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[SIGGRAPH ASIA]微弱電波で壁の向こうの人を透視する? RF-Captureとはどんな技術か
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印刷2015/11/06 18:11

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[SIGGRAPH ASIA]微弱電波で壁の向こうの人を透視する? RF-Captureとはどんな技術か

Fadel Adib氏(MIT)
 2015年10月にマサチューセッツ工科大学(MIT)が,電波を使って壁の向こうの状態を可視化する「RF-Capture」という成果を発表して少し話題になったのをご記憶の方もいるかもしれない。
 「壁を透視できてしまうなんて……」と少々心配になる話だが,神戸で開催された「SIGGRAPH ASIA 2015」において,RF-Capture開発メンバーの一人であるFadel Adib氏がその概要を解説してくれたので,どんな技術なのかを簡単に紹介してみたい。


電波で壁の向こうの人体の動きをリアルタイムに検出


 SIGGRAPH ASIA 2015にはTechnical Paperという一連の技術セッションがあるのだが,その中でRF-Captureの研究開発にあたっているメンバーの一人,Fadel Adib氏が登壇し,その仕組みや特徴について解説してくれた。
 電波を使って壁の向こうを透視するRF-Captureについては,すでに資料や写真などが公開されているので,より詳しい内容については,そちらを参照していただきたい(参考URL)。

 電波を使って物体の位置や動きを検出すること自体はレーダーなどですでにお馴染みの技術だが,RF-Captureは非常に低出力の無線を使って壁越しにそれを行うことに成功したというのが大きなトピックだ。Adib氏は一般的な光学センサーに対するRF-Captureの特徴として,薄い壁であれば透過できるという点を強調していた。

イメージセンサー(Traditional Imaging)とRFの比較。カメラなどであればレンズが使えるが壁を透過できない。RFなら壁を超えてイメージを得ることができるのが利点
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 RF-Captureでは,電波で壁の向こうにいる人やその動きの検出に成功しているが,もちろん電波は人以外のものも反射してしまうので,人を検出するためには反射してきた電波の方向を識別できる必要がある。そこで,RF-Captureでは複数の受信アンテナ(アンテナアレイ)を使って反射してきた電波を識別しているそうだ。

アンテナ1個ではいろいろなものから反射してくる電波を区別することができない。そこでRF-Captureではアンテナアレイを使って,空間をスキャンして人からの反射を識別しているという
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 そんなRF-Captureを実現するにあたって二つほど困難があったという。
 一つは空間をスキャンする速度が極めて遅いという点。詳細にスキャンしようとすると非常に時間がかかるという。
 そこでAdib氏らが考えついたのが「Coarse-to-fine」というやり方である。文字どおり,まず粗く空間をスキャンして反射する物体があるかないかを調べ,続いて反射する物体がある角度を詳細にスキャンというような方法だ。

まず二つのアンテナでざっくりと空間をスキャン。スライドでは二つの反射する物体が見つかっているので,それらがある角度にアンテナを切り替えながら詳細にスキャンしていくというやり方を使っている。これで速度が遅いという欠点を補ったそうだ
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 二つめは,人体だとその一部からしか電波が反射されてこないという問題だ。人体は正方形のような規則正しい形ではないので,反射を受け取るアンテナがキャッチできるのは人体の一部に限られてしまう。

電波は人体の一部からしか反射してこない。人体を電波で見分けるのはなかなか難しいということにもなるが……
[SIGGRAPH ASIA]微弱電波で壁の向こうの人を透視する? RF-Captureとはどんな技術か

 ところが,実際に動いている人を捉えて工夫すると,人体を見分けることができるという。下のスライドはRF-Captureに向かって人が歩いてきている様子を捉えたものだ。最も面積が大きい胸の部分はどの距離でもRF-Captureで捉えられており,また腕や頭といった部分も距離によっては捉えられている。この一連の画像を重ねて区分けすると腕,胸,頭といったものが識別できる。

人がRF-Captureに向かって歩いてきているときの映像。RF-Captureから3,2.5,2mの3枚の映像がある。1枚だけだとなにがなにやらという感じだが,3枚の画像を区分けすると,頭,胸,腕といったものが識別できるのだという
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このような連続した画像を使うことによって人体の識別が可能になる
[SIGGRAPH ASIA]微弱電波で壁の向こうの人を透視する? RF-Captureとはどんな技術か


GPUを使ってリアルタイムの検出を実現したRF-Capture


 さて,そんなRF-Captureだが,実際にはどのようなものなのだろうか。下がそのアンテナ部分の写真を示したものだ。アンテナはT字型に並べられており,横に並んでいるのが受信アンテナ,縦に並んでいるのが送信アンテナだそうだ。RF-CaptureはUSBでPCに接続されており,使用している電波の出力は,無線LANの1/1000という非常に微弱なものだという。

RF-Captureを行うデバイスの様子がこれである。アンテナはT字型に並べられており横並びが受信,縦並びが送信だそうである
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 アンテナの数を増やせば精度が上がるのでは,という気もするが,RF-Captureの計算負荷はかなり高く,アンテナの数を増やすと演算の負荷が問題になってくるという。アンテナの数や配置は演算の負荷との兼ね合いで最適化しているようだ。
 その演算では,FFT(高速フーリエ変換)を大量に繰り返す必要があり,演算にGPUを使うことでリアルタイムの検出を可能にしたと説明していた。
 検出の精度に関しては,センサーのところで人が手を動かす様子をトレースして,MicrosoftのKinectと比較したデータでは2センチ以内に収まっているという。壁の向こうの人をトレースしていることや,光よりはずっと波長が長い電波を使っていることを考えると,かなりの高精度といってよさそうだ。
 また,検出可能な距離に関しては,現在は8メートルほどで,15メートルくらいまでなら可能かもしれないと述べていた。

人が手を動かす様子をトーレスしてKinectと比較した結果では,両者の差は2センチ以内に収まっていたという
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 波長の長い電波を使う以上,光学的なセンサーほどの精度は得られないが,それでもこのRF-Captureは「新しいタイプのイメージセンサーとして応用が可能ではないか」とAdib氏はまとめていた。計算負荷が高いという点については,専用のハードウェアに演算を任せるといった方法で解決できそうなので,ゲームを含めて障害物の向こうも可視化可能なモーションセンサーとして楽しい応用が可能かもしれない。将来の展開を楽しみにしたい。

SIGGRAPH ASIA 2015公式サイト

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