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年度末決算で日本ゲーム界の実態を探る,2010年度ゲーム業界29社の決算総まとめ
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印刷2011/05/26 15:22

業界動向

年度末決算で日本ゲーム界の実態を探る,2010年度ゲーム業界29社の決算総まとめ

 2010年度の各社決算資料がようやく出揃った。
 年末商戦期での決算書類を集めた前回の掲載からあまり状況は変わっていないのだが,今回は,米国基準会計のソニーとMicrosoftの2社とソーシャルゲーム系の企業も拾ってみたので,より多角的に業界の動向を捉えることができるだろう。また,コナミと連結になったハドソン,決算関係の書類からゲームに関する言及がなくなったことからサン電子を,記事から除外している。

 ゲーム業界各社の状況と現状認識は,決算短信にもよく表れている。全体に,国内の不景気への懸念,ソーシャルゲームやスマートフォンなど,新しいプラットフォームへの対応などを課題としているところが多い。大手については海外展開も大きな問題だ。
 もともとゲーム産業は,タイトルの当たり外れで収支が大きく変わる不安定な経営構造を基盤にしているといえるのだが,安定して利益率の高いソーシャルゲームは注目に値するところは多い。とはいえ,ソーシャルゲームなどでは売り上げ単価自体は低い。中規模程度の会社にとってソーシャルゲームはよい安定収入源となっているところもあるのだが,大企業が主幹収入源とするには相当大規模な展開が必要となるだろう。

 さて,毎回のお約束だが,この記事を読む際の注意点を挙げておこう。今回掲載したデータは各社の決算資料を編集部が独自にまとめたもので,日本の一般的な会計年度を基準として体裁を揃えたものだ。各会社の会計基準時点が違う場合もあるが,4〜6月を第1四半期,7〜9月を第2四半期,10〜12月を第3四半期,1〜3月を第4四半期として,それぞれQ1〜Q4の記号で記している。グラフの縦軸の単位は一部の例外を除き百万円だ。

 こういうものを見慣れていない人のためにさらに補足しておこう。
 前述のように,ゲーム業界の収支は短期的には安定しないものなので,グラフが凸凹していてもトータルで辻褄があっていれば問題はない。また,数字上で多少赤字が続いても,キャッシュフローが回っていれば会社はそう簡単につぶれたりはしない。会社同士の合併や部門切り離しなどでは大きな金額が動く場合があるが,それで利益が減ったとしても一概にデメリットであるとは限らない。数字上は赤字でも,実質的に経営状況にあまり関連しない会計上の必要操作による場合などもある。……といったことを踏まえて,各社のより詳しい状況については,各社投資情報ページにある決算資料などを参考にされたい。


コンシューマゲーム業界各社の動向


●ソニー
 今回から加えたソニー。ソニー全社の連結会計となると7兆円規模のものとなり,あまり参考にならない気もするので,部門ごとのグラフも作ってみた。なお,ゲーム関係はネットワークプロダクツ部門に含まれている(PCのVAIOも)。部門での集計では税抜き純利益などは出てこないので,利益は営業利益ベースの数字になっているのでご注意を。
 全社部分で第4四半期の利益落ち込みが目立つが,これは,日本での納税基準では3年連続損失を記録しており,これがアメリカの会計基準ではマイナス要素となるので,それに対応する評価性引当金を計上したもの。数字上の操作だけで,実際のお金は動いてないもののようだ。部門ごとでは,ハードウェアコストが大幅改善されたことで前年のような赤字がなくなり,安定した動きに。
 なお,PSNなどでの大規模な個人情報流出に対する2011年度の費用は140億円と試算されているという。参考までに過去の事例ではあるが,Yahoo! BBにおける情報流出の際には,事件による「精神的苦痛」に対して一人あたり10万円の支払いを求めていた原告団に対し,一人あたり6000円の支払いを命ずる判決が下されている。こう考えると,1億件を超える情報流出にしては見込みが甘いような気はしないではない。

