
インタビュー
「八神庵のそば」を仕掛けた信州の老舗蕎麦屋の取締役に聞く,次の世代のためのギフトとキャラクターグッズの熱い関係
「蕎麦処 八神庵のそば」と題されたこの商品は,KoFの人気キャラクターである八神庵がパッケージに配された商品だ。ジャンルとしては「キャラクターグッズ」,攻めた名前で呼べば「キャラ蕎麦」となる。蕎麦屋店員の格好をして蕎麦を打つ八神のパッケージイラストとあわせ,少なからぬ人は「最近の庵は異世界行ったりしてるし,蕎麦くらい打っても不思議じゃないよね」といった感想を抱いたのではないだろうか。
だが「蕎麦処 八神庵のそば」は謎の衝撃をもって界隈を直撃し,「これをマジで作るとは!」という驚きの声にSNSは湧いた。
なぜ八神庵が蕎麦なのか? そしてこの蕎麦を企画した「信州 油屋清右衛門」はどんな会社なのか? というか字面を拝む限りで言えばオタク産業から極めて遠い世界にありそうなこの会社(事実,長野で蕎麦の製麺業を営む創業95年の老舗である)が,なぜ「キャラ蕎麦」を仕掛けるのか?
信州 油屋清右衛門(株式会社山岸産業)の代表取締役である山岸 靖氏に,ここに至るまでの道のりと,今後の展望について聞いた。
![]() |
4Gamer:
まずは会社とご自身の自己紹介からお願いできますでしょうか。ゲームサイトということもあり,ほとんどの読者にとって,食品業界というのは雲をつかむような世界でもありますし。
山岸 靖氏:(以下,山岸氏)
はい。弊社「信州 油屋清右衛門」は長野で事業を始めて今年で95年目,そば屋としては第66期めくらいになります。
主な仕事は蕎麦屋ですが,いわゆる「お蕎麦屋さん」を営業しているのではなく,製麺を行う会社(工場)ですね。自分の父親のときに蕎麦の製造工場を完成させ,同時にお中元・お歳暮向け商品を作るという仕事を始めまして,百貨店を中心に今も主力商品として販売しています。
4Gamer:
ギフトということは乾麺ですよね?
山岸氏:
はい。蕎麦単体ではなく,さまざまな長野の名産品とセットで商品化しています。ただギフトの中核を担う「お中元・お歳暮」という習慣そのものが,徐々に厳しい状況になってきています。
そんななか,自分が社長に就任したのは2018年6月のことです。ギフト商品の製造販売という事業は継続するとしても,何か新しいことをしなくてはならないのは明白でした。
自分が社長になり,ある程度好きなことができるようになったので,「ならば自分の明るいジャンルで挑戦していこう」と考えたんです。
4Gamer:
それがいわゆるオタク系・サブカル系商品の開発だった,と。
山岸氏:
もともとギフトを扱っていますから,箱・印刷・デザインといった方面とも付き合いがあります。そういう領域に対しても動きが取りやすかった,というのも理由の1つですね。
先ほど少し触れましたが,ギフト商品は蕎麦単品で成立しているわけではありません。バラエティ感や地元感が出るような「セット」でギフトとしています。長野の場合,七味唐辛子・りんごジュース・野沢菜などが代表的なものになります。
つまり弊社は蕎麦以外にも,そういった商品を個別に卸してもらうルートも容易に確保できます。今やっているような商品を開発・展開する土壌はもとからあったんです。
これらを利用して趣味を仕事にしてみたら,おかしな方向に進んだぞ……というのが現状になります(笑)
最初の一歩は「おけまるリンゴジュース」
![]() |
油屋清右衛門さんが始めた,いわゆるキャラクター商品の企画・製造・販売という仕事の,最初の一歩はVTuber商品だったと記憶しています。
山岸氏:
一番最初に手掛けたのがバーチャルライバーグループ「にじさんじ」の「おけまるリンゴジュース」でしたね。ライバーのお馴染みのフレーズで商品にしました。
まだあの頃は「にじさんじ」にも人が増え始めたばかりの頃で,公式グッズもあまり作られていませんでしたね。それである日「にじさんじ」のファンとして配信を見ていたら,「おけまるリンゴジュース」というフレーズが飛び出してきたんです。
4Gamer:
「リンゴジュース」というのがピンポイントですね。
山岸氏:
そうなんですよ。「これならウチで作れるじゃないか」と。
そこで「弊社はこういう会社で,長野の本格的なりんごジュースを扱えるのだけれども,おけまるリンゴジュースをグッズとして作ることは可能か」と打診してみたら,「興味があるので,すぐに話をしましょう」とご返事を頂きました。そこからトントン拍子で話が進んでいきましたね。
4Gamer:
山岸さんはVTuberの配信をどれくらい見ていらっしゃったんですか?
