海外ゲーム新作ガイド 2010

　「Just Cause 2」は，政府の転覆などを専門に行うCIA特殊諜報員，Rico Rodriguezが，美しいグラフィックスで描かれた南の島を舞台に暴れ回るという，オープンワールド形式のアクションアドベンチャーだ。
　今回は，前作「Just Cause」にも登場したRicoのボス，Tom Sheldanが盗み出したという機密情報を追って南太平洋の架空の島国「Panau」へ潜入。そこでBaby Panayという独裁者を相手にした戦いを請け負うことになるという。
　前作でも評価の高かったグラフィックスエンジンには，さらに磨きがかかり，美しく緻密になったPanauの情景が魅力的だ。
　パラシュートやグラップル（鉤縄）を活用してのアクションが魅力のシリーズだが，今回はこれらのアクションがより洗練され，用途も広がっている。例えば，前作のグラップルは，走行中の車にかけてパラセーリングの要領で追跡するだけだったが，今回はスパイダーマンのように、グラップルを使って瞬時に高所へ登ったり，敵を攻撃するのに使ったりできる。
　グラップルを仲間のヘリに引っ掛け，右手に持ったマシンガンを追跡中の車に乱射する，というすごいアクションもお手の物である。利用できる車が100種類を軽く超えるというのも，同シリーズらしいフィーチャーだろう。

　マフィアの一員となって組織の中で成り上がっていくアクションゲーム，「Mafia II」が，何度もの発売延期の末，ようやく完成に近付いてきた。
　Empire Bayという，ニューヨークとサンフランシスコを混ぜ合わせたような架空の都市を舞台に，終戦直後の1945年から1955年を時代背景として，主人公Vito Scalettaと仲間達のマフィア的行為が描かれることになる。
　Mafia IIは，2002年に発売された前作「Mafia: The City of Lost Heaven」に比べて，カットシーンやセリフの量が格段に増えており，オープンワールドで自由度の高いゲームでありながら，さらにドラマチックなストーリーや演出が楽しめるという。
　ラッシュアワー時には人や車が増えるなど，昼夜の別や天候の概念はあるものの，これらはミッションに応じて，ある程度固定されるという。これは，前作にあった雨の農場シーンのように，状況にあわせて雰囲気を演出するためだ。
　使用できる車は50種類ほどで，武器としてはColt M1911拳銃からThompson M1928サブマシンガン，さらにはモロトフカクテルといったものが用意されている。また，戦闘にはカバーシステムが採用されており，壁などの背後から銃を撃てるほか，パンチやキックに加えて一部のオブジェクトが武器として使えるなど，格闘シーンもスケールアップされている。

　「Max Payne 3」の開発が発表されたとき，主人公マックスのあまりにも変貌した姿に，多くのゲーマーが驚愕したはずだ。Splinter Cellシリーズのサム・フィッシャーや，メタルギアシリーズのスネークなど，中年男が激しいアクションを見せるゲームは多いが，従来作の面影もとどめていないマックスの姿はインパクト大。誰この人？
　Max Payne 3の開発は，「Bully」などで知られるRockstar Vancouverが担当しており，従来作のデベロッパであったRemedy Entertainmentはいっさい関わっていない。そのため，本作はシリーズの設定を借りた新作と見て構わないだろう。
　今のところ，ゲームの内容に関する情報ほとんどないが，ニューヨーク市警を辞職し，ブラジルに移り住んだマックスは，家族を失った心の傷から鎮痛剤中毒になっているという，これまた驚きの設定になるらしい。
　この鎮痛剤もゲームプレイに何かの効果があるらしいが，詳細については不明。シリーズの特徴であるバレットタイムは残っていて，たとえおちぶれていても，マックスの銃の腕前に衰えはないようだ。本作には「Grand Theft Auto IV」と同じゲームエンジンが使用されており，自動的に時間が流れて昼夜が入れ替わる表現や，破壊可能な建物といったフィーチャーが実現されている。

　1991年の初登場から，20年も続くPrince of Persiaシリーズだが，2008年にはサブタイトルのない「Prince of Persia」がリリースされ，新しいゲームシステムや最新のグラフィックスによる仕切り直しが図られた。
　ところが，2009年末に発表された新作，「Prince of Persia: The Forgotten Sands」は，2003年の「Prince of Persia: The Sands of Time」に始まる三部作の世界観に沿ったものになる。突然の先祖返りというわけだが，これはおそらく，DisneyとUbisoft Entertainmentが制作した映画，「Prince of Persia: The Sands of Time」とタイアップしたゲームになるのだろう。
　Assassin's Creedシリーズの「Anvil」エンジンを利用し，砂漠に広がる広大な都市や城砦を精密に描いている。もちろん，シリーズのトレードマークであるアクロバティックなアクションもパワーアップし，地形や周囲のオブジェクトを利用した戦いが期待できそうだ。時間を巻き戻す特殊能力を得た主人公を，どのような冒険や敵が待ち構えているのだろうか？

　「SpecOps」といえば，Red Storm Entertainment（当時）の「Tom Clancy's Rainbow Six」やNovaLogicの「Delta Force」と共に，ミリタリーシューティングの黎明期を盛り上げていた作品で，1998年の「Spec Ops: Rangers Lead the Way」以来，5年間で拡張パックを含めて8作もが発売された人気シリーズだった。その後しばらく，忘れられた存在となっていたが，このたびようやく新作がリリースされることになったのだ。
　シリーズ最新作となる「Spec Ops: The Line」は，三人称視点のタクティカルシューティングだ。アラビア半島を巨大な砂嵐が襲い，「砂漠の摩天楼」として知られるドバイは砂の中に埋没してしまった。住人の多くはドバイから退去したが，脱出できなかった生存者を救うため，アメリカ陸軍の部隊がドバイに送り込まれる。しかし，その部隊は消息を絶ち，彼らに何が起きたかを調べるためプレイヤーは，四人のメンバーで構成される特殊部隊デルタフォースの隊長となって潜入を試みるのだ。
　舞台となるのは砂漠だが，ドバイの巨大ビル群などで高低差のあるマップになっている。ランダムに砂嵐が巻き起こり，それによって状況がダイナミックに変化していくというところが特徴の一つで、従来シリーズに比べてアクション性が格段に高まっているようだ。

　スニーク系アクションの代名詞的な存在である，Splinter Cellシリーズの最新作が，「Tom Clancy's Splinter Cell Conviction」だ。
　当初の予定から2年以上も開発が遅れてしまったが，その理由は，Convictionが非常に野心的なゲームであるということにある。主人公サム・フィッシャーは，かつて自分が属していた組織「Third Echelon」から命を狙われ，これまで活用してきたハイテク機器が使用できなくなってしまう。そのため，彼は自分の第六感を最大限に利用して孤独なミッションを進め，敵の銃や椅子など，使えるものはなんでも使って戦わなくてはならない。
　こうした思い切った設定の変更によって，ゲームプレイにもさまざまな新要素が取り入れられている。例えば，特定のキャラクターやオブジェクトをマークすれば，そのターゲットが移動してもロックオンし続ける機能や，いったん自分の姿を敵にさらし，敵の視線をその場所に釘付けにしておきながら，別の場所から敵を急襲するというような戦い方も可能だ。
　マルチプレイモードには，二人で協力してストーリーを進めていく「Prologueモード」と呼ばれるものがあり，詳細は今のところ明らかではないが，このほかにもユニークなゲームモードがいくつか開発されているという。