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イザナギゲームズは2026年9月17日,長編実写ゲーム「AKIBA LOST」(PC / Nintendo Switch 2 / PlayStation 5 / Nintendo Switch)をリリースした。本作は,過去に秋葉原で起きた少女失踪事件と現代の不可解な事件を巡って展開される,長編実写群像劇マルチアングルサスペンスゲームだ。
すでに体験版が公開されており,「東京ゲームショウ2025」では,来場者の投票によって今後が期待される作品を選出する「日本ゲーム大賞2025 フューチャー部門」を受賞した注目作である。
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秋葉原と,そこに集い夢を追う人々。彼らに暗い影を落とす過去の事件と,さまざまに絡み合う秘められた思惑。
本稿では,いち早く物語に触れてその全貌を見届けてきた筆者が,熱量冷めぬままにこの作品の魅力を語っていく。
エンディングの内容や物語の流れをそのまま語ることはなるべく避けているが,物語の導入や重要なポイント,人物について触れている箇所もある。予備知識なしに物語の世界へ飛び込みたい人は,この記事を読むタイミングにご注意いただきたい。
ゲームクリエイター新城と6人の女性の視点で追っていく,大きな謎とは
ゲーム制作スタジオ“シロサワゲームズ”の創業者であり,デビュー作が大ヒットしたことで“天才クリエイター”と呼ばれた新城大輝には,ふたりの妹がいる。
ところが,末っ子の瑠璃は13年前,秋葉原で6人の少女が姿を消した未解決事件,通称「アキバの神隠し」の被害者であり,警察の捜査もむなしく,いまだ行方知れずのままだった。
新城はその行き詰まった状況を変えるため,また,妹の事件が忘れ去られないよう,実際に起きたこの事件を題材にした「AKIBA LOST」というゲームを制作すると宣言する。
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かつて,自分が少し目を離した隙に忽然と消えた瑠璃。悔やみきれない思いを抱え,何とかしたいともがく新城の気持ちは,プレイしているなかで痛いほど分かるのだが,「実際の事件をゲームにします!」という情報だけを聞けば,攻めすぎていると感じる人は多いだろう。
やはり作中世界でもそれは同じだったようで,この発表を受けた世間からは反発の声が多く聞こえてくる。だが,新城には信念と,それを支える心強い仲間がいた。
それが,シロサワゲームズを新城とともに立ち上げた高澤雅彦と,同社のデザイナーとして働くかたわら,ゲーム配信者として人気を集めている倉橋佑季美だ。
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オーディションで選ばれた6人のキャストのなかには,メイド役として新城のもうひとりの妹である葵もいた。件の事件をきっかけに関係が気まずくなり,疎遠になっていた新城と葵だったが,改めて言葉を交わし,瑠璃を忘れていない気持ちを確かめ合ったことで,葵は出演者として協力することを決める。
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シロサワゲームズに集まり,決起の記念撮影をする制作者とキャストの面々。秘められた目的に燃える主人公とそれを支える協力者,そして何も知らされず集められたキャスト。一見,そんな絵面に見えるのだが……。
だんだんと,ここに集まった6人それぞれが,何らかの形で「アキバの神隠し」に関係していることが分かってくるのだ。(な,なんだってー!?)
