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印刷2007/09/26 11:00

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[ゲーム開発者セミナー]サービスとしてのオンラインゲーム,Lineageはなぜ成功したのか?

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 9月24日,CEDECに先立って行われているCEDECコ・フェスタゲーム開発者セミナーで「効率的なオンラインゲームサービスのための開発時における考慮事項:リネージュ,リネージュIIのゲームを中心に考える」と題した講演が行われた。Jae Sung Lee氏は,NCSoftでPR&コミュニケーションコーポレート・リレーションズ・ディレクターを務める人物だ。
 
 壇上で,Lee氏は前日まで行われていた東京ゲームショウの内容に触れ,年々出展内容がハードウェアからソフトウェア,ソフトウェアからサービスに移行してきていることを指摘した。今後のゲーム業界で重要なのはサービスであり,オンラインゲームサービスを充実させるためにはどうすればよいかを解説した。

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 氏は,オンラインゲームの特徴として,まず「利用者自らがストーリーを作り,エンディングがない」ことを挙げている。
 NCsoftの「リネージュ」は,リリースされてから9年目を迎える長寿タイトルである。いまだ月20億円の売り上げを誇っており,あと何年サービスされるのかが話題になるほど人気の作品である。シリーズとして1と2の両方がサービスされているが,両者とも同じくらいのプレイヤー数を抱えており,続編が出たからといって前のものが終わるわけではないという。これは,ある意味終わりのないゲームが実現されていることを示しているという。

会場で上映されたリネージュIIのプロモムービー。結婚式会場に現れた悪役に花嫁を殺され,仲間と共に復讐に旅立つといったストーリー。リネージュIIのムービーでは同様なモチーフが多用されている
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 第2の特徴として,ある意味当然のことではあるが,ユーザー間で直接的なコミュニケーションが可能で,オンライン/オフラインの境界がなくなり,実際の社会関係にまで発展可能なことを挙げている。
 リネージュIIの同時接続者数は20万人に及び,ゲーム内のみならず人間関係が広がっている。今年5月には,ゲーム内で知り合った芸能人がリアルで結婚するという出来事が話題になったという。また,党員の死に際してはゲーム内で告別式が行われ,韓国の慣習にならって3日間の喪に服したという例も紹介された。
 オンラインのコミュニティがオフラインミーティングを開くことも盛んだという。これだけならよくある話なのだが,そういったオフラインイベントにGM(ギルドマスターではなくゲームマスター)が積極的に参加しており,ユーザーと直接顔を合わせることでゲームに対する率直な意見を集めているのだそうだ。ユーザーとのコミュニケーションを重視すること,そしてそれをゲームに反映していくこと,それがリネージュシリーズの人気を支えている要素でもあるという。

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 読者のみなさんもご存じのように,オンラインゲームの開発過程にはクローズドβテストとオープンβテストというものがあり,これがオンラインゲームを特徴づけるものともなっている。
 クローズドβテストは,作品制作の途中段階からプレイヤーに公開していくというものだ。パッケージゲームでは,コードの流出などの危惧からなかなかこういうことはできないが,オンラインゲームはクライアントだけでは動かないので,特定サーバーを開放することで気軽に多人数でのテストが可能になる。
 オープンβテストは,ある程度の完成度だがバグがあるかもしれない段階でのオープンなテストで,負荷テストとプロモーションを兼ねているものがほとんどだろう。
 これらテスト期間は,プレイヤーとのコミュニケーションがとくに大事な期間だという。
 会場からの質問で,オープンβテストから正式サービスまでの定着率はどれくらいとみなせばよいのかいうものがあったのだが,オープンβテスト時には,プレイヤー数やプレイ時間の推移を観察することで,正式サービス時の動向も予測できるという。また,内容がよければ口コミで広まるので,正式サービスのほうがむしろユーザーは増えるという回答であった。リネージュIIの場合では,オープンβテスト時から3,4倍に増えているというが,まあこれは特異な例で,あまり参考にはならないデータかもしれない。
 さて,クローズドβテストとオープンβテスト,そして正式サービスまでの期間は短ければ短いほうがよいという。これは,開発当初の目標とプレイヤーの求めるもののブレが少なかったということを意味しているからだ。ただ,これはあくまでもプレイヤーの求める形にしてからサービスするのが前提で,単に期間を短くすればよいというものではない点には注意が必要だろう。
 

オンラインゲームからオンラインゲームサービスへ


 氏の講演中に何度も強調されたのは「オンラインゲーム」ではなく,「オンラインゲームサービス」であること,つまり提供しているのはゲームではなく,サービスであるという認識だ。
 もちろん,人によってそれぞれ求めるものは違うので,フォーカスをどこに置くのかが重要になる。ユーザーの意見を参考に,開発者が適切に決定する必要がある。経営学では,顧客のニーズは最大限に取り入れるのが鉄則であるという。多くのニーズを盛り込んだゲームは,それだけ成功する確率も上がってくる。これは当然のことであろう。そのようなゲーム,氏は「Well Made」という言葉を使っていたが,Well Made Gameを作ることが重要なのだ。

 Lee氏は,よりよいオンラインゲームサービスのために考慮しなければならない事項を3点挙げていた。

 ・ゲームの運営に必要なゲームモニターおよび運営ツールの開発
 ・コンテンツの消費スピードの予測および適切なタイミングでのコンテンツの追加計画
 ・ユーザー,GM,開発者間の活発なコミュニケーション


 まず,オンラインゲームは毎日プレイされ,毎日意見が出てくる。それを効率よく拾い上げるためには,さまざまな管理システムが必要になってくる。モニタツール,クレーム処理,不具合処理,マニュアルなど幅広く必要なシステムが存在する。GMはユーザーからのクレームに迅速に対応する必要があるので,これらのツールは不可欠である。

