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「子どもがゲームばかり遊んでいる!」という保護者の悩みを手助け。「子育てにおけるゲーム」をテーマにした相談会の講師達に話を聞いた
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印刷2020/05/27 12:00

インタビュー

「子どもがゲームばかり遊んでいる!」という保護者の悩みを手助け。「子育てにおけるゲーム」をテーマにした相談会の講師達に話を聞いた

画像集#009のサムネイル/「子どもがゲームばかり遊んでいる!」という保護者の悩みを手助け。「子育てにおけるゲーム」をテーマにした相談会の講師達に話を聞いた
 新型コロナウイルスの影響で全国で大半の学校が臨時休校した2020年3月より,子ども達は自宅待機となり,保護者は対応に追われることとなった。そんな中,通信教育「タンキュークエスト」のサービスを手がけているtanQには,多数の保護者会員から相談が寄せられているそうで,特に「子供が家でゲームばかり遊んでいて心配だ」というゲームに関する不安の声が多かったそうだ。

 そこでtanQは3月に,保護者達が抱くゲームへの悩みの手助けをすべく,「子育てにおけるゲーム」をテーマにしたインターネット保護者相談会を開催したところ,参加者からは非常に好評だったという。
 今回は,相談会の講師を務めたチャーリー氏ことtanQ CSO 滝沢久輝氏と,ゲスト講師のきっしー先生こと,元ゲームクリエイターで現在はゲーミフィケーションデザイナーの岸本好弘氏に,子育てにおけるゲームとの付き合い方についてオンラインで取材を行った。

画像集#011のサムネイル/「子どもがゲームばかり遊んでいる!」という保護者の悩みを手助け。「子育てにおけるゲーム」をテーマにした相談会の講師達に話を聞いた
tanQ CSO 滝沢久輝
画像集#010のサムネイル/「子どもがゲームばかり遊んでいる!」という保護者の悩みを手助け。「子育てにおけるゲーム」をテーマにした相談会の講師達に話を聞いた
岸本好弘

tanQ公式サイト



子どもがゲームにハマるのは当たり前。成長に伴いほかにも熱中できるものが見つかる


 tanQは,通信教育サービスの一環として会員向けに有料のオンライン授業を行っているが,今回の一斉休校を受けて3月2日から20日まで無料の「タンキューオンラインスクール」を期間限定で開校していた。すると,期間中に保護者から「子どもが家で籠もってゲームばかりしている」という多くの相談が寄せられたという。

tanQ CSO 滝沢久輝氏(以下,チャーリー氏):
 休校により,それまで日中は別々に過ごしていたお子さんと親御さんが,一緒に過ごさなければならなくなりました。そうなるとお子さんはもちろん,親御さんのケアも必要になります。中でもお子さんの「ゲームやりすぎ」は親御さん,とくにお母さんの心を蝕んでいると感じたんです。

 こうした相談のほとんどは,「小学2,3年生」「男の子」を持つ「母親」から寄せられているそうだ。
 「ゲームで遊んでいる息子の背中を見て,お母さんはなぜそんなに不安な気持ちになるんだろう」と不思議に思ったチャーリー氏が相談者の属性を分析したところ,「お母さん達は,幼い頃にゲームで遊んだ経験がない人がほとんどで,ゲームを遊ぶことに対して悪いイメージを過剰に抱いているのではないか」という仮説に行き着いた。
 そこで保護者,とくに母親が「ゲームとはどんなものか」「ゲームの危険性とは何か」ということを正しくフラットに認識できるようにする必要があると考えて企画したのが,今回の保護者相談会だったそうだ。

画像集#002のサムネイル/「子どもがゲームばかり遊んでいる!」という保護者の悩みを手助け。「子育てにおけるゲーム」をテーマにした相談会の講師達に話を聞いた

チャーリー氏:
 1回めの相談会は,何をどう伝えればいいのか分からず,とにかく保護者とコミュニケーションを取ろうと考えていました。実際にやってみて分かったんですが,僕の役割はゲーム好きな男の子の気持ちを代弁してあげることだったんです。
 家庭の中では,お子さんより親御さんの方が力を持っているので「どうしてお母さんの言うことが聞けないの!」というアプローチになりがちですし,お子さんもまだ自分の考えをきちんと言語化できません。そこで僕自身の経験をベースに,「今になって思えば」という語り口でお子さんの気持ちをお母さんに伝えたんです。

