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書籍「日中韓のゲーム文化論」を新曜社が3月5日に発売。18本の論考を収録したゲーム批評アンソロジー
本書は,東アジアのゲーム文化に関する展望を得るべく,日本・中国・韓国のゲームにフォーカスした批評集だ。編者である楊 駿驍氏,鄧 剣氏,松本健太郎のほか,中川大地氏,中沢新一氏,東 浩紀氏,井上明人氏ら全19名(一部共著)による論考が収められている。
東アジアのゲーム市場は,1980年代からアーケードやコンシューマで強い存在感を示してきた日本,昨今のスマートフォンゲームで大きな躍進をしている中国,個性的でありつつグローバルなヒットも数多く飛ばしている韓国などがひしめき,互いに影響を与えながら個別の発展を遂げてきた。そんなアジア的カオスを改めて俯瞰するにあたり,本書が役立つかもしれない。
この本の内容
いまや世界中が「ゲーム化」している。しかしその思想的意味はどこにあるのか。欧米を追い越し先頭にたった日本、それに迫ろうとしている中国・韓国のゲーム文化。三国の優れた批評のなかに独自性を探りつつ、東アジアのゲーム文化を展望する論集。
- 中沢新一、大澤真幸、吉見俊哉、東浩紀など諸氏の「伝説的」名論文を収録。
- 同時に、ゲームの最先端を論じた斬新な論文も収録する。
目次
まえがき 楊駿驍、鄧剣
第I部 日本におけるゲーム研究
- 第1章 日本ゲームはいかに語られてきたか
――ゲームの批評/研究がめざすもの
中川大地
- 第2章 ゲームフリークはバグと戯れる
中沢新一
- 第3章 オタク論
――カルト・他者・アイデンティティ
大澤真幸
- 第4章 重層化するメディアと子どもたちのリアリティ
吉見俊哉
- 第5章 萌えの手前、不能性に止まること
―『AIR』について
東 浩紀
- 第6章 スポーツゲームの組成
――それは現実の何を模倣して成立するのか
松本健太郎
- 第7章 様式化されたシミュレーション
――JRPGの「不自然さ」を考える
松永伸司
- 第8章 メタゲーム的リアリズム
――批評的プラットフォームとしてのデジタルゲーム
吉田 寛
- 第9章 戦いをつくりかえるゲーム
井上明人
- 第10章 あなたは今、わたしを操っている。
――「選択分岐型」フィクションの新たな展開
楊駿驍
第II部 中国におけるゲーム研究
- 第11章 ゲーム的リアリズム
――「第三時間」とマルチパラドックス
周志強
- 第12章 デジタル・ワンダーランド、あるいはハードボイルドな世界の終わり
――デジタルゲームの時間性を再考する
姜宇輝
- 第13章 デジタルな身体、擬似生命、そしてゲーム生態学
――ゲームにおけるプレイヤーとキャラクターの弁証法
藍江
- 第14章 インタラクティヴ物語の二面性
――デジタルゲームの物語における作者の回帰
張成
- 第15章 中国ゲーム史における社会思想の系譜
――中国の現代化から資本論理まで
鄧剣
第III部 韓国におけるゲーム研究
- 第16章 韓国ゲーム文化史の再構成
ユン・テジン、ナ・ボラ
- 第17章 バースト・サーキットボード
――草創期の韓国ビデオゲーム産業における模倣のインフラストラクチャーと技術的な実践
チョ・ドンウォン
- 第18章 韓国ゲーム批評の軌跡と方向
カン・シンギュ
あとがき 松本健太郎
初出一覧 / ゲーム名索引 / 人名・事項索引
新曜社公式サイトの「日中韓のゲーム文化論 なぜ、いま〈東アジア・ゲーム批評〉なのか」製品情報ページ
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