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Access Accepted第384回:「Xbox One」に関するさまざまな噂を整理
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印刷2013/05/27 12:00

業界動向

Access Accepted第384回:「Xbox One」に関するさまざまな噂を整理

画像集#001のサムネイル/Access Accepted第384回:「Xbox One」に関するさまざまな噂を整理

 Microsoftがついに「Xbox One」を発表した。Kinectが標準で付属し,リビングルームのエンターテイメントのすべてを担うべくデザインされているとのことだが,ゲーマー最大の関心事である新作タイトルや,「常時接続の必要性」「Xbox 360との互換性」「中古ソフト」,そして「価格」などについては発表されなかった。今週は,そうしたXbox Oneの“はっきりしない事柄”について,さまざまなメディアの報道を元に推測してみたい。


ついに発表されたXbox One


 アメリカ時間の2013年5月21日,ワシントン州レドモンドにあるMicrosoft本社のキャンパスで発表会が開催され,Xbox,Xbox 360に続く第3のコンシューマ機,Xbox Oneがその姿を現した(関連記事)。2013年内に発売される予定であり,本年末のコンシューマー機市場はまさにソニー・コンピュータ・エンタテインメントのPlayStation 4との一騎打ちになりそうだ。

リビングルームの独占を狙う新たなコンシューマ機,Xbox One。高いハード/ソフトウェア技術が感じられ,新世代の雰囲気を強く漂わせている
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 Xbox Oneのコンセプトは,「リビングルームで唯一の“ボックス”となるべき家電」というもので,「オール・イン・ワン」からのネーミングであるようだ。事前の噂どおりBlu-rayドライブを搭載し,ゲームだけでなく,映画,音楽,スポーツ中継,そしてビデオチャットなどをすべて楽めることを強調したものになっている。

 興味深いのは,パワーアップしたKinectが標準でセットされることだろう。Kinectを前提としたユーザーインタフェースが採用され,スリープ状態にあるXbox Oneに「Xbox,On」と声を掛けるだけで起動し,音声や手振りだけで,さまざまな操作ができるのだ。Xbox Oneが音声を発するわけではないが,映画「2001年宇宙の旅」のHAL 9000のような未来がリビングルームに出現することになる。

 発表会では,例えばスティーヴン・スピルバーグ監督による「Halo」のテレビドラマシリーズや,スポーツ専門のケーブルテレビ局「ESPN」,アメリカンフットボールの「NFL」との提携といった,ゲーム以外の話題が続いた。
 Microsoftがどの分野の開拓に力を入れているかは,「Entertainment & Digital Media」という新部門を設立し,CBSグループの社長だったナンシー・テレム(Nancy Tellem)氏を担当役員に迎えていることからも明らかだ。いくつかのメディアはNFLとの複数年契約でMicrosoftが4億ドルを支払ったと報じている。

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意外と厳しかった市場の目


 もちろん,その後は我々が期待していたゲームの発表も行われ,エクスクルーシブタイトルである「Quantum Break」「Forza Motorsport 5」に加えて,Electronic Artsのスポーツタイトルや,Activisionの「Call of Duty: Ghosts」などが紹介された。
 しかし,ゲームソフトにはそれほど多くの時間は割かれず,ゲームメディアにとっては物足りない発表会だった。これには,KinectやEPSN,NFLとの提携など,ゲーム以外の部分にフォーカスし,ほかのプラットフォームとの違いをアナリストや投資家に強く印象づけるという狙いがあったのだろう。

スティーヴン・スピルバーグ監督によるドラマ版「Halo」,ESPNやNFLとの提携,そしてXbox SmartGlassのコンテンツ拡充といった,ゲーム以外の話題が多かったXbox One発表会。今のところ大手パブリッシャからしかXbox Oneへの参入表明がされていない点も,やや気がかりだ
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 もっとも,株式市場はこうしたMicrosoftの発表を必ずしもポジティブに捉えなかったようで,21日の発表当日,同社の株価が0.5%ほど下落したのに対し,Nintendoは2.2%,SCEは9.3%も上昇している。Microsoft株は,その後も緩やかに下がり続け,この数か月間“次世代コンシューマ機に対する期待”で上昇していた分は,いずれなくなってしまいそうだ。

 株価下落の理由として挙げられるのは,上記のようにゲームに関する新発表が少なく,それ以外の発表が北米市場をターゲットにし過ぎたものであったこと,そしてKinectを本体に同梱したため,価格競争が起きた場合に不利になると判断されたことだろう。さらに,「消費者をリビングルームに釘付けにする」戦略は,つまり人々をPCから遠ざけることでもあり,WindowsのメーカーであるMicrosoftにとって諸刃の剣になるという指摘もある。

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 新作ゲームについてMicrosoftは「15のエクスクルーシブタイトルを,Xbox Oneのローンチ後1年以内に投入する」としており,詳しくは6月に開催されるE3 2013で発表される予定になっている。Xbox 360もまだ現役であるうえ,AndroidやiOSなどさまざまなプラットフォームが存在する現在,エクスクルーシブタイトルで人をつかめるかどうかは新たなハードウェアのスタートダッシュにおいて重要な意味を持ってくる。ゲームハードとしてのXbox Oneの真価は,E3 2013で問われることになるだろう。

 さて,以上のように少々荒れた船出となったXbox Oneだが,現段階でまだ発表されていない部分が多いのも事実だ。というわけで,ゲーマーが気になる部分について,現在報じられていることを中心に書き出してみよう。メディアの報道とはいえ,噂や矛盾も多く,結局どういうことなのか分からないという話もあるが,とりあえず,話半分くらいで読み進めてほしい。