 小学生時代のチャーリー氏はゲームが大好きで,1秒でも長くゲームを遊びたい一心で,毎日学校が終わると走って自宅に帰っていたという。小学4年生のときにリリースされた「ファイナルファンタジーVII」は1週間でエンディングに到達するほど熱中したそうだ。

チャーリー氏:
 僕がゲームに熱中した背景には,両親が共働きでかつ一人っ子だったので,1人の時間が膨大にあったからです。その時間を使うものが,ゲーム以外に見つからなかったんですね。親も僕にあまり干渉しませんでしたし。そんな背景から,当時もっとも楽しかったゲームに吸い込まれていきました。

 中学生になるとチャーリー氏の関心は,同じゲームでも「マジック:ザ・ギャザリング」などのトレーディングカードゲームに移っていくが,依然として勉強よりも遊びに夢中だったという。当時は「何で勉強みたいな嫌なことをやらなければならないんだろう」と思いながら,日々を過ごしていたそうだ。

 しかし,大学生時代に恩師から学ぶことの楽しさを教えられたことから,チャーリー氏は「勉強はすごく楽しいものである」と気づくと同時に,「なぜ小中学校の勉強はあんなにつまらないと感じていたのか。これは問題じゃないか」と考えるようになった。

チャーリー氏:
 勉強もゲームくらい楽しくなるよう工夫できるはずだと考えました。もともとゲーム好きだった僕が,勉強を楽しいものだと認識できるようになった。ゲームが好きな子,勉強が嫌いな子どちらの気持ちも分かると思うので,勉強とゲームを掛け算するようなものを作りたいと考えたんです。
 そこでtanQでは,例えば歴史なら「武将の生き様を追うカードゲームにすれば楽しく学べるんじゃないか」といったことにチャレンジしています。

 岸本氏は4Gamerにて「意外なところにゲーム人」を不定期連載しているとおり,ゲーミフィケーションデザイナーとして活動している。ゲームの要素を学習に取り入れているtanQのチャーリー氏らと知り合ったことがきっかけで,この保護者相談会のゲスト講師に招かれたそうだ。

画像集#003のサムネイル/「子どもがゲームばかり遊んでいる!」という保護者の悩みを手助け。「子育てにおけるゲーム」をテーマにした相談会の講師達に話を聞いた

岸本氏:
 ゲーム関連の保護者相談会というと「ゲームはあまりいいものじゃない」という話になることが多いんですが,チャーリーはゲーム擁護派なので一緒に相談会をやると面白いんですよ。「子どもがゲームにハマって困る」と言うお母さんにまず,「では,もしお子さんが勉強にハマったら,困るとおっしゃりますか?」と聞き返すんです。チャーリーの中ではゲームも勉強も等価なんですね。

 チャーリー氏が母親達にとくに伝えようとしているのは,自身が幼い頃ゲームが大好きで勉強嫌いだったにもかかわらず,大人になった今では問題なくゲームと付き合えていること,そして子ども達が成長するにつれて自然にゲーム以外の楽しいものにも目が向くということだ。
 中学生になれば部活動などに取り組んだり,高校生や大学生になれば友達とバンドを組んで音楽を始めたりするかもしれない。すなわち成長に伴い,行動範囲が広がって世界も広がり,交友関係も増え,ゲーム以外にも魅力的なものがあることを知っていくので,小学生の時点で心配する必要はないというわけである。

チャーリー氏:
 むしろ,今の小学生は守られすぎな部分がありますよね。家と学校,そして塾を行き来しているだけのような世界観の中で,ゲーム以上に楽しいものと出会うことはなかなかない。外に出ないから,交友関係も狭い。そうなったら,ゲームにハマりますよね。


