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習慣化アプリ「みんチャレ」は,ユーザーの積極的な行動を促し,幸せにつなげる:身近なところにゲーミフィケーション 第2回
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印刷2023/10/17 12:18

連載

習慣化アプリ「みんチャレ」は,ユーザーの積極的な行動を促し,幸せにつなげる:身近なところにゲーミフィケーション 第2回

画像集 No.010のサムネイル画像 / 習慣化アプリ「みんチャレ」は,ユーザーの積極的な行動を促し,幸せにつなげる:身近なところにゲーミフィケーション 第2回

 ゲーミフィケーションとは,ゲームの持つ要素や原則をそれ以外の分野に導入して,人々のやる気を高めたり,問題解決を図ったりすることに活用する仕組みである。
 本連載「身近なところにゲーミフィケーション」では,ゲーミフィケーションを活用した製品やサービスなどを,ゲーミフィケーションデザイナーとして活躍している岸本好弘氏とともに紹介していく。

 今回取り上げるのは,エーテンラボのスマートフォン向けサービス「みんチャレ」である。「楽しいからこそ続けられる」ことをコンセプトとしているこのサービスは,ゲーミフィケーション要素を盛り込み,ユーザーに習慣化を促すというものだ。

 その「みんチャレ」を開発したエーテンラボ 代表取締役 CEOの長坂 剛氏に開発の経緯やユーザーの動向や反響,そして今後の展望などを聞いた。

岸本好弘氏(左),長坂 剛氏(右)
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ゲーミフィケーションを活用して人々の習慣化を促す


 「みんチャレ」は,「何かを続けたいけれど,1人ではなかなか続かない」という人たちに習慣化を促すサービスだ。このサービスでは,まず専用のスマホアプリにログインした,同じ目標を掲げた匿名のユーザーたちが,5人1組のチームを組む。そして毎日,ユーザー自身が「目標達成のために,今日はこれをやった」という証拠となる「チャレンジ写真」を投稿する。それを,ほかのチームメンバーが確認して「OK」ボタンを押すと,初めてそのユーザーがチャレンジを達成したことになる。

長坂 剛氏(以下,長坂氏):
 「みんチャレ」は,チームメンバーたちで「今日,これをやろうね」と約束したものを,毎日守ることによって習慣を身に付けていくサービスとなっています。
 オンラインゲームだと,ギルドやクランを結成して,一緒にクエストをやったり,ボスを倒したりしますが,それに近いですね。

岸本氏:
 ゲーミフィケーションは,対象者が何か目標に向かっていくときの一歩目を踏み出せないときや,続かないときに有効です。「みんチャレ」では,ソーシャル要素,人間が社会的な生き物なことを使って,「仲間からのポジティブなフィードバック」をもらうことでモチベーションをあげ,目的を達成させます。

 長坂氏によると,そうしたチームメンバー同士には,“ピアサポート感”があるという。たとえば「1日1万歩歩く」という同じ目標を掲げているユーザー同士であれば,「歩くことの楽しさ」「歩数を稼ぐことの大変さ」といったことを共有し,励まし合えるので,より頑張れるようになり,ひいては習慣化につながるというわけである。メンバー同士は,匿名なので職業や社会的な地位などが不明なため,全員が対等な立場だ。

 ユーザーが掲げる目標の中で最も多いのは,「ダイエットのために体重を記録する」「コロナ禍での運動不足を解消するためにウォーキングをする」といったヘルスケアに関するものだという。続いて,「TOEICで何点取る」「何月何日にある宅建の試験に向けて勉強する」といった勉強関連のチームが多いという。

長坂氏:
 意外なところでは,ゲームのチームもあります。「ポケモンウォーキング」みたいなチームを作って毎日「Pokémon GO」を使ってウォーキングしたり,「Pokémon Sleep」でどんなポケモンの寝顔が撮れたか皆で投稿して,睡眠の質を高めるよう心がけたり。ゲームとは言っても,主にヘルスケアに関するものですね。


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 「みんチャレ」を使い,目標に向かって取り組んでいるユーザーは,1人で取り組む人よりも習慣化されやすいという結果が出ているそうだ。

