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中国在住の日本人ゲームクリエイターに聞く“中国ゲーム事情”
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印刷2023/11/10 16:00

イベント

中国在住の日本人ゲームクリエイターに聞く“中国ゲーム事情”

 中国最大のゲームイベント「ChinaJoy 2023」。そのBtoBエリアではビジネスを目的として多数の企業が出店していたが,その中に日本の企業複数社による合同ブースがあった。日本の開発関連企業やマーケティングなどの合同ブースだったのだが,そのブースを取りまとめていたのが,グラティークの創業者であり,代表取締役将軍,2017年に中国へと移住したゲームクリエイター高橋玲央奈氏だ。

画像集 No.006のサムネイル画像 / 中国在住の日本人ゲームクリエイターに聞く“中国ゲーム事情”

 合同ブースの出展は,2021年のChinajoyから実施している。当時はコロナ禍まっただ中であり,中国でも厳しい外出制限,入国制限が行われていた。日本も程度の差こそあれ,渡航制限などもあり,商談のために海外へ渡航するのが難しくなった時期である。ビジネス的な交流機会が減るわけで,日本市場と中国市場に多少なりとも隔たりができてしまったわけである。
 すでに取引を行っている企業同士であれば,そこまで影響はないだろうが,新しく中国市場へ,あるいは日本市場へ乗り出そうとしている企業にとって,それは大きな壁になる。その壁を少しでも取り払うために,合同ブースを出展するという取り組みを行ったのだという。

 高橋氏は,日本のゲーム企業の中華圏市場展開に加え,中国企業が日本市場に展開の手伝いもしている。例えば「日本での課金の仕組み」「収益を日本から中国に送金する方法」「自分たちの持つ技術が日本で需要があるか」といったことが相談されるという。高橋氏は日本でゲーム開発とパブリッシングの経験があり,日本と中国のマーケットを見てきた経験もあるため,そうした活動はお手の物なのだそうだ。


中国のゲーム開発事情


 筆者は何度か中国で取材しているし,昨今は中国発のゲームも増えており,それらをプレイしているが,中国のゲーム市場や文化に詳しいと言えるほどではない。そこで日本と中国のどちらも知っている高橋氏に,中国のゲーム事情について聞いてみた。

 違いの1つとして挙げられたのが商慣習だ。例えばあるお店が商品を出して繁盛すると,その隣のお店も同じものを売り始めるという。そしてさらに隣の店も同じものを売り,その一角が同じものを売っているお店だらけになるのだそうだ。同じ事例かは分からないが,実際中国ではコンビニが隣同士で出店していることが多かった。同行していた通訳に聞くと「これが普通」なのだという。
 高橋氏はこれを「ホーカーシステム」と呼んでいるそうだが,逆に言うと「隣の人がやっていなければやらない」ということなのだそうだ。

会場にあったコンビニ。セブンイレブンとファミリーマートが並んでいる
画像集 No.004のサムネイル画像 / 中国在住の日本人ゲームクリエイターに聞く“中国ゲーム事情”

 現在,中国でのゲーム開発の主流はスマホゲームだが,それをそのまま日本に持っていっても難しいため,高橋氏は,Nintendo SwitchなどのコンシューマやPCでのリリースを勧めるものの,スマホゲームのノウハウしかないため,諦めることも多いそうだ。
 しかし,最近では「原神」などを中心にマルチプラットフォーム展開で成功しているものが出てきたことから,そうした展開を目指す企業が増えてきているとのこと。まさしくホーカーシステムのようになりつつあるようである。

 コンシューマやPC向けゲームの展開をチャンスととらえているのが,中国の個人開発者や中小企業で,インディーゲームという形で,ゲーム開発を行っているという。今回のChinaJoyのインディーゲームブースも半分ほどは中小企業による出展とのことだ。
 中国ではインディーゲームパブリッシャが数多く存在し,産業として成り立っている状況だという。また,インディーゲームの勉強会のイベントも多く,成功した事例の情報共有が行われ,デベロッパとパブリッシャをつなぐパーティーも頻繁に行われているようだ。これは上海などの大都市だけではなく,高橋氏が拠点を置く福建省の廈門(アモイ)でも同じ状況だという。
 いかにして面白いゲームを作り,マーケティングをしっかりして販売し,お金を稼ぐか,というエコシステムができあがっているというわけだ。


