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1日の利益は平均66億円。テンセントの2020年第3四半期のオンラインゲーム事業の売り上げは,YoYで+45%
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印刷2020/11/17 12:00

業界動向

1日の利益は平均66億円。テンセントの2020年第3四半期のオンラインゲーム事業の売り上げは,YoYで+45%

 先週の11月12日に,Tencentの2020年第3四半期(7〜9月)の業績報告が公開された。テンセントのIR資料はいつも凄まじい数字が並んでおり,見ているこちらの感覚もやや麻痺気味ではあるが,ゲームに関係あるところをいくつか抜粋してみよう。

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 中国の巨大企業Tencent(テンセント)の,2020年第二四半期の業績報告が公開された。3か月で1.8兆円という売り上げの内訳を,ちょっとだけのぞいてみよう。

[2020/08/17 16:01]

Tencent Announces 2020 Third Quarter Results



3か月の総売り上げは約2兆円,利益が6000億円超


 全体の業績から見てみると,第3四半期の総売り上げは1254.47億元(約2兆円)※1でYoY+29%。前期においてもYoY+29.3%という結果を出していたのに,再びの高水準。この規模感の数字で+30%が続くというのは一体どういう……。
 いつもの非国際会計基準※2での経営利益は,381.16億元(約6064.26億円)で,単純に日割りで換算した一日あたりの利益は,なんと66億円。こちらはYoY+34%で,前期よりもさらに刺激的な数字をたたき出している。

※1 レートはすべて,2020年11月12日の数値(1元=15.91円)で計算しています
※2 特定の一時的および/または非現金項目を除外してコアの収益を反映させる非国際会計基準。今回は,国際会計基準に基づく数字も並行して報告されている。


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オンラインゲームが占める割合は33%,YoY+45%


 この膨大な売り上げには,どんな事業が貢献しているかというと,
・SNS 23%
・オンラインゲーム 33%
・ネットワーク広告 17%
・フィンテック 26%

となっている。

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  2019年の業績報告でも30%前後を占めていたオンラインゲーム事業だが,今期の事業シェアではさらに3%ほど増えた。「3%増えた」とだけ聞くと大した変化ではないように思えるが,テンセントの規模感では,売り上げ414.22億元(約6590.24億円)であって,YoYでは+45%もの数字となる。ただ,テンセントの他事業がすべて前年同期より15%以上の成長をしたことにより,ゲーム事業も調子よく数字を伸ばしたにもかかわらず,全体の中での伸び率を考えたときには大きく目立つ結果にはならなかったが……。
 オンラインゲーム以外に,一部がSNS売り上げとして計算されているハイパーカジュアルゲームを含め,スマホゲームによる売り上げは391.73億元(約6232.42億円),YoY+61%。PCゲームの売り上げは116.31億元(約1850.49億円)となる。
 スマホゲーム売り上げの成長は主に,「Peacekeeper Elite」(「PUBG Mobile」の中国語版)と「王者栄耀」(邦題:「伝説対決 -Arena of Valor-」,iOS / Android)の貢献によるもので,「中国および海外ゲーム市場の課金プレイヤーの増加に伴って高い成長率を見せている」と,さらなるポテンシャルを暗示するような文言が報告に見られる。

一部SNS売り上げに計上されるゲーム内アイテム含め,スマホゲームの収益はYoY+61%,QoQ+9%と急成長(左)
2020年1月〜10月,平均DAUは1億人を超えている「王者栄耀」(右)
画像集#005のサムネイル/1日の利益は平均66億円。テンセントの2020年第3四半期のオンラインゲーム事業の売り上げは,YoYで+45% 画像集#006のサムネイル/1日の利益は平均66億円。テンセントの2020年第3四半期のオンラインゲーム事業の売り上げは,YoYで+45%

 テンセントの快進撃はしばらく止まりそうにないが,これはなにもテンセントだけの話ではない。スマホゲームやインディーゲームだけにとどまらず,ゲーム業界全体において中国メーカーの存在感がさらに一段と強くなってきていることに対し,既存の大手メーカー各社が遅れを取っている感じがするのだ。
 彼らの快進撃に対応するためには,今まで培ってきたノウハウだけではもう立ち行かないことは明白で,時代に対応して変化していくことが求められている。まだまだ成長の手を緩めない中国各社に対し,日本のメーカーがどのように対応していくのかは,今後さらに大きな課題となっていくだろう。


ダウンロードプラットフォームの手数料について


 話はやや逸れるが,事実上Googleが使えない中国Android市場においては,Google Playではない,多くのダウンロードプラットフォームが存在しており,日本ではあまり話題に上がらないが,その手数料は国際的な慣例よりもはるかに高く,主に50%前後となる(そして概ねにおいて対応は相手次第で変わる)。AppleとEpicの訴訟問題は中国でも注目を集め,手数料問題についてがテンセント決算説明会での質疑応答で以下に該当箇所のコメントを全文翻訳して掲載しておこう。

現在のゲーム業界がベースにしている経済原則は,ゲーム開発会社にとっては有利とは言いづらい。多くの場合,デベロッパに分配されている収益と比べると,プラットフォーマーのほうが多くの収益を得ています。テンセントくらいの規模の企業であればそこまで困りませんが,中小のゲーム会社は,このような市場環境では生き残れないかもしれません。

テンセントはいつも,プラットフォーマーの分配割合をより合理的な水準に引き下げることを提唱しております。一部のデベロッパは従来のプラットフォームでゲームを出さずに,新しい,より対等なプラットフォーマーを探す傾向が見られます。テンセントはこのような開拓に対して,とても感心して高い評価をしておりますし,プラットフォーム側がデベロッパに対して,より持続可能な割合で収益をシェアすることを期待しています。長期的な視点で見れば,これにより双方の利益率向上にもつながると思います。

どんな規模のゲーム会社であっても,さらなる成長の余地を持ち,新たなプロモーションツールの試行錯誤を続けられることを期待しています。テンセント自身で言うと,テンセントは既存のプラットフォーマーと良好な関係を維持しており,今後も関係性を最適化しつつ,より持続可能な協力関係にします。

※最近では「原神」がその一例。中国では,オフィシャルサイトのほかでは,手数料を取らないTapTapでしかダウンロードできない。

分配割合は実に対等なパートナーシップを反映しており,プラットフォーマーはゲーム会社に価値を提供することで収益を得ています。これも交渉の中で最も複雑で細かい部分です。プラットフォーマーがより多くの新規ユーザーをゲーム会社にもたらすことができれば、彼らのサービスには大きな価値があり、そうでなければ価値はありません。今後のプラットフォームパブリッシングに関しては,より細分化され,誰にとってもメリットのあるものになっていくでしょう。

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