長坂氏:
 糖尿病の領域で臨床実験をしたところ,「みんチャレ」を使ってチームを組んでウォーキングに取り組んだ場合の平均歩数は,1人でやった場合の約2倍となり,また期間は19か月以上におよんだという結果が出ています。
 またアメリカのデータですが,1月に新年の抱負を設定しても,ほとんどの人が2月には止めてしまっているんですね。一方,1月に「みんチャレ」に参加した人は2月,3月と続いており,アメリカのデータよりも約8倍習慣化されているという結果になりました。


 そうやって「チームで何かに取り組む」ことに着目したのは,長坂氏が高校を受験するにあたり,自宅で勉強に集中することができなかったため,友人に図書館の自習室を紹介してもらったことにあるという。1人だと勉強できないが,皆が勉強してる環境に身を置いたら,自然と勉強するようになったという実体験から,「みんチャレ」にもオンライン自習室のような要素を取り入れることを思いついたという。

 しかし「皆がやっているから,自分も頑張る」という部分は,目標が達成できなかった場合「皆がやっているのに,自分だけやっていない」「俺が頑張っているのに,なぜアイツはやらないんだ」といったネガティブな感情につながりかねない。

長坂氏:
 若干のピアプレッシャー(同調圧力)があるのは確かです。ただ,「みんチャレ」は「人と比べない」ことをすごく重視していて,ほかの人との進捗を比較するような要素は排除しています。あくまでも「習慣化とは,自分のペースでやっていくもの」と位置付け,人と比べないコミュニケーションを主体にしています。チームメンバーに送るメッセージも,相手が達成したことを褒め称えたり,励まし合ったり,勇気づけ合ったりするよう,「みんチャレ」の使い方やルールでお伝えしています。

岸本氏:
 「人と比べない」というのは大事なポイントです。ゲームでは競争は楽しい要素ですが,ゲーミフィケーションの場合は必ずしもそうとは言えません。ゲームは自分の得意なゲームを選ぶので競い合いたいという意識が生まれますが,ゲーミフィケーションは苦手なことに取り組むわけですから,競争させられたらさらにイヤになりますよね。ここは誤解しやすい部分です。
 ゲーミフィケーションでは,達成できる小さな目標からスタートして,じょじょに成長を可視化し,周りからのポジティブなフィードバックをもらうことで,継続性が高まるんです。

 ただ,そうしたルールをテキストで示しても,伝わらないこともあるため,「みんチャレ」では,アシスタントキャラとして「にゃんチャレンジャー」を用意している。これは「みんチャレ」独自のチャットボットAIで,5人1組のチームに6人めのアシスタントとして入って,ユーザーを褒めてくれたり,励ましてくれたり,共感してくれたりするものだ。

長坂氏:
 AIには学習するという特徴がありますが,実は人がAIから学習するスピードのほうが速いんです。とくに「人を褒める」という機会は現実世界だとなかなか少ないので,チャットボットが褒める姿を見ることで,ユーザーが褒め方や褒めるタイミングをどんどん学習していきます。結果,お互いを褒め讃え合うような雰囲気のチームになっていくんですよ。


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人を行動させるため,ユーザー間のコミュニケーションをフィードバックに


 長坂氏は,前職でソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)で,PlayStation関連のサービスを提供していた。ゲームを提供すると,プレイヤーはすごく喜んでくれたり,感謝してくれたりするし,それに対して喜びを感じていたという。しかし,ゲームは遊び終えてしまうとその楽しさも終わる。長坂氏はゲームの仕組みを別の何かに応用することを考え始めたのだという。

長坂氏:
 こんなに技術が発達しているのだから,ゲームの仕組みや人がゲームにハマる仕組みを応用すれば,現実世界の人たちをもっと幸せにできるんじゃないかと考え始めたんです。
 それからいくつも論文を読んでいくうちに,「人は自分が積極的に行動すると幸せを感じる」という話を見つけたんです。これはまさに,ゲームの中でやってることなんじゃないかなと。