中国のコンシューマゲーム事情


 中国では公式の統計に出ないコンシューマゲームユーザーの拡大が起きているという。なぜ統計に出ないかというと,並行輸入品を入手して遊ぶユーザーが多いからだそうだ。並行輸入品は,中国国内で流通しているコンシューマ機としてカウントされないというカラクリだ。販売台数がどこに計上されているかというと,それは日本なのだという。
 つまり,日本で購入されたコンシューマ機が中国へと並行輸入され,販売されているのだ。

 高橋氏が民間統計から出した試算だと,中国で出回っているNintendo Switchはかなりの割合で日本版のものだという。その理由は,中国当局の規制によるソフトラインナップの差だ。日本のユーザーからすると,その影響で少なからず,入手困難な状況に陥ったので,納得しづらい部分ではある。
 グレーなマーケットなのは間違いないのだが,事実として公式の統計以上に中国でコンシューマゲームマーケットが拡大しており,そこに中国のコンシューマゲーム開発が盛り上がるチャンスがあるのではないかと高橋氏は分析している。

 また,コンシューマゲーム機とは少し異なるが,SteamDeckも中国で流行し始めており,かつてのように基本プレイ無料のオンラインゲームではなく,パッケージゲーム(と言うと少し語弊があるが,購入して遊ぶタイプ)を遊ぶ人が増えているそうだ。これまでとは違ったゲーム文化が盛り上がりつつあり,新たなゲームが開発される土壌が作られているというわけだ。

 ゲームユーザーの交流も盛んで,自分がどのゲームをどれだけプレイしたかなどを公開するSNSなども盛り上がっているという。もともと中国ではゲームをみんなで遊ぶという文化があるため,そうしたツールが注目を浴びるのだそうだ。


中国の乙女ゲーム事情


コミュニティサービス内に存在する乙女ゲーム系コミュニティ
画像集 No.003のサムネイル画像 / 中国在住の日本人ゲームクリエイターに聞く“中国ゲーム事情”
 高橋氏が設立した中国現地法人の厦門レオナソフトウェアで社長を務める薛恬氏は,かなりなコアゲーマーで,いろいろなタイトルをプレイしている。中国のゲーマーとしてかなりの含蓄を持っている人なのだが,今回は乙女ゲーム事情についての話を聞かせてくれた。
 中国でも乙女ゲームは,ブロッコリーの「ジャックジャンヌ」やオトメイトの「Collar×Malice」「ピオフィオーレの晩鐘」など,繁体字版もリリースされており,かなりの人気があるそうだ。
 中国語に対応していないタイトルでも遊ぶようで,有名どころだと「ときめきメモリアル Girl's Side」などは画面の写真を撮って,翻訳ツールを使いながらプレイしているらしい。PCに取り込んでセリフ部分を自動的に翻訳するツールも使用しているという。かなりの熱量を持って楽しんでいることが分かるエピソードだ。

 また,中国の乙女ゲームユーザーもいわゆる布教活動に熱心なようで,個人が自費で何本も買い,微博(中国版X)でプレゼントキャンペーンを行っているという。日本のコアファンでも聞く話ではあるが,中国でも同様の文化があるというのは正直驚いた。

 メジャーどころは人気のある作品が多いが,TAKUYOなどの少しマイナーなブランドにもコアなファンがいるという。さすがにそこまでの人気があるというわけではないとのことだが,中国語版もリリースしてほしいと話していた姿は印象的だった。好きなゲームを楽しむ熱量は,言語の壁や国境を越えるということだろう。

4Gamer「ChinaJoy 2023」記事一覧

「ChinaJoy 2023」公式サイト

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