伝説的PBM「蓬莱学園の冒険！」の資料公開を目的とするクラウドファンディングが本日開始。成功の暁には小説やTRPGの新展開も？

　1990年にサービスされた伝説的PBM「ネットゲーム‘90 蓬莱学園の冒険！」（以下，蓬莱学園）の保管資料公開を目的とするクラウドファンディングが，CAMPFIREにて本日（2023年9月8日），スタートした。

CAMPFIRE「蓬莱学園の冒険！」保管資料公開計画プロジェクトページ

　蓬莱学園は遊演体が運営を手がけ，1990年のまる1年をかけて展開されたPBM（プレイバイメール）作品だ。舞台となったのは，東京のはるか南に浮かぶ宇津帆島にあるとされる全寮制の巨大高校・蓬莱学園。同校に入学した生徒の一人となったプレイヤー達は，学内の政治闘争や武力抗争，猟奇的な事件に地下世界の秘密といった，混沌を極める騒動へと巻き込まれていった。インターネットどころかパソコン通信すらまだ珍しかった時代に，参加者達は郵便などを駆使して独自のネットワークを作り，運営側が投げかける世界の謎に立ち向かったのである。
　なお蓬莱学園自体は，サービス終了後もシェアワールドとしてさまざまなメディアへ展開され，テーブルトークRPGやライトノベルといった，さまざまな二次作品が生まれる土壌となった。そうした作品群から蓬莱学園を知った人も，少なくないのではなかろうか。


　日本PBMアーカイブスの主催による今回のクラウドファンディングは，これまで未公開だったものを含む，1990年当時のさまざまな資料を，専用サイト上で閲覧可能にしようとするのものだ。また今回調達した資金は蓬莱学園のみならず，ホビー・データが手がけたSFモチーフのPBM「クレギオン」の資料公開にも役立てられることが明らかとなっている。
　また，このクラウドファンディングが成功した暁には，現在絶版となっているライトノベル「蓬莱学園」シリーズの復刊や，テーブルトークRPG「蓬莱学園の冒険!!」の新版の制作，イベント開催なども視野に入れているそうなので，IPとしての蓬莱学園の新展開を望む人――筆者のように「〜の革命！」の続刊を25年越しに待っているような――は，さっそくプロジェクトページをチェックしてみるといいだろう。


　なお蓬莱学園を含む当時のPBM作品は，その関係者/フォロワーの中から数多くの作家やゲームデザイナーを輩出したことでも知られており，プロジェクトページにはTYPE-MOONの奈須きのこ氏と，ライトノベル「フルメタル・パニック！」などで知られる賀東招二氏の応援コメントが掲載されている。また4Gamer読者に向けては，シナリオ工房 月光のシナリオライター・高崎とおる氏がコメントを寄せてくれているので，以下に掲載している。こちらも合わせてご一読いただきたい。

NPO法人日本PBMアーカイブス、全PBM保全のためにクラウドファンディングを実施

全PBMを記憶から記録へ。90年代から2000年代に一斉を風靡したPlay By Mailゲームのすべてをネット公開情報にするためのクラウドファンディングが、9月8日午後7時からスタートします。


Play by Mailゲームの資料を集め保全するNPO法人日本PBMアーカイブスが、収集した資料を一般に公開するアーカイブサイトを構築する費用を集めるために、クラウドファンディングを9月8日午後7時から開始しました。

数多くのライトノベル作家やゲームデザイナーなどの業界関係者を排出することになった、伝説的なゲームと言えるPBM。その代表作品である遊演体の『ネットゲーム‘90　蓬莱学園の冒険！』の未公開資料を含む様々な資料が、公開されます。
また本クラウドファンディングで開発したサイトでは、ホビー・データの『クレギオン』ほかのPBM作品の公開も行う予定となっております。

また本クラウドファンディング以降、現在は絶版となっている『蓬莱学園』シリーズ小説の復刊、『蓬莱学園の冒険!!』TRPG第三版発売や、イベント開催なども行なっていく予定です。

CAMPFIRE「蓬莱学園の冒険！」保管資料公開計画プロジェクトページ