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インディーズゲームのVRイベント「GameVketZero」から,気になる作品をピックアップして紹介
VRイベント「GameVketZero」が本日スタート。場所や時間にとらわれないバーチャル空間を利用したインディーズゲーム展示会をレポート
本日(2021年4月29日),VRイベント「GameVketZero」が開幕した。本イベントは,さまざまなインディーズゲームの紹介を目的としたもので,主催はVRイベントを多数手がけているHIKKYだ。本稿では,イベントの様子を写真とともにお伝えする。
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「GameVketZero」公式サイト
切って,組んで,作る。自由度全振りのVRサンドボックスゲーム「プリミティア」
「プリミティア」(Primitier)はVR空間上で,さまざまなモノを作れるPC用サンドボックスゲームだ。従来のサンドボックスゲームに存在する“クラフト機能”的なものはなく,あらゆるものを自分で用意し,組み立てていく必要がある。
例えば斧を作りたいとなったら,辺りに生えている木を,これまた辺りに落ちている石で叩いて切り倒し,できあがった木材の先端に先ほどの石をくっつける。これで簡易的な石斧の完成だ。しかし,石の大きさや木材の太さによっては道具として扱いづらいので,うまい具合に素材を切り出さなくてはいけない。
本作では木や石,鉄など,あらゆるものにHPが存在し,ダメージを与えることで切断できる。ダメージの量は,ぶつけるモノの質量が多いほど,また鋭利な形状であるほど高くなるほか,それを振る速度などでも上下する模様。振りやすい道具を作ることで,効率よく作業を進められるというわけだ。
本作では火を扱うこともできる。落ちている石と黄鉄鉱を打ち合わせると火花が散り,その火花を木の葉ブロックに当てることで着火するといった具合だ。ブロックのサイズによって火の着きやすさが変わるようで,小さいブロックに火を着けてから,その火を使って大きいブロック,木材ブロックへと火を移していくことで,さらに大きい火を起こせる。
さらに,この火の中に鉄ブロックをしばらく置いておくと色が変化し,通常ではダメージを与えても切断しかできなかった鉄ブロックを,叩いて伸ばすことができるようになる。これを見た筆者は,すぐに1つの道具を思い浮かべた。
この世界にはモンスターも存在するようで,公開中のムービーではスライムや謎の飛行モンスターと戦う姿が確認できる。今回,筆者がプレイしたのは序盤のチュートリアルパートだったが,周囲にはスライムの姿をちらほら見かけた(近づくと逃げてしまったが)。
また,自動で動く機械を作ることもできるらしく,プレイヤーの工夫次第ではアッと驚くような機構を生み出すことができるかもしれない。現在も開発中の作品ということで,ゲームの目的やストーリーといったものは存在しないが,サンドボックスとしてのクオリティは非常に高く,“自由度全振り”のうたい文句はだてじゃないと感じた。
本作はデモバージョンの無料配布が行われている。VR空間での自由な創作に興味がある人は,ぜひ一度試してみてみてほしい。
「GameVketZero」カタログページ
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ヘリの操縦と上空からの狙撃。2種類の楽しさを味わえるVRゲーム「AeroGunner」
「AeroGunner」は,ヘリを操縦しながらスナイパーライフルで狙撃を行うPC用VRシューティングゲームだ。現在,先行体験版が配布されており,「ヘリのチュートリアル」「狙撃のチュートリアル」「ヘリのタイムアタック」という3種類のミッションを遊ぶことができる。
本作をプレイしてみると,ヘリの操縦がほどよく簡略化されていることに気がついた。通常,飛行機などの乗り物を操縦するVRゲームは,操縦桿を握るように操作し,途中で手を離すことは基本的にできない。
だが「AeroGunner」のヘリの操縦は,エンジンの出力と移動方向を指定するオブジェクトを特定の位置にスライドさせて行い,その位置を固定することができる。それにより,ヘリを操縦しながら狙撃をするという並行作業が,かなりやりやすいのだ。
また操縦のレスポンスも早めなので,狙撃を楽しみたいのにヘリの操縦がうまくいかず,ストレスを感じるといったことが起こりづらくなっていると感じた。
射撃に関してはチュートリアルミッションしか試せなかったため,まだ未知数といったところ。今後のバージョンアップによって本格的なミッションが登場すれば,狙撃にフォーカスした内容を楽しめるようになるかもしれない。
狙撃や機体の操縦を楽しむVRゲームは数多く存在するが,それらを同時に楽しめる作品は珍しい。先行体験版に収録されているのは,ほぼチュートリアルの内容だが,開発が進むとともに新たなミッションやシステムが追加されることに期待したい。