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●Microsoft
 Microsoftも米国基準の会計報告なので,今回初めてまとめている。ソニーは日本円換算で揃えたが,Microsoftだけは数字の単位が100万ドルなので注意してほしい。Microsoft全社の売り上げ高は日本円換算で5兆5942億円と,ソニーより劣るものの,改めて見ると,とんでもない利益率を維持していることが分かる。全体が大きすぎて把握しづらいのでエンタテイメント機器関連部門だけを抜き出してみたのが下のグラフだ。これも利益は営業利益ベース&100万ドル単位となっているのでご注意を。たまに赤字になっている部分もあり,ゲーム部門単体での利益率は,本体ほど高くないことが分かる。2010年第3四半期,つまりクリスマスシーズンの伸びが著しい。実際,この時期に発売されたKinectは海外ではよく売れたようだ。

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●任天堂
 2010年度は3DSの発売延期が大きく響いた1年となった。年末のタイトル不足などもあわせ,近年にない苦難の年といえる。それでもミリオンヒットのゲーム23本を世に出し,Wiiはいまだ北米を中心に1000万台以上の売れ行きと,他社とは規模感の違う展開をしている。3DSのソフトが本格展開され,E3で発表されるWiiの後継機など,2011年度以降への布石は整っている。
 コンテンツ不足から,3DSについてはまだ様子見な人も多い状況だが,今年は,新プラットフォームでどれだけ魅力的なコンテンツを展開できるかに注目したい。

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●バンダイナムコホールディングス
 ゲーム売り上げ自体は当初計画を大きく上回る実績を残している。国内は好調だったものの,海外での赤字並びに法人税がかさんだことなどで純利益が落ち込んで,第4四半期では売り上げは好調ながら純利益ベースで赤字という結果になっている。前年のようなひどいことにはなっていないものの,2010年から始まった経営改善は,まだ大きな成果を出しているともいいがたい。とくに海外展開ではまだ課題が多いように思われる。

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●カプコン
 今期,史上最高の売り上げを記録したカプコン。と昨年の決算でも述べていたように,前年から今年に発売がずれ込んだタイトルが多く,売り上げ自体が上がるのは予想されていたことではある。とはいえ,5本のミリオンは立派な業績だ。海外を中心に200万本を売り上げるタイトルを連発するなど,国内ゲームメーカーのなかでは市場変化に対応できている数少ない企業といえる。今期に発売が集中した分,来期にタイトル数を揃えられるかなどには若干不安は残る。

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●コナミ
 今年度も非常に堅調な動きだが,ゲームと並んだ柱となっていたスポーツ部門が,業界的な会費低価格化のあおりを受けて収益悪化傾向にある。ゲーム分野では,ウイイレ,MGSシリーズなどは好調。Castlevania,パワプロシリーズも堅調。ラブプラスシリーズも話題を呼ぶなど幅広い展開をしている。今後は,ご他聞に漏れずソーシャルゲームに力を入れる方針とのこと。

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●セガサミーホールディングス
 四半期ごとのグラフを見る限り非常に安定しているものの,主にパチスロ関係が好調で,ゲームについては前年比営業利益ベースで44億円の減収となっている。これはゲームソフト販売本数の下落やのれん代の償却などに加え,震災に配慮した「龍が如く OF THE END」の発売延期などによるものだ。来期の見通しでは,震災の影響などを勘案して全体に低めの売り上げ見込みだが,ゲームソフトについては,新プラットフォームや繰り越し分もあってか,微増の計画となっている。

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●コーエーテクモホールディングス
 テクモの統合もひと段落し,攻めの経営に転ずる旨の発言がなされているが,国内ゲーム売り上げ自体はさほど上積みされていない。モバイル分野での売り上げ増を目指しているようだ。海外では,とくに北米での40%増を見込んでいるという。
 今期は海外向けにTROY無双などを投入し,欧州で40%の伸びを示したものの,北米では10%程度に留まっている。海外でもソーシャルゲームを伸ばしていく方針のようだ。海外の開発子会社などを活用し,ソーシャルゲーム開発部隊を大幅増員すると発表されている。
 
