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Steamでは数秒で勝負が決まる。「Blue Prince」のRaw Furyが,ストアページで重要な4要素を解説[gamescom]
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印刷2026/08/26 17:23

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Steamでは数秒で勝負が決まる。「Blue Prince」のRaw Furyが,ストアページで重要な4要素を解説[gamescom]

 SteamDBの集計によると,2025年にSteamで発売されたゲームは2万1338本。2006年の70本から,19年で約300倍に増えている。2026年もこれを上回る見込みだという。年末の大型タイトルが翌年にずれ込む可能性はあるにせよ,右肩上がりの傾向そのものは変わらない。
 これだけの本数が並ぶなか,1本のゲームがプレイヤーの注意を引きつけられる時間は数秒しかない――そこがルンドクヴィスト氏の出発点である。では,ストアページのどこから直せばいいのか。

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 ポントゥス・ルンドクヴィスト(Pontus Rundqvist)氏は,Raw Furyのシニアブランドマネージャである。業界歴は約10年で,ジャンルも規模も異なる複数タイトルのマーケティングに携わってきた。
 公の目に触れるものは何らかの形で,自分か同僚のブランドマネージャが設計したものだ――というのがルンドクヴィスト氏の自己紹介だった。

 Raw Furyは「Blue Prince」「Kingdom Two Crowns」「SKALD: Against the Black Priory」「Star Trucker」などを送り出してきたスウェーデンのパブリッシャである。
 今回の講演では,その実務から得た優先順位が自社の実データとともに示された。

講演のタイトルスライド(上)と,登壇したポントゥス・ルンドクヴィスト氏(下)
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 マーケティング施策を1本設計して回せば,数億回のページビューやインプレッションが発生し,そこから数十万回のクリックが生まれる。その過程のどの段階であれ,改善を1つ加えれば,最後には大きな効果につながる。小さな調整が最終的に大きな差を生む,というのが講演全体を貫く考え方だ。

 そのうえで,今回の講演では扱う範囲を絞った。マーケティングファネル全体を扱いきれないため,最も重要な1点――Steamのストアページに集中して説明した。
 ほかのプラットフォームで展開する場合も,内容の多くはそのまま応用できるという。Steamには豊富なデータがあるため,そこで得た知見を,データが見えにくい環境へ持ち込むことも可能だ。

「WHAT WE ARE DOING」のスライド。マーケティングのパフォーマンスを高めるため,(1)最重要のプラットフォームであるSteamに集中する,(2)ゲームを目立たせる,(3)それを支えるフレームワークを組む,という3点が手書きで並ぶ
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 プレイヤーは,みな同じ経路でストアページにたどり着くわけではない。Xで流れてきた3秒のGIFに心を掴まれ,もっと知りたくなってYouTubeで動画を見て,ゲームに興味を持ち,ストアページへ来る層がいる。

 一方,TikTokをスクロール中に,見たことのないゲームで遊ぶ配信者に興味を持ち,Twitchへ移り,ゲームプレイそのものが良さそうだと感じてストアページへ来る層もいる。

 プレイヤーによって探しているものは違う――ストアページを設計するときは,その違いを踏まえろというのがルンドクヴィスト氏の指摘だ。

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 では,ストアページでは何が見られているのか。ルンドクヴィスト氏が例に挙げたのは,Steamの「More Like This」だ。これは,あるゲームのストアページ上に,類似作品として別のゲームが並ぶ推薦枠を指す。

 ストアページの各要素は,Steam内のさまざまな露出枠に異なる形で現れる。そのなかでも「More Like This」は情報がもっとも圧縮された枠であり,だからこそ重要度の高い4要素を切り出すのに都合がいい。

 名前とロゴキーアートジャンルやタグ,そして価格。この4つが,情報を圧縮した枠にも残る要素である。ただし価格は,発売済みのゲームでより意味を持つ要素だと補足された。

「THE MOST IMPORTANT」のスライド。Steamの「More Like This」の画面に,GENRE/TAGS,NAME/LOGO,KEYART,PRICEの4要素が書き込まれている
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 次点の要素は,リスト表示の枠で確認できる。トレイラーは,カーソルを重ねたときやスクロール中に数秒だけ再生されるため,その短い時間で機能するかどうかが重要になる。

 加えてトレイラーは,ショウケースなどさまざまな場面で使い回せる資産でもある。スクリーンショットもリスト表示に現れることがあり,カーソルを重ねれば確認できる。そして,レビュースコアも挙げられた。ここまでがストアページを構成する主要な要素だ。