岸本氏:
 人はチャレンジする課題が同じでも,能動的に参加するときは楽しくて,強制的に参加させられるときはツマラナク感じるようです。ゲーミフィケーションでは,「楽しそう」「やってみたい」と人に思わせて,能動的に参加したくなるような仕掛けを用意します。そうすることにより,今つまづいている人も幸せにできるかもしれませんね。

 ゲームは,人に行動させ,学習させて,熱中させるが,その面白さの根本には,「人がやったことに対して何かしらの反応をしてくれることにあるのではないかと考えた。そこで,長坂氏は,現実世界で人が積極的に行動し,そのフィードバックを得て楽しくなったり幸せを感じたりするにはどうすればいいのかを考えたという。

長坂氏:
 ヒアリングをしたところ,人が積極的に行動しようといったときに課題になるのが「第1歩を踏み出せない」「どうせ続けられないから始めない」「始めたけど続けられない」であると分かりました。それらの課題とゲーミフィケーションのフィードバックをうまくつなげれば,問題解決につながりますよね。

岸本氏:
 私は,「第1歩を踏み出せない」への対処をレベル1のゲーミフィケーション,「始めたけど続けられない」への対処をレベル2のゲーミフィケーションと呼んでいます。それぞれの対象者のモチベーションが上がるように,面白さやご褒美の度合いを変えたりします。

 次に長坂氏は,フィードバックをどう設定するか考えたとのこと。たとえばToDoリストのアプリはユーザーの入力に対してフィードバックを返してくれるが,人は学習能力が高いため,すぐに飽きてしまったりする。
 そこで,ユーザー同士のコミュニケーションをフィードバックにし,お互いを褒める,あるいは勇気づけるようなサービスとして「みんチャレ」を設計していったという。

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長坂氏:
 人との会話というのは,なかなか想像どおりになりませんよね。だから飽きにくい。ソーシャルゲームは,飽きさせない仕組みとしてユーザー同士がコミュニケーションを取るためのソーシャル要素を採り入れていますが,それを応用することで,現実世界の人の行動を変えられるのではないかと考えました。

 「みんチャレ」は,ユーザー同士のコミュニケーションという不確実性の高いものを扱うサービスのため,想定外のトラブルが起きないような仕組み作りには,特に気をつけているという。
 例えば,「みんチャレ」では,その日の目標を達成し,それを他人にOKボタンを押して評価してもらえるとコインを獲得できたり,チーム全員が目標を達成するとボーナスポイントを獲得できたりする。しかし,それらはユーザー自身の直接的な利益に変えられないようにしている。

長坂氏:
 たとえばポイントがギフト券などに交換できると,習慣化が次第に本質ではなくなっていくんですよね。「みんチャレ」のコインは,アプリの中で使えるスタンプや壁紙との交換や,あるいは寄付など社会貢献活動に使えたりするようにして,バランスを取っています。


 また匿名のコミュニティは,ユーザー間のトラブルが発生しがちだが,「みんチャレ」は,ユーザー間のトラブルはほぼないそうだ。これについてはポジティブなコミュニケーションを促したり,ユーザー間のやり取りを個人間でできないようにしたりすることで,トラブルを防いでいる。

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長坂氏:
 「みんチャレ」のチームは一期一会で,嫌だったらそのチームを抜ければいいんです。SNSみたいなフォロー・フォロワーの関係がないので,抜けてしまえば一生その人と会うことはありません。
 チャットも個人同士ではできず,基本的にグループチャットなので,他人の目があります。端末単位で認証しているので,アカウントをたくさん作って何回も同じことを繰り返すなんてこともできません。心理的安全性を高めることに非常に注力しているんです。

岸本氏:
 事前に長坂さんから話を聞いたのですが,「みんチャレ」が今の形になったのは,ABテストを繰り返してサービスの質を高めているからだそうです。そうやってテストプレイで調整しながら何かを作るという話は,ゲーム業界の経験が生きているのだと思います。



操作感の楽しさは,習慣化と密接に結びついている


 ゲーミフィケーションがさまざまなところで活用されている「みんチャレ」だが,長坂氏が特にこだわっているのは,ユーザー体験の部分だ。これは,学生時代にハマっていた「電脳戦機バーチャロン」の体験が大きいそう。
 そのため,「みんチャレ」を作るにあたっては,“操作自体が楽しい”ことに注力したという。具体的には,タップしたら1秒以内に反応するといった開発上のルールを決めたり,チームメンバーにOKを出すためにボタンが押されたら,星やハートなどで演出を施したりしている。