ゲームに熱中できるなら,ほかのことにも熱中できる


 チャーリー氏は相談会で,ゲームに対する「攻め」「守り」の話をするという。この場合の攻めは「ゲームと同じくらい熱中できるものに,いかにして出会うか」という本質的な部分を,保護者がサポートすることを指す。
 加えてゲームに熱中すること自体,それほど悪いことではないことも語る。それは,今ゲームに熱中できるということは,別の何かを見つけたときにも熱中できているというシグナルだからだという。

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 また,岸本氏はかつて自身がゲームを作っていた立場から,「ゲームは遊んだ人がハマるように,作られている」という話をするとのこと。
 まず脳科学の観点からすると,ドーパミンはゲームを遊んでいるときに脳内で放出され,とくにステージをクリアしたときなどは大量に出て爽快感を得られるという。
 それは,勉強や仕事でも同じで,集中して何かを達成したときや,いいアイデアが閃いたときにもドーパミンは分泌されて,爽快感を得られている。つまりゲームにハマることと勉強に集中することは,実のところ脳の中でまったく同じ仕組みが働いているわけである。

チャーリー氏:
 僕自身は,かつてゲームに熱中していたように,今仕事に対して熱中しています。つまり同じようにドーパミンが出ているんですね。僕はこれを「ドーパミン放出力」と呼んでいます。
 「息子がゲームばかり遊んでいて心配」というお母さんには,「いえいえ。熱中できることは強い武器で,ゲーム以外の熱中できる何かを見つけたときも同じようにドーパミンが出て,困難があってもやり遂げると思いますよ」と説明すると,納得してもらえます。

岸本氏:
 先ほど話したように,ゲームは遊んだ人がハマるように作られていますから,いい大人でもなかなか抜け出せなかったりしますよね。未成熟な子どもに対してそこは,親御さんがきちんとコントロールしなければなりませんという話もしています。

 一方,守りは「何かしらのルールを作り,ゲームの時間を制限する」という一般的な制限方法である。ただ,このとき重要なのは,保護者が勝手にルールを決めるのではなく,当事者の子どもと話し合って一緒に決めることだという。

チャーリー氏:
 「私がルールを決めて,あなたが守る」は絶対に通用しませんし,親子関係も悪くなります。「これに従うべきだ」と当の本人が思わない限り,ルールは基本的に守られません。

 またゲームのプレイ時間に関しては「一律,ゲームは1日に○時間まで」というルールを設定しがちだが,この決め方はあまりよくないとチャーリー氏は語る。その理由はゲーマーなら分かると思うが,ゲームの区切りのいい部分と設定した時間が合致しないケースが多いからだ。

チャーリー氏:
 いいところに差し掛かっているので,時間が来ても続けたい気持ちが勝ってしまうことがありますよね。それはもう仕方がないと思うんです。「ゲームは1日○時間」というルールがゲームの仕組みにマッチしていない。なので,僕は時間制限を決めるなら,1日2時間だったら1か月で60時間という時間予算制にすればいいと思っています。そうやって1回始めたらキリのいいところまで遊べるようにして,お子さんにも時間の管理ができますよね。
 この方法をお母さんに紹介すると,一緒に聞いている男の子達が「そうそう」って頷くんですよ(笑)。ゲームを知っていれば分かる話なんですけれど,そういう経験していないとなかなか分からないんですよね。


ゲームプレイ中の暴言は世界観に合わせた「ごっこ遊び」に過ぎない


 この保護者相談会はこれまで4回開催され,70〜80人ほどの保護者が参加している。「ゲームが悪いことだけではないと何となく理解しているけど……やっぱり不安」という人が多いという。
 その一方で参加者の中には自身がゲーマー,もしくは元ゲーマーという母親もごく少数存在する。彼女達は子どもがゲームに熱中していてもあまり気にかけないが,「私はゲームが悪くないと思っているけれど,本当にそれでいいのだろうかとも思う」という疑問を抱いて相談会に訪れるとのこと。