山岸氏:
「にじさんじ」ファンの中では「どこの配信に行ってもいる人」くらいの認知だったと思います。そもそもオタクですから,オタクとして深みにハマって楽しんでいました。
最初に「にじさんじ」の配信を聞き始めた頃には,まさかこれが仕事につながるとか,思ってもいませんでしたね。
4Gamer:
あくまで趣味の一環でしかなかった,と。
山岸氏:
実を言えば,父親もオタクで「宇宙戦艦ヤマト」や「007」シリーズの大ファンなんですよ。
その影響もあったのか,僕は学生時代からずっとオタクだったんですが,親の理解はそれなりにありました。
ただ父親からは,僕がハマった漫画やアニメについて「消費するだけではなく,それらを売る方に回れないのか」ということはしょっちゅう言われてましたね。
4Gamer:
とはいえコンテンツビジネスで商売するとなると,ちょっと大変ですよね。
山岸氏:
そうなんですよ。僕もクリエイターの仕事には憧れがありましたが,蕎麦屋の仕事と兼業するのは難しいだろうと思っていたんです。
でも社長になったからには,いっちょやってみようと。
4Gamer:
先ほど「お中元・お歳暮が落ち込んできているので,新規事業が必要だった」という話を伺いましたが,やはりギフト産業は苦しいですか。
山岸氏:
いえ,ギフトそのものは増えているんです。今はAmazonの「ほしいものリスト」だとか,少しニュアンスが異なりますが,配信者への「投げ銭」だとかもいわゆる「ギフト」です。新しい形のギフトが増えているんですよね。
4Gamer:
ああ,言われてみれば自分もSteamでゲームをギフトしたりします。
山岸氏:
一方で,お中元やお歳暮はそもそもの習慣のラインから滑り落ちようとしています。とくに顕著なのがBtB(企業から企業)のお中元・お歳暮で,これは激減しました。
全体としてはじわじわ増えているけれど,いわゆる「フォーマルなギフト」はじわじわ減るという状況にあります。
4Gamer:
フォーマルなギフトも,まだ微減なんですか。
山岸氏:
冠婚葬祭でのギフトが安定していますから。
ただ,これまでの形式や伝統が崩れてきているのは間違いなくて,減少傾向には歯止めがかかる気配がないです。ネットギフトは増えているんですが,そもそも母数が違いますので,それでフォーマルギフト全体の減少を支えられることはできないんですね。
4Gamer:
でもギフト産業全体は伸びているのだから,何かやりようもあるだろう,と。
山岸氏:
そこでキャラクター商品という新ビジネスを始めたわけです。
ただ,働いている人のこともありますから,「社運を賭けた新企画」ではなく「しくじっても会社に重大なダメージを与えない程度の範囲で新しいチャレンジをする」という企画としてスタートしました。
もちろん質にはこだわりますが,「失敗したら会社を畳むぞ」という話ではないんですよ(苦笑)。
ともあれ「おけまるリンゴジュース」の場合も,ちゃんとしたギフト品質の高級リンゴジュースを使っています。その結果「リンゴジュースなのに高い」と言われもしましたが,一方で「これはガチなものが来た」という受け取られ方もしてもらえました。
4Gamer:
本格志向,ということですね。
山岸氏:
世の中に「良いもの」っていう判断は間違いなくあるんです。でもその「良いもの」を「良い」と判断してもらうのが,とても難しい時代になりました。
「おけまるリンゴジュース」を買ってくださった方からは「こんな値段のリンゴジュースは見たことがない」という意見と同時に「こんな美味しいジュースを飲んだのは初めてだ」というご意見もたくさん頂いています。飲んで(食べて)もらえれば,その良さが分かってもらえるんですが。
![]() |
4Gamer:
「キャラグッズだから高くても仕方ない」のではなく「高いけれどすごく美味しい」商品なわけですね。
山岸氏:
はい。つまり「にじさんじ」というIPを間口として,良い商品に触れてもらえたという流れは作れたわけです。
現代では「良い商品を,どうアピールするか」という点がしばしば課題になりますが,僕はそこで「良い商品に,良いコンテンツを組み合わせる」ことを選びました。
「ちょっとお高いんだけど,このブランドは知っているなあ,きっと美味しいんだろうなあ」という商品と,自分が知っているIPがコラボしたら,やっぱり買ってみたくなる。「おけまるリンゴジュース」は,その「買ってみたくなる機会」の提供でもあったんです。
また,生物にとって飲食は生きるうえで必要不可欠ですから,自分のテリトリーに近いところから食品や飲料が出てくると,つい買ってしまう……というのもありますね。
4Gamer:
“キャラクターグッズの食品”というフィルターがあるぶん,食べてみて美味しかったら「大当たり」な感じがしますね。
山岸氏:
「若い人が良いものを買おうとしない時代だ」なんて言われますが,みんな「自分が好きなコンテンツにはお金を落としたい」という気持ちだって持ってます。そこでお金を落とす先として,キーホルダーやポスターといったものではない,「新しい選択肢」として,食品が受け入れられている部分も感じます。
コラボカフェが盛況なのを見て,そういった潜在的な需要が高いのは間違いないとも思っていましたし。
キャラクターの個性を表現したヒロアカ七味
4Gamer:
「おけまるリンゴジュース」の次が,「僕のヒーローアカデミア」の蕎麦と七味でしたね。
まずこれ,どうやってヒロアカIPと連絡を取るに至ったのかを知りたいんですが。
山岸氏:
根底にあるのは僕自身が「僕のヒーローアカデミア」の大ファンであることですね(笑)
で,それは基本なんですが,地方の商工会が開催する「版権利用商談会」に東宝さんが参加されていて,そこにヒロアカもラインナップされてたんですよ。
ならばということで,「ぜひうちの蕎麦で,ヒロアカ世界の登場人物が食べている蕎麦を作りたい」という趣旨の熱烈な長文メールを出しましたところ,好意的な反応を頂いたというのが初手ですね。
4Gamer:
かくして「轟焦凍の蕎麦」(「轟焦凍」は「僕のヒーローアカデミア」に登場する人気キャラクターのひとり。そば(あたたかくないやつ)が好物)が生まれたわけですね。
同じタイミングで「爆豪勝己の七味唐辛子」もリリースされましたが,こちらも同時進行だったんですか?
