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Microsoftはなぜ,Xbox Oneのお披露めでAV機能に重点を置いたのか?
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印刷2013/05/30 12:26

業界動向

Microsoftはなぜ,Xbox Oneのお披露めでAV機能に重点を置いたのか?

 既報のとおり,Microsoftは米国時間5月21日に,米国本社にて新型ゲーム機「Xbox One」の発表会を開催した。現地にてこのイベントに参加したジャーナリストの本田雅一氏に,発表会や周辺取材で見えてきた,MicrosoftがXbox Oneに込めた狙いについての推測を語ってもらった。


ワシントン州レドモンドにて開かれた,Xbox One発表会より
Xbox One本体
 Microsoftは5月21日に,米国ワシントン州レドモンド市にある本社にて,「Xbox One」の発表会を開催した。筆者はその発表会に参加して,来場していたMicrosoft関係者やゲーム開発者から,話を聞く機会を得た。
 発表されているハードウェア仕様やゲームタイトルについては,4Gamerでも多数報道されているし,それ以上の詳細な仕様については公開されていないので,まったく新しい情報をお届する……というわけではない。しかし,現地で関係者からは,いくつか興味深い話を聞くことができた。
 発表直後のニュースが落ち着いたところで,公開されている「PlayStation 4」(以下,PS4)の情報とも比較しながら,分かり得る範囲内でXbox Oneの姿やMicrosoftの意図をひもといていくことにしよう。


PS4とXbox One

切り口が大きく違った2つの発表会


 過去を簡単に振り返ってみると,ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下,SCE)はPlayStation 2(以下,PS2)を投入するときに,1990年代にパソコンで流行したマルチメディア化の流れを本格的に取り入れつつ,それを洗練させた「ホームエンターテイメントマシンとしてのゲーム機」を目指した。
 SCEはPlayStation 3(以下,PS3)で,ホームエンターテイメントマシン路線に磨きをかけようとしたものの,この路線が再び成功したとは言い難いのは,ご承知のとおりだ。

 一方,MicrosoftはPS2路線とは異なり,初代XboxやXbox 360を,純粋にゲームを動かすプラットフォームとして打ち出し,PC用OSや開発環境を手がける企業らしく,ゲーム開発者に扱いやすいハードと開発環境の構築を目指した。採用したアーキテクチャは異なるが,両機ともゲーム機であることを強く意識した作りになっていたし,発表時もそれを大きくアピールしていた。

Xbox 360とはイメージを一新したXbox Oneの本体。ロゴマークがなければ,日本製のTVレコーダーと錯覚しそうだ
Xbox One本体
 ところがMicrosoftは,Xbox Oneの発表で,AV機器としての側面を押し出したプレゼンテーションを行った。好き嫌いはともかく,見た目のデザインもどこか,AV機器然とした雰囲気を醸している。そもそもXbox Oneという名称は,「テレビで楽しむことができる多様なエンターテインメントコンテンツを,たった1つの箱で楽しめることから由来している」というから,これはすべて確信的なものと言っていいだろう。

 多様なコンテンツの1つはもちろんゲームだが,MicrosoftはXbox Oneで,テレビや各種映像配信,音楽配信などを1台で堪能できるだけでなく,最新ゲーム機のリッチでグラフィカルなユーザーインタフェース(以下,UI)で操作できる点を強調することを選んだ。家庭内で最大のサイズと解像度を持つテレビというディスプレイを,最大のエンターテインメントデバイスにするマシン。
 つまり,「Very Very Game Console」をコンセプトとしていたXboxシリーズが,「今度は新たな領域に踏み込んでいくぞ!」と表明する。それがXbox One最初の発表会における,Microsoftの目論見だったのだと思う。

 一方で,元来AV指向の強かったSCEが,PS4の発表会では「こいつはVery Very Game Consoleなんだよ!」と強く訴求し,ゲームクリエイターであるMark Cerny(マーク・サーニー)氏を前面に押し出してのプレゼンテーションを披露した。両社が,今までとは真逆のアプローチで次世代ゲーム機のスタートを迎えた点は,実に興味深い。
 そうは言っても,PS4がAV機能に関してなんら力を入れていないわけではないし,Xbox Oneのゲーム機としての位置づけが揺らいでいるわけでもない。単に最初の発表会でのアプローチが逆になった,というだけだ。実際,発表会場で何人かのMicrosoft幹部にたずねたところ,彼らは「E3 2013では,もっとゲームを発表するよ」と説明していた。ゲームの話はゲームのイベントで,というわけだ。


