プレイレポート
[プレイレポ]伝説の生首育成ゲーム,四半世紀の時を経て現代にリメイク。「TOMAK:Save the Earth Regeneration」さまざまな表情を見せる愛の女神と再会
時はまさに世紀末,神々は人間が愛を失って堕落したことを怒り,地上を滅ぼそうと決意する。そんな中,ただ1人反対したのが,本作のヒロインである愛の女神エビアンだ。人間はまだ愛を持っていると主張するエビアンに対し,神々は首だけになって地上に降りることを命じた。
プレイヤーは,エビアンの植木鉢を拾った青年となり,彼女の世話をすることになる。
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生首の美少女を育成する――尖った内容から,日本では輸入ゲーム店を中心に話題を呼び,2002年にはWindows版とPS2版が発売された。
それから24年,同作の制作したSeed9はNetmarble Monsterとなり,キム・ケン氏は最新作「モンギル:STAR DIVE」を2026年4月15日にリリースする。
そして4月2日より,「Tomak〜Save the Earth〜Love Story」を現行機向けにリメイクした「TOMAK:Save the Earth Regeneration」が配信されている(4月17日0:00まで無料配布)。
植木鉢に生えた愛の女神(の生首)を育てるカルト育成シム「TOMAK:Save the Earth Regeneration」がEpic Games Storeで無料配信開始。25周年記念作品として復活
Netmarble Monsterは,「TOMAK:Save the Earth Regeneration」の配信を,Epic Games Storeで開始した。植木鉢に頭だけ生えた愛の女神エビアンを育てて地球の滅亡を回避するという,唯一無二の設定を持つタイトルが現代に甦る。
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原作は2001年に発売されていることもあり,当時の懐かしい美少女育成シミュレーションの感覚に満ちている。プレイヤーは1日に1つコマンドを入力し,エビアンを育成していく。コマンドはエビアンにプラスとマイナスの影響を与えるので,うまくバランスを取っていかなければならない。
エビアンに設定されているパラメータのうち,「知能」「感性」「魅力」「好み」「信仰」は意識して育てたいものだ。本を読ませると「知能」,歌わせると「感性」が上がるといったように,コマンドに応じたパラメータが少しずつ増えていく。
同時に「スタミナ」「喉が渇いた」「飢え」「疲労度」「ストレス」が悪化していき,そのまま放っておくとバッドエンドに直行だ。渇きが増えたら飲み物を与え,スタミナが減少したら「まばたき」「息をする」といった生首ならではの運動をさせることで,体調を整えなければならない。
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お金を稼ぐのも忘れてはいけない。空腹や渇きを癒す飲食物,育成用の本やCD,体感温度調整用の装身具と髪を染めるヘアスプレー,これらはすべて消耗品である。
おまけに,買い出しに行けるのは月に1回だけ。エビアンの食べ物がなくなったから,ちょっくらコンビニへ……なんてことはできない。あらかじめ,あらゆる準備を整えておく必要がある。
ここで怖いのが,主人公はフリーランスであることだ。どれだけ働くかは自分で決められるため,エビアンのパラメータが不穏になってもフォローするための時間を取れる。
その一方,あまりにもエビアンにべったりで働かないと,その分だけ収入も少なくなる。とくに食料品を買えないのは致命的だ。そうならないように,計画を立てて仕事をしなければならない。
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気温や湿度に関するケアも重要だ。普通の人間であれば,寒くなったら自分の判断で服を着るし,湿気がひどかったら居心地のいい場所に移動する。
しかし,エビアンは首しかないので,主人公がすべてをフォローしなくてはいけない。夏場はヘアピンで髪をまとめたり,涼しげな髪色に染めたりして,涼しい地下室に置きつつ,湿気がひどかったら地上に出してあげる。
冬は日が当たる机の上に置いて,髪を暖色系に。あまりに寒いようであれば,お酒を飲ませる……といった,鉢植えの栽培と人間に対する気づかいを合わせたようなお世話が求められる。生首育成シミュレーションである本作でしか味わえない経験だろう。
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エビアンを育成すると,「ノーマル」「ハズカシ」「ヒネクレ」「ナマイキ」「ニブニブ」「ウキウキ」といった状態に変化していく。ノーマル状態は首だけとはいえ美少女だが,そのほかの状態はデフォルメされたラフな絵柄になる。
