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印刷2018/05/12 17:08

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ヒットしたモバイルゲームでも,5年後生存しているのは7〜8本に1本。“長寿”の秘訣が明かされた「超長期ゲーム運営サミット」をレポート

 グリーとファンプレックスは2018年5月10日,モバイルゲーム業界関係者向けのセミナー「超長期ゲーム運営サミット」を東京都内で開催した。本セミナーには5年以上ヒットを維持し続けるモバイルゲームタイトルのキーパーソンが登壇し,主に「マーケティング戦略」「PLチューニング」「ユーザーリレーションシップ」という3つの視点から超長期運営のノウハウを披露した。

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会場では,超長期ゲーム運営サミットの責任者であるグリーの馬場貴之氏により本セミナーの趣旨が説明された
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長期運営タイトルの市場攻略率とは?


 セミナーの冒頭では,フラー 事業戦略室長 岡田雄伸氏が,「長期運営タイトルの市場攻略率とは? 3〜5年を振り返って見た市場の難易度」と題したセッションを行い,売上およびMAU(Monthly Active Users,月あたりのアクティブユーザー数)のデータから,超長期運営を継続することの難しさを説明した。

フラー 事業戦略室長 岡田雄伸氏
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 まず,2013年11月時点の売上Top100のスマホゲームが,2018年2月の売上Top100に入っている割合はわずか12%,そして2013年11月時点のMAU Top100のスマホゲームが2018年2月のMAU Top100に入っている割合は14%であることが示された。
 いずれにしても5年近くにわたって高い売上やMAUを維持できるのは,ヒットタイトル7〜8本に1本というわけで,スマホゲームの継続的成功は狭き門であることが分かる。

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会場では,ジャンルに関してのデータも公開された。それによると売上,MAUともにパズルとスポーツのジャンルが5年近く成功を維持できる割合が高いことが分かる。総合すると,パズルジャンルが超長期運営に強いという結果に
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「釣り★スタ」の事例


 グリーの「釣り★スタ」は,フィーチャーフォン版のリリースから数えると2018年5月に11周年を迎える,まさに超長期運営のモバイルゲームタイトルである。
 会場では「モバイルソーシャル運営最長11年のマーケット戦略について」,「釣り★スタ」のプロデューサーを務める高松亘平氏により,App StoreとGoogle Playにおけるユニークユーザー数の増加に注力し,再成長軌道に乗ったという2016年以降のスマホ版運営の事例が示された。

「釣り★スタ」プロデューサー 高松亘平氏
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 2016年以降の「釣り★スタ」が展開した施策は「Web広告運用」「リブランディング」「休眠特化型」の3つ。このうち後者2つは,超長期運営タイトルならではのものだという。

「Web広告運用」では,新規ユーザー獲得のための広告と,休眠ユーザー向け広告をそれぞれ展開することや,ROAS(Return On Advertising Spend,費用対効果)とCPI(Cost Per Inquiry,見込み客1人を獲得するために要したコスト)をチェックして,媒体や広告素材を使い分けることが示された
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 「リブランディング」施策には,「釣り★スタ」のある程度高い“認知”を“再形成”する意味を込めたという。
 その必要性について高松氏は「長く継続しているタイトルだと,ゲームの運営を頑張っているだけでは世間から忘れ去られてしまうから」と説明した。とくにゲームの場合は,長く運営することに「すごい」というよりも「古い」というネガティブな印象が付いてしまいがちなので,ポジティブなイメージ作りをする必要があるとのことだ。

 この施策を展開するにあたり,まず「釣り★スタ」の打ち出し方を従来の「釣りゲーム」から,「懐かしい場所+今訪れても居心地がいい場所」に変更。ターゲット層は,本作を遊んだ経験のある40〜50代男性であり,「いかに彼らの懐古心に訴えかけ,自分自身ののこととして捉えてもらえるか」を重視した。

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 具体的には,過去10年という歳月の中で,多くの人がライフステージの転機を迎えたであろうことに着目。例えば,ある人は結婚したり子どもができたり,またある人は昇進したり,あるいは転職したり……と何かしら生活に変化があったのではないかというわけである。