長坂氏:
 「バーチャロン」は,スティックの操作でロボットが自分の思い通りに動くという体験が心地よかったんです。勝つことももちろん楽しいんですが,操作しているだけで楽しいんです。
 操作感が楽しいと,ユーザーがそのアプリをコントロールしている,使いこなしていると感じるんですよね。そういった細かいところにも気を使って「みんチャレ」を作っています。

岸本氏:
 「操作しているだけで楽しい」ということはゲームにおいても大事なポイントです。以前学会で「ゲームにはメインループがあり,それを何度も繰り返した結果,何かが起こるのが大事」という発表があったんですが,私は「それもあるけど、触り心地のよさが一番大事ですよ」とコメントしたことがありました。スーパーマリオはボタンをしたらマリオがジャンプするのが楽しいですし,パズドラは,指で画面をグリグリしているだけで楽しいですよね。

 操作感の楽しさや手触りの心地よさは,習慣化と密接に結びついているという。すなわち,重要なのは習慣化に至る過程であり,その間の学習が楽しければ継続が容易になり,最終的に習慣化に至るというわけだ。
 同時にUIなどのデザインを変更したところ,各種KPIが一気に向上したとのことで,長坂氏はあらためて習慣化には過程が重要であることを実感したという。

長坂氏:
 実は初期の「みんチャレ」は,ゴールを重視していたんです。「ゴールを定めて,そこに向けて皆で頑張りましょう」というストーリーにしたほうが分かりやすいかなと。
 でも実際に配信を始めたら,ユーザーから「アプリを使って何かをやっていること自体が楽しいんです」という感想をいただいたんです。そこで「皆で過程を楽しみましょう」とコンセプトを変えたんです。

 過程を楽しくするために大切なのは「フィードバックの質をどれだけ高められるか」にかかっているという。「みんチャレ」におけるフィードバックはユーザー同士の会話であるため,そこをうまく誘導して体験を楽しくしているそうだ。

長坂氏:
 全部プログラムされたものだったら,「入力に対して,こういう反応を返す」という形で品質を保てるんですけれども,人間同士のやり取りなのでどうしてもバラつきが出るんですよね。そのバラつきがある中で,平均すると楽しい体験や会話になるような誘導をすることが,工夫のしどころになっています。


 また「みんチャレ」では,ユーザーの自己決定も重視しているそうだ。たとえばゲームで,プレイヤーが武器を選んだり,メンバーを選んでパーティを組んだりといった要素を意識的に採り入れているとのこと。

長坂氏:
 「みんチャレ」では「自分でチームを作ってください」もしくは「自分でチームを探して参加してください」ということを徹底しています。少しハードルは高いんですが,自分自身で決めたことは納得感にもつながり,それが楽しい空間づくりの一歩になるんです。

岸本氏:
 「毎日歩く」というだけでも,いろんなチームがあるんですよね。「1日1万歩」「1日1万5000歩」など多くのチームがある中から,チームごとのモットーとゴールを確認して,どれにするか選ぶ。参加してみたけれど,「ちょっと違うな」と思ったら,抜けることもできる。よくできていますよね。


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今後の「みんチャレ」は,人に何かを「始めさせる」サービスを目指す


 現在の「みんチャレ」ユーザーの男女比率は女性6割,男性4割となっている。その中でも40〜50代の女性がボリュームゾーンになっており,ヘルスケア目的で参加する人がもっとも多いそうだ。

長坂氏:
 若い人は,現実世界で参加しているコミュニティの数が多いんですよね。学生なら学校の友達,サークルの仲間,地元の友達,ゲームの友達。就職すれば,仕事仲間やお客さんといったコミュニティも生まれます。なので,コミュニティ1つあたりの価値が低いんですよね。
 一方で,年齢を重ねていくと参加するコミュニティが少なくなっていきます。そうなると,1つのコミュニティの価値は相対的に上がっていくので,シニアの方に多く活用していただいているという状況です。