「GameVketZero」カタログページ
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作り手のロボット愛が溢れる「Vulture -Unlimited Frontier-/0」
ロボットの戦闘とカスタマイズを楽しめるPC用アクションゲーム,それが「Vulture -Unlimited Frontier-/0」だ。プレイヤーはV.U.L.T.U.R.E(Vertical Uncommand Launcher Tactical Universal Running Engine:三次元(無人)砲塔・戦術国際規格走行発動機)を操る傭兵となり,さまざまな任務を遂行し,賞金を得ることで,V.U.L.T.U.R.Eをパワーアップさせていく。
本作の大きな魅力が,随所から溢れる作り手のロボット愛やメカ愛だ。
V.U.L.T.U.R.Eはカスタマイズ可能で,「頭」「胸部」「腕」「足」などの性能や外見が異なるパーツを組み合わせたり,カラーリングを変えたりできる。現在公開されているのは「動作確認版」ということでパーツの数はまだ少ないが,ロボット好きの筆者としては,カスタマイズをしているだけで気分が盛り上がる。
移動ひとつとっても,こだわりが見られる。V.U.L.T.U.R.Eは通常移動だと2本の脚でガシャンガシャンと歩く。そして,バーニアを噴かす中速巡航の「ブースト」,ロケットエンジンによる高速移動の「ロケットチャージ」,長距離移動用の「オービタルモード」という特殊な移動方法が3種類も用意されている。
普通ならば,通常の移動をブースト,高速移動をロケットチャージとまとめそうなものだが,あえてそうしていないのだろう。「それではロボが歩く様子や重量感が表現できない!」という,こだわりの叫びが聞こえて来そうだ。特にロケットチャージはオレンジ色の炎が轟々と燃え盛り,重い鉄の塊を無理やり飛ばしている感じが出ていてたまらない。
そして,オービタルモードは長距離を一気に移動できるが,制御不可能なスピードですっ飛んでいくため,戦闘にはまったく向かない。
ロボットゲームに見られる「長距離移動の際に間延びする」という問題を解決するためと思しきシステムだ。機動力が低い脚部でも快適に移動できるというわけで,このあたりにもロボットやロボットゲームへの愛が感じられる。
「動作確認版」では,多数の敵を殲滅する任務を受けられるほか,ライバルの傭兵と一騎打ちができる「Duel」モードも楽しめる。なお,リリース日は未定とのことで,ゲームの完成度はこれから高めていくと思われる。随所に「アーマードコア」シリーズからの影響が見られる本作の続報が楽しみだ。
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ミサイルをかわし,瓦礫の中を駆け抜ける「ドライブクレイジー」
軽トラで街中をブッ飛ばす,一風変わったPCゲームが「ドライブクレイジー」。公式ジャンルは「シネマティック爆走カーアクション」だ。
プレイヤーが操縦する軽トラックは何者かに追われており,あちこちからミサイルが撃ち込まれてくる。ミサイルが建物を壊すと道がふさがれたりするため,臨機応変に走るコースを変えていかなければならないのが面白いところ。建物が吹き飛び,瓦礫が降り注ぐ光景と相まって,アニメのクライマックスを体験しているかのような気分になれる。
道中にあるオブジェクトを壊したり,トリックを決めたりするとスコアが加算されるシステムもユニーク。ドリフトしつつ対向車や電柱をなぎ払い,ガソリンスタンドに突っ込んで給油機を吹っ飛ばし,ビルに飛び込んでフロアを駆け抜け,ビルの壁をウォールランで駆け上がる。この一連の流れがバシッと決まれば,気分は爽快だ。連続してオブジェクトを壊せばコンボになってスコアが伸びるため,何度も試したくなる。
ユニークな舞台設定だけでなく,アイデア倒れに終わらない操作性,コンボやトリックといったプレイヤーの行動を細やかに評価するスコアアタック要素などにより,バカゲー風でありつつもしっかりと作られているという印象を受ける。
特に面白く感じられたのが,“軽トラの近くに次々ミサイルが降ってきて,進路が塞がれてしまい,次にどこへ行くべきか瞬時の判断を迫られる”というところ。レースゲームとしてはありそうでなかったシチュエーションで,ランダムにミサイルが降ってくるようなステージも遊んでみたくなる。
本作のリリース日は未定だが,現在は「無料版」と「支援版」(内容はどちらも同じ)がダウンロードできる。気になる人はチェックしてみよう。
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美麗ドット絵のメトロイドヴァニア「ハート・フォース・アリシア」