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チャーリー氏:
 ゲームを知らないお母さん達も,ゲームは必ずしも悪いものではないと,心の底では何となく理解しているんです。「禁止するのは違う気がする。でもどうすればいいか分からない」「ゲームの攻略法を求めてYouTubeの動画ばかり観ているけれど大丈夫だろうか」という疑問は,本人がゲームをよく知らないからモヤモヤが沸くんですね。一方で,元ゲーマーのお母さんは「自分の考えは正しいのだろうか」という確認の意味もあって参加される方が多いです。
 ただ,「ゲームを止めさせて,勉強をさせたい」と直接相談してくるケースはないです。本音では「勉強させたい」という気持ちがあるかもしれませんけれど。

岸本氏:
 参加者であるお母さん達は,もともとゲームを使って楽しく学ぶことを提唱するtanQの理解者です。子ども達からゲームを取り上げて勉強させるのではなく,自らゲームで遊ぶ時間をコントロールして勉強するようになってくれたらいいな,と思っているんでしょうね。ただ現状は,あまりにもゲームを遊び過ぎているので,心配なんじゃないでしょうか。

 ゲームを遊ぶ時間以外の母親達の心配事の1つに,息子達が対戦ゲームを遊んでいるときに,「死ね!」「殺せ!」などの乱暴な言葉を使うことがあるという。
 これに対してチャーリー氏は,ゲームを原始時代の狩りになぞらえ,かつて男達は集団でマンモスなどの獲物を狩っていたこと,おそらく男の子達も小さな獲物を取り囲んで「やれ!」「倒せ!」みたいなやり取りをしながら狩猟の訓練をしていたこと,さらに今はそれができないから男の子達が代替行為として対戦ゲームを遊んでいるのではないかと分析する。

チャーリー氏:
 暴言のもう1つの原因は,「共感力の表れ」にあると考えています。巨大なドラゴンを取り囲んで「やれ!」「裏に回れ!」と叫んでいる男の子は,ゲームの設定を把握してその世界の一員になっているんです。この世界では,こう振る舞うべきだと。ごっこ遊びがきちんとできるのは,社会性の表れですよね。
 プレイヤーが生きるか死ぬかという場面で,丁寧に「右側にお回りください」なんて言ってたら,逆に空気が読めない子ですよ(笑)。ドーパミン放出力と同じで,子どものいい能力として捉えてあげると見え方が変わると思うんです。

 また2019年に世界保健機関(WHO)がゲーム障害(gaming disorder)を国際疾病分類(ICD-11)に加えたことによって,「子どもがゲーム中毒になってしまうのではないか」という相談もあるとのこと。
 そうした相談に対して,岸本氏は「ゲームをプレイする時間を自分でコントロールできず,生活や社会活動に支障が出る。個人,家庭,社会,教育,職業などの重要な領域に重大な支障をきたす状況が12か月続くと診断される可能性がある」という,WHOの定義をきちんと説明するそうだ。

 加えてチャーリー氏は,ゲームに限らずどんなものにも中毒性や依存はあるとも指摘する。買い物にも依存症があるし,長らく健康にいいとされてきたランニングにさえ依存症がある。ゲームの依存症ばかりが大きく取り沙汰されるのは,やはりゲームについて知らない人がまだまだ多いからではないかとチャーリー氏は推測している。

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チャーリー氏:
 WHOの発表を知ってもらう意図は,お母さんの中に,どういう状態になったら危ないのかという基準を作ることにあります。この話をするとお母さんは「うちの子はそこまでじゃない」と安心しますね。

 「いいゲーム」と「悪いゲーム」に関する相談も目立つそうだ。例えば教材として使われているのでいいゲーム,人と戦うからこれは悪いゲームのようなイメージがある……という母親が多いとのこと。そういった母親達は,子どもの教育観点からのゲームの分類を求めているそうだ。

チャーリー氏:
 例えばこのゲームはは相手を撃つという点が気になるけれども,チームプレイやコミュニケーションの領域は◎を上げてもいい。そういった感じでいろんな項目を○×△で評価した基準が欲しいという意見も聞きます。こういった子どもの教育という観点から分類できるものがあっても良いのではないかと思っています。


「ゲームに熱中する力」を子どもの人生におけるテーマに導くことが保護者の役目


 tanQでは,一連の保護者相談会に先駆け,子ども達だけでゲームとの付き合い方を考える会も開催していた。もちろん子ども達はゲームを擁護する立場であり,「ゲームはこういうところがいい」という議論が交わされたとのこと。

