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印刷2016/02/12 19:10

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モバイルアプリ市場は今後5年間で1000億ドル以上の規模に成長――App Annieが2020年までの市場予測を発表した,関係者向け説明会のレポートを掲載

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 App Annieは,業界関係者向けのイベント「App Annieモバイルアプリ市場予測レポート説明会」を2016年2月10日に東京都内で開催した。この説明会では,2020年までの5年間でモバイルアプリ市場がどの程度の規模まで成長するのか,同社の分析・調査を基にした予測が発表された。本稿ではその概要をレポートしよう。
 なお,本説明会でプレゼンテーションを行ったのは,App Annieで日本および韓国のリージョナルディレクターを務める滝澤琢人氏である。

 最初に要旨をまとめると,2020年にモバイルアプリ市場の合計収益は1011億ドル(約11.3兆円。以下すべて1ドル112円で計算)に達すると考えられている。モバイルアプリストアのダウンロード数は2843億件に達するとの予想だ。
 また,2017年頃を境に,総収益でGoogle PlayおよびサードパーティのAndroidストアの合計がApp Storeを上回ると考えられている。現在,総収益でゲームジャンルが大きな割合を占めているが,非ゲーム系アプリの収益が今後5年間で4倍以上に増加し,ストアで25%以上を占めるようになるだろうとも予想されている。
 以下で,それぞれの詳細について説明していこう。なお,App Annieの公式サイトでは,本レポートを無料でダウンロードできるようになっているので,より詳しく知りたい人は公式サイトにアクセスしてみてほしい。

App Annie公式ブログ「市場予測:モバイルアプリ市場、2020年に1000億ドル突破」

説明会の冒頭では,App Annieの事業概要や採用事例などが紹介され,同社データの信頼性が高いことがアピールされた
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滝澤琢人氏(App Annie Regional Director, South Korea and Japan)
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 まず滝澤氏は,モバイルアプリ市場は成立してから8年程度で,若いが急成長している市場だと説明。これまでは未来の予測は難しいところがあったが,全世界のさまざまな市場データを分析・調査することで,今回5年後の姿を予想できたと述べた。

 滝澤氏は,5年後の2020年までに,アプリがますます重要なインタフェースになっていくとコメント。スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスは今後さらに普及し,2020年にはインストールベースで2015年の2倍以上,利用者は約62億人に達すると予想されている。

 スマートデバイスはiOSとAndroidに大別されるものの,基本的には同じ機能を実現し,共通のアプリが利用できるプラットフォームと言うことができる。
 これが生活者一人一人が持つパーソナルデバイスとして,ここまで普及したのは今までにないことだと滝澤氏はコメント。どんな企業でも全世界に向けて配信ができ,生活者に直接働きかけられるため,今後も大きなチャンスが広がっていると述べた。
 なお説明会の資料では,今後5年でトップクラスの成長が予想される国として,インド,メキシコ,トルコ,インドネシアが挙げられていた。


2020年のアプリ市場は,総収益で11兆円以上の規模に成長


 アプリは現在,コミュニケーションやエンターテイメント,ショッピングや仕事効率化などにおける主要なリソースとしての地位を確立しつつある。
 アプリストアにおける消費支出(アプリの総収益)は,2015年のデータで411億ドル(約4.6兆円)。これが2016年は24%増の509億ドル(約5.7兆円),2020年には1011億ドル(約11.3兆円)になると予測されている。

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 この金額は,アプリで直接お金を払った額,つまり純粋なストア利益の集計として出された数字である。
 このほかにも,広告収益であったり,外部決済のモバイルコマースアプリであったりと,間接的な利益も含めると,消費支出におけるアプリの貢献度は今後さらに高まると予想されている。とくにアプリ内広告の収益は,App AnnieとIDCの共同調査によれば,現時点でアプリストアの収益に匹敵するものになっているそうである。

