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印刷2014/08/25 12:00

業界動向

Access Accepted第432回:ケルンで開催されたgamescom 2014を振り返る

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 2014年後半から2015年にかけて発売される新作タイトルに触れるため,あるいは物販でお気に入りのグッズを手に入れるため,あるいは無料で配られるポスターやTシャツなどを集めるため,毎年この時期のドイツの古都ケルンには,約30万人ものゲーマーが集結する。今週は,世界最大規模のゲームイベントgamescom 2014の取材を振り返り,その印象などをお伝えしたい。


30万人を超える来場者で沸き返るケルンの街


33万5000人もの参加者を集めた世界最大規模のゲームイベントgamescom 2014。今年も,さまざまな新作の試遊台に並んだり,物販やモノ集めに大忙しだったりするドイツっ子達で,ケルンメッセは大いに賑わった
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 今年もまた,世界最大規模のゲームイベントgamescomがドイツ・ケルンで開催された。昨年(2013年)は,30万人の大台を軽々と超える34万人もの入場者数を5日間のイベントで集めたが,今年の入場者数は5000人減となる33万5000人という発表が行われた。
 ただ,今回は前売り券の販売数を制限するなど,あまりにも入場者数がふくらみすぎたための規制もいくつか行っていたため,その結果の入場者数減となるのだろう。減ったとはいえ,エスカレーターや出入口周辺ではときおり,人の動きをスムーズにするための規制が行われて,28.4万平方mという世界的にも最大級のフロアスペースを誇るケルンメッセでありながら,ホール間の移動さえままならない混雑ぶりは相変わらずだ。来場者数は,上限に達してると思われる。

 さて,Sony Computer Entertainment(SCE)の「PlayStation 4」と,そしてMicrosoftの「Xbox One」がヨーロッパで発売されて約9か月。gamescom 2014開催に先立って行われたSCEのプレスカンファレンスでは,PlayStation 4の販売台数が1000万台を突破したことが発表されている(関連記事)。前世代の機種である「Xbox 360」の場合,約30か月かけて1000万台に達しており,さらに,その前の世代の機種で世界標準とまでいわれたPlayStation 2でさえ,1000万台を販売するまでに約12か月かかっていたことを考えると,PlayStation 4がいかにハイピッチで売れているかが分かるはずだ。

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 一方のMicrosoftは,今年4月の時点で500万台のXbox Oneを小売店に“搬送した”ことを明らかにしており,また,2014年第2四半期(4月〜6月)の業績報告では,Xbox 360と合わせて「Xboxコンソールを110万台」と発表しているのみで,詳しい販売台数は明らかになっていない。


MicrosoftとSCEのプレスカンファレンスをチェック


 Microsoftが,gamescom 2014の前日に行ったメディア向けのブリーフィングは,同社のXbox Oneにかける意気込みが伝わってきそうな内容だった。大きな発表をまとめておくと,以下のようになる。

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・「FIFA 15」「Call of Duty: Advanced Warfare」「Sunset Overdrive」,それぞれのタイトルをバンドルしたXbox One,3種類を投入
・「FIFA 15」のUltimate Teamモードの独占コンテンツとなる「Legends」
・「Goat Simulator」や「Superhot」などのID@Xboxプログラムに参加したインディーズタイトルのリリース
・「Rise of the Tomb Raider」の時限独占
・「Evolve」の2015年1月先行βテスト。DLCの先行配信
・「Fable Legends」のβテストが2014年10月に開始
・Xbox One/360専用ゲーム,「Screamride」の制作
・「Ori and the Blind Forest」の2014年内リリース
・2015年発売予定の「Quantum Break」のデモ公開
・「FIFA 15」と「Forza Horizon 2」に,プレオーダーとプレダウンロードサービスを導入
・オンラインサービス「Halo Channel」の開始
・「Halo 5: Guardians」のβテストが2014年12月29日にスタート
・「Below」が2015年に発売


 一方,PlayStation 4もかなりの物量作戦を展開。Sony Computer Entertainment Europeのプレスカンファレンスで行われた発表は,以下のような内容だった。

・「Thomas was Alone」の開発者Mike Bitchell氏の新作「Volume」
・Q-Gamesの新作「The Tomorrow’s Children」
・Ruffian Gamesの新作「Hollowpoint」
・Ninja Theoryの新作「Hellblade」
・フロム・ソフトウェアのPS4専用ゲーム「Bloodborne」の新情報
・PlayStation 4版「DayZ」
・小島監督とギレルモ・デル・トロ監督のプロジェクト「Silent Hills」
・ホラーアドベンチャー「Until Dawn」の再発表
・ゲームを持っていないほかのプレイヤーと一緒にプレイできる新サービス「Share Play」発表
・「Far Cry 4」の所有者が「Share Play」に対応していること
・「Destiny」の拡張パックが第1弾が2014年12月に先行配信
・「PlayStation TV」がヨーロッパで2014年11月14日リリース
・クラウドゲーミングサービス「PlayStation Now」のサービスが2015年に開始
・「Resogun」の開発チームHousemarqueの新作「Alienation」
・Media Moleculeの「Terraway: Unfolded」
・「The Vanishing of Ethan Carter」がPlayStation 4向けに2015年リリース
・「Rayman」のクリエイター,Mitchel Ancel氏のエクスクルーシブタイトル「Wild」

