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ネクソンが2018年度通期の決算説明会を実施。売上収益,営業利益,当期利益のすべてが前期比で成長
マホニー氏は最初に,ネクソンの持株会社・NXCが自社の株式売却を検討中で,それに伴い同社の保有するネクソン株式の売却も検討しているという一部の報道について説明した。それによると,NXCが株式売却を検討しているのは事実かもしれないが,現時点で正式に決定したものはないという。加えてマホニー氏は,NXCの検討事項についてネクソンがコメントできる立場にはないとした。
NXCはネクソンの創業者が設立した会社だが,ネクソンとは完全に独立した意思決定が行われているとのことだ。
マホニー氏は,NXCの検討結果がどのようなものになろうとも,自身を含むネクソンの経営陣は素晴らしいオンラインゲームを作り,世界中のユーザーに届けることで,ネクソンを世界最大・最高のゲーム会社へと成長させていくことに注力していくと述べた。
続いてマホニー氏は,ネクソンの2018年度通期業績が過去最高を記録したことを報告。売上収益,営業利益,当期利益のすべてが前期比で成長し,PC・モバイル事業ともに過去最高の通期売上高になったという。
マホニー氏は,2018年度は1年間を通じて素晴らしかったとし,PC事業では韓国・中国における主要IPが好調だったことを挙げた。
一方モバイル事業では,2017年11月に子会社化したPixelberry Studiosとの連結が進み,主要タイトルの「Choices: Stories You Play」(iOS/Android)が,北米モバイル事業の成長に大きく寄与したとのこと。
また2018年半ばに配信を開始した「メイプルストーリーM」(iOS/Android)や「Darkness Rises」(iOS/Android)も好調で,モバイル事業の成長に寄与した。
IP別に見ると,中国では「アラド戦記」のサービスが10周年を迎え,現地通貨ベースでは3年連続で前期比2桁成長を遂げている。
また韓国で15周年を迎えた「メイプルストーリー」は,夏に実施されたアップデートの成功により,通期の売上高は前期比67%成長した。
そして,上記のとおり「メイプルストーリーM」も韓国だけで前期比81%成長。さらに2018年下半期に世界140か国以上に向けたグローバル版を配信した結果,全世界合計の売上高は前期比6倍超成長したという。
加えて2018年度は,韓国にて「EA SPORTS FIFA Online 3」から「EA SPORTS FIFA Online 4」へのサービス移行を行った。このサービス移行はネクソンにとって過去最大の試みだったが,Electronic Artsとの連携によりスムーズに進行し,PC版,モバイル版ともに新サービスの立ち上がりは順調とのことだ。
また2018年度には,かつてDICEやEA Studioのトップを務めたパトリック・ソダーランド氏の新スタジオ・Embark Studiosと戦略的パートナーシップを締結。ソダーランド氏はネクソンの取締役に就任予定で,マホニー氏は「この取り組みは,欧米向けゲームの開発に有益となる」と語っていた。
マホニー氏は,ネクソンの既存事業が極めて安定していることを改めてアピールし,そこからさらに多くのビジネスチャンスを作り出していくと意気込みを見せていた。
プレゼンでは,今後配信予定のタイトルの一部も紹介された。
「マビノギモバイル」(iOS/Android)は,2004年に韓国でサービスを開始したネクソンの主要IP「マビノギ」のモバイル版である。マホニー氏は,現在のモバイル端末がハイスペック化していることを指摘し,「マビノギ」のようなMMORPGも楽しめるようになったと説明した。
「2Dアラド戦記モバイル」は,配信時期こそ未定だが,開発は順調に進んでいるとのこと。先日,Tencentの協力により中国でクローズドβテストを行った結果,ネクソンとTencentの求める水準に近づいてきた感触が得られたという。このモバイル版では「アラド戦記」の特徴を継承しつつ,新たなシナリオやモバイル端末向けのコンテンツを取り入れ,独自のアクション性の実現を目指す。
同じく「アラド戦記」のIPを用いた「Project BBQ」は,「Unreal Engine 4」を採用したPC向け3DアクションRPGだ。配信時期は未定だが,社内テストの評判は良好とのことで,マホニー氏は「アラド戦記のユーザー層の裾野を広げるのに一役買うだろう」と期待を語った。
ネクソンでは,現在自社IPを使ったゲーム開発に注力しているとのこと。マホニー氏は,人気IPにアップデートを加えることや,進化したほかのプラットフォームにサービスを拡大することを,大きなビジネスチャンスと捉えていると説明した。
またネクソンは,大きく変化するテクノロジーの活用にも着目しており,とくにモバイル端末とAIの2分野に注力しているという。
マホニー氏は,モバイル端末について,MMORPGなどを通じて何千人ものユーザーが同時に深い体験を楽しめるほど進化したと説明。加えてGoogle,Microsoft,Amazonといった企業が,全デバイス・プラットフォーム向けのゲームストリーミングサービスを提供するための巨額投資計画を発表したことを挙げ,「モバイルとPCのゲーム開発の境目がなくなりつつある」と表現し,「ネクソンにとって,市場規模が何倍にも拡大することを意味している」と語った。
もう一方のAIは,マホニー氏いわく「オンラインゲームに革命をもたらす」とのこと。すなわちAIの投入により,オンラインゲーム運営の高度化・効率化が図られ,ひいてはユーザーの継続率向上が見込めるという。ネクソンではすでに2年間にわたってAI分野に積極的な投資を行っているが,この点に関してかなりの効果が現れているという。
またEmbark Studiosのプロシージャル技術を活用することにより,開発コストの大幅削減も見込める。
さらに自己学習型のAIエージェントを活用すれば,プレイヤーと見分けの付かないBotをゲーム内に導入し,プレイのクオリティを高めることも可能になる。
マホニー氏は,現在起きているテクノロジーの変化は,1990年代にインターネットの台頭がもたらした変化以降,最大規模のものであるとし,「イノベーションを起こしたい企業にとっては最大のビジネスチャンス」と語った。最後にマホニー氏は,ネクソンでは息が長く安定した既存IPを収益源のベースとしつつ,イノベーションとなる新規IP開発にもチャレンジしていくとまとめていた。
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