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 そこでこの施策では,「釣り★スタ」の10年と40〜50代男性の人生とを重ねることができるようなストーリーを持つWeb動画広告「父と娘の10年」を制作,公開。結果としてこの動画は再生数100万回超を記録し,また休眠ユーザーからのコメントも多数見受けられたという。

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 「休眠特化型」施策では,まず「プレイ歴に対して感謝還元をする」,すなわち長くプレイしてきたことをプラスに捉えてもらうことを重視。具体的には,特別チケットを各ユーザーのプレイ年数に応じて提供した。
 結果は,施策開始初日からCPA(Cost Per Action,目標1件あたりにかかった広告費用),ROASの両面の観点から効果を発揮したという。

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 また「過去に人気を博したアイテムに再びスポットを当てる」ということもやった。ゲームの運用年数が長くなると,ある時期「最高」ともてはやされたアイテムが,あとから出てきたアイテムにその座を奪われることは避けられない。
 そこでこの施策では,過去に人気だったアイテムを特別チケットに変換し,現在需要の高いアイテムとリサイクルできるキャンペーンを実施。さらにこのキャンペーンは,Web広告のみならず,屋外広告やPRイベントといったリアルの場でも告知した。
 結果としてキャンペーン中はDAU(Daily Active Users,1日あたりのアクティブユーザー数)ベースで,大幅に増加したとのことである。

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 高松氏は以上をまとめて,「ユニークユーザー獲得は新規も休眠も大事」「同じくらいイメージ戦略も大事」「休眠を前提とした仕掛けも重要」と語っていた。


「戦国炎舞 -KIZNA-」の事例


 サムザップ 取締役 / ポンテム 代表取締役 木村 航氏は,「運営6年目を実現させたユーザーリレーションシップと改めてこれから大事にしたいこと」と題して,2018年4月に5周年を迎えた「戦国炎舞 -KIZNA-」iOS / Android)の事例を紹介した。主な内容は「カスタマーサポート(CS)対応の変遷」「ユーザーに合わせた関係の築き方」「当たり前のことを当たり前に」の3つである。

サムザップ 取締役 / ポンテム 代表取締役 木村 航氏
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 まず「CS対応の変遷」については,「戦国炎舞」のCS体制がリリース当初,24時間対応ではなかったことが紹介された。しかしサムザップは,多数のタイトルをリリースしていくにつれ,リリース当初からのユーザーがコアユーザー化する傾向にあることを把握。そこで24時間対応のCS体制を整えることにしたという。

 とくに「戦国炎舞」は,リアルタイムバトルである「合戦」の時間にユーザーのアクセスが集中する。合戦は1日3回実施されるため,そのタイミングに合わせてCSスタッフを増員し,ゲーム内で発生した問題を逐次運営スタッフと共有できる体制も整えた。
 これらについて木村氏は,「ゲーム性に応じた体制構築は,ユーザーとの関係を築く上での大きなポイント」と語っていた。

 「ユーザーに合わせた関係の築き方」では,「戦国炎舞」のリリース当初,運営スタッフがTwitterを介してユーザーとの接点を設けようと試みたことが紹介された。しかし,実際にはクレームが寄せられるばかりで,よい接点は作れなかったという。

 この点について木村氏は,「ユーザーのニーズに合っていなかった」と振り返った。すなわち本作は熱量の高いコアユーザーに支えられているタイトルなので,Twitterのよう万人向けのやり取りではなく,リアルイベントなどでスタッフとユーザーが真摯に向き合うようなコミュニケーションが求められていたのだ。

 そこで本作では,Twitterはあくまでも情報発信用のツールであると割り切り,全国各地をプロデューサーが回るリアルイベントなどを重点的に行うようになっていったのである。

 最後の「当たり前のことを当たり前に」では,まず以下のスライドが示された。

ヒットしたモバイルゲームでも,5年後生存しているのは7〜8本に1本。“長寿”の秘訣が明かされた「超長期ゲーム運営サミット」をレポート

 「組織トップレイヤーが本気でユーザーリレーションシップの品質向上を考えていますか?」について,木村氏は,ユーザーと直に接しているCSスタッフの意見が,運営方針よりも低い位置に置かれがちなことに言及し,「ユーザーの声に耳を傾けて,それをゲームに反映できるかが,長く愛される秘訣。プロデューサーとCSスタッフが対等に意見をぶつけ合える体制ができているか,ぜひ考えてほしい」と語った。
 関連して「本当に“お客様目線”になっていますか?」については,ユーザーにとっては運営の都合など関係ないことが指摘された。

