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ビデオ周りやCFXの使い勝手に手が入った「ATI Catalyst 10.7」公開
対応製品は,デスクトップPC向けがATI Radeon HD 2000〜5000シリーズと「AMD 740G」を除くAMD 7世代のチップセット,「Catalyst Mobility」とも呼ばれるノートPC向けがATI Mobility Radeon HD 2000〜5000シリーズのGPUと「ATI PowerXpress」対応のチップセットになっている。「Display Driver」のバージョンは8.753で,「ATI Catalyst 10.6」の同8.741からは0.012引き上げられた計算だ。
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(※ノートPC向けドライバに関しては,本稿の最後に「Catalyst Mobility 10.7の制限事項」としてまとめたとおり,いくつか注意点がある)
さて,2010年7月版ATI Catalystでは,ビデオ再生周りと,ATI CrossFireX(以下,CFX)の拡張などが新要素として追加されている。英文リリースノートの和訳は本稿の最後にまとめたとおりだが,ATI Radeon HD 5000シリーズでプルダウン検出アルゴリズムが(詳細不明ながら)拡張された点や,多機能なメディアプレイヤーとして知られる「VLC media player」のバージョン1.1.1と組み合わせたときにGPUアクセラレーションを利用できるようになった点,CFX環境でディスプレイの回転をサポートした点が,主なポイントといったところだ。
一方,競合が最適化に取りかかったことで注目を集めていた「FINAL FANTASY XIV」に関する言及は,今月の時点では何もなし。本タイトルのプロデューサーである田中弘道氏がTwitterで「担当よりAMD/ATiさんとの連絡経路確保とのこと。サポート協力もしていただけるとのことで、これで一安心。」(※原文ママ)とつぶやいていたのは日本時間7月26日のことだったから,AMD側の最適化はこれから始まるのではないだろうか。
追加された新機能をどう判断するかで評価は分かれそうであるものの,全体としては堅実なアップデートが実現されたとまとめられる“2010年7月号”。ドライバのアップデート作業が自己責任となる点には注意が必要だが,基本的には,対象となるユーザーに広く勧められる最新版といっていいだろう。
●Catalyst 10.7における新要素
・ATI EyefinityにおけるHydraVisionの拡張
- 複数のディスプレイにわたってウインドウを拡大するとき,ユーザーの指定したベゼルコレクション設定を反映するようになった
- バーの視認性を確保しようとウインドウを移動させたとき,ウインドウの位置を自動的に調整するようになった
- ダイアログボックスがウインドウをまたいで,ベゼルの裏に隠れてしまったりせず,ユーザーの「prefered」なディスプレイに表示されるようになった(※「prefered」の意味は不明。プライマリディスプレイか,ユーザーの指定したディスプレイかのどちらかを指すと思われる。原文は「Proper dialog box placement - dialogs do not cross displays, are not hidden behind bezels, and can be designated to be shown on the users “preferred” display Enhanced Pull-down detection」
- ATI Radeon HD 5000シリーズにおいてプルダウン検出アルゴリズムを拡張。特定のビデオコンテンツでより高い描画品質を得られるようになった
- シングルディスプレイもしくはATI Eyefinity構成において,ディスプレイを90度回転させた状態でもCFXによる3Dパフォーマンス向上が得られるようになった
- VLC media player 1.1.1でH.264形式のビデオコンテンツを再生するに当たって,ATI Radeon HD 5000/4000シリーズで,システム負荷の低減を行えるようになった
●Catalyst 10.7におけるパフォーマンス向上
- アンチエイリアシングと異方性フィルタリングを適用した「Borderlands」で,ATI Radeon HD 5800/5700シリーズのシングルカードもしくはCFX構成時に3〜5%。ATI Radeon HD 5970のシングルカードもしくはCFX構成時に3〜8%。ATI Radeon HD 5600/5500シリーズのシングルカード構成で2〜6%。ATI Radeon HD 4800シリーズのシングルカードもしくはCFX構成時に2〜10%
●Catalyst 10.7で解決した問題(Windows 7/Vista/XP)
- 特定の「CV resolutions」に向けてATI Catalyst Control Center(以下,CCC)のベーシックモードから「Windows desktop」オプションを選択したとき,「Current Setting」インジケータが正しく表示されない問題(「CV resolutions」が何を指すのか不明のため,意味を取れない。「“Current Setting” indicator will now appear when “Windows desktop” option is selected in “Catalyst Control Center - Basic” for specific CV resolutions」)
●Catalyst 10.7で解決した問題(Windows 7)
- 特定のグラフィックスカードを搭載した環境で,ドライバのインストール後に,「Desktop Window Manager has stopped working」というエラーメッセージが表示される問題
- CFX構成時に,ATI StreamのCAL(Compute Abstraction layer)テストが例外エラーで終了する問題
- スクリーンスペース・アンビエントオクルージョンを有効化しつつ“The Chronicles of Riddick 2”を実行すると,ゲーム中に懐中電灯を使ったとき,画面に何も表示されなくなる問題(※「The Chronicles of Riddick 2」が何を差すのかは不明。おそらく「The Chronicles of Riddick: Assault on Dark Athena」のことだと思われるが……。原文は「Screen no longer turns blank when flashlight is turned on in “The Chronicles of Riddick 2” with Screen Space Ambient Occlusion enabled」)
- 「Heaven Benchmark」(Version 2.1)をOpenGLモードで実行し,テッセレーションを有効化すると,システムが落ちる問題
- CCCから「Video」タブにある「Basic Quality」を調整しようとすると,メディアプレイヤーが唐突に終了する問題(※原文にない言葉をいくつか補完したが,こういうことだと思われる。原文は「Player no longer exits abruptly while changing basic quality settings in Catalyst Control Center」)
- Webブラウザ上でYouTubeのコンテンツを再生しつつ一時停止し,この状態からシステムのサスペンドとリジュームを行うと,Webブラウザが落ちる問題
●Catalyst 10.7で解決した問題(Windows Vista)
- CFX構成時に,ATI StreamのCALテストが例外エラーで終了する問題
●Catalyst 10.7で解決した問題(Windows XP)
- 「Age of Empires: The Rise of Rome」拡張パックで,ゲーム内の「diplomacy」ボタンをクリックすると,エラーメッセージが表示されてゲームが落ちる問題
- 「Need for Speed: SHIFT」実行時に,[Alt]+[Tab]キーを使ってデスクトップとの間でタスク繰り替えを行うと,画面がちらつく問題
●Catalyst Mobility 10.7の制限事項
- 本バージョンのリリース後に発表されたノートPCは非対応
- Intel製チップセットを搭載し,Switchable Graphicsを採用したノートPCは非対応
- 東芝製ノートPC,ソニー製「VAIO」シリーズのノートPC,パナソニック製ノートPCは非対応(※従来同様,ドライバはPCメーカーから提供される)
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AMD Software
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