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伊藤賢治氏のライブ「gentle echo meeting 4」をレポート。ジャズの殿堂Motion Blue YOKOHAMAが,同所初のゲームミュージックコンサートで熱く盛り上がった
2011年に行われた「gentle echo meeting 3」(関連記事)から,実に6年ぶりとなる今回のライブでは,伊藤氏の手がけたゲームやアニメの名曲に加え,自身のルーツとなる楽曲が,会場に合わせた“大人向け”のアレンジで演奏された。
本稿では,当日2回行われた公演のうち,2ndショウの模様をレポートしよう。
●「gentle echo meeting 4」出演者リスト
伊藤賢治氏(piano)
渡辺 格氏(guitar)
依田 彩氏(violin)
吉池千秋氏(bass)
滝山清貴氏(drums)
●「gentle echo meeting 4」2ndショウ セットリスト
1.Departure(「パズル&ドラゴンズ」より)
2.Walking Through The Towers(「パズル&ドラゴンズ」より)
3.さかさま世界(「パズドラZ」より)
4.Prologue(「カルドセプト セカンド」より)
5.リベルタンゴ(作曲:アストル・ピアソラ)
6.永遠の一瞬(TVアニメ「この青空に約束を― 〜ようこそつぐみ寮へ〜」より)
7.ポドールイ(「ロマンシング サ・ガ3」より)
8.七英雄バトル(「ロマンシング サ・ガ2」より)
<アンコール>
9.熱情の律動(「ロマンシング サガ -ミンストレルソング-」より)
10.心のたからばこ(「チョコボレーシング 〜幻界へのロード〜」より)
「gentle echo」公式サイト
その公式ライブである「gentle echo meeting」も,そもそもは小規模の会場でアコースティック調の演奏を披露するために企画されたものだった。前回の「gentle echo meeting 3」は,ファンのリクエストに応じてバトル曲ばかりを演奏するロック形式かつ1000人規模のライブとなったが,今回は原点に返り,ライブレストランであるMotion Blue YOKOHAMAを会場に,アコースティック調のバンド向けアレンジが施された楽曲の演奏がなされた。
また5曲めの「リベルタンゴ」は,バンドネオン奏者のアストル・ピアソラによる楽曲だが,伊藤氏によるとRPGのBGMにありそうな音階が使われているとのことで,今なお参考にすることが多いという。会場でも,「いかにもRPG」といったアレンジの演奏が披露された。
スクウェア(現スクウェア・エニックス)時代のエピソードが語られ,伊藤氏が曲名を「バトル1」「バトル2」などシンプルなものにすることが多かったのは,師匠にあたる植松伸夫氏の手法にならっているとのことだった。また,「下水道」は,曲名とリズミカルでカッコいい曲調とのギャップのおかげで,自身の意図しない形で人気になってしまったという定番エピソードでも笑いを誘っていた。
また今回が初参加となるギターの渡辺 格氏は,初対面のとき,あまりしゃべらない伊藤氏を見て「怖い人なのか,それとも大先生なのか」という印象を抱いていたという。逆に伊藤氏は,渡辺氏を「僕が学生の頃から活躍されている方なので,しゃべりかけるなんて畏れ多い」と思っていたとのこと。
アンコールでは,「ロマンシング サガ -ミンストレルソング-」から,「熱情の律動」が披露された。今回の演奏では,依田 彩氏のヴァイオリンが,ボイスパフォーマーの岸川恭子氏による印象的なスキャットを見事に再現。また観客も手拍子で演奏に応え,このライブで一番の盛り上がりを見せていた。
バンドメンバーが引き上げようとする中,伊藤氏のみがステージに残り,アンコール2曲目にしてライブ最後の曲となる,「チョコボレーシング 〜幻界へのロード〜」のエンディングテーマ,「心のたからばこ」をピアノソロで披露。原曲はシンガーソングライターの太田裕美さんが歌っているが,今回は伊藤氏自らによるしっとりした演奏で届けられ,これをもって「gentle echo meeting 4」は締めくくられた。
「gentle echo」公式サイト
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