 「聞かれたことに率直に答えていますか?」「逃げの回答になっていませんか?」については,「質問にはまっすぐ答えたほうが,トラブルになりにくい」と木村氏。結局,ユーザーも人間なので,CSスタッフが真摯に答えていないことが分かると信用されなくなってしまうというわけである。

 また,きちんとした事業して展開しているのだから,ゲーム運営には何もやましいことはないはずである。木村氏は,「例えユーザーが喧嘩腰でも及び腰になることなく,対等な立場で率直に回答することが重要である」と話していた。

 木村氏は以上をまとめて,「ユーザーの問い合わせをトリガーとする受け身のCSではなく,次のフェーズではカスタマーエクスペリエンス(CX),カスタマーリレーションマネジメント(CRM)といった形で,ユーザーの属性に合わせた体制を整えていく」と語った。
 つまり,すぐに回答を求める人もいれば,時間はかかってもいいから丁寧な処置をしてほしいという人もいるので,それぞれのユーザーに合わせた対応が必要というわけである。

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「ポケコロ」の事例


 「ポケコロ」iOS / Android)は,キャラクターの着せ替えやユーザー各自のスペース「コロニー」を飾って楽しむ,いわゆるアバターゲームである。メインユーザー層は10代女性だが,下は未就学児から上は60代以上まで,幅広い層の女性ユーザーから7年以上にわたって親しまれているという。
 会場では,ココネの冨田洋輔氏が,「運営7年★なお成長中の『ポケコロ』♪超長期運営の秘訣をご紹介★」と題して,本作の事例を紹介した。

ココネ 冨田洋輔氏
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 冨田氏によると,ココネにとって「ポケコロ」とは,「効率よく伸ばそうなんて考えない」「成功につながる種だと信じすべてをかけてきた」「毎年,過去最高になるように全社で挑戦している」という存在とのこと。そのため本作の長期運営戦略とは,そのままココネという会社の文化であり,サービスの考え方であるという。

 その根本にあるのは「ユーザーを魅了するサービスとアイテムを提供し続ける」という考え方。現在,ユーザーは3万点以上のアイテムを使って,60那由多(なゆた。一般には10の60乗を示す単位)にもおよぶ組み合わせを実現可能とのことで,まさに自分だけの“理想の可愛い”を追求できるようになっている。

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 しかし,そうした多くの女性を魅了するサービスとアイテムは,デザイナーを含めた本作のスタッフ達が持つ,類まれなる技術やセンス,実績などから生まれたわけではないと冨田氏は語った。それでは何から生まれたのかというと,「文化や価値観を守り,全員で学び,成長し続けてきた結果」というのが,ココネの見解である。

 とくに象徴的なのは,社内で出た「『ポケコロ』のデザイナーは,アバターしか描けない」という意見を聞いたココネの社長が,「あなた達がやっているのは,単にゲームのアイテムを作ることではない。あなた達がやっているのは,世界で一番可愛いデザインを作り,女性に憧れと幸せと癒やしを提供することだ」と激怒した件だという。
 社長は「世界でもっとも人気のデジタルの洋服(アバター)を生み出すトップアーティストであることに誇りを持つべき」「それに媚びたり奢ったりせず,魅力を放つスターとしての誇りを持ってほしい」「あなた達が生み出す価値は,グッチやプラダの製品のそれとまったく差がない。あなた達にはファンがいるのだから」とも話していたそうだ。
 その結果,デザイナー陣は,どうやればユーザーに支持を得られるか自発的に考えて企画を提出するようになり,また自身のデザイナーネームを公開することもためらわなくなっていったそうだ。