「THE MOST IMPORTANT (EXTENDED)」のスライド。「Star Trucker」のストアページを例に,TRAILER,SCREENSHOTS,REVIEW SCOREの3要素が追加されている
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 ここから1つずつ細部を見ていく。
 まず名前は,ゲームを構成する要素のなかでもっとも変わりにくい資産だ。変更自体は可能だが簡単ではない。いったん世に出れば,その名前が定着する。商標登録もできるため,模倣が懸念されるジャンルでは,コピーキャット対策の第一の防衛線として機能するという。

 また名前は,そのゲームを伝える最短のピッチでもある。2つの単語を組み合わせ,もともと存在しない新語を作る例もあるが,これはゲームの核となるメカニクスや題材,ジャンルを一言で伝えるためのテクニックだという。

 Raw Furyの例として2作品が挙げられた。「Star Trucker」は,SFと輸送・運転という2つの層に同時に訴求することから逆算した名前だ。

 「Monsters are Coming! Rock & Road」は,押し寄せる敵のウェーブを迎え撃つという核となる要素を,そのまま名前に持ち込んでいる。何のゲームかを覚えてもらいやすくするためだ。

 名前はローカライズも可能なので,英語で成立するジョークが他言語でも機能するとは限らない点にも注意すべきだ,という助言が添えられた。

「NAME」のスライド。左に「最も静的な資産」「商標にできる」「ゲームの最短のピッチ」,右に「Star Trucker」(SF/輸送)と「Monsters Are Coming」(ディフェンス/タワーディフェンス/ローグライト)の要素分解が並ぶ。下部には「TIP: LOCALISE!」と書かれている
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 キーアートはそれ自体が1つの科学だとして,ルンドクヴィスト氏は要点を絞って説明した。「あらゆる場所に表示されるものなので,手を抜くな」と強調する。ここでいう「手を抜くな」とは,金か時間のどちらかは必ずかけろ,という意味だ。

 キーアートが担うのは,そのゲームがどんな体験を提供するのかという約束や前提,ジャンル,スタイルの提示であり,プレイヤーの期待値を設定する役割でもある。
 プレイヤーが探しているものは,多くの場合,ジャンルの定型に沿っている。FPSのプレイヤーはFPSに何を求めるかを知っているのだから,どの層を狙うのかを意識して設計すべきだ,というわけである。

 例として挙げられたのは,Raw Furyが手掛けた「SKALD: Against the Black Priory」である。ゲーム本編のピクセルアート表現をキーアートにも通し,暗い色調や構図によって,海から怪物が這い上がるホラーとダークファンタジーの側面を打ち出している。

 さらに手前には,生き延びようとする冒険者の一団を配置し,CRPGであることも示している。1枚の絵に,ジャンルや世界観,プレイ体験まで織り込んでいるという説明だった。

「KEYART」のスライド。「あらゆる場所に表示される」「手を抜くな」「定型を意識しろ」の3点に加え,「SKALD: Against the Black Priory」のキーアートが例として示され,下部には「CRPG DARK FANTASY HORROR」と書かれている
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 「Last Man Sitting」では,PvEの協力型シューターという核の要素を伝えるキーアートを最初に作ったが,十分に目立たないと判断した。プレイヤーが本当に気にする要素を十分に盛り込めていない,という自己評価だった。

 そこで構図やポーズ,アートスタイル自体に手を入れた別バージョンを用意したところ,インプレッションから訪問への転換率が1〜2%上がった。長期間で見れば,ストアページへの訪問数に相当な差が生まれる数字だ。

「KEYART - STYLE MATTERS」のスライド。「Last Man Sitting」のキーアート2案がOPTION A/OPTION Bとして並び,右下には「〜+1-2%」と書き込まれている
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 タグとジャンルも重要な要素だ。プレイヤーは自分の好みを把握していて,すでに好きなもの,あるいはその組み合わせを探しにくる。タグとジャンルを明確に伝えれば,プレイヤーの期待値を設定し,管理できる。

 加えてタグは,各種フェスや露出枠への参加資格にも関わる。ジャンル別のページに載るかどうかにも影響し,「Kingdom Two Crowns」はタワーディフェンスのページに掲載されているという。

 注意点として挙げられたのは,タグは開発者側で設定できる一方,プレイヤーも付けられるため,時間とともに変化することだ。「Star Trucker」では,狙った他タイトルの隣に表示させるため,定期的にタグを確認していたという。

 価格も掘り下げれば奥が深いとして,ここでは要点だけが示された。価格は,思わぬ形でゲームへの期待値に影響する厄介な要素である。同時に,コンバージョンを引き上げる手段にもなる。究極の期待値設定装置であり,良くも悪くも働く,というのがルンドクヴィスト氏の整理だ。

 低価格はゲームを手に取るプレイヤーを増やす一方,自分向けの体験ではないという印象を与えてしまうこともある。オンラインPvPシューター「Friends vs Friends」では,多くのプレイヤーを集めるため,発売時に価格をコンバージョンの手段として使ったという。

