2026年2月8日,数年ぶりの大雪が都内を襲った。そんな天候をよそに,東京・浜松町で開催された
「東京ゲームダンジョン11」の会場は,開発者とゲームファンの熱気に包まれていた。
レポートの前編では,全体の雰囲気や注目作を紹介した。しかし広大な会場にひしめく300以上のブースには,語り尽くせないほどの
“尖った作品”がまだまだ多く集まっていた。本稿では,そのごく一部をお伝えしていこう。
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インディーゲームの展示会「東京ゲームダンジョン11」が,2026年2月8日に東京・都立産業貿易センター浜松町館で開催された。レポート記事の前編では,会場の様子と合わせて,「人狼バーガー」や「プラトニカ・スペース」といった,特に目を引いた作品を紹介する。
[2026/02/10 14:23]
ヘロ―ワーク
出展者:mumimumi
「ゲームダンジョン」のキービジュアルを手がけるmumi氏(
@mumimumi2000)の最新作が,この
「ヘローワーク」だ。過去のゲームダンジョンでもプロトタイプが出展されていたが,いよいよ形になってきた。
ブースに置かれていたチラシには,「歌って踊って就職」などと景気のいいフレーズが書いてあるが,その実態は……無職の天使にラジオ体操を強いて就職させるという,なんともシュールな「支援ゲーム」(?)のようである。
 ただし,天使は爆弾を抱えている。やる気出されても危険!? |
いかにも怠惰そうな天使の生活を立て直すため,プレイヤーは「言葉」を集め,独自の「文章」に組み立て,天使のバイブスを高めていく。このシチュエーションが刺さる人もいるかもしれないが,おそらく考えすぎだ。
果たして天使は,無事(?)に労働の喜びを取り戻せるのか。いや,そんな落としどころでは済まない気がする。mumi氏の一筋縄ではいかない作家性が,今回も存分に発揮されていそうだ。
CONTOUR
出展者:あたたかモチ
真っ青な大海原に,自分だけの島を築いていく。あたたかモチ氏(
@atataka_mochi)の
「CONTOUR」は,次々と供給されるブロックを配置して海を埋め立てていくパズルゲームだ。
ルールはシンプル。手持ちのブロックを使って海を埋め立て,島を作っていく。ただ,指定されたマスに特定の地形を置く「クエスト要素」もあり,適当に埋めるだけではうまくいかない。
重要なのは「水深」の概念だ。深い場所は先に埋め立てておかないと,次にブロックを置きたい地形が水没してしまうことも。常に3つ先まで見えているブロックを確認し,どこを先に埋め立てておくか考えるのが楽しい。
あたたかモチ氏によると,単に島を広げたり,標高を高くするだけでなく「街のブロックを10個つなげる」「畑を一定以上広げる」といった「役」を揃えることで高得点を狙う要素もあるとか。
自分だけの島をつくるロマン。そして効率的な配置を実現するカタルシス。埋め立て方を考える楽しさがついつい後を引きそうな作品だった。
悪霊粉砕ハンマーガール!
出展者:SAKURA UP
「除霊(物理)」という謎めいたワードが気になった
「悪霊粉砕ハンマーガール!」は,呪いの屋敷にはびこる悪霊を,JKが巨大なハンマーで文字通り「粉砕」していくアクションだ。
いわゆる「ヴァンサバ系」の作品だが,武器がハンマーというのがポイントだ。周囲から迫る悪霊を叩き潰すのは気持ちいいが,ハンマーが重すぎるのかなかなか振ってくれない。この「もどかしさ」が,敵を引きつけて潰すスリルを生み出している。
また,ステージ上の障害物の扱いも面白い。悪霊を足止めする盾として利用できる反面,ハンマーで粉砕してしまうと,せき止められていた悪霊が一気になだれ込んでくる。そう,単に壊しまくればいいわけではないのだ。必殺技の使いどころも大切で,プレイヤーの技量が試される場面が多い。
 失敗するとこうなる |
ちなみに,除霊に成功しても失敗しても「ちょっとしたご褒美」が用意されているあたり,SAKURA UP(
@SAKURAUPgames)は「実にわかっている」サークルという印象。これぞ大除霊ボーナス!?