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「AKIBA LOST」を発表してすぐ,新城のもとには番号非通知で「今すぐゲームの開発を中止しろ。さもなくば悲劇は繰り返される」という脅迫電話がかかってくるなど,状況はどんどんきな臭くなっていく。
そして,葵が何者かに誘拐されるという最悪の事件が起こる。もはや,「アキバの神隠し」の再来としか考えられない。そんな緊急事態と同時進行で,ほかのキャストの動きも描かれる。
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本作の代表的なシステムとして,キャラクターを切り替えながら謎を解く「ザッピング」,キャラクター視点で360°を見渡してヒントを探す「360°カメラ」,行動を決める「選択肢」,そして進めなくなったシーン(FREEZE)をほかのキャラクターで解除する「FREEZE&ACTIVATE」が採用されている。
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主人公の新城のシナリオを進めるには,まず「AKIBA LOST」出演者6人の視点をザッピングしていく必要がある。FREEZE&ACTIVATEは一見複雑に思えるが,解除可能なチャートには目印が付くため迷うことはない。
このシステムは単なる「推理」の演出にとどまらず,物語を「整理」する役割を果たしており,誰がどこで出会い,何が起こり,どう感じたのかを,プレイヤーの頭のなかでしっかり組み立てる助けになるのだ。
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ゲームのシナリオは7日間で構成され,1日はAMとPMに分かれている。各キャラクターのルートを攻略して新城のエネルギーを上限まで溜めることで,該当する時間帯の新城ルートが開放される仕組みだ。
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シナリオを進めていくと,登場人物にそれぞれ不可解な点が浮かび上がり,正直言って,誰もが怪しく見えてくる。しかし彼らを知っていくほど,失意に打ちひしがれたり,深い悲しみに襲われたりしながらも,ひたむきに生きて何かをつかもうとする姿に心打たれてしまうのだ。
平たく言うと,全員好き。「もしこのなかに事件の黒幕がいたら,非常につらいなあ」と,心の片隅でずっと思いながらプレイしていた。
そうしてシナリオを進め,つい先ほど,本作のトゥルーエンドを見終わった。終盤,物語は思った以上のスケールで展開する。
主人公の新城と,作中の「AKIBA LOST」出演者である6人の女性の視点でこの物語を追って約20時間。各人物の視点で物語を体験できたからこそ,今,彼らへの愛着をより強く感じている。
それは,新城,高澤,6人の出演者だけでなく,長門ここねのプロデューサーである祝部武蔵,神保千尋の巫女バイト先の後輩「れれぴ」こと香麦玲礼,遊佐若菜のカメラマン肥満田三郎など,脇を固める“濃すぎる”キャラクターたちに対しても同じだ。
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みっちりと情報が詰まった濃密なプレイ体験だった。それだけに,2026年1月期に放送された同名ドラマが全6回・各22分だったことをプレイ後に知り,「えっ,その放送時間で足りた? この物語を語りつくすには2クールくらい必要じゃない?」と驚いてしまった。ドラマ版もぜひチェックしてほしい。
ファッションにも情報がたくさん詰まった,魅力的な登場人物たち
ここで,メインとなる登場人物について筆者の言葉で紹介させてほしい。サブカルの街,秋葉原で活動している彼らは,それぞれがいわゆる「アキバらしい」職業を持っている。
多少誇張されていたり,ステレオタイプな演出があったりもするが,それもアキバカルチャーへの愛がしっかり伝わってくるものだ。
筆者は,出演者たちのファッションが人物像とリンクしている部分にも注目している。身にまとっているものひとつからも生活や人となりが見えてくるし,手持ちの服を着まわしているというリアル感もある。
ネイルの有無やデザイン,髪型に至るまで,「この人ならこうするだろう」という納得感があるのが印象的だ。だからこそ,少しの違和感が考察の材料になる。ぜひ気にしてみてほしい。
【ゲームクリエイター 新城大輝(北山宏光)】
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本作の主人公。「アキバの神隠し」の被害者である妹の足跡を追い,「AKIBA LOST」の制作を決める。信念を貫き通す性格が,今のところいい感じに出ているとは言い難い。いろいろあって言えないことが多いため,誤解もされやすい。
おまけに妻とは離婚していて,最愛の娘ともろくに会えていない。でも,会社のデスクの一番上の引き出しには,娘の写真をしっかり入れていたりする。……不器用か!! そう,不器用。だが,真面目でひたむきで,どうにも憎めない主人公なのである。
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ゲームクリエイターには服装規定がない。ジャケットでカッチリキメている高澤と対照的に,新城のファッションはジーンズにTシャツ,ボンバージャケット,フーディなど,社会人としてはかなりラフだ。
【メイド 新城葵(松村沙友理)】
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新城の妹。末妹の瑠璃がいなくなってもゲーム開発一辺倒の兄に反発して,この13年間疎遠になっていた。オタクというわけではないが,アキバのメイド喫茶で店長「あお」として勤務している。
「オタク要素がないのにメイド喫茶で店長!? そんなことある?」と思うかもしれないが,プレイすれば理由が分かるので,ひとまず納得してほしい。店でもその“ちょっと塩対応”な点が謎の人気を生んでいるそうだが,兄である新城に対するそっけなさは,「あ,こういう妹いるよね」というリアリティに満ちているので必見だ。
しかし,葵の真面目さとひたむきさは兄と同じで,根はすごくいい子なのだ!