![]() |
山岸氏:
これは先方からのご提案で,「蕎麦以外にも何かいけませんかね」という話があったんですよ。
そこでいろいろと考えたのですが,ふと「キャラクター香水」というジャンルのことを思い出しました。「キャラクターをイメージした香り」がOKなら,「キャラクターをイメージした味と香り」だってOKだろうと。
それにこれなら,特に好物が設定されていないキャラクターでも対応できます。
4Gamer:
え? そういう発想なのはすごいですね……蕎麦だから七味という話ではなかったんですね。
山岸氏:
蕎麦だから七味という発想がなかったとは言いません(笑)。
それはそうと,七味ってつまりスパイスですから,調合によっていろいろなものが作れるわけですよ。実際,老舗には「自分の好みにあわせて調合したオリジナル七味」みたいなサービスすらあるわけです。
じゃあ,と思って長野の老舗である八幡屋磯五郎様に連絡を取って,企画を相談してみることにしました。
![]() |
4Gamer:
八幡屋磯五郎の七味って,それ単体でファンがいる鉄板の商品ですよね。自分も愛用してます。
山岸氏:
おっしゃる通り,八幡屋磯五郎さんは老舗中の老舗です。「八幡屋磯五郎さんとのコラボ」という形での開発になったんですが,ファンの方からは「どこが作ってるんだと思ったら八幡屋磯五郎じゃん」というポジティブな反応を頂きました。
4Gamer:
まさに「良い商品に,良いIP」ですね。
山岸氏:
「爆豪勝己の七味唐辛子」に限らず,自分が商品を開発するにあたって特にこだわっているポイントが2つあります。
1つめは「日常に溶け込めるデザイン」ですね。単純にそのIPの絵が乗っただけのグッズではなく,我々の日常生活の中にあって不自然でなく,かつ作品世界の日常生活の中にあって不自然ではないもの。そういう,ファンの方が思わず「にやり」としてくれるものを作ることを目指しています。
4Gamer:
フィクションと現実の中間地点にあるような感じですね。
山岸氏:
それからもう1つが「キャラクターイメージを踏まえた上での食品としての完成度」です。
「爆豪勝己の七味唐辛子」の場合,まず「爆豪は辛いものが好きだ」という設定がありますから,「七味で辛さと美味しさが両立する限界ラインを目指す」というところまでは素直に考えられました。
その上で考えたのは,爆豪というキャラクターの持つ能力です。彼の能力は「火」ではなく「爆破」なんです。なので同じ「辛い」であっても,「食べた瞬間に劇的に辛いけれど,後にはひかず,しっかりとした香りのあるもの」であるべきだろう,と。
4Gamer:
まさにこだわりですね……。
山岸氏:
発想の根底がキャラクター香水ですから(笑)。
そういう方向性で八幡屋磯五郎さんにオーダーして作ってもらったのが「爆豪勝己の七味唐辛子」なんですが,実は今では「『爆豪勝己の七味唐辛子』の中身だけ売ってほしい」というオーダーが八幡屋磯五郎さんに入ることがあるそうです。
「爆豪勝己の七味唐辛子」が,「美味しい七味」というものを食べてもらえるきっかけになったんだ,と思うと,それは嬉しく感じますね。
人体欠損と食品の奇跡のコラボ「The Missing」ドーナツ
4Gamer:
さて,そこからいよいよゲームIPとのコラボに入っていくわけですが,最初が「The Missing」のドーナツでしたね。
山岸氏:
そこまでVTuber,アニメ,漫画と来たので,僕としてもゲームに行きたいという気持ちがありました。僕自身,多趣味なオタクですが,一番深入りしているのはゲームだという自覚と自負がありますし。
4Gamer:
ゲームはどんなものを?