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 冨田氏自身も,前月の「ポケコロ」の業績を社長に聞かれ,MAUや売上などを答えたところ,怒られたというエピソードを持っている。というのも,「先月,一番お金を使ったユーザーが誰で,どんなアバターを着ていて,新作のどれに興味を持っていたか」という社長の質問に答えられなかったからだ。そんな冨田氏に,社長は「アパレルショップの店員は,お得意様の顔と,その人が先月何を買ったかを全部覚えている。君のお得意様は一体誰だ」と指摘したという。

 その結果,現在のココネには,問い合わせてきたユーザーの情報を常に見られるシステムや,社員全員でユーザー対応する制度が設けられているそうだ。
 冨田氏は,それらをまとめて「社員全員がユーザーのことを考える会社こそが,強くてよい会社。それがココネの文化であり戦略」と語った。

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モデリングのミスを指摘する問い合わせに,「ポケコロ」のデザイナーが当意即妙な回答をした事例も示された。これを見た冨田氏は,本作のサービスのあり方を考え直したという
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ユーザーの問い合わせをコミュニケーションツールで共有したり,社内に張り出したりすることで全員が目にするようにしている
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ユーザーと一緒に「ポケコロ」を高めていく連携企画も実施
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 さて,自分達が手がけるユーザーの声を反映させたいのはやまやまだが,そこにはあらたなシステム構築や,あるいはセキュリティ問題といったハードルが存在するのもまた事実だ。かつての冨田氏もそう思い込んでいたが,社長から「ラーメン屋に置いてあるアンケートは,ペンと紙だけで答えられる。そこに技術やスキルは要らない。それができないと主張する君は,お客様に対する態度がなってない」という指摘を受けたという。
 その指摘を受けて考えをあらためた冨田氏は,自身でも使えるアプリ内メールやGoogleアンケートフォームを駆使して,ユーザーからの意見を積極的に求めるようになったという。

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ファンプレックスが扱う運営移管タイトルの事例


 ファンプレックスは,モバイルゲームを開発・運営している企業から,タイトルの買い取り・移管をして運営を行う「セカンダリ事業」を展開している。現在,同社では20の運営移管タイトルを扱っているが,そのうち5年以上にわたってサービスを提供しているものは10タイトルにおよぶという。
 会場では,ファンプレックス 執行役員 佐藤洋祐氏が,「超長期運営を実現するPLづくり」と題し,同社の事例を用いて「PLコントロール」,つまり「売上とコストの管理」についてのセッションを行った。

ファンプレックス 執行役員 佐藤洋祐氏
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 佐藤氏はPLコントロールをRPGのバトルになぞらえ,売上をHP,コストをダメージ,利益を残存HPと表現。すなわちダメージを受けてHPが減り,残存HPがゼロになったらキャラクターが戦闘不能になってしまうように,コストがかさんで売上が削られ,利益がゼロまたはマイナスになったらサービス終了というわけである。

 一方,モバイルゲームパブリッシャとしてのファンプレックスの使命は,「サービスをより長く続けること」である。そこで佐藤氏は本セッションのテーマとして,「運営HPを維持し,使命を果たすための『HP回復』(売上回復)と『防御UP』(コストコントロール)」を掲げた。

 具体的には,ファンプレックスではタイトルが運営移管されてきた初期に売上回復のための積極的な投資を行う。そして売上が回復するにつれて適切なコストコントロールを図り,利益を増加させる。

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 佐藤氏によるとこのアプローチは,ファンプレックスが掲げる“CHANGE”“TRUST”“LOVE”のうち,前者2つに基づくもの。サービスをよりよくするために全力を尽くすという意味を込めた“CHANGE”は「KPIチューニングによる売上安定」=「HP回復」を指し,障害を最小限に抑え顧客満足度を最大限にしユーザーの信頼を得るという意味を込めた“TRUST”は「効率的にコストを下げることによりクオリティを損なわない運営」=「防御力UP」を指すとのこと。

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 「KPIチューニングによる売上安定」は,当たり前ではあるが,ユーザー推移やアイテム別売上,イベントKPIなどのチェックといった日々のKPI管理が基本となる。重要なのは,毎日行う朝会にて,タイトルに関わるスタッフ全員が集まり,その日のタスクとともに各数字の推移を確認することだという。

