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ファッションにおけるデジタル体験を提供。3社共同メタバースプロジェクト発表会をレポート
発表会には,JP GAMESを率いる元スクウェア・エニックスの田畑 端氏も登壇し,メタバースの新たな可能性に関するディスカッションに参加している。本稿ではその模様をレポートする。
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冒頭に登壇したのはアリババクラウドのユニーク・ソン氏。同社が日本の東京圏に3か所めとなるデータセンターを設立したことを発表し,日本市場におけるクラウドベースのメタバース技術を推進すると述べた。
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続いて登壇したのは,TSIホールディングスの今泉 純氏。「ファッションエンターテインメント」を掲げる同社は50以上のファションブランドを有し,2017年から3Dデジタルによる服飾デザインを進めている。そして今回,同社が展開するゴルフウェア「PEARLY GATES(パーリーゲイツ)」のメタバース空間におけるPoC(Proof of Concept:概念実証)をスタートするとのこと。
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これはアリババクラウド上で動くJP GAMESのメタバース空間構築技術フレーム「PEGASUS WORLD KIT」に,TSIホールディングスがデザインした洋服の3Dデータを取り込み,それをメタバース空間上のアバターに着せて,動作や重ね着など,さまざまなニュアンスの技術的な検証を行うというものだ。
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TSIホールディングスは「超・ファッション」というワードを掲げ,売ることを主体としたデザインから脱却するために,デジタル空間でより自由で大胆なデザインを提案。ホンダがF1で培った技術を市販車にフィードバックしたように,メタバース内でデザインクリエーションを磨き,それを市販の服へとフィードバックするという発想に基づいて本プロジェクトを推し進めていくという。
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JP GAMESの田畑氏は発表会後半のディスカッションに登壇。洋服のプロフェッショナルがデザインした服をメタバースに転用することで,「PEARLY GATES風のアバタースキン」ではなく,「PEARLY GATESそのもののアバタースキン」という,愛用者も納得のいくデザインをゲーム内の衣装として提供できる可能性が広がるだろうとコメントした。
ゲームのキャラクターが着用する衣装は,凝ったものを作るには多くのコストが掛かり,なおかつクオリティ的にプロの服飾デザイナーが作るものには及ばないことも多い。そこに服飾のプロフェッショナルが参入することで,ユーザー体験にも大きなプラスになっていくのではないかと述べた。
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近年,ユーザーが仮想の世界で過ごす時間が増えており,これに伴ってデジタル世界にも産業が広まりつつある。今後はより世界が広がり,アバターができることも増えていくというのがこれからのメタバースの動きであり,今回の3社による共同の取り組みは,アバターへの投資価値をユーザーが感じられるものになると田畑氏は説明した。
TSIホールディングスは今後の成長領域である「ウェルネス&ライフスタイル」「ストリート&カルチャー」の分野において,このプロジェクトへの参入を検討しており,リアルでは不可能なメタバースならではのエンターテイメント性の高いコンテンツや体験を2023年のリリースを目標に進めていく予定だ。
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