Xbox Oneが狙うのは,

ゲーム機とVoDサービスの新しい関係


 SCEはPS4で,ゲーム開発者コミュニティの再建を目指したが,MicrosoftはXbox Oneで,AV機能の統合による普及戦略を示そうとした。では,なぜMicrosoftは,Xbox OneのAV機能を前面に押し出したのだろうか?
 「ゲーム機はゲームにしか使わないよ」という方には,関係ない話に聞えるかもしれないが,MicrosoftがXbox Oneのお披露目で,AV機能の統合を訴求したのには理由がある。それは,当初AV機能をそれほど強く訴求していなかったXbox 360が,実はAV機器としてもユーザーに広く使われていたからである。

 Xbox LIVEのアカウント発行数は,すでに4800万を超えているとのことだが,Microsoft Game Studios担当上級副社長のPhil Spencer(フィル・スペンサー)氏によれば,毎日1700万人がXbox LIVEを通じてゲームを遊んでいるという。
 このコミュニティの大きさはMicrosoftにとって大きな資産になっているが,Xbox LIVEのコミュニティが大きくなった背景には,有料の「Xbox LIVE ゴールドメンバーシップ」に多くのサービスが付帯し,カジュアルなゲームファンを含めてXbox LIVEへの参加率を高めているという理由があるそうだ。
 そして,ゴールドメンバーシップ登録者は,定額制の映像配信サービス(以下,VoD)を,より安価に利用するためにXbox LIVEを活用している例も多く,VoDを起点にゲームコミュニティへと飛び込んでくるケースもある。

 北米で人気のオンライン動画配信サービス「Hulu」は,ユーザーの使う端末で一番多いのが任天堂の「Wii」である,という話を聞いたことがある人もいるだろう。だがXbox 360やPS3も,VoDの利用率は同じくらい多いという。ドラマや映画を視聴する手段として,北米では各種VoDサービスがすっかりポピュラーな存在となっているが,その端末として一般的なのは,ゲーム機と思って間違いない。
 それに,ゴールドメンバーシップのユーザーがVoDを主目的にしていたとしても,そうしたユーザーの多くは,ゲームのオンライン配信も積極的に利用することを,MicrosoftはXbox 360で学んでいるというわけだ。

 そこでXbox Oneでは,ゲーム機ならではのグラフィカルなUIで,インタラクティブな映像コンテンツの楽しみ方を提案することを,AV機能の基本的なコンセプトとした。しかもその実現には,かなりユニークなアプローチを採用している。それは,映像伝送規格でお馴染みのHDMIが持つ,HDMI経由で機器を操作する機能「CEC」(Consumer Electronics Control)を使って,Xbox Oneに接続されたテレビチューナを,Xbox Oneがコントロールして,まるで内蔵テレビチューナのように扱えるというものだった。

 Xbox Oneでは本体背面にHDMI入力を用意して,そこにケーブルテレビのセットトップボックスを接続できるようになっている。そしてXbox Oneには,ケーブルテレビの映像を表示するだけでなく,操作のためのUIを生成したり,インターネット上の情報と組合わせて表示するといった機能が搭載されているのだ。

Xbox Oneの背面。左から4つめにある「HDMI IN」と書かれた端子が,セットトップボックス接続用のHDMI入力だ
Xbox One本体

 これを使うと,Xbox Oneがケーブルテレビの機能を拡張したかのように振る舞うことになる。メディア企業と提携して連動コンテンツを作り込めば,これまでにない楽しみ方ができるわけで,これは確かに画期的と言える。

Xbox One本体
Xbox Oneでのホーム画面の例。中央に大きく表示されているのがケーブルテレビの映像のようだ。
Xbox One本体
こちらは電子番組表(EPG)の例。こうしたUI部分はXbox Oneが描画している

 メディア企業との連携第1弾として,Microsoftが用意したのが,プロアメリカンフットボール「NFL」(National Football League)との提携だ。NFLの公式Webサイトと連動し,NFL関連の情報をXbox Oneユーザーにプッシュ配信するという。発表会ではサービスの詳細については言及されなかったが,NFLがインターネットで提供しているリプレイ映像や,選手の成績データベース,北米で人気のある「ファンタジースポーツ」向けのステータス情報などもXbox Oneに提供されるという。

※ チームスポーツの人気選手を選んで架空のチームを作り,選手が実際に挙げた成績に応じてポイントを得るというゲーム。米国では高い人気を集めているという。


情報が少ないハードウェア

Xbox OneとPS4の性能差は?