人魔境共生譚
出展者:Blast HuSter Games
Blast HuSter Gamesの海神航氏(
@Blasthal)が手掛ける「人魔境共生譚」は,魔物娘と協力して謎を解き,敵を倒していく3Dアクションアドベンチャーだ。
 キャラクターもまだ仮のもの |
プレイを進めるうえで大切なのは,ともに冒険する魔物娘たちとの協力関係だ。スライム娘は粘液状の体を活かし,ハーピーは翼で空を舞い,ケンタウロスは駆け抜ける。それぞれの特性をパズルや戦闘にどう組み込んでいくかが,攻略の鍵となる。
またダンジョンには,「自分たち」以外の探索者も挑んでいるらしい。
作者のXアカウントによると,開発期間は約4か月ほど。3D「ゼルダ」をリスペクトしているそうだが,自分で3Dアクションを作ってみて痛感したことがあるという。それは,誰もがすんなり遊べる本家「ゼルダ」という作品が,いかに緻密に作り込まれているかということだ。
海神航氏の試行錯誤の先にどんな「共生」が描かれるのか,進化が楽しみになった作品だ。
 応援ボタンが置かれていたので押しておいた |
ナカノ人格移植研究所
出展者:麺屋すぱいす 東京支店
なんとも物騒なタイトルが目を引いた本作。インディー界隈で話題になった「アイアイ喫茶店」の開発チーム・麺屋すぱいす 東京支店(
@men_spice_tokyo)が贈る,新作ミステリーアドベンチャーだ。
舞台は,マッドサイエンティストたちが集まる不気味な船の中。タイトルにもある「人格移植」技術が,謎解きの鍵となっている。
といっても,人間の人格を完全に書き換えてしまうのではなく,プレイヤーが対象に憑依して動かせるようなイメージ。……思ったよりも物騒な話ではなかったが,しかし十分にキケンな香りが漂っている。
攻略のポイントとなるのは,作中の「匿名掲示板」で情報交換を行うシステムだ。錯綜する議論の論点が整理されたり,匿名で新たな手がかりが届いたりと,ネットコミュニティの空気感と推理のプロセスを同時に楽しめそうである。
試遊版をプレイした感じでは,分かりやすいシステム
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人格を乗り換えながら,事件の真相にどこまで迫れるか。リリースは2026年内を予定しているとのこと。
以上,今回も多様な驚きと,作者たちの熱量を浴びることができた東京ゲームダンジョン11。次回の「12」では,会場をさらに拡大し,3フロアを使用した約400枠にスケールアップするという。
すべてのブースが「机1つ分」の枠に統一されるほか,既刊・完成済み作品の出展も解禁される。「完成したからもう出展できない」という声についに応えた形だ。
そしてSteamの日本トップページには,特設ページのバナーが2日間掲載されるとのこと。イベントの規模も,届ける力も,ますます加速していく予感がする。
 アウリン,アスク,ウィットワンの合同ブースでは,某ホームランダービーのパロディっぽい「ころさんのホームWAN!ダービー」や,古典パズルアクションのアレとアレを合体させたような「リモートボンバー」が展示されていた |
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holo Indieは本日,PC向け2Dアクションゲーム「ころさんのホームWAN!ダービー」をSteamで配信する。本作は,ホロライブゲーマーズ所属のVTuber・戌神ころねさんを主人公にしたバッティングゲームだ。見た目に反し,高難度な本作のプレイレポートをお届けする。
[2025/07/11 08:00]
 なかなかショッキングで哲学的なビジュアルが目を引いた 「寄生の園」( 外部サイト)。無料公開中なのでぜひ遊んでみてほしい |
 「Match 3 Labyrinth」は,3つの荷物を押して並べることで消し,道を作る,3マッチと倉庫番を合わせたようなアクションパズル |
「Dystopia VS Distortion」は,ギターで戦うローグライト。限られたスペースでオーバードライブ,ディレイ,コンプレッサーなどを組み合わせ,キャラを強化しつつ戦う。曲も個人で作っているらしい
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 明かりを操作し,ステージの様子を探りながら遊ぶ「Will O Wisp」。なかなか硬派なアクションだった |
トー横界隈の雰囲気がよく出ていた「トー京Xtrip」。TikTokなどにアップされた動画から独特の雰囲気を抽出したという
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マインドウェア(@MickyAlbert)の新作「Dropping Drops」は,変則的な玉入れゲーム。USB MIDIデバイス「nanoKONTROL2」に対応し,ツマミやスライダーを使った操作が感覚的で,操作すると内容がスッと入ってくる。3月リリース予定とのこと
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東京ゲームダンジョン公式サイトでは,「《全品1文字均一》 一文字マート 《創作漢字OK》」と登録されていたが,タイトル画面では「カンジホーテ」と表示されていた作品。お題に合わせて漢字を書いていくと,文字に応じた品物を出し,ちょっとしたコメントもしてくれる
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魔法陣の力でロケットを飛ばす「1865錬金宇宙局GASA」(外部サイト)。イギリス西方海域に魔法陣を描き,いろいろ試してみたものの,残念ながら飛ばせなかった(笑)
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「Dancing Wings - The Aerobatic Simulator」は,T-4練習機でアクロバット飛行するシミュレーター。編隊の全機分の操縦を行った後,データを編集して統合,編隊飛行させて悦に入ったりできる(!)。これは時間が溶けそうだ……
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コンカフェ嬢送迎アドベンチャー「オクリ -OKURI-」(外部サイト)のアクリルスタンド。なぜか店長だけデカい
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少女のトラウマを打ち消す,心療タイピング「Pain Pain Go Away!」。写真の印象通り,なかなか不穏な体験だった
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 「Mask Mystique」( @OvernightCG)は,70年代ごろのテレビ(のガワ)を使って展示していた。黒猫が幻想的な図書館を彷徨う |
次回のゲームダンジョンは,2026年5月3日に開催。会場ではどんな驚きと才能に出会えるのか,2026年もインディーゲームシーンから目が離せなさそうだ。