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 そうした数字の中で佐藤氏がもっとも重視しているのが,アイテムの需給管理である。例えばあるアイテムは,1日に全ユーザーの累計で50億も供給されたが,それをユーザーが実際に使用した数は極めて少ない。こうした供給過多のアイテムは,ユーザーにとって価値がないものであり,いくら無料で配布されても迷惑でしかない。

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 そういったケースにおいて,ファンプレックスでは「50億配るからには,50億使ってもらう」というスタンスで,アイテムをきちんと消費するシステムなどを導入し,ユーザーに「貴重なアイテムを大量に配るなんて神運営」と思わせる施策を採るという。
 「そんな面倒なことをやらずに,単純にアイテムの供給を減らせばいいのではないか」と思う人もいるだろうが,それだと改悪と受け止めるユーザーもいるため,避けたほうがいいとのこと。

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 また長期運営を続ける中では,ユーザーの離脱は避けられない。一口に離脱といってもその理由はユーザーごとに異なるので,何がトリガーとなったかを,さまざまな切り口から丁寧に分析することも,長期運営には欠かせないそうだ。

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 佐藤氏は以上をまとめて,長期運営を実現するためのKPIチューニングには「必要な情報が即時手に入ること」「全員で行うこと」「習慣化して日々続けること」の3点が必要であるとし,「何より組織文化として定着させることが重要」と話していた。

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 「効率化によってクオリティを損なわない運営」については,まず「コストカットしたことによって,障害が増加するということはあってはならない」と佐藤氏。実際ファンプレックスでは,運営移管後に効率化を図ったうえで最大54%も障害件数が減少した事例があるという。

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 そうした運営クオリティの実現に貢献したのが,ファンプレックスの社内プロジェクト「ファインディング∞」である。これは社内スタッフを各タイトルごとにチーム分けし,業務改善に関する気づきを提示したチームにはポイントが加算されるというもの。提示された気づきによって実際に業務改善がなされれば,さらにボーナスポイントが提供される仕組みとなっており,期間ごとのポイントをチーム同士で競うこととなる。

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 佐藤氏いわく,この取り組みには,スタッフ全員が“あるべき姿”をイメージし,そこに向けた連続改善を習慣化する狙いがあるのこと。
 例えば,とあるタイトルの開発初期に作成された設定シートについて,「現在では使われていない項目を整理し,分かりやすくするべき」という意見は,誰しもが一度は考えていたことではあったが,大変な作業になるので誰も口にしなかったという。しかしファインディング∞をスタートしたことで,「皆で時間をかけてやろう」と改善が進んだそうだ。

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 以上のクオリティを損なわない効率化について,佐藤氏は「クオリティ改善につなげること」「組織的に運用すること」「習慣化して日々続けること」を意識しているとし,ここでも「組織文化としての定着が重要」と語った。

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 セッションの最後に,佐藤氏は再びRPGの例えを持ち出して,「運営HPを減らさないための回復魔法と防御魔法を使いこなすためにはレベルアップが必要」とし,「この場合のレベルアップは,組織の中に経験値を蓄積していくことでなされる。そのためには仕組みや意識,体制,そして毎日回していく習慣化が必要となる。ファンプレックスでは,そうした組織文化としての定着を意識して,日々努力しています」とまとめていた。

ファンプレックスのノウハウを活かした新たな取り組み「REBORN」も紹介された
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パネルディスカッション「『5年後生存率』向上委員会1vol.1」


 本セミナーの終盤には,セッションを行った高松氏,冨田氏,佐藤氏に加えて,「戦国炎舞」のプロデューサーであるサムザップの大森達也氏とファンプレックス 執行役員の遠藤圭太氏が登壇し,モバイルゲームの5年後生存率をテーマとするパネルディスカッションが行われた。

ファシリテーターを務めた,フリークアウト App Growth Division 兼 Network Division / デジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニー アドバイザー / エムフロ エグゼクティブ アドバイザー 豊野桂太氏
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 ディスカッションの最初のテーマは,「ここ最近,力を入れているプロモ施策や手法は」というもの。大森氏は「戦国炎舞」について,「長くサービスを続けているが,多くの人には認知されていない」とし,「ユーザー同士のつながりが重要となるゲームなので,長く遊んでくださっているユーザーの皆さんを前面に打ち出すことで,認知を高めようとしている」と説明した。