インターネットへの常時接続


 Xbox Oneがネットへの常時接続を要求した場合,そのこと自体が問題になるかもしれない。ブロードバンドやネットワークインフラが十分に普及していない国や地域もあるし,たとえ北米の家庭であっても,リビングルームまで回線が届いていない場合も考えられる。また,サーバーやプロバイダーが何らかの理由でダウンしたとき,オンラインゲームでもないのにプレイできなくなってしまう。

 Xbox Oneは,正式発表以前から「常時インターネットに接続している必要がある」という噂が広がっていたが,発表会ではそれについての明確な発言はなかった。発表会の直後に公式サイトでFAQが公開されているが,そこでは「常時接続は必要ありませんが,インターネットに接続していなければなりません」(No, it does not have to be always connected, but Xbox One does require a connection to the Internet)という,かなり理解しづらい表現で説明されている。

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 ネットへの常時接続については,メディアの報道においても混乱が見られ,例えばゲーム情報サイトのKotakuは,Microsoftの副社長であるフィル・ハリソン(Phil Harrison)氏の話として,Xbox Oneはシングルプレイ専用タイトルであっても24時間に1回,オンラインへの接続が要求されると報じている。これに対してPolygonは,Microsoftの別の幹部のコメントとして「24時間に1回の認証というのは,1つのシナリオに過ぎない」としており,これがまだ内部で決定した事項ではないことを窺わせている。Microsoftとしては,現段階での明言は避け,今後,市場の反応などを見て決定したいということかもしれない。


Xbox 360との互換性


 Xbox 360にはPowerPCベースのCPUが採用されていたが,Xbox Oneにはメーカー不明ながらもx86ベースのCPUが使われている。同じくPowerアーキテクチャのCELLからx86系へシフトしたPlayStation 4同様,以前の機種向けにリリースされたゲームを新しいハードウェアで遊ぶのは難しいだろう。

 PlayStation 4の場合,クラウドゲーミング技術を使って古いゲームを楽しめるようになるのではないかと言われているが,今のところXbox Oneでそういう話は聞こえてこない。 Xbox Oneは“オール・イン・ワン”を標榜しているだけに,一台でXbox 360のゲームもプレイできれば申し分ないと思うが,FAQにおいて下位互換性は否定されている。ちなみに,Xbox 360向けのKinectやコントローラーとの互換性もないが,音楽やムービー,そしてゲーマースコアのXbox Oneへの移行は可能とのことだ。

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中古ソフトとXbox One


 中古ゲーム市場はパブリッシャにとっては問題だが,多くのゲーマーにとっては不可欠なサービスになっており,両者の溝は埋まりそうもない。Wiredが報じるところによれば,Xbox OneのゲームソフトはHDDへのインストールが必須であり,その後はディスクなしでもプレイできるようになるという。もちろん,だからといってディスクを多数のゲーマーで使い回すことは不可能であり,ディスクは何らかの方法でユーザーに関連づけられ,別のユーザーが自分のXbox Oneにゲームをインストールする際には,新たに料金を支払わなければならない。
 ちなみに上記のFAQには,「我々は,ユーザー同士がゲームソフトを売買できるようなシステムをXbox One向けにデザインしています。これについては今後,詳しくお伝えします」(We are designing Xbox One to enable customers to trade in and resell games. We'll have more details to share later)とも書かれている。

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 ともあれ,Wiredの報じたような仕組みが採用されれば,中古ソフト専門店や個人売買でソフトを購入しても,さらにMicrosoftに対して支払いが生じることになる。それならXbox Oneに導入されるという売買システムを利用するか,廉価版を待って購入しようというユーザーが増えるだろう。
 しかし,友人の家にディスクを持って行って一緒に遊んだり,親戚から遊んでないゲームソフトをもらったりなど,日常よくある行為に大きな制限がかかることから,ユーザーの反発を買う可能性は高い。

 Microsoftの広報担当で,“メイジャーネルソン”としても知られるラリー・ハーブ(Larry Hyrb)氏公式ブログにおいて,Wiredを名指しすることは避けつつも「メディアの報道で混乱が生じていますが,固定したシナリオはまだありません」と,ここでも“シナリオ”という表現を用いて,システムの変更に含みを持たせている。
 中古ソフトの問題については,公式ブログにすでに4000件近いコメントが寄せられているようで,ゲーマーにとってこれがいかに切実な問題であるかが分かる。

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価格はどれくらい?


 本体価格については,「499ドル/399ポンド」という出所不明の情報を伝えるメディアが多いが,これはどうやら,明らかになったハードウェアのパーツを合算したものであり,Microsoftの判断次第で大きく上下するはずだ。GameSpotが,大手ゲーム小売チェーンGameStopのCFOであるロブ・ロイド(Rob Lloyd)氏インタビューしているが,それによると同氏は「前の世代(つまり,Xbox 360とPlayStation 3)よりも安く設定してくるのではないか」と見ている。
 Xbox OneとPlayStation 4が同時期にリリースされることから価格設定はかなりシビアな要素になるはずで,具体的な価格が発表されるのは発売が相当近づいてからのことになるだろう。

 Microsoftウォッチャーとして知られるポール・サーロット(Paul Thurrott)氏は1か月ほど前「価格は500ドルだが,Xbox LIVEの年会員になれば300ドルで購入できる」という内部情報をネットラジオに流して話題になったが,こうしたさまざまなオプションを用意することで,消費者を納得させるという方法もありそうだ。

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 以上,Xbox Oneにまつわる噂や予想を簡単にまとめてみたが,果たして,これらの実態はいかに? 6月10日に開催される予定のE3 2013のプレスカンファレンスでの詳細発表に期待したいところだ。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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