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メイド喫茶の制服姿は高貴な美しさを感じさせるが,私服では,こざっぱりと程よくゆとりのあるシルエットの服を好んでいるようだ。個人的に,中盤で着ている青みグリーンのショート丈カーディガンが可愛く似合っていて印象に残っている。
【ゲーム配信者 倉橋佑季美(田辺桃子)】
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シロサワゲームズでデザイナーとして働きつつ,ゲーム実況の配信者としても精力的に活動している。シロサワゲームズは勤務時間にゆるい会社なのだろうし,多少は融通が利くにしても,頻繁に遅くまで実況配信をしている佑季美は,あまり寝ていなさそう。
人懐こい笑顔が魅力の彼女だが,新城が周りを巻き込んでゲーム開発を続けることに,ずっと心を痛めている……。
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カジュアルかつボーイッシュな私服が多く,ポップな色合いのニットを着がち。袖が短めのトレンチコートの形ひとつとっても,こだわって選んだことが伝わってくる。おしゃれさんだ。
ピンク色のインナーカラーを入れたセミロングヘアもトレードマーク。彼女の家のインテリアも,生活感をただよわせながらもさっぱりと可愛らしくまとまっているので,注目だ。
【グルメライター 黒須萌(宇垣美里)】
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食べ物を見ると思わず目を輝かせ,ハンバーガーは軽く5人前をペロリ。美味しくたくさん食べられるグルメライター,それが黒須萌だ。だが,具体的にどこでどう活動しているのかは,イマイチ見えてこない。
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キャスケットと太いフチのメガネに三つ編みが印象的な萌の風貌は,「いかにも文章を書きそうな雰囲気」を演出しているようにも見える。ベージュ,黄色,茶色を基調とした萌のファッションは,もしかしたら「戦隊モノの黄色=食いしん坊」を意識したものなのかもしれないし,違うかもしれない。
基本的にはトラッドなおとなしめの着こなしだが,さりげなく良いお値段のブランドバッグを持っていたりする。結構儲かっているのか,良いものを長く使う主義なのか。ジープ・ラングラー・アンリミテッドを乗り回しているあたり,実は羽振りがいいのか……?
萌に感じるアンバランスさは,実は彼女を考察する材料になるので,ほかのキャラクターも含め,どんどん怪しんでいこう。さては,ただのグルメライターじゃないな!?
【地下アイドル 長門ここね(小栗有以 / AKB48)】
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「ベイビー☆マカロン」という3人組地下アイドルグループの青担当,それがここねだ。売れたいという情熱は誰よりも強く,オン・オフの切り替えもはっきり。それが多少鼻につくシーンもあるが,物語を進めて深い部分を知っていけば,きっとあなたも彼女のとりこになるはずだ。
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丁寧に計算されたシルエットの巻き髪,ワンカラーの控えめなジェルネイルと,いつでもオシャレに余念がない。特にネイルに関しては,過度に目立つことのないシアーなホワイトで手先を美しく演出しており,細部にまで,自己プロデュースへの意識の高さが感じられる。
私服も,肩出しのひらひらしたトップスにロングスカートと,フェミニンにキメているここねだが,カツカツの生活をしている割に,良い服やアクセ,バッグをたくさん持っている点がやけに目につく。そのお金の出どころは?
