VR HMDのOculus創業者として知られるPalmer Luckey氏が率いるModRetroが手がける,NINTENDO64の互換機だ。
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ModRetro M64は,AMDの公式ブログでも紹介された製品だ。海外では2026年7月28日の発売を予定している。
価格は,NINTENDO64の純正品を模したデザインのゲームパッドが1台付属する本体セットが約230ドル(約3万7000円,税別)で,追加のゲームパッドが約90ドル(約1万4500円,税別)だ。
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公式サイトは日本語に対応しており,日本からも購入できるとみられるが,正式なアナウンスはない。
ModRetro M64における最大の特徴は,当時のNINTENDO64用カートリッジを本体のスロットに挿すだけで,すぐにゲームを起動できる点だ。カートリッジのデータを吸い出す(ダンプする)といったグレーな作業は必要ない。使い勝手は,NINTENDO64とまったく同じだ。
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ModRetro M64を実現したFPGAとは?
ModRetroはもともと,家庭用ゲーム機の改造や修理に関する情報交換の場として,2009年にLuckey氏が立ち上げたオンラインフォーラムだった。2023年に米国で法人化してからは,レトロゲーム機の復刻に取り組んでいる。
すでにいくつかのプロジェクトが発表されているが,そのいずれもFPGA技術を活用したものだ。
FPGAとはField Programmable Gate Arrayの略で,任意の論理回路をプログラムで構成できる集積回路を指す。本機では,オリジナルのプロセッサそのものを再現するのに使われている。
パッケージの外見はCPUやGPUとよく似ているが,内部は「構成可能論理ブロック」(Configurable Logic Block,CLB)と,それらをつなぐ配線領域,外部回路と信号を入出力するI/Oブロックなどで構成される。
FPGAの集積度や動作クロックは,Intelなどの大手半導体メーカーが最新プロセスノードで製造するプロセッサには遠く及ばない。動作クロックは格段に低く,回路規模も小さい。
しかし最新のハイエンドFPGAなら,トランジスタ数換算で数百億個に達し,動作クロックも数百MHz〜1GHz弱まで実現可能だ。
FPGAのリソースをすべて32bit浮動小数点演算器に充てた場合,理論性能で10 TFLOPS前後に達するとされる。
少なくとも,約30年前のNINTENDO64のメインプロセッサ程度であれば,十分に再現できる性能だ。
FPGAはプロセッサをハードウェアとして再現できる。過去のゲーム機のプロセッサを再現すれば,そのソフトをネイティブに動作させられるわけだ。ソフトウェアで処理するエミュレータと違い,遅延も生じにくい。
こうした復刻機で気になるのは著作権や特許権の扱いだが,ModRetroは「問題ない」としている。
著作権は公表後70年間保護されるが,ModRetro M64は,保護対象となるゲームプログラムやBIOSに,オリジナルを一切使っていないという。
一方,特許権の存続期間は出願から原則20年だ。NINTENDO64の内部アーキテクチャに関する特許はすでに期限切れのため,法的な問題は生じないという理屈である。
AMDの「Artix UltraScale+ FPGA」でNINTENDO64を再現
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AMDは,FPGA大手のXilinxを2022年に買収しており(関連記事),近年では自社プロセッサ内の一部アクセラレータにもXilinx由来の技術を用いている。
ModRetro M64では,NINTENDO64が搭載していたCPU「NEC VR4300」(MIPS R4000系)と,Silicon Graphicsが設計した大規模カスタムLSI,すなわちGPUにあたる「Reality Co-Processor」(RCP)の両方を,FPGAで再現した。
NINTENDO64のメインメモリである「RDRAM」は,現在では入手困難である。そこで,これに近い動作をする疑似SRAM「PSRAM」(Pseudo SRAM)をFPGAの外部に接続しているようだ。
PSRAMは実体がDRAMのため,メモリ帯域幅はSRAMに遠く及ばない。ただしアクセス遅延のばらつきを平均化できる利点がある。NINTENDO64のGPUはアクセス遅延のばらつきに弱く,これが生じると性能が大きく落ちる特性があった。そのためModRetro M64では,PSRAMを採用したようだ。
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ModRetro M64は,前面に実機のNINTENDO64と同じ形状のゲームパッド端子を4基備える。当時のNINTENDO64用ゲームパッドを,そのまま接続して使えるようにするためだ。
当時のNINTENDO64で使われていたサードパーティ製ゲームパッドにも対応すると,ModRetroはアピールしている。
また,純正ゲームパッドに装着して使う「振動パック」(Rumble Pak)や「コントローラパック」,ゲームボーイ/ゲームボーイカラーのカートリッジを動作させるアダプタ「64GBパック」(Transfer Pak)も,ModRetro M64で利用できるという。凝った作りだ。
なお,ModRetro M64用ゲームパッドは,NINTENDO64の実機でも使える。PCやAndroid端末とは,USBやBluetoothで接続できるという。
当時このゲームパッドに親しんだファンには,パッド単体でも魅力的に映るだろう。
本体には,USB Type-C端子も備える。本体への給電に加え,市販のPC用ゲームパッドを接続して使うこともできる。
オリジナルのNINTENDO64より優れている点もある。HDMI出力端子を備え,4K解像度での出力が可能なことだ。
といっても,ゲームグラフィックス自体は256×224〜640×480ピクセルの範囲で描画され,それを4Kにアップスケールして出力しているにすぎない。
ちなみにNINTENDO64では,640×480ピクセルは一部の2Dゲームにしか使われず,多くの3Dゲームは256×224や320×240ピクセル程度で描画していた。
ModRetro M64は,液晶や有機ELといった固定画素パネルでも,ブラウン管風の表示を再現するモードを複数備える。レトロゲーム復刻版でおなじみの「疑似スキャンライン」表示はもちろん,ブラウン管のサブピクセル配置を4K解像度で再現する「リアルブラウン管」モードも搭載していた。
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気になるModRetro M64の性能だが,AMDの担当者によれば「実機のNINTENDO64とまったく同じ」だという。実際の動作検証でも,実機でフレームレートが落ちるシーンでは,ModRetro M64でも同様の傾向が見られた。
「Nintendo Switch向けにエミュレータで復刻されたNINTENDO64タイトルよりも操作遅延が少ない」と,ModRetroは主張する。
とはいえModRetro M64には,実機と比較して速い部分と遅い部分があるという。それが原因なのか,マイナーなタイトルでは動作に不具合が出ることもあるそうだ。
任天堂の主要タイトルやサードパーティの人気タイトルは,ModRetroが動作確認を行っているという。それ以外のタイトルで生じる問題には,ファームウェアアップデートで順次対応,改良していくとのことだ。
提供時期は未定だが,将来的にはオーバークロックモードの実装も計画しているようだ。NINTENDO64では平均20fpsだった「スターフォックス64」が30fpsで動けば,マニアからは好評を得られそうだ。
なお,ModRetro M64のファームウェアアップデートは,本体のmicroSDカードスロット経由で行う。このスロットから市販ゲームソフトを動かすことはできないが,自作ゲームであれば動作するという。
ModRetro M64の発売に合わせ,THROWBACKから「Extreme-G」(1997年)と「Extreme-G2」(1998年)の2作品を1本にまとめたカートリッジ「Extreme-G Turbo Fusion」がリリースされる予定だ。
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