていないが,再び戻ってくるということから,しばらく休養をとったのち,新たなポジションで腕を振るう予定なのかもしれない。

ゾンビがはびこる世界でのサバイバルが体験できる「H1Z1」は,現在PC版のβテストが続けられており,2015年内にはPlayStation 4などのプラットフォームでサービスが始まる予定だ。PC版は100万アカウントを達成するなど,かなりの人気ぶり
Access Accepted第468回:Daybreak Game CompanyのCEOが退職

 スメドレー氏は,オンラインゲームという分野で長い期間,活躍してきただけに,インターネット界隈では良く知られた人物だが,とくに,チーターやハッカーに対する強面の発言は有名だろう。
 例えば2012年頃,「PlanetSide 2」でチート行為をしていた一部のゲーマーを一斉バンしたとき,それだけで終わらせず,ソーシャルネットワークサービスなどでチーター達をハッカーと呼び,「おまえ達を追い詰めてやる」などといった言葉で糾弾したのだ。
 バンされたチーターが本当にシステムの破壊や不正アクセスを行うハッカーだったのかは分からないが,この時期を境にSony Online Entertainmentに対するハッカーの攻撃が始まっており,スメドレー氏の発言を挑発ととったハッカー達が同氏をターゲットにした可能性は否定できない。
 実際,2014年8月にPlayStation NetworkがDDoS攻撃(大量のファイルを転送することで回線やサーバーを占有し,システム障害を引き起こす行為)を受けた際,スメドレー氏が搭乗予定だった飛行機に対する爆破予告があり,サンディエゴ空港が一時封鎖されるという事件も起きたりしている(関連記事)。

 爆破予告を出したのは,ハッカーグループのLizard Squadだったが,それに対してスメドレー氏は「こんなことでは引き下がらない」と発言し,FBIの捜査に全面的に協力した。
 2014年末には,Lizard Squadのメンバーだった10代の少年がPlayStation Networkに不正アクセスを行い,その後北欧で逮捕されているが,この7月8日,逮捕された少年の量刑が,監視付きで2年の執行猶予処分だったことに強い不満を述べ,「おまえを見つけ出してやる」などという強い言葉を使って非難を繰り返した。その翌日,Daybreak Game CompanyのサーバーがDDoS攻撃を受けている。



 スメドレー氏の退任が発表されたのは,その2週間後のことだ。あくまでも筆者の想像だが,このイタチごっこに嫌気のさした誰かが,スメドレー氏に休養を示唆した可能性も捨てきれない。ソニーという後ろ盾をなくしたDaybreak Game Companyだけに,万が一,情報流出でも発生した場合,たちまち会社存続の危機に陥るかもしれないのだ。

 退職にどのような理由があったのかは明らかになっていないが,月額制のMMORPGからFree-to-Playのオンラインゲームまで,ビジネスモデルやユーザーの嗜好の変化を的確に読み取り,15年以上にわたってその手腕を発揮してきた経営者がジョン・スメドレー氏である。確かに最近,「EverQuest」のような大ヒットには恵まれていないものの,いずれ同氏が復帰して,新たなポストで腕を振るい始めたとき,どのような展開を見せるのか。執拗な攻撃をしてくるハッカーへの舌鋒は,変わらず鋭いのか。今後も注視していきたい。


著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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