山岸氏:
格ゲーですね。特にアークシステムワークスの作品が好きです。どれくらい好きかというと,家にNESiCAの筐体があるくらいには好きです。
![]() |
4Gamer:
「家にNESiCAの筐体」って,すごいパワーワードですね。
そのあたりも後で詳しく伺いたいですが,まずは「The Missing」のドーナツの話からお願いします。
山岸氏:
アークシステムワークスのゲーム好きとして「The Missing」も注目していたんですが,これまたいろいろありまして,「The Missing」に登場するドーナツを作りませんかという話になりました。
これはどちらかというと,作るに至った経緯というよりは,「食品会社がこれを作る」というほうに重みのある話ですね。
4Gamer:
と,言いますと?
山岸氏:
ご存じの通り,「The Missing」は人体がバラバラになったり燃えたりと,いろいろ過激な表現のある……というか,それを利用してステージをクリアしていくタイプの作品です。
その一方で食品業界にとってみると,グロ表現とかゴア表現とかって基本的に鬼門ですから。
4Gamer:
言われてみれば当然でした……。
山岸氏:
でも主人公の身体がバラバラになるのが「The Missing」の世界観なので,そこは避けて通れないなと。結果,ゲーム中に登場する状態異常アイコンを詰め込んだデザインをしてみたりしました。
このあたりは「食品会社にとっての常識」と「エンターテイメント産業にとっての常識」の,せめぎ合いな側面でもあります。
4Gamer:
もうひとつ伺いたいのですが,ドーナツはどうやって仕入れたんですか? ここまでは,リンゴジュース・自社の蕎麦・七味唐辛子と,「長野でギフトを作っている蕎麦屋さんなら手が届くだろう」と想像はできたんですが,ドーナツはちょっと距離があるように思えます。
山岸氏:
蕎麦って,蕎麦粉と小麦粉が主原料なので,弊社は小麦粉問屋ともつながりが深いんですよ。
そして小麦粉問屋は絶対にパン屋・ケーキ屋とつながりが深いわけですから,小麦粉問屋に「焼きドーナツで賞味期限の長いものってある?」と聞けば,いろいろと情報を教えてくれるわけです。
あとはそのドーナツの製造元を調べて,いろいろと交渉を進めた感じですね。
4Gamer:
なるほど。蕎麦屋とは,蕎麦粉と小麦粉のプロでもある,と。
山岸氏:
「The Missing」ドーナツはBit Summitで販売しまして,会場ではとても盛況でした。僕自身,会場のWhite Owlsブースで直販しましたし,それに合わせてゲームのインストラクターもさせて頂きました(笑)。
いや,もちろん仕事としてはゲームのインストラクターまで頼まれてはいなかったんですが,そこはやっぱりゲーマーですから,つい……。
作品世界から浮かび上がってきた「ザトーショコラ」
4Gamer:
さて,「The Missing」ドーナツに続いて「ザトーショコラ」ということになりますが,こちらの経緯を教えてください。
山岸氏:
「The Missing」でアークシステムワークスさんともつながりができまして,次に「ギルティギア」や「ブレイブルー」の食品グッズも出せないかという話になりました。僕としては大ファンなので一も二もなくお引き受けしますというところだったんですが,具体的な企画が大変でしたね。
これまでのように長野の名産品や,長野で製造している食品を使って……という路線で考えてみて,キャラクターの好物を調べてみたりもしたんですが,どうもうまくかみ合わないんです。
そうやって苦戦しているなか,突如「ザトーショコラ」(GUILTY GEARシリーズに登場するキャラクター「ザトー=ONE」の名前を踏まえたもの)というダジャレが降臨したんです。勢いで「ザトーショコラってどうですかね!」というメールを投げたら,開発スタッフさんたちにバカウケして,それでOKが出ました。
![]() |
4Gamer:
勢いって大事なんですね……。
山岸氏:
ええ,大事ですね!(笑) じゃあこれにOK出して頂いた心意気に答えようということで,パッケージデザインをお願いできるところを探したところ,とある友人から「BALCOLONY.(※)はどう?」と言われたので,思い切って飛び込んでみることにしました。
それで「こんな企画があるんですが」とメールを出したら「ぜひ来てください」という話になりまして,実際に事務所にうかがったところ,BALCOLONY.の社長さん以下4人に囲まれて話をするという事態に……実はそのうちのお一人が「おけまるリンゴジュース」をお持ちの方だったんです。
※グラフィックデザイン会社。本の装丁,雑誌の表紙,パッケージデザイン,ポスターなどを手掛ける。「天気の子」のロゴや,各種宣伝物のデザインで知られる。
4Gamer:
なんかもう,業界あるあるですね!
