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印刷2008/11/28 16:40

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奥谷海人のAccess Accepted / 第197回:疑問符を付けたくなる広報戦略

奥谷海人のAccess Accepted

 Tomb Raiderシリーズでおなじみのイギリスのパブリッシャ,Eidos Interactive。同社はまた,過激な広報戦略が多い会社として,欧米のゲーマーに認知されてもいるのだ。今回は,同社の過激なプロモーションをいくつか提示して,新作ゲームのPRについて考えてみたい。

疑問符を付けたくなる広報戦略
ファンの方向を向かない広報戦略

 Eidos Interactiveで広報戦略というと,まず思い出されるのが,アメリカのレビュワーが「Kane & Lynch: Dead Men」というアクションゲームを批判したことで解雇されたとウワサされた,2007年のGameSpotで起きた“ガーストマン事件”だ。本連載でも取り上げた話題であり,記憶に残っているという読者も多いだろう。

 真相のほどはともかく,この“ガーストマン事件”を筆頭に,Eidos InteractiveのゲームPR戦略に関する話題には実に過激なものが多く,各所での評判も芳しくはないというのが筆者の印象だ。

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ゲーム内容が詳しく明かされていなかったころに作られた「Daikatana」の広告だ。あまりにも挑発的な内容だったために,逆効果だったようだ

 例えば,1997年にFPS「Daikatana」で行った広告展開は,いまだに悪評を伴って語られることが多い。これは当時,非ゲーム系メディアへの露出が増えていた著名クリエイターのJonh Romero(ジョン・ロメロ)氏を起用して,「John Romero's about to make you his bitch」(ジョン・ロメロがお前をメス犬にしてやるってさ)というキャッチコピーだけの広告を掲載したことに端を発するもので,その挑発的な内容が祟ってか,それまでロメロ氏に好感を持っていた人達からも大反発を受けてしまった。

 さらにDaikatanaは,年末発売だった予定が延期され,結局は3年後の2000年春までリリースされずにいた。過激でインパクトが強烈な広告だけが先走りし,ゲームそのものに対しての評価要因が与えられない状況で,マイナスのイメージばかりが広がってしまったといえるだろう。それで終わりならまだ良かったのだが,Daikatanaの発売前後には,「ロメロ氏がヘッドショットを受けて死亡」という,これまた一般的に見ると眉をしかめたくなるような過激な広報戦略で,合成写真がネット上にばら撒かれた。当然というべきか,これはゲームの売り上げにはつながらなかったようだ。

 Daikatanaがらみの戦略以外では,1998年にリリースされたアクションゲーム「Deathtrap Dungeon」で,ボンテージ姿の女性がゲーマー風の男性を鎖でつないだ広告が掲載され,虐待容認をイメージさせるとして社会問題になったり,Kane & Lynch: Dead Menでは,半裸のプレイメイトを前面に押し出した懸賞金付き広告を出して,やはり問題になったりもしている。

 総じて言えるのは,もしもゲームのPRとしてこれらの広報活動を行ったのだとしたら,どれも逆効果にしかなっていないだろうということだ。プレイヤーがゲームに対して下す判断は,基本そのゲームが面白いか面白くないかであって,ゲームにまるで関わらない部分で無理に人目を引く方策を採ったとしても,ゲームの購買には結びつかない。社会的にはむしろ不買に結びつきかねない戦略には,首を傾けざるを得ないだろう。

 

疑惑に揺れるEidos Interactive

 さて,そんなEidos Interactiveの擁する看板ゲームといえば,映画にもなったTomb Raiderシリーズであることに異論を挟む余地はないだろう。そのシリーズ8作目となる「Tomb Raider: Underworld」が11月18日に発売され,ヨーロッパではPLAYSTATION 3用ゲームランキングの週間トップに躍り出た。ヨーロッパでのレビューをインターネットで検索すると,メディアからもそれなりの評価を得ているようだ……。ところがまたしても,と言うべきか,本作のレビュースコアに関して,Eidos Interactiveからなんらかの広報的な圧力があったのではないかという疑惑が話題になっている。

 ことの発端は,GameSpot UKの記者によるtwitterへの書き込みだ。ここには,Barrington HarveyというPR会社が,「もし,Tomb Raider: Underworldのレビューで10点中8点以下のスコアを付けるのなら,記事の掲載は次の月曜(12月1日)以降にしてください」と伝えてきたと記載されているのだ。

 この真相を明らかにしようとしたのが,独立系メディアのVideogame247である。Barrington Harvey社に取材を敢行し,同社の担当者から「発売後の2週間は,Eidos側の要望によってメタスコア」(海外メディアの評価平均点)を調整しようとしているのです」というコメントを聞き出したのだ。

 しかし,その直後にBarrington Harveyは,「我々はトゥームレイダーを愛しており,8点以上のスコアを得ることの利益を理解していますが,それの反対意見があったからと言って問題にするようなことはいたしません」という内容の公式見解を,わざわざ発表したのである。

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アクションアドベンチャーの基本を押さえつつ,グラフィックス面が大幅にパワーアップしたTomb Raider: Underworld。日本では,PLAYSTATION 3版とXbox 360版が1月に発売される予定だ

 Tomb Raider: Underworldの原稿執筆時点でのメタスコアは,PC版が「80」を保っているものの,PLAYSTATION 3版が「78」,Xbox 360版が「77」,Wii版は「68」となっている。GameSpotのほかに,IGNや1UP, GamePro,Xbox Magazine UK,そしてGameSpyといった大手メディアの多くは,「8点以下のスコア」でレビュー記事を掲載している。仮にEidos/Barrington Harveyから,レビュー記事掲載に関する指示が出ていても,各社とも従わなかったと見るべきか,Barrington Harveyの出した公式見解に基づいて「問題にするようなことは」ないから掲載されていると見るべきか,これまた真相は藪の中である。

 Tomb Raider: Underworldはグラフィックス面にかなり力が入っており,アクションアドベンチャーファンにとってはたまらないゲームに仕上がっている。少なくとも,ゲームそのものについて考えれば,発売されたことで心象が悪くなるような要素はどこにもない。噂の真偽は別として,ゲームの出来とは関係のない部分で,このような形でタイトルのイメージに傷が付くようなことは,本来あってはならないことだ。皮肉な言い方かもしれないが,これまでとってきた過激な広報戦略に引きずられた結果,こういう話題が真実味を帯びて持ち上がるのだとすれば,本来の広報とは真逆の意味で着実に成果をあげていると言えるだろう。

 もちろん,インパクトは広報の重要な要素の一つである。とはいえ,ゲームとは関係のない部分で人々の注目を集めても,大きな購買効果にはつながらないであろうし,過激さの方向がゲームのイメージに与える影響は限りなく大きい。なにもEidos Interactiveに限った話ではないのだが,単なる売名行為に終わらない,「ゲームをプレイしてみたいなぁ」と思わせるような,頭をひねった戦略を重ねて,広報戦略でもゲームプレイヤーの満足度を上げていってもらいたいものだ。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。掃除が週末の趣味になり始めたという奥谷氏。「今回はキッチンで次回は子供部屋」といった具合に目標を定め,徹底的に綺麗にしているという。ちなみに奥谷氏が掃除をしている間,奥さんは「ソファに寝そべってテレビを見ているか,ウィンドウショッピングなどに出かけている」そうだ。夫婦円満の秘密は,そんなところにあったんですね。

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