美少女育成ゲームをやっていたら,ヒロインがいきなりLINEスタンプのように変わるわけで,そのインパクトは25年を経ても色あせない。筆者はPS2版を当時にプレイしているが,それでも久々に見ると驚いたので,初見の人は度肝を抜かれることだろう。
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状態によって,エビアンの言動が変化するのも面白いところだ。ノーマルは2000年代初頭の美少女ゲームヒロイン,ナマイキは世間ずれした姉さん女房風,ウキウキはテンションが上がりすぎた暴走状態,ニブニブは何をしてもほとんど反応しない……実にさまざまな表情を見せてくれる。
人間だって24時間,常に外面の良い状態ではいられない。寝起きはニブニブに,テンションが上がればウキウキになるのが普通だろう。ノーマルに惹かれて付き合ったら,意外な内面が見えてきたというわけで,なんともリアルだ。
ノーマルが「正常」,ほかはバッドステータスということではない。季節や状況によっては,ノーマル以外の状態になることが自然であるのもポイントだろう。「多面的でリアルな人間らしいキャラクターを描きたい」という意思が感じられる。
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前述のとおり,筆者はPS2版をプレイしているが,エビアンは当時より魅力的に映る。その理由は,25年を経てエンターテインメントのキャラクターがさまざまに変化しているからだろう。
昨今ではラフな絵柄や手描きの線の良さが再認識され,ゲームや漫画のヒロインがデフォルメされることも珍しくない。同時にキャラクター像も多様化しており,ポンコツ,ぼっち,だらしない,ダウナー,腹黒いなど,人間的なキャラクターが受け入れられるようになっている。
そのため,絵柄や表情がくるくる変わり,デフォルメされた状態で鉢植えになっているエビアンは,当時より可愛らしく見える。PS2版を初めてプレイしたときはノーマルの美少女状態を保とうとしたものだが,現在はほかの状態が人間らしく,好ましく思える。ある意味,原作は時代を先取りしていたともいえるだろう。
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本作において,プレイヤーの責任は重大だ。エビアンは勝手に行動することがないため,お腹を空かせるのも,渇きに苦しむのも,すべてはプレイヤー次第である。
そして,エビアンの状態がなかなかノーマルに戻らないこともある。とはいえ,ノーマルだけがエビアンではない。ウキウキだって,ヒネクレだって,ニブニブだってエビアンだ。
感情の振れ幅を受け入れて,エビアンとどれだけ向き合えるか,どこまで二人三脚で進めるか。人間としての器が試される。
原作でも当時から言われていたことだが,本作は単にキワモノだったり,悪趣味なゲームだったりするのではなく,どんどんエビアンが可愛らしく思えてくる。鉢植え状態のエビアンを布で覆って映画館に連れて行ったり,主人公の部屋に破壊神やら女神やらがやってきてドタバタ劇を繰り広げたりするのも,往年のファンタジー系ラブコメの香りだ。
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本作はエビアンの魅力を再確認できるリメイクだ。難度は高く,地上滅亡のバッドエンドを体験してからが本番ではあるが,“あの頃”の美少女育成シミュレーションの雰囲気を存分に堪能できる。
なお,PS2版に存在した日本語ボイスは未収録。また,PS2版では「叱る」に改変された「殴る」コマンドはオリジナルのままだ。
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25年前,「なぜ生首のゲーム?」と疑問を抱いた人も多いと思うが,ぜひ「こちら」のインタビューをご覧いただきたい。
中学生の頃からゲームを作っていたキム氏がSeed9を立ち上げ,東京ゲームショウで輝く開発者に憧れ,とある理由からヒロインを生首にして,日本で話題となり……といった内幕が語られている。ゲーム内に出てくる内輪ネタやメタネタに,また違った意味を見出せるだろう。
本作は会社を立ち上げたばかりの若者が短期間で必死に制作した,情熱の記録でもあるのだ。
[インタビュー]デイリークエストも競争もいらない――「TOMAK」を作ったキム・ケン氏が,4月15日リリースの最新作「モンギル:STAR DIVE」で目指す,“いつでも戻れる”ゲーム設計
スマホゲーから,デイリークエストやPvP,競争の要素を取って,あとに残るものはなんだろう? それを実践しようとしているのが,この「モンギル:STAR DIVE」なのだ。
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- 関連タイトル:
TOMAK:Save the Earth Regeneration
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