山岸氏:
どうやらBALCOLONY.さんのほうでも「おけまるリンゴジュースを作った会社に連絡しようかと思っていた」らしくて,そこから先はトントン拍子でしたね。
そして「ザトーショコラ」は高級菓子のテイストで行くという方向になり,そこからは設定を作り込んでいきました。ザトーの部下であるヴェノムが最新作でパン屋になりましたから,彼が元上司の名前を使ってお菓子を出していてもいいんじゃないか? と。
そこでこの妄想を文書にしてアークさんに投げてみたら,監修が通っちゃいまして,さらにはその路線で素材にも配慮をいただけて……という感じで無事「ザトーショコラ」が世に出たという経緯になります。
ファンの方からも「すごいのが出てきた」という評価を頂け,また「中身も美味しい」と納得頂けているようなので,嬉しく思います。
4Gamer:
ヒロアカの七味もそうでしたが,これも普通に贈答品として使えるレベルですよね。個人的にも素直に「ほしい」と思えます。
「ブレイブルー」関係ではもうひとつ,ゆで卵をリリースされていますが,こちらはその……変わっているも抜けて「そこを攻めてくるか」感があります。
山岸氏:
「ハザマの白くてまあるいゆでたまご」ですね。
こちらは劇中でも好物として出てくるので,商品としては割りと素直な構成かなと思います。ただご指摘のとおり,「ゆで卵をどうやってキャラグッズとして売るのか」というのが大きな課題でした(笑)。
![]() |
4Gamer:
自分も商品を見て「そういえば高速道路のサービスエリアでこういうパッケージのゆで卵を見たことある」と思いましたが,燻製卵ならいざ知らず,この量のゆで卵を真空パックでというのは珍しい気がします。
山岸氏:
実はこれは,長野県の企業が出展する展示会で見つけたものなんです。弊社も出展していたんですが,そこで向かいのブースに「レトルトで長持ちするゆで卵」を出していたところがあったんです。それをなんとなく覚えていたんですよね。
そこで実際に連絡してみたら,先方から「すごいところに目をつけましたね」と言われましたが,無事商品化できました。先方も「調味料会社とのタイアップはしたことがあるけれど,IPとのタイアップは初めて」だったそうです。
はじまりはドラマCD「蕎麦処 八神庵のそば」
4Gamer:
さて,いよいよ今回の新作「蕎麦処 八神庵のそば」ですが,これってそもそもなぜ八神 庵と蕎麦なんですかね?
山岸氏:
ネタは20年くらい前のラジオドラマです。
4Gamer:
……はい?
山岸氏:
1996年にラジオドラマCD「NEO・GEO DJ Station」というのがありました。たしか「THE KING OF FIGHTERS '97」の段階でもう出ていたと思うんですよね。ラジオ番組調のドラマCDでして,98・99でライブもやってます。
時期的に言えば「サクラ大戦歌謡ショウ」なんかと前後していて,「声優が舞台に立ってショウをする」イベントのはしり的なものだったのかなと思います。
4Gamer:
社長とインタビューしていることを忘れる話題ですね。
山岸氏:
いやいや。で,その中で「八神庵」は「やがみあん」,とも読めるので,これって蕎麦屋じゃない? みたいなネタが出てきて。かくして「蕎麦屋 八神庵のCM」みたいなところまで,連綿とネタがつながっていたんですよ。
もう,いにしえのSNKファンしか知らないだろうなと思っていたんですが,検索すると今でもこのネタを話している人がポツポツいるんですよね。
4Gamer:
自分はKOFをそこまで遊んでいなかったので不勉強でしたが,とはいえ現代のユーザーにこのネタを出して,どれくらい通じるものなんでしょう?
山岸氏:
それがですね,実はまさに「やるなら今」なんですよ。
というのも先だって乙女ゲームの「THE KING OF FIGHTERS for GIRLS」にラジオ番組風CDが付属するという事件があったんですが,これを知った界隈が「DJ Stationが帰ってきた!」と大いに盛り上がったんです。
もうこれは絶対にやるしかない,今やるしかないと。
![]() |
4Gamer:
SNKへの連絡はどうやって取ったんでしょうか?
山岸氏:
「The Missing」を開発したSWERYさんが元SNKの方ですので,そこから順繰りに,ですね。
4Gamer:
なるほど,そうやって仕事がつながっているわけですか。
山岸氏:
実は僕は20年前,DJ StationのCDをそれはすり切れるくらい聞いてまして,オタクとしての思い入れがめっちゃあるんですよ。
もちろん当時も実家は蕎麦を作ってましたが,かといって八神庵の蕎麦を作るのは無理だよな……みたいに思ってました。でも,もし作るんだったらどうしても自分が作りたかったんですよね。
4Gamer:
20年越しの思いが結実したわけですね。
セットとしては割り箸もついてくるようですが,これは一体……?
山岸氏:
「蕎麦処 八神庵のそば」は,蕎麦屋である八神庵(あん)の実在性を高めたかったというデザイン意図もあるんです。CDには「代々木駅前徒歩一分,出前迅速,蕎麦処 八神庵」というCMが入っていたので,本当に代々木駅前徒歩一分に八神庵が存在する感覚を出したかったんですよね。
それで屋号が入った割り箸をつけよう,ということになりました。
4Gamer:
凝っている……割り箸は普通の割り箸ですか?