 また冨田氏は,「ポケコロ」では例年,30代以上の女性に向けたテレビCMを展開していることを明かした。またプロモーション施策は,長くサービスを続けてきた中で自分達がゲームやユーザーを一番理解しているという強みを活かし,代理店に頼るだけでなく,社内で企画・実施する部分を増やしているという。

 「長期運営する中で,なるべく削らないコストや,コストを上げてでも絶対に守るべきものとは」というテーマには,高松氏がファンプレックスの事例のようにクオリティ低下を避けるため,基本的にコストは削減せず適正化を図っていると回答。またコストをかけるべき部分としては,ユーザーを飽きさせないようにするという理由で,「新しいチャレンジ」を挙げた。

 また佐藤氏は,ファンプレックスのタイトルにおいて守りたい部分としてQAコストを挙げた。とくに運営移管初期は,QAにコストをしっかりとかけるという。
 そして遠藤氏は,短期的に赤字を出しても長期的に運用できるよう改善を施すという,ファンプレックスの新たな取り組み「REBORN」をあらためて紹介した。

「戦国炎舞」プロデューサー 大森達也氏(右から2人め)と,ファンプレックス 執行役員 遠藤圭太氏(中央)
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 「ユーザーの意見や指摘からゲーム内に導入した画期的なもの」というテーマには,冨田氏が「ポケコロ」のヘビーユーザーから「ログイン時のメッセージが,いつも変わらない」という指摘を受けたというエピソードを披露。「これは『ポケコロ』がアバターゲームだからできることかもしれないが」という前置きをしつつ,その指摘を受けてヘビーユーザーには「ご愛顧ありがとうございます」といった特別なメッセージが表示されるようにしたり,特別なショップにアクセスできるようにしたりと,明確に差別化を図るようにしたと明かした。
 逆に,佐藤氏は男性であるため,「週末にパーッとお金を使いたい」という女性の購買心理が分からず,失敗した施策もあったそうだ。

 また遠藤氏は,ファンプレックスの手がける海外タイトルのコミュニティマネージャーが,ユーザーの作ったSNSのグループに参加し,寄せられた感想や意見に一つ一つ回答している事例を紹介。余談だが,そのグループで一番発言の多かったユーザーが,最近ファンプレックスに入社したという。
 関連して大森氏は「戦国炎舞」のスタッフの多くがゲームをやり込んでいることを明かし,自分達の考えとユーザーから寄せられたリクエストを照らし合わせて,新しい要素を実現させることが多いと語った。

 最後のテーマは,「もっとも印象深かった苦難(障壁)と,その対処法」というもの。高松氏は「釣り★スタ」について,サービス4〜5年目に売上が厳しくなったことを明かし,当時周囲で流行していたレイドバトルやガチャといった要素を,ゲームの世界観を壊すことなくアレンジして導入した事例を披露した。
 また長期にサービスを続けていく中では,初期からずっと遊んでいるユーザーとそれ以外のユーザーなど,ユーザーごとに遊び方が異なるので,全員に向けたコンテンツだけでなく,それぞれにあった遊びを提案していくことも重要とのことだ。

 大森氏はリリース当初の「戦国炎舞」で,目玉となる合戦にアクセスが集中した結果,動作が極めて重くなりゲームとして成立しなくなったエピソードを披露。その対処法として,不具合を是とするような大胆な改善を施すという苦渋の決断をしたという。

 冨田氏は,毎年恒例の季節イベントに苦労していることを挙げた。例えば,春といえば多くの人は桜をモチーフとしたイベントをイメージするだろうが,2年3年と回を重ねるごとにどうしてもマンネリ化していくことは想像に難くない。したがって,毎年どこかしら新しい要素を入れるわけだが,それが行き過ぎると桜らしさや春らしさを損なってしまう。そういったバランスや世間のトレンドを踏まえ,体制を変えつつ,デザイナーが毎年頭を捻っていると冨田氏は語っていた。
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