 前述したとおり,「ゲーム機としてのXbox One」は,おおまかな仕様といくつかのゲームタイトルが公表された程度で,たいした発表はなかったに等しい。スペックに関しては,x86アーキテクチャのCPUコア8基と,詳細不明なGPUに加えて,組込みSRAMまで搭載した50億トランジスタのプロセッサを使うことや,メインメモリ容量がPS4と同じ8GBであることなどは公表されている。
 とはいえ,PS4がAMD製APUをそのまま搭載するわけではないのと同様に,Xbox Oneのプロセッサもまた,(AMD製かどうかは未発表だが)なんらかのカスタマイズを受けて,PS4のAPUとは異なる性格付けがされることだろう。

 性能を推測するのに重要となる,GPU部分のアーキテクチャやプロセッサ数,動作クロックなどは明かされていないし,おそらくXbox Oneのアーキテクチャで重要になりそうな,メモリアーキテクチャについても詳細は語られていない。
 また,公開された情報には,ゲームOSとWindowsカーネルが共存して動作し,これらが出力するグラフィックスを仲介役となるOSが管理して,バックグラウンド処理なども担うといった,OS構造の話もあった。これはおそらく,Windows用のハードウェア仮想化環境「Hyper-V」と似たような仕組みを使っているのだろう。しかしこの情報も,ゲーム機としての能力や機能を,類推するための役には立たない。もちろんそういう情報に絞って公開しているのだろうが……。

 そこで筆者は発表会場の周囲で,ゲーム開発に関わる人たちをつかまえては,話を聞いてまわった。もちろん,誰もハッキリした情報を教えてはくれないが,「Xbox Oneのピーク性能はPS4に及ばない」という噂は,どうやら真実のようだ。しかし一方で,「平均的な程度の性能チューニングでは,それほど大きな性能差は出ず,同じタイトルを同時リリースすることに問題はないだろう」という意見もあった。

Xbox One限定のゲームと言えば,この「Forza Motorsport 5」。しかし多くのサードパーティは,Xbox OneとPS4のマルチプラットフォームタイトルを開発することになるだろう
Xbox One本体
 繰り返しになるが,Xbox OneとPS4は,基本的なアーキテクチャが似ている。CPUコアのアーキテクチャや,CPUとGPUの統合された構造,メインメモリ容量なども共通性が高いと考えられる。対象ゲーム機が限定されるファーストパーティやセカンドパーティのゲームはともかく,多くのサードパーティは,グラフィクスの設定をちょっとばかり変えることで,Xbox OneとPS4に同じゲームを提供するだろう。

よく似たハードウェアを備えてはいるが,Xbox Oneにしかない大きな要素が,新しくなったKinectである。これを駆使したゲームは,必然的にXbox One専用になる
Xbox One本体
 Xbox Oneに実際に触れているというゲーム開発者は,筆者に対してこう述べた。「PS4ほどピーク性能は出なくても,サードパーティが迷うことなくマルチプラットフォームタイトルを開発できる程度以上には,(Xbox Oneは)高性能だ。テレビに接続することを考えれば,フルHDを超える高解像度は想定する必要がないしね。ハードの差という点では,グラフィクスのピーク性能よりも,新しくなったKinectの方が,遊びを創るうえで重要だよ。これはPS4にはマネできない」と。


クラウドサービスで進化するというXbox Live


 ゲーム機としての性能や能力と同様に,Xbox Oneに欠かせない要素でありながら,今回は詳細が明かされなかった要素がある。それは「Xbox Live」がどう進化していくかである。

 Spencer氏によれば,Xbox One向けのXbox Liveは,単なるゲームのマッチングサーバーや配信サーバーという位置付けを越えた,クラウド型サービスとして実装されるそうだ。Microsoftはクラウド環境向けプラットフォーム「Windows Azure」を使った数百万台ものサーバーを用意して,その性能をゲーム開発者が活用する手段を提供することで,発売後のXbox Oneにも,新たな付加価値を提供できるという。インターネット上のサービスで急速に利用が進んだクラウドコンピューティングの世界が,ゲーム機にもやってくるのだ。