岸本氏:
 1日何時間までというルールでゲームを遊んでいる女の子が,ゲームを始めたと思ったらあっという間に時間が過ぎてしまい,お母さんに注意されたというエピソードを披露しました。その子は絶対まだ時間が経ってないと思い,お母さんが時計を進めたのではないかと疑ったそうです。ゲームにハマったことがある人なら,この話に頷く方も多いと思います。
 あとはゲームが止められないときに一番効くのは,結局お母さんの「止めなさい!」だという意見が面白かった(笑)。

 しかし誰かに怒られたからゲームを止めるというのは,決して褒められることではない。岸本氏は,保護者達に「親に注意されたから止める。裏を返せば注意されるまでやり続ける。お子さんを,そういう人間に育てたいですか」と問うという。

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岸本氏:
 今は「ゲームに集中していたら時間が過ぎていた」でもいいけれど,成長していく過程で「今はゲームをやってはいけない」と,自身できちんとコントロールできるようならないといけませんよね。「最初はできなくてもいいから,お子さんが自分で考えてコントロールする方向に行くような教育をしないとダメですよね」という話をすると,すごく納得してもらえます。

 ゲームとの付き合い方に関する保護者相談会は,今後も何かしらの形で続けて行きたいとチャーリー氏は語る。例えば,今回相談会に参加して「なぜ子ども達がゲームに熱中するのか」を多少理解した母親達からは,次に「いいゲーム,悪いゲーム」を自分なりに判断できるような企画に参加したいというリクエストが寄せられているそうだ。
 
チャーリー氏:
 「ママと一緒にゲームを遊ぶ会」という企画が面白いんじゃないかと考えているんです。お母さん達も,一度「フォートナイト」なんかをやってみるといいんですよ。そうすれば「なるほど,これは楽しいな」「昔,水鉄砲で撃ち合って遊んでいたけれど,今はそれができないからこうやってゲームでやっているんだな」というのが分かると思うんです。

岸本氏:
 ルール作りの成功事例の紹介もやってみたいですね。各家庭の事情に合わせて作ったルールがうまく機能している事例を,困っているお母さんに紹介するわけです。
 あとは相談会に参加して学んだ結果,何か月か経って改善が見られたかどうかも聞きたいです。たとえ「何も変わらない」という結果であっても我々は知りたいですね。「この方法なら絶対大丈夫」というものはないので,事例をたくさん集めてお母さん達に示し,ご家庭の事情に近いものを選んでもらうというのがいいんじゃないでしょうか。

 最後に,チャーリー氏と岸本氏に語ってもらった今回の保護者相談会の感想や,今後の展望などを掲載して本稿の締めとしよう。

チャーリー氏:
 「ゲームに熱中する力」は,お子さん自身が持つ「熱中力のシグナル」です。そのシグナルを見た保護者の行動の本質は,お子さんをうまくサポートしてコントロールしつつ,その高い熱中力を運命のテーマに導いてあげることだと考えています。
 僕自身,教育を楽しくすることに使命感を抱いて臨んでいますけれども,実はこの人生自体がゲームそのものなんですよね。会社の売上を上げなければならない,そのために最適な戦略は何だろう,やるべきことの優先順位は……と,脳の使い方や熱中具合はゲームを遊ぶときと何も変わりません。
 小学生の僕はゲームにハマっていましたが,今は仕事にハマっています。今ゲームに夢中なお子さん達に,彼らの人生がゲームになるような出会いを,保護者の皆さんと一緒になって提供していきたいですね。

岸本氏:
 私自身はずっとゲームを作ってきたし,ゲームはいいものだと捉えています。ただある意味で過剰摂取は危険というか,こってり系なのでおいしいからこそ気をつけなければならない部分もあります。お母さんは,分からないから不安なのであって,ゲームがどういうものなのかを説明してあげれば安心する方がほとんどです。
 今回の相談会のような取り組みは,より多くの人にゲームの良い部分,気をつけるべき部分を知ってもらうために必要ですし,私にしかできないことだと思いますから,今後も続けていきたいと思います。

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