業界動向
ディー・エヌ・エー,グリーとの「釣りゲータウン2」著作権訴訟での勝訴判決確定を発表
これは,2009年9月25日にグリーが,ディー・エヌ・エーのサービスする「釣りゲータウン2」(開発はORSO)が「釣り★スタ」の著作権を侵害してるとして配信差し止めと損害賠償を求めて起こしていた訴訟に対するもの。
2012年2月23日に出された東京司法裁判所の判決ではグリーの主張が認められ,配信差し止めと2億3460万円の損害賠償が認められていた。
問題視されていたのは,水中で釣った魚を引き寄せるインタフェース画面で,水中から魚のシルエットを追った画面デザインや双方とも3重円を使った引き寄せインタフェースを持っていることなどが似通っていたという部分。第1審ではグリーの主張が通り,釣りを題材としたゲームに3重円を使ったインタフェースを導入したことは新規性のあるものとして認められた。
一方,2012年8月8日に出された知的財産高等裁判所の判決では,水中内で青みがかった画面になったり魚をシルエットで表現したりといった表現は,ことさらに独創的なものでもないとし,3重円についても,的当てなどで使われる表現を釣りゲームに使っただけで新規性に乏しいと判断され,著作権侵害に当たらないという判断が示された。
そして,本日,最高裁判所でグリーからの上告が棄却され,2審判決が確定することになったわけだ。
「ゲームの類似はどこまでが合法か?」というのは難しいところで,今回の件は著作権法違反として争われていた。著作権法は,基本的には芸術作品を保護するための法律なので,保護対象には独創性が要求されてくる。どこにでもある表現が似ていることだけでは,侵害には当たらないとされるのはいたしかたない。インタフェースのデザインについてなら,工業デザイン権の範疇かもしれないが,それには意匠登録が必要になってくる。また,ゲーム内容がよく似ていても,それだけでは著作権法違反に問われることはない。ゲームのアイデア自体は著作権の保護対象にならないからだ。法律的にはソフトウェア特許で対応すべき内容である。
ということで,著作権法的には問題ないということで決着した一連の判決だが,後半では著作権法違反があったかどうかより,著作物として認定できるかのほうが問われていたと言っていいだろう。内容も表現も,「もっと独創性のあるゲーム作りを」という教訓にはなりそうだ。
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