ほかにも,彼女には人に言っていない秘密がまだまだありそうだ。
【巫女 神保千尋(大原梓)】
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秋葉原からほど近い神田明神で巫女のバイトをしているフリーターの千尋。控えめな性格だが,とある出来事から神様の存在を信じ,秋葉原という街への恩返しとして奉仕活動を行っている。
実はゲームの腕前はかなりのもので,大手ゲーム会社のアマテラスインタラクティブでデバッグのバイトも掛け持ちしている。巫女の後輩であるギャル「れれぴ」は,そんな千尋を慕い,いつも子犬のようにじゃれついている。
おしとやかで自分を表現することがあまり得意でない千尋と,あけっぴろげな振る舞いでときに千尋を振り回すれれぴ。この正反対のコンビは,見ていて大変微笑ましい。
そんな千尋が,なぜ「AKIBA LOST」の出演者に応募してきたのか。この違和感に注目しながら,ゲームを進めてみてほしい。
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落ち着いた千尋の私服は,ふんわりとギャザーの寄ったブラウスや濃い色合いの厚地デニム,カットソーにキャミソールの重ね着など,全体のトーンを抑え,清潔感を感じさせるラインナップだ。手帳型のスマホケースを使っていることは,個人的に最も解釈一致する部分だ。
【コスプレイヤー 遊佐若菜(MINA / East Of Eden)】
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秋葉原を拠点として活動するコスプレイヤー。彼女がコスプレするのは,伝説的ゲーム「マジカル小学生リリカ」のみだ。リリカへの愛は半端なく,決めポーズの角度ひとつとっても,彼女の練りに練った解釈が形になったものなのだ。
帰国子女で英語が堪能なことを活かし,リリカのコスプレ姿で海外観光客向けのガイドツアーをしたり,リリカの写真集を作成したりと,リリカ愛を世界に響かせるため,精力的に活動している。そのパワーの根底にあるのは,親友・ハルへの切なる想いだ。
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ふわふわの青髪に紫のカラコン,真っ赤な魔法少女の衣装をまとったコスプレ姿から一転,私服になった若菜は茶髪のハーフツインにリボンモチーフの多い服を着ており,印象がガラリと変わる。
リップは肌なじみのいいレッドを選ぶなど,必ずリリカを象徴する赤色を差し色として取り入れているのが特徴だ。ビスチェ,スカート,レッグカバーをすべて質感の違うデニムで揃えた難度の高いコーディネートもさらりと着こなしてしまうのは,さすが日頃から衣装の見せ方を研究している若菜ならではと言える。
カメラマンの肥満田は,彼女のよき理解者だ。カメラの腕が良いだけでなく,人格者でもある。体が大きいだけでなく懐もデカい肥満田は,いつも彼女を優しく支え,見守ってくれている。
人は誰しも,生きているなかで大なり小なり誤った選択をしてしまうことがある。ときには,それが取り返しのつかない事態を生むことだってある。
「AKIBA LOST」は,その間違いといかに向き合い,どう人生を歩んでいくかという人間の泥臭い生き様を描いた物語だ。そして,もがき続けるその努力を肯定するメッセージを発している。
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ゲーム内に出てくる300近い用語を網羅したTIPSコレクションも,読みごたえたっぷりだ。キャスト陣の熱い演技はもちろん,多少ツッコミを入れたくなる部分もご愛嬌で,丸ごと愛したくなる作品である。
そうそう,トゥルーエンドを見たら,ぜひ2周目もプレイしてほしい。改めて序盤のスチルを見てみると,新たな発見がたくさんあるからだ。
秋葉原を舞台に繰り広げられる群像サスペンス「AKIBA LOST」。ぜひ秋の夜長に味わってみてほしい。



























