 Xbox One向けXbox Liveの機能については,すでにXbox Oneの紹介ページでいくつかが紹介されている。

PS4はゲームのプレイ動画を録画して共有できるが,Xbox OneではXbox Liveの機能として,録画機能「Game DVR」を提供する
Xbox One本体
 たとえば,より賢くなったマッチメイキング機能「Smart Match」は,ユーザーの振るまいやスキルレベルを見て,適切な対戦相手を見つけ出すという。「Game DVR」と呼ばれる機能は,ゲームのプレイ動画を録画したり,動画編集機能を提供する。また「Living Games」という機能は,クラウド上の人工知能がプレイヤーのクセを学習して,プレイヤーがいないところで,友人が自分のアバターと対戦できるような機能を提供するという。そのほかにも,Xbox SmartGlassは,アップデートと呼ぶ以上の進化を遂げるらしい。
 Spencer氏はXbox Liveのクラウドサービスについて,「Forza Motorsport 5のチームが良い事例を見せてくれるはずです。彼らのクラウドの使い方はユニークですよ。実物はE3でお見せしましょう」と述べていた。なんとも期待させてくれるではないか。

 ところで,ゲームとクラウドサービスと言えば,注目が高まっているのがクラウドゲームサービスだ。そこでSpencer氏に,「クラウドゲームサービスのように,ストリーミングでゲームしたり,あるいはストリーミングとローカルのゲームレンダリングとを合成するような,ハイブリッドのテクニックなんて可能性はあるんですか?」と質問してみたところ,「クラウドのパワーをXbox One本体に加えてアドオンできるし,ディスプレイの使い方も,SmartGlassで大きく変化する。詳しくはE3でね」とかわされてしまった。


日本市場に再挑戦するには,

Xbox事業の最適化が必要


 さて,そろそろまとめに入ろう。
 発表会で披露されるXbox OneのAV機能を見ていて,筆者の頭に浮んだのは,「WindowsのMedia Center機能と同じだな」というものだった。Media Center機能を覚えているだろうか? リッチなグラフィクス効果でカッコよくテレビやビデオコンテンツを扱えるという側面があった一方で,「日本人のライフスタイルに合っているか?」というと,いまひとつ合っていない機能だった。

 そもそも,テレビというアプリケーションは,国ごとに事情が異なるものだ。日本なら地上デジタル放送が最も重要で,そこにBSデジタル放送が加わる程度。一方米国は,先にも触れたがケーブルテレビが圧倒的に強く,地上波による放送や衛星放送の視聴者は少数派である。国土が広いこともあって,全米どこでも同時に見られる番組というのは,実は結構少ないのだ。日米以外の国も,テレビに関する事情はそれぞれ違いがあり,ニーズが異なっている。
 この問題についてはMicrosoftの幹部も,「それぞれの国ごとに,機能を“最適化”しなくてはならない」と話していた。米国のアイデアを言語だけ入れ替えて各国に持ち込むのではなく,その国で好まれるアプリケーションとして実装しなおす必要を,彼らも理解はしている。

 技術的に可能か不可能かという点では,おそらく日本でも,Xbox Oneらしい機能を取入れたテレビアプリケーションを作ることは可能だ。ケーブルテレビは米国ほど普及していないが,日本にはテレビレコーダという文化がある。たとえばの話だが,パナソニックや東芝の,いわゆる「全録」機能搭載レコーダとXbox Oneが連動したら,面白い使い方ができそうだ。全録レコーダでなくとも,なんらかのテレビレコーダをXbox Oneにつないで,映像にコンテンツを組合わせて楽しめるようにしてほしいものだ。
 テレビレコーダだけでなく,たとえば「ニコニコ動画」や「ニコニコ生放送」に対応するアプリケーションをXbox Oneに実装するなど,可能性はいくらでもある。しかし,日本独自の機器やサービスに“最適化”するかどうかは,結局Microsoftのやる気次第になる。

 Microsoftが日本のゲーム市場に興味を持っていないのかと言えば,実のところ彼らも興味津々ではある。なぜなら,中国をはじめとしたアジア地域での市場拡大を狙うとき,日本はゲームカルチャーの重要なトレンド発信源と捉えられているからだ。
 だがもし,Microsoftが本気で日本に再挑戦しようとするのならば,日本のXbox事業こそ,ドラスティックな“最適化”が必要なのではないかと思うのは,筆者だけではないだろう。
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