山岸氏:
いえ,焼き印で「喰え!啜れ!そして死ね!」と入っています。これもある意味で原作準拠ですね。
ちなみに「喰え!啜れ!そして死ね!」はパッケージにも入れてますが,「死ね」の部分には消し込みを入れてもらいました。さすがに食品に「死ね」はマズいかなと(苦笑)。
4Gamer:
たしかにそこは一線越えますよね(笑)。他にもキーホルダーなどがついてくるようですが。
山岸氏:
キーホルダーも八神 庵の実在性を強調するアイテムですね。あとオロチのグッズも用意しましたが,こちらは「女子高生に人気のオロチグッズ」です。このフレーズもCDドラマ由来です。
という話をしたらSNKさんからはOKが出るだけではなく,「だったらオロチも描き下ろしましょう」ということになって,なんだか皆様ノリノリでありがたい限りです。
ただほんと,僕としてはタイミング的に結構焦っていたのも事実ですね。年越し蕎麦のシーズンには合わせたい,というのもありましたし。
4Gamer:
確かに蕎麦のシーズンですね。
山岸氏:
SNKさんは昨年「ギースのしょうゆ」を出されてまして……あれってギースのステージBGMが「ギースにしょうゆ」っていうタイトルだっていうところに由来しているんですが,そんなマニアックな企画をちゃんと実現する会社が,弊社以外にもあるわけです。
これは蕎麦屋の沽券に賭けて,「八神庵の蕎麦」はウチがやりたい。庵は昨今,異世界転生してSNSで話題になってますし,まさに旬なキャラクターですし……。
4Gamer:
それにしても自社の人気キャラ,しかも基本シリアス路線のキャラをギャグ的に使うことに対して,OKが出るどころか,むしろ版権側がノリノリって面白いですよね。
山岸氏:
そうですね,やはり僕らの世代にとってSNKキャラはコメディができる,という認識があるんです。八神 庵に限らず,カッコイイんだけど,笑いも大丈夫という立ち位置ですね。
なかでも八神 庵は「ここまでは大丈夫」というラインがわかりやすいな,とは思ってます。異世界転生でも「起きた瞬間にハイバックジャンプをする」という描写がありますが,あれって庵的には起き上がりに一番安定する行動がハイバックジャンプだからですよね。そういうのを仕込んでも大丈夫なんだな,と。
「オタクは会社を持つべき」
4Gamer:
先ほどからお話を伺っていて,グッズを作るにあたって設定まで作り込んでいくというのが興味深いんですけど,その労力って,仕事として割に合うんでしょうか?
山岸氏:
実はこれは,かつて量販店のバイヤーさんに言われた言葉も影響しているんです。「山岸さんの会社は小さいから,大手さんと同じ商品の作り方をしたら,単価は当然高くなりますよね? じゃあ値段で勝負したら駄目です」と。
これはもう偽らざる現実でして,安さで市場原理に付き合おうとすると,企業の規模で戦うしかないんです。でも弊社はそれで生き残れる規模の会社ではありません。だから根底的なコンセプトとして「良いものを作って売る」があります。
ただ,これも言い尽くされている話ですが,良いものを作ったから売れるわけではありません。そこで良いものに良い作品を合わせる,という戦略を取ってみたわけですね。
グッズ企画で設定を作り込むのも,「良い商品」にするためです。良い作品に乗っかって売るというだけなら,キャラの立ち絵をパッケージにプリントするだけでOKですが,それはグッズとして見ると「良い商品」とは言えません。
社長としての僕自身に「これがほしい」というビジョンがあるのは強みでしょうね(笑)。
4Gamer:
消費する立場だった人が,作る側に回ったメリットですね。社長がそういう属性を持っているというのも大きそうですね。
山岸氏:
そうです。「こんな企画があるんです」という話を持ち込むとき,持ってきた人間がトップであるというのが大事だと思います。「社長としてこの案件を持ってきました」というのは「決裁権を持った人間が来ています」という話でもありますので,話のスムーズさが違います。
これはどれくらい売れるもので,どういう規模で展開できるのかというのを,自分自身で判断できますし。それに僕が話を進めるぶんには,社長の稟議が必要ないですからね(笑)
4Gamer:
社長が自分自身で,という面から言うと,油屋清右衛門公式VTuber「そばちょこん」も中の人がご自身ですよね。
山岸氏:
面白そうならやってみるというのがポリシーなんですよ。それで映画のエキストラをやったこともあります(笑)。
だからVTuberをやってみるというのも,わりと自然な流れでしたね。コンテンツを提供する側になりたい,という思いは今も強く持っています。
4Gamer:
普通はなかなか,実際に自分でVTuberをやってみるところまで行かないと思いますが……。その手の「そこまでやりますか」で言えば,さきほど出たご自宅に置いたNESiCAの話も伺いたいです。
山岸氏:
家にNESiCAがあると,良いんですよ! なにせゲーム業界の人に自己紹介するときに「家にNESiCAがあります」と言えば「コイツ,ガチだな」とすぐ理解してもらえますから!
