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印刷2020/07/15 14:14

ニュース

次世代ゲーム機Xbox Series Xに搭載される「Xbox Velocityアーキテクチャ」についての詳細が明らかに

 Microsoftは,Xboxシリーズの公式サイトである「Xbox Wire」に新たなエントリーを掲載し,2020年内の発売が予定されている次世代コンシューマ機「Xbox Series X」のコアテクノロジーとなる「Xbox Velocityアーキテクチャ」の解説を行った。

Xbox Velocity Architecture: A Closer Look at the Next-Gen Tech Driving Gaming Innovation Forward on Xbox Series X


 2020年3月17日に掲載した記事でお伝えしたように,Xbox Series Xの詳細が発表されたときに初めて明らかになったXbox Velocityアーキテクチャは,エンジニアが「CPUが頭脳でGPUが心臓なら,Xbox Velocityは魂である」と表現するXbox Series Xの核心となる技術だ。
 Xbox Wireに掲載された記事は,Xbox Series Xのプログラム運営ディレクターであるジェイソン・ロナルド(Jason Ronald)氏による,かなり技術的な情報だが,Xbox Velocityアーキテクチャの根幹をなす「NVM Express接続型カスタムSSD」「ハードウェアベースの解凍加速テクノロジー」「DirectStrage API」,そしてテクスチャーサイズの最適化を行う「サンプラー・フィードバック・ストリーミング(SFS)」の4点について詳しく述べている。なお,基本的なXbox Series Xの特徴については,2月25日に掲載した記事で紹介しているので,合わせてチェックすれば理解しやすいはずだ。
 以下に,今回の記事の概要を訳出してみたので,参考にしてほしい。


画像集#001のサムネイル/次世代ゲーム機Xbox Series Xに搭載される「Xbox Velocityアーキテクチャ」についての詳細が明らかに

 Xbox Series Xの設計に着手したとき,私達は,革新的な技術を搭載し,これまで存在しなかったような持続的なパフォーマンスを提供する,かつてなく強力なハードウェアの構築を目指しました。そして,その目標を達成するためには,システムを構成する各コンポーネントを分析し,従来のハードウェアの制限を超える必要があることを理解していました。Xbox Series Xの設計では,パワー,スピード,パフォーマンスの優れたバランスを確保することで,世界最高のクリエイター達の創造的な野望を制限せず,これまでの世代のコンシューマ機では不可能だった,真に革新的な次世代のゲーム体験を提供できるようにすることが重要だったのです。

 Xbox Series Xの中心には,パートナーであるAMDが提供する最新のRDNA 2およびZen 2アーキテクチャーを活用した12TFLOP以上のGPUと,Xbox Oneに比べて4倍以上の計算能力を提供する次世代のカスタムプロセッサが装備されています。 またXbox Series Xには,次世代コンシューマ機では最高のメモリ帯域幅を持つ16GBのGDDR6メモリと,GPUに最適化した,ボトルネックのない10GBのメモリが搭載されています。しかし,ストレージサブシステムを分析すると,従来のHDD技術の上限に達していることが明らかになりました。次世代機の理想を実現するには,アプローチを根本的に見直し,革命を起こす必要があったのです。


次世代のゲームデザインとビジョンの強化

 現代のゲームは,ゲーマーが体験する現実的な世界と宇宙を作り出すために,大量のデータを必要とします。これらのデータは,CPUが最適なパフォーマンスで動くために,すべてストレージからメモリにロードされなければなりません。そして,広大でダイナミックなオープンワールドにおける生きた世界を実現するため,必要とされるデータ量は爆発的に増加しています。環境データ,高ポリゴンのキャラクターモデル,高解像度テクスチャ,アニメーションデータ,オーディオおよびビデオファイルなどをすべて組み合わせて,没入度の高いゲームをプレイヤーに提供することが求められているのです。

 しかし,最新のゲームエンジンやミドルウェアがゲームデータをローカルストレーズからメモリにストリーミングできるようになったにもかかわらず,ゲームデザイナーは依然として,従来のストレージやI/Oの制限を回避するために,狭い通路や廊下,エレベーターなどを使っており,こうした要素は,次のゾーンのデータをロードする際,前のゾーンのデータをメモリからアンロードする必要性を隠蔽するためにも使用されます。開発者によれば,この課題は指数関数的に増加しつつあり,ゲームの創造性に制約を与えています。開発者からのこうしたフィードバックが,Xbox Velocityアーキテクチャの設計と開発に影響を与えました。


Xbox Velocityアーキテクチャの紹介

 Xbox Velocityアーキテクチャは,次世代のゲームの究極的なソリューションとして設計されました。従来のI/Oサブシステムの抜本的な改革は,Xbox Series Xのデザインのすべてに直接影響を与えました。カスタムプロセッサがXbox Series Xの心臓であるとすれば,Xbox Velocityアーキテクチャは魂です。Xbox Velocityアーキテクチャは,ハードウェアとソフトウェアのイノベーションを統合することで,これまでに見たことのないような次世代のゲーム体験を実現します。

 Xbox Velocityアーキテクチャは4つの主要コンポーネントで構成されています。それは,カスタムNVME SSD,ハードウェアベースの解凍テクノロジー,新しいDirectStorage API,そしてサンプラー・フィードバック・ストリーミングです。各コンポーネントについて,詳しく見ていきましょう。


