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異端審判官となって事件を調べ,裁きを下すミステリーホラーADV「審判官シェパード」を紹介。重厚な世界観と音楽の一体感が光る一作[BIC2026]
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印刷2026/08/17 21:57

プレイレポート

異端審判官となって事件を調べ,裁きを下すミステリーホラーADV「審判官シェパード」を紹介。重厚な世界観と音楽の一体感が光る一作[BIC2026]

 韓国のインディーゲームイベント「Busan Indie Connect Festival 2026」(BIC 2026)に出展されていた,Narrowdeepの新作PCゲーム「審判官シェパード」を紹介しよう。

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 本作は宗教国家「ヴクリウム」を舞台にしたビジュアルノベル型のミステリーADVだ。プレイヤーは異端審判官のシェパードとなり,辺境の村で持ち上がった異端事件を調査していく。

 会場でプレイしたデモはSteamで公開中のデモ版からワンシーンを切り出したもので,殴られて気を失ったシェパードが,見知らぬ部屋で目を覚ますところから始まる。目の前には村のカフェ「不落の太陽」を営む大男のクルーズが倒れており,呼びかけても反応はない。

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 調査はポイント&クリックで進む。気になる場所をクリックして調べると,物証や情報が「アイテム」「手がかり」に蓄積されていく。
 クルーズのそばには切断された結束バンドが落ちていて,手首には縛られたような痕も見つかる。まずは,この部屋で何が起きたのかを探るのが先決だろう。

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 しかし,調べるほどに疑問は増えていく。大型のボルトカッターは誰が使ったのか。なぜ監禁しておきながら,服も所持品もそのままなのか。序盤の感触は脱出ゲームに近い。

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 部屋の出口はテンキー式の扉に閉ざされている。シェパード曰く「いつの時代の技術だ?」という骨董品めいた代物だが,肝心の番号が分からない。

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 壁には太陽と月を描いた2枚の絵が掛かっていて,額縁には番号が書き込まれている。絵を持ち上げて裏の壁まで確認してみたが,何も見つからない。

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 集めた情報は事件日誌や人物手帳に整理され,いつでも読み返せる。資料の量は膨大だ。この世界の宗教「クリウム」の聖典や教義,村の新聞記事まで収録されていて,設定の厚みを感じさせる。

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 しかし,ひとしきり辺りを調べたところで手詰まりとなってしまった。手がかりはそろっているのに,推理が形にならないのだ。そこでシェパードが口にするのが,「ここからは,審判官のやり方で捜査を始める」という一言だ。

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 「聖なる香りを。受け入れん」と低く唱えると,画面は一変する。「シン・パウダー」の力で嗅覚が異常に研ぎ澄まされ,見えないはずの匂いの痕跡が極彩色の幻視となって浮かび上がる。
 シン・パウダーには色ごとに複数の種類があり,今回使う「マゼンタ」は1日1回しか使えない。鋭くなった嗅覚と引き換えに,視覚はぼやけていく。

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 クルーズの体の周囲やテンキーの匂いを嗅いでいくと,この部屋に出入りした第三者の痕跡が見えてくる。普通の捜査では届かなかった手がかりに,超常の嗅覚で一気に迫っていく。この覚醒の瞬間が,デモで最も盛り上がる場面だった。

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 もっとも,それだけですぐ脱出できるわけではない。パウダーの効果が切れたあと,幻視で得た手がかりと通常の探索で集めた情報を総合して,ようやく扉の番号に辿り着けた。さっそく番号を入力すると,画面を文字が埋め尽くす派手な演出とともに扉が開き……部屋を出たところで約20分の試遊は幕となった。

画面いっぱいに「クリウムを信じるな」の文字があふれる
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 試遊で印象に残ったのは,設定に裏打ちされた重厚な世界観と,「クリウムとは何なのか」と謎を残す導入,そして場面と音楽の一体感だ。推理に行き詰まった頃に主人公が覚醒する構成も含めて,短いながら本作の魅力が凝縮されていた。
 Steamでは日本語にも対応したデモ版が公開されているので,気になった人は実際にプレイしてみてほしい。

 なお,会場のブースには18歳以上のゾーニングが敷かれていた。開発者によれば,デモの範囲に過激な描写はないものの,本編にゴア表現があるためだという。ちなみに,本作は5月のBitSummit PUNCHにも出展されていたが(関連記事),そちらではとくにゾーニングなどはなく展示が行われていた。



物語への没入感を大事にしたい――Narrowdeep ユン・ヒユン氏ミニインタビュー


 会場でNarrowdeepのディレクター兼サウンドデザイナーであるユン・ヒユン氏に話を聞けたので,最後にその模様を紹介して,本稿の締めとしたい。

Narrowdeepディレクター兼サウンドデザイナーのユン・ヒユン氏
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4Gamer:
 お時間をいただきありがとうございます。まず「審判官シェパード」がどんなゲームなのか,改めてご説明いただけますか。