「ハート・フォース・アリシア」(Heart Forth, Alicia)は,美麗なドット絵が目を惹くメトロイドヴァニアだ。GameVketZeroのカタログページによると,対応機種はPCやNintendo Switch,PS5,PS4となっている。
主人公の魔法使い・アリシアは,伝家のムチ「ウイザード・レース」を携えて旅に出る。戦闘時には“魔法で相手を凍らせ,ウイザード・レースでトドメを刺す”といったように,ムチと魔法を組み合わせることが重要になるようだ。ウイザード・レースをパワーアップさせ,新たな能力を手に入れつつ広大なマップを探索する,メトロイドヴァニア要素も充実しているという。
イラストのようなドット絵で描かれたキャラクターが活き活きと動き回る様が実にゲームっぽく,見ていてワクワクさせられる。
制作陣が日本のゲームを愛しているのも注目したいポイントだ。脚本では「ゼノギアス」や「ファイナルファンタジータクティクス」,RPGやアクション要素については「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」,そしてダンジョンは「ゼルダの伝説」「スーパーメトロイド」をそれぞれリスペクトしているというから,日本のゲーマーにも刺さる作品になりそうだ。
2014年に行われたKickstarterキャンペーンは目標額(6万ドル)を大きく上回る232万ドルを集めており,注目度の高さが伺える。気になるリリース日だが,Steamでは「TBA」(後日発表)となっている(GameVketZeroのカタログページでは「2222年2月2日」)。
「GameVketZero」カタログページ
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可愛くてブラックな雨雲が活躍!「レインパレード: イタズラ雲の冒険!」
「レインパレード: イタズラ雲の冒険!」(Rain on Your Parade)の主人公は可愛い雨雲。オモチャのような世界をフワフワ飛んでいくため,メルヘンチックなゲームに見えるが,雨雲の目的は“人々の頭上に雨を降らせてイタズラすること”。結婚式を台無しにしたり,学校の生徒をずぶぬれにしたり,そうかと思えば街角に仕掛けられた爆弾に味方し,これを処理しようとする兵隊を雨で撃退して大爆発に導いたり……まさに傍若無人の大暴れを見せる。
なんともシュールな設定だが,それもそのはず。本作を開発したのはUnbound Creations。マスコミになって偏向報道で世論を操れる「ヘッドライナー:ノヴィニュース」で知られるデベロッパなのだから,ブラックな作風にもなっているのもうなずける。
人を困らせて喜ぶ雨雲が主人公とはいえ,ビジュアルが可愛らしいうえ,誰かが死んだりすることはないので,あくまでイタズラの範疇(IARCレーティングも「7歳以上」だ)。自然を破壊したり,哀れなゴミ箱に火を放ったりする人間たちにお仕置きをするステージもあり,雨雲に感情移入できるようになっている。
本作はSteamやNintendo Switch,Xbox Oneのダウンロード版が配信中。気分転換できるゲームを探している人におすすめしたい1本
だ。
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美少女がオープンワールドを駆け抜ける「Neon Tail」
アニメ風の美少女・ルビーが,インラインスケートで街を駆け抜けるPC用アクションゲームが「Neon Tail」。GameVketZeroのカタログページでは2021年12月31日のリリース予定となっているが,現在は公式サイトにてデモバージョンを公開中だ。
舞台となる「ブルーパルスシティ」はオープンワールド。屋台が並ぶ狭い道を一気に駆け抜けたり,手すりや電線の上を滑ったり,道路で車と競争したりと,広大なマップで思う存分にスピード感を楽しめる。後ろ向きに滑ったり,片足立ちしたり,空中で回転したりといったトリックも簡単な操作で披露でき,コンボを決めるとどんどん評価が上がっていく。街が三次元的に広がっているのが面白いところで,あちらに飛び,こちらを駆け下り……と走り回っているだけで気持ちがいい。
アクションゲームとしての爽快感,手触りの心地よさは上々。製品版では,街のあちこちにいる市民からレースやアイテム集めなどを依頼されるようで,どんなミッションが用意されているのか,今から楽しみだ。
開発元のRocket Juice Gamesによれば,「『ジェットセットラジオ』の都会的なダイナミズム,『Life is Strange』のキャラクター作りとナレーションと感情的なつながり,そしてオープンワールドにおける自由度は新世代『バットマン』シリーズからそれぞれインスパイアされている」とのこと。特に「ジェットセットラジオ」が好きな人は要チェックのタイトルだろう。
「GameVketZero」カタログページ
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