 シニア向けの取り組みは会社をあげても取り組んでおり,その1つが,「みんチャレフレイル予防」である。この事業は,各地域のシニアクラブや福祉センターなどで,シニア向けに「みんチャレ」を使ったスマートフォン講座を行うというものだ。

長坂氏:
 同じ地域の方5人を集めて,コミュニティを作ってもらうんです。そうすると,スマホを持っていても家に置いていたような人たちが,スマホを持ち歩くようになる。写真を撮ることなんてなかったのに,毎日撮るようになったから外に目が向いて,「今日,生きていた」ということを「みんチャレ」で報告できる。
 そうやって報告をすると,チームメンバーから褒められる。それが楽しいし,嬉しいという声をいただいています。

岸本氏:
 シニアの方たちがスマホを練習するいい機会になっているのもいいですね。楽しいから写真をアップロードすると,新しい仲間ができる。コミュニケーションは脳の活性化にもつながりそうですし,良い取り組みだと思います。

 今後の「みんチャレ」について,長坂氏は「始めさせる」ということに取り組みたいと語る。というのも,今の「みんチャレ」のユーザーは「何かを習慣化したい」というニーズを持っていて,別の方法でうまくいかなかったけれど,ここで再びチャレンジしようという「自ら始める」という意思を明確に持った人たちだからだ。

長坂氏:
 世の中には,たとえばダイエットが必要なのに,それに気づいていない人や,習慣化の大切さに気づいていない人がたくさんいます。
 そういった人たちに健康情報を提供して,影響を与える戦略が「ヘルスコミュニケーション」ですけれども,そのように「やってみたくなる」ような情報や機能をどうやって「みんチャレ」に入れ込んで,アプリの中の体験とつなげるかという部分を広げていきたいと考えています。ハードルは高いですが,チャレンジしていかないと大きな社会課題の解決や社会へのインパクトが作れませんから。

 またAIも今まで以上に活用していくとのこと。とくに生成AIには,非常に可能性を感じているという。

長坂氏:
 にゃんチャレンジャーのAIは,プログラムベースで入っていて,それをチューニングしてきたんですけれども,今は一部にGPTの機能を入れています。また並行して,GPTベースのAIで動くキャラクターをもう1体開発して,テストを重ねているところです。
 生成AIはプロンプトをどのように動的に生成するかがキーとなるので,ユーザーに受け入れられるようなプロンプトを作りたいですね。

 しかし,AIとユーザーとの会話がよすぎると,ユーザー同士の会話が生まれなくなるため,バランスを考えなければならないという課題もあるそうだ。逆に,初心者がチームに参加する前に,AIと2人で試してみるといった使い方も模索しているとのこと。

 さらに海外展開も検討しているそうだが,まずはマーケットとユーザーを把握している日本でビジネスを展開していくという。

長坂氏:
 文化的背景の違いにより,それぞれの国や地域でコミュニケーションは異なりますから,ローカライズが必要になります。とは言え,コミュニケーションに対する欲求は全世界共通で,たとえばピアサポートはアメリカのほうが進んでいるんです。人同士の会話のフィードバックが楽しいというところは,人間が普遍的に持っているものなんですね。

 また「みんチャレ」の取り組みは持続可能なものだと捉えています。ゲームだと作り続けないといけませんが,ピアサポートは持続可能な仕組みで,当事者同士の力で皆が皆を支え合うことにより問題を解決するので,新たなリソースを必要としないんですよね。大きな社会課題を持続可能な形で解決できる唯一の仕組みですから,そのピアサポートを採用した「みんチャレ」によって,皆が皆を支える世界を広げていきたいですね。

岸本氏
 日本生まれのゲーミフィケーションサービスが世界に広がって,世界中の人たちを幸せにできたらと思うとワクワクします。ゲームで世界を席巻した日本ならそのポテンシャルはあると思いますし,「みんチャレ」の今後にも大いに期待したいですね。

画像集 No.005のサムネイル画像 / 習慣化アプリ「みんチャレ」は,ユーザーの積極的な行動を促し,幸せにつなげる:身近なところにゲーミフィケーション 第2回

「みんチャレ」公式サイト

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