 関連して,アプリの利用時間についても説明が行われた。
 アプリで提供されるEコマースやオンデマンドサービスなどは,外部決済のためストアの収益として直接反映されないものも多いため,その収益全体を把握するのは難しい。ただ,こういったサービスでは収益と利用状況に強い相関関係が生まれるため,利用時間に注目することが重要になるというわけだ。
 消費者のモバイルデバイス利用時間は爆発的に伸びていて,App Annieの調査では,全世界のAndroidスマートフォンにおけるアプリに費やされた時間(※インデックス値)は,2015年の数字が前年比63%増となっている。その約半分を占めているのが,ソーシャルとコミュニケーションのジャンルだ。
 そのほか利用時間が大きく伸びたジャンルは,「メディア&動画」の93%増,「交通」の123%増,「ショッピング」の160%増などが挙げられている。

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 モバイルアプリの年間ダウンロード数は,2015年の1112億件から33%成長し,2016年は1473億件になるとの予測だ。さらに新興市場でのスマートフォン普及拡大が続くであろうことから,2020年には2843億件に達すると見込まれている。
 なお,ダウンロード数については端末単位での集計で,新規端末に新しいアプリをどれだけダウンロードしているかという数字になっているとのこと。
 全世界でもっともダウンロード数が多く,世界のおよそ3分の1を占める中国は,2020年時点でも世界最大のダウンロード牽引役であり続けるだろうと予測されている。

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 アプリ市場の成長においては,アプリの「ダウンロード数」「利用量(アプリに費やされる時間)」「収益」の関係を理解することが重要とのこと。
 時系列で見ると,伸びやすいのがまずダウンロード数で,続いて利用量,そして収益という順になる。また,時間が経過するにつれてダウンロード数の伸びは鈍り,対して収益の上昇曲線が高くなる。

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 これは,ユーザーの動向を想像すれば分かりやすいだろう。
 スマートデバイスを初めて導入したユーザーはまず,さまざまなアプリをダウンロードして試用するので,ダウンロード数は伸びるが利用量や収益にはつながりにくい。スマートデバイスを使いこなせるようになると,アプリ群を常用して利用量が増えたり,アプリに課金をしたりするようになる。
 そのため,スマートデバイスを何年も利用しているうちに,新規アプリのダウンロード数は伸びにくくなる。その代わりに,常用アプリの利用量や消費支出が増えていくという“成熟モデル”の図式ができあがるわけだ。

 なお,スライド内のグラフにおける縦棒が,現在の全世界のアプリ市場の状況を示している。これらの規模は国によって異なり,成熟市場である日本やアメリカなどは縦棒より右側,インドのような新興市場は左側に位置することになる。
 グラフでは,ダウンロード数の伸びは今後鈍化していくであろうことが示されているが,ダウンロード数が横ばいになっても,それがアプリ市場がピークに達した合図にはならないという。累計のダウンロード数とアプリの利用量は増加し続けるので,市場が成熟してアプリの利用量と収益が増加しつつあることを示すとのことだ。
 ちなみに,2020年までにアプリのダウンロード数縮小が予想される国はないそうである。


ストアの収益ではApp Storeが2020年までトップを維持するものの,Google PlayとサードパーティAndroidストアの合計では逆転


 アプリの年間ダウンロード数については,冒頭で記載したように,2020年には2843億件に達すると予測されている。その増加は大部分が新興市場で,とくにアジア太平洋地域(APAC)が牽引役になるだろうとのこと。
 滝澤氏は,インドなどではPCを買うより安い50ドル未満のAndroid端末が登場し,完全にモバイル中心の生活になってきているとコメント。アジア圏の成長著しい国では,これからその傾向がもっと顕著になるだろうとした。

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 ストア別にダウンロード数を見ると,App Storeでは2020年までに46%増加して352億件に達するとされているが,これはiOS端末が普及するところには普及したため,新規ダウンロード数の成長は現在の傾向が継続するであろうという予測だ。
 Google Playは2020年までに2015年の3倍以上に伸びて1664億件に達するとの予測。成長の大部分は,インド,メキシコ,ブラジル,インドネシアのような国で,スマートフォン普及率の上昇がその引き金になるだろうとのこと。
 なお,AndroidはフリーOSなので,公式のGoogle Playだけでなく,サードパーティが独自にストアプラットフォームを用意して,アプリを配信できる(日本で言えば,楽天アプリ市場やDMMゲームストアなどがこれに相当する)。
 サードパーティAndroidストアの数字は,158%増加で803億件になる見込み。App Annieのレポートで具体的な数字が出るのは初めてだが,サードパーティのAndroidストアが,マーケットとして無視できない規模であることが分かるだろう。