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 最初に示されたのは,ゲーム内の問題はゲーム内で解決されなければいけないという原則だ。過去に起きた問題を把握することは重要で,問題を適切にデータベース化するツールが必要になる。話の途中で,WoWなどの例を挙げ海外提携でのパートナー選びでは運営のノウハウを持っているかどうかが非常に重要視されていると語っていた。ユーザーの立場でニーズを反映することができれば,成功率は著しく上昇する。ユーザーの好みはさまざまで,なんにしても10項目のうち,9項目までは気に入っているのだが,1項目だけ気に入らないなどということは,ままあることだ。そんな場合の1項目を改善できる可能性があるのが,オンラインゲームサービスというものなのだそうだ。

リネージュII用の管理ツールの様子
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 さて,ゲームにとってはクレームが出ないのが最善であるのだが,なかなかそういうわけにはいかない。次善の策は,クレームが発生したらできるだけ速やかに対応することである。
 パッケージゲームは,かなり完成度の高い状態まで作り込んでリリースされるものだが,オンラインゲームは,ある程度のバグなどを容認して,それよりもタイミングを重視してリリースされるものであるという。リリース後でもパッチによりアップデートできるという強みがあるからだ。完全にバグをつぶしていると,アップデートのリリース間隔がどうしても延びてしまい,時機を逸してしまいかねない。それよりも,バグの発生に対応できるだけのサポートシステムを備えておいて,早めにリリースするのがオンラインゲームの特徴となっているという。

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 次に強調されたのが,コンテンツの追加タイミングの重要さである。新しいコンテンツがどれくらいの速度で消費されるかを的確に予想し,次のコンテンツを用意しなければならない。Lee氏は,ゲーム自体のデキがいくらよくても,これを誤るとゲームは簡単に失敗すると語るくらい重要な要素とみなしている。ユーザーが望むタイミングでユーザーが望むものを提供することで,はじめてユーザーを満足させることができる。ユーザーを満足させなければ,オンラインゲームサービスとしては失格である。

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 最後に,結論的なものとして,ユーザー,GM,開発者のコミュニケーションがなにより重要との考えを示した。すべては三者のフィードバックがいかに早く行われるかにかかっている。
 ここで「GM」が大きく取り上げられている点に注目したい。日本ではクレーム窓口とかイベント要員,場合によってはスタック解除要員としてしか機能していない場合も多いのだが,ユーザーと開発者の間に立つ存在として重要な位置を占めている。開発者にとってゲーム内の動向を細かく知ることは重要なのだが,四六時中ゲームを監視しているわけにもいかない。また,個別にユーザーと対話していてもキリがない。GMは両者を取り結ぶ立場である。Lee氏は,GMと企画者の頻繁なコミュニケーションを勧めている。

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 実は,この講演のいちばん最初にAionの開発者Blogが示されていた。Aionは,来年半ばにリリース予定という開発段階のゲームだが,その開発過程のニュースが随時ユーザーに開示されている。ここでユーザーの反応からコミュニケーションが発生し,ゲームの開発にフィードバックされていく。NCsoftでは,ユーザーとのコミュニケーションは,作品のリリース以前から行われているのだ。
 ユーザーが望むものと開発者が作りたいものが一致したとき,そのゲームは成功を収めるのだとLee氏は語る。そのためには,ユーザーの立場に立ってサービスについて考えることが最も重要だと締めくくった。

 全体的に見ると,リネージュシリーズの強さの秘密がよく分かる講演ではあったのだが,NCsoftといえどLineage以外のゲームがいま一つぱっとしないのも確かで,必ずしも成功を約束するものではなさそうなのが悩ましいところだ。
 会場では,Lineage IIIの開発中止に関する質問も受けていたが,Lineage IIIでは開発者とプレイヤーのコミュニケーションに問題はなかったのだが,開発者間でのコミュニケーションに問題があったのだという。オンラインゲーム開発では先進国となった韓国だが,ゲーム開発プロセスにおいてはまだまだ経験が足りないとのことだった。
 ゲームの大規模化はどんどん進み,開発期間もそれに準じてどんどん長くなっている。Aionも,3年以上の開発が行われているという。それぞれのチームが独立して開発していると,社内でのコミュニケーション不足が原因で問題が起こることもあったらしいが,現在では,作品に関しては「委員会」の審議を通過するかどうかを目安にすることで合意しているという。まだ,そのやり方が定着していないのが問題ではあるが,Tabula Rasaの開発期間が2倍になったのも,その審議に通らなかったためという。
 ちなみに,Lineage IIIについても,来年には新しいチームで開発が再開されるそうだ。
 
 現在NCsoftは,韓国とアメリカに開発拠点を構えている。アメリカで開発したものはまず欧米でサービスされ,韓国で開発されたものは韓国からサービスされる。NCsoftでは,片方の地域で作られたものが,他方の地域ではなかなか受け入れられないという問題を抱えているという。アメリカで開発された「ギルド ウォーズ」など日韓ではぱっとしない作品となってしまっているのだが,開発者はそれでよしとしていない。来年投入される「ギルド ウォーズ2」では,日本や韓国でも受けるものをということでチャレンジが行われているという。
 NCsoftではアジアとアメリカの違いとは何か? など,検討が行われているという。これから登場するAion,ギルド ウォーズ2,Tabula Rasaなどは試行錯誤の末に生まれてきたものであり,それぞれ別の地域で受け入れられるかが注目されている。ちなみに,Tabula Rasaは日本では成功しそうだというレポートが上がってきているそうだ。NCsoftにとってのアジアと欧米のギャップは小さくなっているとのことで,新作の展開に期待したいところだ。
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