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●スクウェア・エニックス・ホールディングス
 「ドラゴンクエスト モンスターズジョーカー2」「ケイン アンド リンチ2 ドッグ・デイズ」がミリオンを記録したものの,全体にソフト売り上げは低調。第4四半期での純利益の落ち込みは,事業環境の変化を勘案してのれん代の減損を計上したため。来期のソフト売り上げ予定などは,今期実績をさらに下回る慎重な予算が組まれている。開発体制の立て直しなど,しばらくは我慢の時期が続きそうである。2008年の決算報告で触れられたこともあったFFXIVに続く大型MMORPGについては,今年度中になんらかの発表がある模様。来期移行はソーシャルゲーム,スマートフォンに注力することを重点課題としており,同社の有力IPを使った展開などに期待したいところだ。

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●AQインタラクティブ
 前年と比較すると,きわめて安定した動きになってきている。製品の出荷時期次第で大きく変動するコンシューマゲームメーカー型から,安定したオンラインゲームメーカー型に変わってきている感じだ。2009年末の「ブラウザ三国志」リリース時ほどの飛躍はないものの,きわめて堅調な動きになっている。単体でも安定しているように思われるのだが,マーベラスエンターテイメント,ライブウェアとの合併も発表されている。それぞれの持ち味を融合させた展開に期待したいところだ。

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●日本ファルコム
 前年までは,タイトルが出ない時期は赤字で,タイトルが出たときにどっと稼ぐといった,旧来のゲーム会社にありがちな典型的な動きだったが,少し変化を見せている。今四半期中のタイトルリリースはなかったものの,既存タイトルが好調に推移しており,シリーズ自体がロングセラーとなっている。今年9月に予定されている「英雄伝説 碧の軌跡」でも同様な展開が期待でき,PSPへの転換は完全に軌道に乗ったといえそうだ。

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●日本一ソフトウェア
 予想されていたことではあるが,「魔界戦記ディスガイア4」の効果か第4四半期の伸びはすばらしい。4Gamerの読者レビューを見てもゲーム自体が高評価だ。決算発表に先立って,業績予想修正が行われていたのだが,その要因としてダウンロード販売が予想以上に好調だったことを挙げている。ディスガイア4もダウンロードコンテンツを長期展開することが発表されており,しばらく安定した展開となりそうだ。また,Android向けゲームのリリースなど,プラットフォームの拡大にも取り組んでいる。

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●マーベラスエンターテイメント
 映像事業などは好調で通期としては黒字に落ち着いたものの,ゲーム部門だけを見ると,開発中止タイトルなどの評価損がかさんで,利益ベースでは赤字となっている。来期は,豊富なIPを持つ同社とPC用ブラウザゲームで定評のあるAQインタラクティブ,携帯電話用ゲームを手がけるライブウェアが合併することで,利益率の高いソーシャルゲームでの飛躍が期待できそうだ。

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●ユークス
 第3四半期の「UFC Undisputed 2010」「WWE SmackDown vs. Raw 2011」(日本では第4四半期発売)などが好調なのが目立つグラフとなった。売り上げ,利益とも前年を下回っているものの,2010年度はまずまずのところに着地した感じか。新日本プロレスが子会社となって以来,初の黒字を記録したというのも朗報であろう。

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●ケイブ
 このところ右肩上がりの推移をしているケイブの決算。「しろつく」などソーシャルゲームが好調で,オンラインゲームの「真・女神転生IMAGINE」とあわせて,経営の安定基盤となっている。今後はマルチデバイス化など,ソーシャルゲーム事業で注力するほか,「しろつく」のカードゲームビジネス展開,夏ごろには「しろつく」のPC版も登場,さらには海外展開も目指しているという。