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 収益面の予測で,成長の目玉になるのはアジア太平洋地域だ。App Annieの予測では,2020年の年間総収益の1011億ドルのうち,アジア太平洋地域は575億ドル(約6.4兆円)の規模にまで成長するという。なお,このうち半分以上は中国が牽引するであろうという予測だ。
 なお,デバイスあたりの収益は2015年が15.42ドル(約1727円)で,2020年にはこれが16.22ドル(約1816円)まで伸びるという。

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 ストア別に見ると,App Storeが収益面で2020年までトップを維持する。2020年には,2015年の2倍になる448億ドル(約5兆円)に達するという予測が出ている。
 なお,Google PlayとサードパーティのAndroidストアの成長はApp Store以上となる見込みだ。両ストアを合わせた収益は2015年時点で183億ドル(約2兆円)だが,2020年には約3倍の557億ドル(約6.2兆円)に増え,App Storeを超えると予測されている。

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 App Annieのレポートでは定番のように話題に出るのでご存じの読者も多いと思うが,アプリ市場のダウンロード数や収益面では,ゲームが占める割合が非常に大きい。2015年におけるゲームの年間ダウンロード数は454億件とアプリストア全体の41%を占めていて,2020年には1022億件に達するとの見込みだ。
 ただ,今後は非ゲームアプリのダウンロード数も成長し,2020年には1821億件にまで増加するとされている。そのため比率としては,ゲームの割合が低くなると予想されている。

 年間総収益では,ゲームが全世界のアプリ市場の85%を占め,348億ドル(約3.9兆円)の収益を生み出した。これが2016年には415億ドル(約4.6兆円),2020年には746億ドル(約8.4兆円)に達する見込みとされている。
 非ゲーム系のアプリは,2015年が63億ドル(約7056億円)で,2016年には94億ドル(約1兆円)に,2020年には264億ドル(約2.9兆円)規模まで成長すると予測されている。
 App Annieでは,音楽や動画のストリーミング,マッチング系アプリが今後も拡大を続けるであろうことや,サブスクリプション(月額課金)のモデル人気が高まっていることを理由として挙げている。

 なお滝澤氏は,グローバルな展開がしやすいゲームは,今後も収益源のドライバになるだろうと述べていた。ゲームには,「Clash of Clans」や「Game of War」のように,世界でまんべんなくヒットしてユーザーを獲得できるタイトルや,その地域でヒットするローカルタイトルがあるとコメント。なお,ローカルタイトルで何がヒットするかは,スマホ以前に存在したその地域のプラットフォームで,どのような体験が提供されてきたかによって変わるだろうと話していた。

 非ゲームアプリでは,世界でヒットしたものが受けやすいゲームとは異なり,ローカル性が非常に強くなる傾向にあるとのこと。
 例えば,コミュニケーションアプリといえば,日本ではLINEが真っ先に挙げられるが,欧米ではFacebook MessengerやWhatsup,韓国ではKakaoTalk,中国ではWeChatというように,ヒットしているアプリは地域ごとに大きく異なっている。
 また,O2O(Online to Offline)分野も,すでに顧客を抱えている企業がモバイルで顧客との関係性を再構築して成功する事例など,ローカル性が強く出ているのこと。


 滝澤氏は,今後,モバイルコンピューティングは生活の隅々まで行き渡り,企業と生活者をつなげるアプリはB2C企業にとって欠かせないものになっていくだろうと述べた。また,生活者の体験を拡張したり深くしたりするウェアラブルデバイスやVRなど,スマートデバイスを持っているという前提で生まれる新しいビジネスにも広がりが期待できるとした。
 最後に,モバイルアプリ市場は若く成熟サイクルの初期段階にあるため,まだチャンスは広がっているとコメント。アプリ経済は今後さらなる成長を期待できるだろうと述べ,プレゼンを締めくくった。

App Annie公式ブログ「市場予測:モバイルアプリ市場、2020年に1000億ドル突破」


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