「PRICE」のスライド。価格が「期待値に影響する」として,レビューとセンチメントが挙げられ,「Friends vs Friends」の名前や50%という数字,プレイヤー数の推移グラフが並ぶ
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 トレイラーの作り方も1つの科学だが,構成やスクリプト,編集手法,ローカライズについては基礎的な理解を持っておくべきだという。そのうえで要点を絞るなら,トレイラーはゲーム体験を伝える手段としてもっとも影響力が大きい。ゲームがどういうものかを,もっとも完全な形で示せるからだ。

 Raw Furyでは,短いバージョンを必ず作るようにしている。社内で「30秒版」と呼んでいるものだ。プレイヤーには膨大な選択肢があるのだから,何のゲームなのかがすぐに伝わらない状態は避けなければならない。

 最初の2秒に,このゲームで何をするのか,なぜ注目する価値があるのかという強いフックを置く必要がある。「30秒版」は,ゲームの核を速やかに伝えるためのものだ。

 もう1つ強調されたのがUIである。UIもプレイヤーの期待値を設定する要素だ。あるジャンルのUIを見れば,プレイヤーはそのジャンルがどのような体験を提供するかを自然に想定する。マネジメント系のゲームなら選択肢が多いはずだが,探索系のゲームではそうとは限らない。だからこそ,UIを見せることは必ずしも悪いことではない。

 作ったトレイラーが機能しているかどうかの検証には,別のプラットフォームを使う手もある。Raw FuryではYouTubeの視聴維持率を見て,狙ったフックが効いているかを確認しているという。

「TRAILER」のスライド。「30秒版を必ず作る」「最初の2秒をフックにする」「ゲームのフックを使う」「UIを見せる」「YouTubeなど他のプラットフォームで検証する」の5点が並び,右には「Last Man Sitting」のトレイラーの視聴維持率グラフが示されている
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 スクリーンショットに求められるのは,ゲームの忠実な再現である。プレイヤーも,それを期待して見る。
 例として挙げられたのは,一人称視点のSFホラーゲーム「ROUTINE」である。スクリーンショットは,ゲームの核やスタイル,ジャンルを瞬時に理解する助けになる。ここでもUIを見せることは有効だ,というのがルンドクヴィスト氏の見方だ。

「SCREENSHOTS」のスライド。「ROUTINE」のストアページのスクリーンショット一覧が示され,右には「ゲームの忠実な再現」「核・スタイル・ジャンルの理解を助ける」,下部には「SHOW UI」と書かれている
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 短い説明文は,ゲームの核となる前提を手早く伝えるものだ。Raw Furyでは,プレイヤーの想像を膨らませるため,動詞ベースで書くようにしているという。スライドでは,Raw Furyがパブリッシングした「Blue Prince」の短い説明文が例として示された。

「SHORT DESCRIPTION」のスライド。「ゲームの核となる前提を素早く伝える」「たいてい動詞ベース」とあり,右には「Blue Prince」のストアページの短い説明文が示されている
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 長い説明文は,ゲームの売りとなるポイントを盛り込む場所だ。文章をグラフィックスで補うことで,強調したい機能とゲームの中身をより明確に結び付けられる。ただし,長い説明文はプレイヤーが最も時間を割かない要素でもある,とルンドクヴィスト氏は付け加えた。

「LONG DESCRIPTION」のスライド。「売りを盛り込む」「文章をグラフィックスで補う」「強調したい機能とゲームを結び付ける」に続き,「プレイヤーが最も時間を割かない要素」という注意書きと「TIP: ASSET WEIGHT MATTER!」が示されている
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 レビューについては,完全にプレイヤー主導のものであり,感情や意見に左右され,開発者側が設定した期待値の影響も受ける,という整理が示された。ネガティブなレビューがあっても構わない。それが問題を見つけ,改善する助けにもなるからだという。

 最後に提示されたスライドでは,開発者側で設計できる8項目がチェックリストの形でまとめられた。名前は最短のピッチ。キーアートはあらゆる場所に表示されるもの。タグは各種フィーチャーへの参加資格に関わるもの。価格は期待値に影響するもの。

 トレイラーはゲームをもっとも完全な形で伝えるもので,スクリーンショットはもっとも素早く伝えるもの。短い説明文はゲームの核となる前提を伝えるもので,長い説明文は売りとなるポイントを盛り込む場所。

 冒頭で示された,数億回のインプレッションと数十万回のクリックという前提に立ち返れば,各段階で加えた小さな調整が,最後には大きな差となって返ってくる。今回の講演で繰り返されたのは,その一点だった。

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