イベント
CM撮影の裏話も飛び出した「せがた三四郎劇場feat.藤岡弘、&セガサウンドユニット[H.]〜真面目に遊ばぬ奴らに喝!〜」をレポート
会場入り口では,せがた三四郎のポップがお出迎え |
このイベントでは,セガを代表するサウンドクリエイター 光吉猛修氏を中心に結成されたサウンドユニット,[H.](エイチ)のライブが披露された。また,セガサターンファンにとっては忘れられないキャラクター,せがた三四郎を演じた俳優/武道家の藤岡弘、さんがゲスト出演。せがた三四郎のCMを振り返るトークで会場を盛り上げた。
ちなみにせがた三四郎とは,セガサターンのCMで藤岡さんが演じたイメージキャラクターのこと。大柄な体格に柔道着という出で立ちや,人間離れしたアクション,ユーザーに向けた熱いメッセージ,そして「セガサターン、シロ!」というお決まりの決めセリフは,ゲームファンのみならず,多くの視聴者に強烈なインパクトを与えた。そんな,伝説的キャラクターといえるせがた三四郎が,10数年ぶりの復活を遂げたのだ。
「デイトナUSA」「電脳戦記バーチャロン」,アニメ「バーチャファイター」など,ファン感涙の名曲が次々に披露された[H.]のライブ
イベントは,[H.]によるライブで幕を開けた。1曲目のLet’s Go Away 2004で初っぱなからアクセル全開! 光吉氏が「デイトナ」のフレーズを会場に向けると,ファンもそれに全力で応えていた。続いては,2012年12月に発売されたばかりの「龍が如く5 夢、叶えし者」から,インストール中の曲として人気の高いThe Battle for the Dreamが披露される。先ほどとは打って変わって,渋くてカッコイイ大人の雰囲気に包まれた。光吉氏の「凄い熱いインストールだよね」との一言に,会場から笑い声が漏れる一幕も。
3曲目は,「デイトナUSA」と双璧を成す,セガサターンの人気タイトル「電脳戦記バーチャロン」から,In The Blue Skyを演奏。疾走感のある爽やかなサウンドに会場全体が揺れまくる。
ここでゲストととして,声優の能登有沙さんが登場し,アーケードの人気音楽ゲーム,「maimai」の楽曲「猫日和。」を披露。能登さんのキュートな歌声とダンスに,会場はふんわりとしたムードに包まれていた。そして,第1部のラストを飾ったのは,1995年に放映された,知る人ぞ知る名作アニメ「バーチャファイター」の第2期オープニングテーマ,「愛がたりないぜ」だ。インパクトのある歌詞と,キャッチーなメロディで,いまだに多くのファンを持つ本楽曲の登場に,会場は大盛り上がり。光吉氏と共に「愛が足りないぜ!」と熱唱しまくっていた。
せがた三四郎のCMのテーマ「師弟愛」。藤岡弘、さんと,せがた三四郎CMの仕掛け人である安藤宏治氏が当時を語る
藤岡弘、さん |
まずはせがた三四郎が生まれた経緯について。当時,セガサターンの競合ハードであったPlayStationは非常に元気が良く,広告展開も活発的に行われていた。そんな中,セガサターンはどのような立ち位置で活動を行うべきなのか。安藤氏はまず,一つの大きな広告フレームを作って,そのフレーム内でセガサターンのCMを,太くインパクトのある形でアピールするという方法を思いつく。「多少強引な方法だった」と振り替える安藤氏だが,そんな中から生まれたキャラクターが,せがた三四郎だったのだ。そして,せがた三四郎を誰に演じてもらうかを考えたとき,真っ先に藤岡さんが浮かんだという。
安藤宏治氏 |
なお安藤氏によると,せがた三四郎のCMは1年間で19本も制作したという。かなりのハイペースだと思われるが,安藤氏は「生みの苦しみは感じなかった」とキッパリ。「絵コンテを描くと,せがた三四郎に命が吹き込まれて,(せがた三四郎が)勝手に動き出すような感じがした」と思い出を語った。一方,藤岡さんも「せがた三四郎には,気持ちがスーッと入っていくんだよね。スタッフの想いも伝わっていたので,非常にやりやすかった」と撮影時の思い出を話していた。
ここで,懐かしのせがた三四郎CMが上映される。「ソニックR」「シャイニング・フォースIII」「サターンボンバーマンファイト!!」「ソロ・クライシス」「AZEL -PANZER DRAGOON RPG-」の5タイトルに加え,せがた三四郎が巨大なセガサターンを背負って修行する年末年始向けのCMが一挙に披露された。
せがた三四郎といえば,「せがた三四郎,せがた三四郎,セガサターンシロ」の歌詞でお馴染みの主題歌「セガサターン、シロ!」が有名だが,実は作詞は安藤氏が手がけたそうだ |