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●トーセ
 ゲームの受託開発の老舗。大企業というわけでもないだろうに東日本大震災では何度も義援金や支援物資を送っていたのだが,最終純利益は4100万円としっかり黒字で着地。ニンテンドー3DSで,当初は既存タイトルのリメイクでの受注が多かったらしいが,各社とも3DSの機能を生かしたタイトル発売に路線変更してきているという。iPhone,Android用ゲームの受注はともに拡大傾向。各社とつながりの深い企業だけに,決算資料で業界全体の動静がうかがえるのも面白い。

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オンラインゲーム業界各社の動向


●ゲームオン
 2009年まではきわめて安定していたのだが,FIFA Onlineの長期前払い金による特損あたりから収支に乱れが出ている。全体的な売上高の低下と収益の低下も気になるところだ。同社はブラウザゲームなどでのポートフォリオの拡大というのを目指しており,国内有名IPを数多く押さえているものの,具体的な動きが見えてこないのが気になるところだ。ブラウザゲーム参入では,すでに出遅れているといってよい状況なのだが。

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●ベクター
 手堅い経営では定評のあるベクターだが,このところ,新規タイトルには積極的で,勢いに乗ったかなり攻めモードの展開となっている。今四半期は売り上げが伸びきらず,純利益ベースで赤字を出しているのが目に付く。
 赤字の原因となった特別損失の内容は,オンラインゲームの除却によるものと,他社に出資した有価証券の評価損によるもの。第4四半期の売り上げ落ち込みは,主に携帯ゲームでの売り上げ低下によるもの。PCオンラインゲームでも当初計画を下回り,超安定路線にも若干揺らぎが出てきたようだ。

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●ガンホー・オンライン・エンターテイメント
 売り上げはやや縮小傾向にあるものの,堅調に利益を上げている。ラグナロクオンラインに加え,3月から始まったトイ・ウォーズとPCオンライン部門は堅調なのだが,携帯電話系は利益ベースで赤字に転落している。ガンホーとしては,今後はスマートフォンを中心に,アバターシステムFilMeeeをベースにソーシャルゲームを展開していく。そのほか,ラグナロクのIPを使ったスマートフォン用ゲームやPSP用「ラグナロクオンライン〜光と闇の皇女〜」なども予定されている。結局,ラグナロク頼みという感じになってしまっているのが懸念材料だといえよう。

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●アエリア
 事業整理などで荒れた過去のグラフから比べると,かなり安定した動きになってきているのだが,数字自体は純利益ベースで赤字が続いている。事業的には全部門とも営業利益を出しており,それなりに安定した状況ながら,投資損失および一部タイトルの中止などによる減損で利益が圧迫されている模様。良心的運営で知られる同社だが,もう少し稼いでもいいような気はしないでもない。

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●フェイス
 映画制作や音楽流通などにも手を広げているフェイス。売り上げの大半はWebMoneyによる電子マネー事業だが,2010年に入って大きく伸びている。これはモバゲーやグリーといったソーシャルゲームでの利用が急拡大しつつあることが要因で,当分のあいだはこの伸びが続きそうだ。オンラインゲーム関係自体の話題は決算資料には出てこないのだが,会社そのものは非常に好調といえる。

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●ソネットエンタテインメント
 ネットワーク事業が好調なのとゲームなどを含むメディア&エンタテインメント部門も大きく伸びている。とはいえ,その大半は医療関係サイトによるもので,ゲーム自体の伸びは営業利益ベースで4700万円の微増に留まっている。今後は,モバイルゲーム事業をゲームポットに移管して運営の集中化を図るほか,自社タイトルの海外展開などを進めていく。

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●サイバーステップ
 このところ厳しい状況が続いていたサイバーステップだが,北米での「コズミックブレイク」「ゲットアンプド2」のサービスが本格化,中国でのゲットアンプド2のサービスなどでライセンス収入が増加し,今四半期でかなり盛り返した。とはいえ,この記事の区分けによる2010年度で見ると黒字に収まっているのだが,会社の会計年度は6月起点であり,通年の利益では赤字が予想されている。