4Gamer:
ガチですね(笑)
山岸氏:
ネタはさておき,はじまりは「新しく家を建てよう」となったときの話なんですが,自分も嫁も格ゲーオタクなんですよ。
そこで自分と嫁の間で「家を建てよう」「そうだね」「新居には筐体を置きたいよね」「置きたいに決まってる」「ならば置こう」という会議が開かれ,即決でNESiCAを置くことまでは決まったわけです。
![]() |
4Gamer:
そこは即決だったんですね。
山岸氏:
ただそこからが大変で,筐体って重いんですよ。なので建築屋に「対戦台を2台置くから,床を頑丈にしてね」と頼むところが第一歩でした。
そしていざ筐体を購入しようということになったら,これまたいろいろと苦労がありまして……最終的に即金で購入しました。
4Gamer:
即金!? 結構良いお値段なのでは?
山岸氏:
そうでもないですよ? 新品の筐体(2台)からサーバーまで全部買いましたけど,軽自動車よりは安かったです。車なしでは生活できない地域で暮らしてますが,新車か筐体かの2択で,筐体という選択を夫婦でよしとした,という感じでしょう。
ただこれ,本当に個人で買えるものなのかどうかは分からないです。僕はあくまで会社名義で購入しているので。こういうとき,オタクは会社持ってると便利だなって痛感しますよ。
4Gamer:
「オタクは会社持ってると便利」って,これまたパワーワードですね。
山岸氏:
実際問題,「おけまるリンゴジュース」から始めた今のビジネスにしても,当然すべて公式に権利を取得してやっていることなんですが,「僕が好きだからやっている」側面だってあるわけです。
そんなとき会社があると,権利者に対してCtBではなくBtBで話ができます。
これまでの仕事の中で新規描き下ろしイラストを何枚も頂いていますが,これなんかはすごくわかりやすい話ですよね? 個人が100万円持って「新規絵を描き下ろしてください」は無理ですけど,企業が企画として持ち込むと話は全然別のものになるんです。
4Gamer:
確かに……(苦笑) 我々ゲームライターも,個人としてゲームクリエイターに話を聞くことはできませんが,仕事ならインタビューできますからね。
山岸氏:
地方の中小企業だとさらに良いことがあって,こういう試みには国や地方自治体から補助金も得られるんです。
最近では聖地巡礼やその他で,地方とIPの結びつきの話が出てきますが,IPに縁のない地方なんていくらでもあります。でもIPそのものは全国区なわけですから,地方でもできないわけじゃない。そこをなんとかするための熱意やビジョン,ノウハウといったものは必須になりますが。
4Gamer:
確かに。油屋清右衛門さんのキャラクター商品は,IPの地域性には依存してませんね。
山岸氏:
そうなんです。
その上で,僕一人では蕎麦しか作れないんですが,作れる人や企業に頼めばいくらでもできることが増えていく。この「作れる人や企業に頼む」というのも,会社の企画だからこそというところがあります。
やっぱりオタクは会社を持ったほうがいいですよ(笑)
4Gamer:
会社とオタクという意味では,採用でもちょっと面白い試みをしたと伺っています。
山岸氏:
SNS経由の採用ですね。
ある時期,新規に社員を複数名雇わなくてはならないタイミングが来たんですよ。派遣を頼もうか,みたいな話もあったんですが,ちょっと思い当たる節があるので自分で探してみよう,と思い立ったのが始まりです。
お盆と年末の繁忙期はさすがに難しいですが,基本は週休2日制です。勤務時間も8:00〜17:00で残業はありません。先代社長である父は「残業なんてさせるだけ無駄」という考えの人でして,工場はそういう体制で回していけるようになっています。当たり前ですが,残業が発生したときは残業代を支払いますよ!
これだけなら普通なんですが,弊社の特徴は「社長夫妻が自宅にNESiCAの筐体を置いている」ということです。
歓送迎会や社員旅行もなく,オタク的な用事で有休をとってもらって構わない,そういう理解が会社にある。というのがウリですね。終業後に創作活動をしている人もいますし。
そういう特徴を示した上で,Twitterで募集をかけましたところ,フォロワーの内外から募集が集まりまして,最終的に3名を採用しました(※編注:2019年12月現在,追加で募集は行っていません)。
4Gamer:
今風な表現をすれば「副業自由」ですね(笑) でもそういう勤務体系で仕事できる職場って地方にはまだまだあると聞きますし,「趣味の創作を自由にできる職場」がひとつの特徴としてもっと広まったら面白いだろうなと思います。
食べられてこその食品グッズ
4Gamer:
さて,これからの展望についても聞かせてください。日本は人口減もあり,さらにフォーマルギフトの減少もありと,ギフト業界の厳しさが指摘される反面,ギフト全体では成長もしている,というお話でした。
ここにおいて「ギフト品質のキャラクターグッズ」の今後について,どうお考えですか?