なお安藤氏によると,せがた三四郎のCMには「師弟愛」というテーマがあったという。だらけ気味の少年達に喝を入れるという狙いがあり,「遊び」に対しても真剣に取り組む「遊びの師匠」の象徴としてせがた三四郎を描きたかったと話す。せがた三四郎が修行するシーンでは「こんな風に真剣に遊んでいるんだ」というメッセージを入れたかったという。
頭で瓦を割るシーン,まさか本当に割っていたとは…… |
「日本には,祖国愛,郷土愛,家族愛,師弟愛,こういう素晴らしい絆で結ばれている。父母の信条を持って愛する,育てる,この気持ちが日本人の素晴らしい財産なんだ」と,藤岡さんは熱く語り,続けて「逃げない,負けない,屈しない,諦めない精神。これが日本の民族力で,これこそが復活だと思う。このメッセージこそが,せがた三四郎の伝えたいことなんです。今の時代にこそ,こういう想いが求められていると思う。……やっぱり,せがた三四郎の復活を願いたいね」と,再びせがた三四郎を演じることを熱望。会場は大きな拍手に包まれた。
せがた三四郎がゾンビに囲まれる「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」のCMには,安藤氏もゾンビのメイクをして参加していたらしい。また,火事の中で人命救助をする「バーニングレンジャー」のCMは,実際に燃えているセットの中で撮影し,非常に暑かったそうだ。藤岡さんは「撮影中に燃えちゃってさ。でも,そんなの関係ないって思って芝居してたけどね」と笑いながら話していた。さらに,せがた三四郎が裸足でアスリートとアイススケートで勝負をした「Winter Heat」のCMでは,「僕,生まれて初めて氷の上を裸足で走りましたよ(笑)」とコメントし,会場を爆笑の渦に包んでいた。
トークがひとしきり落ち着いたところで,再びCM上映タイムへ。ラストを飾ったのは,せがた三四郎シリーズの最終作「せがた三四郎 真剣遊戯」のCMだ。謎の悪者がセガ本社ビルに放ったロケットを止めるため,せがた三四郎がビルから飛び降りてロケットにしがみつき,そのまま宇宙のチリとなってしまうという,涙なしでは見られない(?)このCM。ビルから飛び降りるということで,当然スタントを使用しているのかと思いきや,なんとこれ,マットは敷いているものの,実際に藤岡さんが飛び降りたのだという。最終回ということもあり,藤岡さんも「これで最後か,終わりか」と実に感慨深い撮影だったそうだ。安藤氏含むスタッフも,藤岡さんの演技に全員が泣き,現場は異様な雰囲気に包まれたという。
ちなみに安藤氏は,ドリームキャストが発売されるという情報を事前に知っていたため,せがた三四郎の最終回を作るということはかなり早い段階で決めていたのだそうだ。それはせがた三四郎に対する感謝と尊敬の想いを凝縮して,最後にケジメを付けたいという考えがあったかららしい。ただ想いを詰め込み過ぎて,本来考えていた尺を大幅に超えてしまい,CMとしてはかなり長めの,60秒という長さになってしまったのだそうだ。
光吉氏はドリームキャスト用ソフト「シェンムー」のサウンドディレクターを担当しており,同作の登場人物の一人である芭月巌を演じていた藤岡さんの声から,熱い想いを感じ取っていたという |
まさかのせがた三四郎復活 |
ライブはこれで終了かと思いきや,なんと藤岡さんが,せがた三四郎の姿でステージに登場。「会場のみんな,全国の若者よ,子供達よ! 未来を信じ,愛と夢と希望を持って生きよ! せがた三四郎復活だ!」と熱いメッセージを放ち,本日2度目となるセガサターン、シロ!を藤岡さんを含む全員で歌い,鳴り止まない歓声の中イベントを締めくくった。
・セットリスト
1:Let’s Go Away 2004/デイトナUSA
2:The Battle for the Dream/龍が如く5
3:In The Blue Sky/電脳戦記バーチャロン
4:猫日和。(歌:能登有沙)/maimai
5:愛がたりないぜ 2004(歌:光吉猛修・能登有沙)/アニメ「バーチャファイター」OP
トークパート
6:武士道ラップ
7:Burning Heats?炎のANGEL?/バーニングレンジャー
8:Conquista Ciela/電脳戦記バーチャロンシリーズから
9:未来へと続く空/ビクトリーゴール
10:ネーネーどうして?(歌:能登有沙)/ファンタジーゾーン
11:DREAMS DREAMS(歌:光吉猛修・能登有沙)/NiGHTS
12:セガサターン、シロ!(ショートver.)/せがた三四郎真剣遊戯
13:セガサターン、シロ!(藤岡弘、ver.)/せがた三四郎真剣遊戯
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