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Access Accepted第381回:急激な変化を続ける欧米のデジタルコンテンツ市場
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印刷2013/04/22 12:00

業界動向

Access Accepted第381回:急激な変化を続ける欧米のデジタルコンテンツ市場

画像集#001のサムネイル/Access Accepted第381回:急激な変化を続ける欧米のデジタルコンテンツ市場

 スマートフォン向けのゲームが大ヒットし,PCやコンシューマ機ではダウンロード販売やDLC(ダウンロードコンテンツ)が一般化するなど,現在の欧米ゲーム業界は「デジタルコンテンツ」全盛。それはまた,わずか1年で状況が大きく変化する,先の読みづらい時代でもある。人気を誇ったFacebookのゲームが下降線をたどり,モバイル向けゲームには新興メーカーが次々に登場してきた。今週は,そんなデジタルコンテンツ市場を概観してみよう。


Electronic ArtsがEA Playfishタイトルをクローズ


 2013年4月15日に掲載した本連載の第380回,「2年連続でアメリカ最悪の企業に選ばれたElectronic Arts」で,Electronic Artsが“有名スタジオを次々に買収し,実績が挙げられないと,迷うことなく閉鎖してきた”同社の過去について書いたが,そのビジネス戦略は現在も続いているようだ。

 4月15日,Electronic Artsは,同社のソーシャルゲーム部門であるEA Playfishがサービス中のFacebook向けタイトル「The Sims Social」「SimCity Social」,そして「Pet Society」を6月中旬に終了すると発表した。EA Playfishの前身であるPlayfishは,2007年にロンドンで設立され,Facebook向けゲーム市場ではZyngaに続くほどの勢いを持っていたメーカーで,2009年に約4億ドルという巨額の買収によってElectronic Arts傘下に入ったが,その後は,ヒット作に恵まれていなかった。

 終了の理由としてElectronic Artsは,MAU(月間アクティブユーザー)数の顕著な落ち込みを挙げているが,発表が行われたPlayfishの公式フォーラムにはファンのネガティブな反応が多く書き込まれており,そのほとんどが,ゲーム内で購入したアイテム類がどうなるのかといったことに不安を覚えるといったものだ。
 ユーザー数が激減しているとはいえ,公式発表によると,SimCity Socialは約980万人,The Sims Socialは約140万人の登録会員数を抱えている。この段階での閉鎖に怒り覚えるファンも少なくないようで,今後,バーチャルアイテムへの投資に対する返還要求に発展する可能性もあるだろう。

2011年8月にデビューした「The Sim Social」は,初週で1600万のアカウント登録を獲得し,当時大人気だったZyngaの「Farmville」に肉薄する,トップ2に駆けあがった。しかしその後,次第にランキングを下げていった。あのシムズでさえ,Facebook市場で継続して利益をあげていくのは難しかったようだ
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 もっとも,Electronic Artsの今回の措置が,欧米ゲーム業界の現状,つまりFacebook向けタイトルの頭打ちという事実にいち早く対応したものであることには間違いない。Facebook向けゲームのトップランキングは,この1年ほどまったくと言えるほど変動がなく,潜在的な成長性という観点からはゲームメーカーの興味をひく市場ではなくなってしまった。
 アメリカのリサーチ会社Super Data Researchによる2013年3月の調査結果では,Facebook向けソーシャルゲームのアクティブユーザー数が1年数か月ぶりに2億人を割りこんだことも明らかにされており,成功した場合の利益は依然として大きいものの,大きな伸びは見込めなくなった市場なのだ。

 ちなみに,Electronic Artsの発表によると,2012年に同社のデジタルコンテンツビジネスの中で最も成長したのは,「Dead Space」「Mass Effect」など,コアゲーマー向けタイトルのDLC販売だった。また,「The Simpsons: Tapped Out」「Real Racing」シリーズといったモバイル向けゲームも堅調で,今後はこうしたコンテンツの育成にリソースを集中させていく方針を採るのだろう。


フィンランドのSupercellが大躍進


 Electronic Artsの動きからも分かるように,成長の鈍化がいっそう顕著になったFacebook市場に対し,モバイル向けソーシャルゲームの勢いは好調だ。ここでは,その一例として,急成長を続けるフィンランドのメーカー,Supercellを取り上げよう。同社は,iOS向けのストラテジー「Crash of Clans」でヒットを飛ばし,続く農業シミュレーション「Hay Day」もランキング上位を維持。一発屋でないことを,業界内外に示した。

Supercellの設立者であるイルカ・パーナネン氏(左)と,ミッコ・コディソヤ(Mikko Kodisoja)氏(右)。二人とも,Digital Chocolateに6年間在籍していた経験を持つベテランゲーム開発者だ
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 Digital Chocolateでモバイルゲームの開発に従事していたイルカ・パーナネン(Ilkka Paananen)氏を中心に,Supercellが設立されたのが2010年のことで,デビュー作となったのはFacebook向けのゾンビアクション「Gunshine.net」だった。Gunshine.netは結局,2011年11月にサービスを終了したが,同社はターゲットをモバイルゲーム市場に切り替えてClash of Clansを開発。それが大当たりして,同年に約1億ドルの利益を記録した。
 2013年は,第1四半期だけで約1億7900万ドルを売り上げており,Appleの取り分となる30%を差し引いても,邦貨にして約100億円の利益を得ている。

 経済情報誌であるForbesのオンライン版でもSupercellのすさまじい成長ぶりが取り上げられるほどで,記事によると,同社は現在,毎日約240万ドルの利益をあげ,企業価値は7億7000万ドル(約756億円)に達するという。
 2月には3つの投資会社から1億3000万ドルの出資を受けているが,これはビジネスのためではなく,「これまでの3年間,支えてくれた出資者に手早く恩返しするため」(パーナネン氏)に使われるという。

 Supercellの成功の秘訣は「面白いものを作る」というファン目線でゲーム開発を行うことにあり,データマトリックスとにらみ合いながら「金の儲け方」を考えるソーシャルゲームへのアンチテーゼであるという。5〜7人の開発者が,スキルに関係なく意見を交換してゲームを開発していくという同社のスタイルは,Valveに見られる「フラット組織」関連記事)と同質のもので,その結果はゲームの面白さだけでなく,ディテールへのこだわりなどにも反映されている。こうした,ゲーマー寄りの開発姿勢が,欧米のファンの心に訴えたのだろう。

 フィンランドのモバイルゲーム開発会社としては,「Angry Birds」のRovioが最大の成長株であり,2012年には1億9500万ドルの利益を発表した。数字としては素晴らしいものだが,上記のようにSupercellは3か月間で1億7900万ドルの利益を得ており,業界の話題をすっかり奪ってしまった。

分かりやすいキャラクターデザインも魅力の1つといわれる「Clash of Clans」。世界122か国でランキング上位を記録し,2012年のiOS向けゲームジャンルで最も利益を得た作品になった。村を要塞化し,兵士達を訓練しつつ,モンスターの襲来に備えるというディフェンス系のストラテジーゲームだ
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 人気を誇ったFacebook向けゲームが失速し,一方でコアゲーマー向けのDLCが予想以上の収益を上げ,さらに,新興メーカーがモバイルゲーム市場に次々と登場するなど,デジタルコンテンツを取り巻く状況は,これまでにないほどの速度で動いている。EA Playfishタイトルの突然の終了は,日本でもゲームを楽しんでいた人が少なくないだけに無関係というわけではないし,今は絶好調に見えるSupercellにしても,彼らのタイトルを脅かす新作が,まさに明日登場するかもしれない。
 「パズル&ドラゴンズ」のガンホー・オンライン・エンターテイメントや,「神撃のバハムート」のDeNAなど,日本のメーカーもアメリカ市場で注目を集めているだけに,我々ゲームメディアにとって,今後も目が離せない状況が続いていくだろう。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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