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 こうしてみると,SCE,Microsoftともにヨーロッパのインディーズゲームを中心にラインナップをまとめてきたという印象だ。雰囲気としては,Microsoftがサードパーティタイトルの独占にこだわり,SCEはインディーズゲームでラインナップをさらに拡充しているといったところだろうか。

 これまでPlayStation系タイトルとして多くのファンに認識されてきた「Tomb Raider」シリーズの最新作をXbox Oneの時限独占にしたのは大きな見どころだったが,新作タイトルの本数などを考えると,gamescom 2014における話題はやはり,昨年に引き続いてSCEのほうが大きかったというのが個人的な印象だ。

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ゲーム開発の広がりを感じる,国際派のgamescom


 gamescom 2014の取材を通じて感じた最新タイトルのトレンドは,7月7日に掲載した本連載の第428回「新作タイトルから見る,欧米ゲーム業界のトレンド」で紹介した内容と大きく変わるものではなかった。非対称型の対戦ゲームはますます脚光を浴びており,E3 2014に続いてgamescom 2014でも,「Evolve」がBest of Showを含む5つの賞を受賞するなど,期待の高さをうかがわせた。さらに,このトレンドに乗ったのか,「Dying Light」でも1人対2〜4人という非対称型オンラインモードが発表されている。

 メーカーとしては,2K GamesとWarner Bros. Interactive Entertainmentが頑張りを見せていた。ご存じのように,2Kは「Evolve」のほかにも「Borderlands: The Pre-Sequel」「Sid Meier's Civilization: Beyond Earth」などを,またWarner Bros.は「Dying Light」に加えて「Batman: Arkham Knight」「Mortal Kombat X」といった新作をアピール。ラインアップの密度では,Electronic ArtsやUbisoft Entertainment,Activisionといったメーカーにも負けない印象を与えた。

ドイツ国内では最大のパブリッシャ,Deep Silverのブース。「Dead Island 2」のような18禁ソフトは,今年からの新規制で通路側から見られないように配慮されており,まるでクイズ大会のようになった
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 また,ドイツを基盤とするDeep Silverは「Dead Island 2」「Risen 3: Titan Lords」といった自社制作のタイトルのほか,スクウェア・エニックスやセガのドイツ国内でのパブリッシングを担当していることから,かなりの大規模なブースを展開していた。さらに「World of Warcraft」のBlizzard Entertainment,「League of Legends」のRiot Games,そして「World of Tanks」のWargaming.netのように,ヨーロッパで大きなコミュニティを持つオンラインゲームのメーカーも,立ち位置をしっかり築いている様子だ。

「League of Legends」のトーナメントに集まった大観衆
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 入場者総数が昨年に比べて減少したことは上にも書いたとおりだが,ビジネス関係の参加者(開発者やパブリッシャに加え,流通業者/小売店など)は,昨年の2万9600人から,3万1500人に増加している。過去最多となる47の国/地域からビジネス関係者が集まっており,会場を歩いてみると,初参加となるスイスやオーストリアのブースなどが確認できる。これは,国の政策として,ゲーム産業を育成しようという機運が世界的に広まってきていることを感じさせる現象だ。小規模かつ低予算で制作できるモバイルゲームの普及で参入障壁も低くなったこともあり,ゲーム市場や開発現場が多様化し,今まで以上に国際的になっていることが分かる。

 ともあれ,ケルンの夏をさらにアツくするヨーロッパ最大のゲーム祭典は,終了した。ゲームを取り巻く環境やトレンドは毎年のように変化しているのだが,詰めかける来場者の熱気は常に変わらず,それどころか,年々ヒートアップしているようにさえ思える。楽観的かもしれないが,この熱気が続く限りゲームという娯楽は,これからも変化を繰り返しながら発展していくことだろう。そんな来場者達の姿を見られることもまた,毎年取材に駆けつける大きな理由の一つなのかもしれない。

北欧の連合体のブース「Nordic Pavilion」。1メーカーではブースを持つほどの資金的余裕はないが,国の支援によって複数のインディーズメーカーが参加していた
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※撮影:田井中純平

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gamescom公式サイト


著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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