カスタムNVME SSD

 Xbox Velocityアーキテクチャの基盤は1TBのカスタムNVME SSDで,2.4GB/sという,Xbox Oneの40倍以上のスループットを実現します。PCで使用される一般的なSSDは,温度の上昇やドライブの自動的なメンテナンスなどで,パフォーマンスを低下させることがよくあります。Xbox Series XのカスタムNVME SSDは,ピーク性能だけではなく,一連の持続的なパフォーマンスを実現するように設計されています。開発者は,常に保証されたI/Oパフォーマンスに基づいたゲーム設計/最適化が可能です。この持続的なパフォーマンスはSeagate製のストレージカード(増設用カートリッジ)にも適用されます。


ハードウェアベースの解凍テクノロジー

 ゲームのアセットは,ロード時間と必要なストレージを最小限に抑えるために圧縮されています。Xbox Series Xは,業界標準のLZアルゴリズムと,テクスチャデータ用に特別に設計されたBCPackという独自アルゴリズムの両方をハードウェアでアクセラレーションしており,開発者は品質とパフォーマンスを劣化を気にする必要がありません。
 テクスチャデータは,ゲーム全体の大部分を占めますが,LZとBCPackの両方を並行して使用することで,ゲームの全体的なサイズを縮小できます。圧縮率を2分の1だと想定すると,Xbox Series Xは,4.8GB/秒のパフォーマンスを提供しますが,これは現行世代の約100倍に達するものです。ソフトウェアで同等レベルの解凍パフォーマンスを実現しようとすれば,4つ以上のZen 2コアが必要になります。


新しいDirectStorage API

 標準のI/O APIは30年以上前に開発され,実質的に変更されていませんが,ストレージ技術は大きな進歩を遂げています。SSDを使ったゲームデータのアクセスパターンと最新ハードウェアの進歩を分析したところ,最先端の技術を進歩させる必要があることが分かりました。
 そのため,複数のI/Oキューを作成し,優先順位付けを行い,レイテンシを最小化できる新たなDirectStorage APIをDirect Xに追加し,開発者がI/Oをきめ細かく制御できるようにしました。これらの低レベルAPIにより,開発者はハードウェアによって提供されるパフォーマンスを最大限に活用できるようになり,ローディングやファストトラベルの時間を極限まで削った,本物の“ファスト”にできるのです。


サンプラー・フィードバック・ストリーミング

 サンプラー・フィードバック・ストリーミングは,Xbox Velocityアーキテクチャのために開発されたすべての技術の上に構築される,新たなイノベーションです。テクスチャは,さまざまなレベルの解像度に最適化された「ミップマップ」として,プレイヤーとオブジェクトの距離に基づいて適切なものが使用されます。プレイヤーがオブジェクトに近づけばテクスチャの解像度が上がり,より鮮明になるわけですが,大きなミップマップはかなりのメモリを必要とします。

 これまでは,オブジェクトの一部しか表示しない場合でも,メモリにテクスチャ全体をロードする必要がありました。我々がXbox One Xに搭載されたハードウェアを使って分析したところ,GPUがメモリにロードしたテクスチャデータのうち,実際に使用されるのは3分の1以下であることが分かりました。多くの場合,1つのシーンには数千のことなるテクスチャが必要であり,こうした非効率なメモリの使用をすれば,メモリと帯域幅が大きく減少します。この研究に基づいて,Xbox Series XのGPUには新機能が追加されています。これにより,GPUがデータを必要とするとき,タイミング良くミップマップの必要な部分をオンデマンドでメモリに読み込むことができるようになりました。この技術により,有効なI/Oスループットとメモリが平均で約2.5倍になります。SFSは,使用可能なメモリとI/O帯域幅を効果的に増やしてくれるのです。

 Xbox Velocityアーキテクチャは,I/Oスループットの大幅な増加,ハードウェアアクセラレーションによる解凍,DirectStorage,およびサンプラ−・フィードバック・ストリーミングによってXbox Series Xの効率を大きく向上し,容量や帯域幅の単純な数値比較を超えたパフォーマンスを提供します。SSDに保存されている100GBを超えるゲームデータへの瞬時のアクセスなど,これらの革新によって,これまでに経験したことのないゲーム体験と没入感を実現します。


次世代ゲーム体験をアンロック

 このXbox Velocityアーキテクチャは,ゲーマーであるあなたにとってどのような意味があるのでしょうか? 最もクリエイティブな開発者やミドルウェアのメーカーが,これらの新機能の探求を始めており,これまでゲームでは不可能だと考えられてきた,新たな展開が可能になるため,ゲーム体験の大幅な革新が期待できます。Xbox Velocityアーキテクチャは,ハードウェア自体の持つ仕様を超えた,新たな段階のゲームを提供するでしょう。
 新たなレンダリング技術や,ロード時間の事実上の削除などが実現するダイナミックで生きた世界を,あなた自身のやり方で探索してください。Xbox Velocityアーキテクチャはさらに,例えば,いくつものゲームを中断したところからすぐに再開できる「クイックレジューム」など,ゲーム体験を向上させる多くのイノベーションを用意しています。

 我々は,このホリデーシーズン以降,世界中のゲーマーがXbox Series Xで次世代ゲームの体験をするのが待ちきれません。Xbox Velocityアーキテクチャの詳細については,今回公開した映像も合わせてご覧ください。
  • 関連タイトル:

    Xbox Series X/S本体

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