ユン・ヒユン氏(以下,ユン氏):
 本作は異端事件を捜査し,異端審判官が自ら審判する過程を描いたミステリーホラー推理ゲームです。一般的な犯罪推理劇から,もう一段階進んだ形を目指したタイトルでもあります。

4Gamer:
 なぜ異端審判官を主人公にしようと思ったのでしょうか。

ユン氏:
 私たちが強く追求していたのは,コズミックホラー,ラヴクラフト的な恐怖要素を盛り込むことでした。それを最も積極的に表現できる題材として架空の宗教を作り,その宗教を直接推理していく過程を描く内容にすればいいのではないかと考えたんです。

4Gamer:
 Narrowdeepは,どんなチームなんですか?

ユン氏:
 2人のチームで,今回が最初のタイトルとなります。私たちは開発者出身ではなく,私はもともと作曲家で,もう1人はウェブデザイナー兼アート担当でした。ですからコーディングができない状態から,このゲームを作るために勉強しました。ですから開発には2年がかかりました。

4Gamer:
 作曲家だったのに,どうしてゲームを作ろうと思ったのですか。

ユン氏:
 もともとゲーム好きで,ゲーム関連の音楽を仕事として受注することも多かったんです。そうしているうちにゲームへの関心がさらに高まり,2人でゲームのファンアニメーションをYouTubeに投稿するようになりました。その後,ゲーム制作を始めたという経緯です。

4Gamer:
 影響を受けた作品,あるいはとくにお好きなタイトルというと,何になるでしょうか。

ユン氏:
 「ダンガンロンパ」「ディスコ エリジウム」,それからラヴクラフト系のゲームです。

4Gamer:
 本作でとくにこだわった部分,一番注目してほしい部分はどこですか。

ユン氏:
 やはり,主人公が自ら事件の裁きを下すところですね。推理による結論は1つですが,それを有罪とするか無罪とするかは,主人公である審判官次第です。事件の全体的な背景を,プレイヤーがどう見るかが問われるわけです。

4Gamer:
 単に読み進めるだけでなく,ミニゲームのような要素があるのでしょうか。

ユン氏:
 パズルや脱出ゲームのような要素もありますが,メインとなるのはビジュアルノベル形式のストーリーテリングを通じて,推理することですね。

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4Gamer:
 本作はマルチエンディングとのことですが,物語は序盤から分岐するのでしょうか。それとも最後の最後で分かれる形ですか。

ユン氏:
 先ほどお話ししたように,審判で有罪にするか無罪にするかで分岐が発生します。さらに最終章では,それまでの行動によって大きな分岐が発生します。大きな分岐は3つ用意されていて,キャラクター別のものも存在する形です。

4Gamer:
 音楽面でこだわったポイントはありますか。

ユン氏:
 一番大事なのは雰囲気作りで,それを担うのが音楽と効果音だと考えています。なので物語に没入してもらうための音楽をたくさん作りました。私はシナリオも担当しているので,音楽はシナリオを書きながら一緒に作っています。

4Gamer:
 依頼を受けてゲームの音楽を作るのと,自分でシナリオも音楽も手掛けるのとでは,やはり違うものでしょうか。

ユン氏:
 自分でシナリオも音楽も手掛けるのは,まるで監督になったみたいですね。

4Gamer:
 現在の開発状況とリリース時期を教えてください。

ユン氏:
 進捗は50%で,リリースは2027年上半期の予定です。日本語吹替と中国語版を加えた体験版のアップデートを,今年11月にSteamに出せるよう準備しているところです。

4Gamer:
 完成したら,プレイ時間はどれくらいになりそうですか。

ユン氏:
 10〜12時間で,マルチエンディングなので周回プレイも可能です。

4Gamer:
 これまでも多くのイベントに出展されていますが,来場者の反応はいかがでしたか。

ユン氏:
 ネガティブな反応はほとんどなくて,とても嬉しいです。これは私たちがうまくやったのではなく,プレイヤーの皆さんが物語に没入してくれたからこそだと思っているので,これからも没入感を高めるための工夫を続けていくつもりです。

4Gamer:
 最後に,日本のプレイヤーへのメッセージをお願いします。

ユン氏:
 私たちが最も重要だと考えているのは,ストーリーへの納得感です。これが薄ければゲームに没入できませんから,そうならない作りを一番に心掛けています。ぜひ一度プレイして,本作の没入感を体験してみてください。

4Gamer:
 2027年上半期の発売を楽しみにしています。ありがとうございました。
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