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●ガーラ
 海外でのゲーム運営の比重が大きく,各地で売り上げを伸ばしているものの,人件費などの増加もあって利益を圧迫している。円高の影響もかなり受けているようだ。日本での状況に限ると,売り上げは伸びたものの,いまだ赤字という状況。ILの延期なども響いている。今後はスマートフォンへ進出し,PC用のgPotetoと並んでgPumpkinを展開していくという。

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●インデックス
 アトラスやロッソインデックスを傘下に抱えるインデックス。いろいろと変動の多い会社だが今四半期でマッドハウスを切り離し,ほぼネット&ゲーム系の会社として落ち着いてきた感じだ。ゲーム分野ではロッソインデックスは売り上げ見込みを下回ったものの,アトラス系は真・女神転生のソーシャルコンテンツやキャサリンなど概ね好調の模様。

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●サイバーエージェント
 インターネット広告とアメーバなどの展開が好調。とくにアメーバは,PV600億を目指すというもの凄い勢いだ。オンラインゲームを含むメディア事業も順調に伸びている。とはいうものの,このところはソーシャルゲームの伸びが大きく,PCタイトルは,あってもブラウザゲーム中心となりつつある。スマートフォン,ソーシャルゲームといったあたりに力を入れている。

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●ディー・エヌ・エー
 2009年後半から2010年にかけての伸びが凄まじい。「海賊トレジャー」や「怪盗ロワイヤル」が開始されたのが2009年10月からなので,ソーシャルゲームの威力が分かる。利益率の高さにも注目したいところだ。成長の過程で海外の開発会社などを買収しているのだが,グラフにはまったく影響が見られない。伸び自体は弱まっているが,すでに世界展開に目を向けて着々と手を打っている。ここにきて,この躍進を達成した南場氏が代表取締役を退くという急展開を見せたものの,現COOの社長昇格ということで基本路線は変わらないだろう。今後どこまで伸びるのか興味深いところだ。

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●グリー
 数字の規模的にはDeNAの半分程度ではあるものの,見事な右肩上がりのグラフが続いている。勢い自体は一番といえるだろう。そして利益率はDeNA以上に高い。もう少し釣竿を丈夫にしてあげてもいいんじゃないだろうか。世界的なソーシャルゲーム基盤のOpenFeintを買収しており,今後は世界市場での展開を目指している。現在進めている国際的なソーシャルゲームプラットフォーム形成が成功すればさらに飛躍もあるか。

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●ミクシィ
 ゲームが本業というわけではないのだが,PCベースでのソーシャルゲーム基盤では最大手。自社製ゲームがないためか,売上高,利益率ともに携帯ベースの会社には及ばない。PC用SNSとしては,国内最大手なのはいうまでもなく,いまだにログイン人数が増え続けているという強力なソーシャル基盤を持っており,国内での影響力は大きい。いろんなことをやってるので,今後の動きにも注目か。

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おまけ


 グラフの縦軸がまちまちなので会社同士を比較できないという声があったので,参考までに,直近4四半期の売上高と純利益ベースで横並び(縦並び?)のグラフも作ってみた。ただ,ゲーム専業でないメーカーもあり,単純な比較にはあまり意味がないようにも思われる。あくまで参考程度にしかならないが,とりあえず,プラットフォーマーとそれ以外の差というのは歴然とするのではないだろうか。
 なお,ソニーとMicrosoftについては全社での数字を出すとあまりにもグラフがつぶれてしまうので,ゲームを含む部門だけの数字を採用した。その関係で,利益部分は,ほかが純利益ベースなのに対して営業利益ベースの数字となっているので,ほかとの比較には適さない。あくまで参考値として見ておいてほしい。まあ,2社ともプラットフォーマーなので,比較対象となるのは任天堂くらいしかないわけだが,仮に任天堂を営業利益でプロットしたとすると,だいたいMicrosoftの倍の長さの線になるので参考までに。

各社売上高比較
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各社利益比較
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