山岸氏:
伸びしろ自体はすごくあると思ってるんです。難しいのは明確なビジョンですね。
ギフト業界の高齢化は著しくて,贈り贈られする人たちのゾーンはだいたい60歳以上なんです。つまりこのまま何も変わらなければ先細りすることはあれ,伸びる可能性はないと言っていい。
ただ,ギフトという業界が積み上げてきた「確かな品質」という価値は,まだまだ生きています。その品質の商品をキャラクターグッズとして売ると,その美味しさに驚かれる方も多い。
そういう優れた商品を「今までとは違う販路で売る」ことを考えていかなくてはならないんです。蕎麦を買うティーンエイジャーってまずいないし,七味を買う若者だってめったにいない。一人暮らしじゃスパイスセットを買うこともあまりありません。でもそのIPのファンならそれらを買って,使ってくれるんですね。
これって,ギフト商品がこれまで届かなかったところに届く,きっかけになると思うんです。そして「爆豪勝己の七味唐辛子」がそうであるように,味そのものが気に入って,「八幡屋磯五郎の七味唐辛子」を買うようになるって流れもちゃんとあります。
IPに惹かれて購入してくださったお客様は,ギフト業界にとって大いに将来性のあるお客様です。なのでなおさら,初手でそっぽを向かれるような商品を作ってはいけない,という思いもあります。
4Gamer:
グッズでもあり食品でもある,というお話ですか。
山岸氏:
この企画が一番難しいのは,結局そこなんだと思いますよ。
例えばパッケージデザインひとつとっても,エンターテイメント分野の人は食品パッケージについてのノウハウは当然ないでしょうし,逆に食品分野の人はIPを扱った経験がないので,タブーを知らなかったりします。
パッケージデザインの範囲だけでもこれだけのジレンマがあります。ここにさらに,食品としての美味しさや量産性,安全性,製造工場の品質といったものを足し,販路の確保やどういうイベントにあわせるかをプランニングし,一方でIPの世界観に沿った商品構成といったものを考えていくと,やるべきことは雪だるま式に増えていきます。
オタクとして,食品会社の社長として,譲れない一線を守りながらも,関係各社と一緒に作っていく……そのバランスの難しさは痛感させられっぱなしです。
4Gamer:
なるほど。
ところですごくストレートに質問をさせて頂きますが,この新事業って儲かってますか? 大変に良い試みであるだけに,事業継続性についても知っておきたいなと。
山岸氏:
先にも触れましたが,僕は父親に「お前のオタク趣味はカネにならんのか」と言われ続けたという経験があります。いまこそ僕は胸を張って「カネになったぞオヤジ」と言い返したい(笑)。
とはいえ,まだ「超儲かってる」と言えるほどではありません。売れ数がIPに依存するところも見て取れますし,売れる総数は一般市場よりも小さいです。それでいて,作り込んだものを作り続ける必要があるので,仕事としてはハードですね。
そういう意味では,やはり老舗蕎麦屋という軸があるからできているビジネスだ,とも言えます。「食品グッズの製造だけで生きていけ」と言われたら,厳しいですね。そもそも蕎麦屋での関係企業様との取引があって成り立っている部分が大きいですし。
4Gamer:
赤字ではないのは何よりですが,好きだからこそ成立している部分もあるんですね。
最後に,今後の予定と,商品を購入したユーザーへのメッセージをお願いします。
![]() |
山岸氏:
商品企画としては2つほど決まっているものがあるんですが,これはまだちょっとオフレコです。
商品企画は毎回手探りで,「これは違うだろ」と言われたらアウトという緊張感もあって,苦労しています。でも「ザトーショコラ」でザトーとヴェノムのファンから「良いものをありがとう」と言って頂けたことが本当に嬉しくて,励みになっています。「本当にこれを商品化するのか!」という驚きの声なんかも,とても嬉しいですね。
商品をお買い上げになられたお客様には,なにより「買ったら食べてください」とお願いしたいと思っております。コレクションとして保存したい気持ちはすごくわかりますし,不可逆の開封を嫌う気持ちもわかるんです。中身まで込みでグッズだ感はありますし。開けたくない! それはわかってます!
でも箱の中や瓶の中で生物兵器になるところまで行ってしまうと,それはそれで問題です。このためコレクション用に外箱やステッカーなどを付属させましたので,それらをコレクションして保存して,食べ物はぜひ味わって頂ければと思います。
最近では「この作品で商品を作らないのか」という声を頂くのですが,このような製造段階を踏んでいますので「その作品の名前は知っている」程度だと,ちゃんとしたクオリティの商品が作れる自信がないんです。肝心なところで踏み込めないと言いますか。
ただ僕のやる気によるところもあって,もしかしたら急に猛勉強して製品化まで突進するようなことはあるかもしれません。オタクなので。
4Gamer:
本日は長時間,ありがとうございました。
「信州 清右衛門」公式サイト
- この記事のURL: