![]() |
核となるのは,ゲーム開発をしたら,ずっと開発を続けられるのか,という問いである。異なる理由でゲームを作り始めた3組の開発者が登壇し,創作(CREATE),生存(SURVIVE),持続(CONTINUE)の3セクションに沿って,来場者から事前に募集された質問に答えていった。
質問はランダムカード形式で開示され,登壇者が番号を選ぶと,その場でスクリーンに質問が表示される。
![]() |
登壇したのは,釜山を拠点とするSUNNY SIDE UPで「Little Witch in the Woods」を手がけるパク・ウンヒョン氏,White-Kiteで「ハローワンダーバンド」を開発するソ・ウィミョン氏,そしてオランダのNoioで「Kingdom」シリーズや「Cloud Gardens」を手がけ,現在は新作「GARBAGE COUNTRY」を開発中のトーマス・ファン・デン・ベルグ氏の3名だ。
なお,パク氏とソ氏は韓国語,ファン・デン・ベルグ氏は英語でのセッションであった。
![]() |
![]() |
![]() |
セッションはまず,各自のタイトル紹介から始まった。
「Little Witch in the Woods」は,見習い魔女となって魔女の日常を体験するゲームである。神秘的な地域を探検し,さまざまな生物と出会い,材料を採集してポーションを作り,住民たちが抱える問題を解決していく。
![]() |
パク氏はこのゲームを作ると決めた理由について,そこまでロマンチックなものではなく,少し拙いところはあるものの,できるだけ合理的な意思決定をしようとした結果だという。
開発初期に,自分たちにできること,やりたいこと,需要があることの3つを検討したところ,すべてを満たす候補はいくつも残らなかった。
そのうちの1つがこのアイデアだった。
一緒に起業した仲間と話すほど,面白く,少し大胆な想像が頭の中に描けたと同氏は振り返る。
実際に視覚化して検証したり実装して遊んだりしたときの内部評価も満足のいくもので,外部からの反応も悪くなかったため,開発を続けることを決めた。
市場についても,当時いわゆるコージー・ヒーリング系ジャンルにはベストケースがいくつかあった一方で,ジャンル自体のタイトル数は多くなかった。
需要はあるのに供給が活発ではないように見えたため,うまく作れれば良い成果を出せるのではないかという期待もあったとしている。
一方の「ハローワンダーバンド」は,ハロウィンをテーマに,ストーリーアドベンチャーとリズムアクションを組み合わせたタイトルだ。
山積みの業務でバーンアウトした(燃え尽きた)主人公が,長年の夢だったハロウィンパレードへの参加を目指してバンドを結成する,という筋書きになる。
![]() |
ソ・ウィミョン氏は,パク氏のような分析的な理由で開発を始めたわけではないと切り出した。
チームでアートを担当するメンバーの1人が自身の恋人であり,最初はデートの一環として,消費的な活動ではなく生産的な活動で恋愛をしてみようという話になり,ゲームを構想したのだという。
それが次第に大きくなり,知り合いの後輩からサウンド担当を迎えて作り始めたのが,このゲームの始まりだった。
トーマス・ファン・デン・ベルグ氏も,自身のゲームの始まり方は分析や,何が売れるかに基づくものではないと語る。
もっとそうした点に注意を払えばいいのに,と思うことは多い。
しかし結局はグラフィックスやビジュアルで実験を重ねているうちに,あるとき何かが自分の中に引っかかり,これが自分の作るべきゲームだと感じてしまうのだという。
深く考えたことはあまりないが,最近は特に,長期的にどういうゲームを作りたいのかをもっと考えるべきだと感じている,とも付け加えた。始めた時点から終わりまでただ作り続けるのではなく,という意味である。
「Garbage Country」は,小さなトラックを運転し,草木に覆われた道を走って新しいパーツを探すビークル探索型のゲームで,タワーディフェンス的なパズル要素も含む。
人々に見捨てられた世界を扱った作品であり,ゴミもあれば,建物も錆びた車もある。人類に放棄されたウェイストランドのような場所だから,そう呼んでいるのだと同氏は説明した。
![]() |
創作(CREATE)
■バーンアウト(燃え尽き症候群)が来たとき,助けになったもの
![]() |
パク氏はまず,効果のある方法を1つ知ってはいるが,これを周りで言うとすごく嫌がられるし,たまに罵られたりもする,とかなり慎重に切り出した。そのうえで挙げたのが,ただやる,という方法である。
すごくやりたくない日も,今日はつらいと感じる日も,やるしかないと考えて手を動かす。そうしていたときが自分にとっては一番うまくいっていたと同氏は振り返る。そうやって進めているうちにできてしまうし,無理そうに思えても着手すればできるのだという。
そのうえで,あまりにつらいときは1日ほど休むこともあるし,年に1回くらいは旅行に行ったこともある,と付け加えた。
ただし休むことにもある種の慣性がつくと考えているため,バーンアウトが来やすい人はむしろ休み方こそ計画的にすべきではないか,という見方を示している。
個人的には予防が最も重要だとも語った。自分もうまくできてはいないが,生活のパターンが崩れたり健康管理がうまくできなかったりすると,バーンアウトは簡単に来る。そもそも来ないよう健康管理を最優先にするのが一番いいのではないか,というのが結論だった。
ファン・デン・ベルグ氏も,自分のアプローチは少し似ていると応じる。やりたくなくても,とにかくやる。
そのうえでバーンアウトについては,インディー開発者がプロジェクトに対して大きなオーナーシップを持っている点が非常に大きな助けになるという見方を示した。
たくさん働いていても,働きすぎているとしても,自分が作ったもののためにやっているのだと感じられる。その報酬感覚がいつも自分を乗り越えさせてくれるのだそうだ。加えて,可能なら夜と週末は働かないこと,とも述べている。
■長く開発した機能が「面白くない」と分かったとき
![]() |
ファン・デン・ベルグ氏は,質問の前提そのものをひっくり返すところから答え始めた。そもそも自分はゲームをテストしないのだという。
自分でプレイして気に入れば,それを頑固に守り続ける。チームのほかのメンバーからその機能は面白くないのでカットすべきだと言われても,頑固に断るのだそうだ。
そして,たとえば今回のようなイベントのブースに出展すると,1日に100人ぶんの「楽しんでいない様子」を目にすることになる。それは極めて苦痛な経験だ,と同氏は語った。
続くソ氏は,最初のころはフィードバックが非常に痛烈に感じられ,慌てて修正することが多かったと振り返る。
しかし何度もテストを受けるうちに感じたのは,そうやって他人の口に合わせてゲームを変え続けていると,自分のゲームではなくなってしまうということだった。
そういう作り方をするなら会社に入ってゲームを作ればいいのであって,インディーとして自分のゲームを作る必要がない,と考えるようになったのだという。
そのため最近はフィードバックを受けてもすぐには受け入れず,自分のやり方ではどう変えられるかを考えたうえで手を入れるようにしている。
バーンアウトについては,パク氏とは違う方法を取っているとソ氏は語った。「ハローワンダーバンド」は主人公がバーンアウトを回避する話が主軸であり,自分自身も回避する性格なのだそうだ。
そのうえで挙げたのが,マーク・トウェインが「ハックルベリー・フィンの冒険」の執筆中にどうしても筆が進まなくなり,数か月間そのまま置いてから机に戻ったところ,そこから書けるようになった,というエピソードである。
この話が好きだという同氏は,自分も休むときはしっかり休み,戻ってきてまた頑張るタイプだと語り,そうやってバーンアウトを乗り越えているとした。
■完成度を追うか,スコープを縮めて出すか
![]() |
今年卒業予定の2人チームで,収益のないまま初の商業作を開発中という質問者の状況に対し,ソ氏は自分のチームも完成度をより重視する傾向があるようだ,と答えた。
実際,ゲーム自体もリリースを延期し続けているという。
英語でどう訳せばいいのか分からないが,「アップグレードではないアップグレード」をすることが本当に多い,と同氏。
これは商業的なやり方ではないと率直に認めたうえで,このゲームに骨を埋めるつもりで開発している,と語った。
生存(SURVIVE)
■開発期間中の資金をどう融通するか
![]() |
ファン・デン・ベルグ氏は,10年前に同じことを聞かれたら,いつも本業を辞めるなと答えていたという。自身もゲーム制作は趣味として始め,夜の時間に作っていた。趣味としてやることを本当に楽しんでいて,それが会社に育っていったからだ。
しかし今日それが可能かどうかは分からない,と同氏は続けた。
世に出ているゲームがあまりによく作り込まれ,愛情を込めて作られている。それはいい意味だが,同時に多大な労力がかかっているということでもある。
フルタイムで取り組む人たちと競争することになるため,趣味で作ったゲームで成功できるかどうかは分からない。
だから本業を持ちながらという道はもう使えないが,ではその代わりに何を勧めればいいのか,自分にも分からない。難しい,というのが率直な答えだった。
ソ氏は,自分たちは運よく2年間の国家支援事業があったおかげで開発を維持できた,と明かした。
韓国は支援事業や若者向けの創業・福祉といった制度がかなりよく整備されているように思うので,韓国人であればそうしたものを探して支援を受けるのは大きな助けになるのではないか,という見方を示している。
■どこからが「採用すべき」で,どこまでが外注か
![]() |
パク氏は,自分は月並みな答えしかできないと思うと断ったうえで回答した。
現在のプロジェクトにおいて重要で,コアバリューやコア体験に直結する作業であるにもかかわらず,それを円滑に遂行できない状態にあるなら,当然人員を採用すべきだと考えている。
また,単に個人の作業が少し遅れるというレベルではなく,チーム全体のスケジュールに影響し,その1件のために多くのメンバーが被害を受けるような場合も,必ず採用すべきだとした。
そのうえで同氏は,自分もうまくやれたとは思っておらず,改善したい部分があるとも語る。そもそもチーム構成に合わせて企画を組み立て,途中でこうした意思決定をしなくて済むようにするのが理想ではないか,というのがその内容だ。
完全になくすことはできないだろうが,頻度を減らすのが最も理想的ではないかとしている。
逆に外注に向く作業として挙げたのは,一時的なもの,優先度が低いもの,あるいは工程自体を作り込んであって量産するだけで済むものだ。
そして,作業量は多いが他人に任せても自分たちがやるのと7割以上のクオリティを出せるものだ。そうした作業はチーム内ですべて解決しようとするより,外注業者を使うほうが効果的ではないかと述べた。
ファン・デン・ベルグ氏も同意し,自身の経緯を語った。1人で作業を始め,長く一緒に仕事をしてきたレベルデザイナーを1人雇い,そして2人目,3人目,4人目と増えていった。
人が1人増えるごとに,こなすべきコミュニケーションとマネジメントの量が発生する。さらに,誰かを雇ったことでもっと多くのことができると考えてしまい,ゲームのスコープを膨らませてしまうリスクもある。加えて追加のコストもかかる。
だからこそ,その人が本当に必要なのか,そのゲームはそれなしで成立しないのか,ほかの誰かにできないのか,あるいは単にスコープを小さいままにしておけないのか。
そうした問いに対して本当に慎重でなければならない,と同氏は語る。スコープが小さければ投資も小さく,ゲームが損益分岐点に届かないリスクも小さい。しかし,人を増やしたくなる誘惑はあるという。
自分のチームは小さなスタジオとしてはかなり大きいほうだとも言う。今の体制には非常に満足しているものの,振り返って,ここまでの規模になるとは思ってもいなかったと感じることがあるそうだ。
そしてもう,コミュニケーションとマネジメントにかかる仕事量を過小評価してはいけないと付け加えた。
ゲームを作るのが好き,プログラミングが好きというのは1つのことだが,これから増えていく人数のチームをマネジメントすることも楽しめるか,という問いかけである。
■開発中にぶつかった現実的な問題
![]() |
ソ氏はまず,現実的な問題をどう定義するかによって話が変わってくるし,そもそもインディーゲーム開発そのものが自分にとっては現実そのものなので,何を解決法として語ればいいのか,と応じた。
金額的な部分であれば,先に述べたとおり支援事業や福祉制度を探すのがいいだろう,と同氏。そのうえで,やや特殊なケースだがと断って挙げたのが,一緒に開発している恋人と喧嘩になるという問題だった。
これを現実的な問題と考えるなら,結局はすべて疎通の問題であり,話し合いを通じて解決するのが正しいと思う,というのがソ氏の答えである。
持続(CONTINUE)
■インディー開発を続けさせている原動力
![]() |
難しいが,むしろ明確に答えられる質問だと思う,そう受け止めたソ氏の答えは,自己実現だった。自分が望むものを作り,創作すること自体が楽しいので,ここにいられているのだという。
パク氏もその部分には大いに同意する,好きで始めた仕事だから,と応じた。
そのうえで別の話をするなら,自分が作ったゲームを楽しんでくれて応援してくれる人たちのフィードバックが大きな力になっているとして,1つのエピソードを紹介した。
SUNNY SIDE UPは以前,クラウドファンディングサイトのTumblbugでクラウドファンディングを実施している。
その際,ゲーム内の猫をデザインできる権利をリターン商品として販売した。価格はかなり高かったにもかかわらず,すぐに完売したという。
後日,その購入者と話す機会があり,なぜ購入したのかを尋ねた。パク氏の記憶では,おそらく全員が同じ趣旨の答えを返したそうだ。
今一緒に暮らしている猫がいて,その猫がいつか年を取って自分のそばを離れることになっても,このゲームの中の世界で思いきり走り回れたらいい。そういう理由で支援した,というものである。
当時,ゲームはまだデモ段階でしかなく,完成までは遠かった。それでも安くない商品を信頼をもって購入してもらえたことが本当にありがたかったと同氏は振り返る。
そうした事例に出会うと責任感を持たざるをえないし,自分が作っているものが,単にプレイして楽しむその瞬間だけでなく,さらに先で誰かに別の意味を与えることもあるのだと考えるようになった。非常に重要なきっかけだったと語った。
ファン・デン・ベルグ氏にとっての原動力は,いまだに少しばかり魔法なのだという。
コンピュータに何かをさせるとき,コードを書いてピクセルが画面上で弾けるとき,それは今も自分にとって一種の魔法であり,大いに楽しんでいる。日々の活動そのものが本当に楽しいのだ,と語る。
もちろん,それが誰かに喜びをもたらし,あなたのゲームを楽しみましたというメールが届いたときは最高の気分の1つだ,とも付け加えた。
そしてそれは,ここで語られた自己実現という話に近い。自分がやるべきだと感じることをやるための方法なのだ,という受け止めである。
■更新を止めて新作に移る判断
![]() |
ファン・デン・ベルグ氏は,自分も,自分が知る多くのインディー開発者も,次のプロジェクトに移るのが好きだと語る。
新しい創造性を表現したいし,そのゲームについてはもうやりきっている。それが半年後なのか1年後なのか,自分の場合は3年後なのか,人によって違っても,次のものに移れるのはいつも本当に嬉しいことなのだという。
ただし,質問が指標や理由を尋ねているので,と前置きしたうえで,財務的な観点からの見方を示した。
ある程度成功したゲーム,少なくともオーディエンスの一部に届いたゲームであれば,それをサポートし続けるのは実際にはいい判断だと思う,というものである。すでにオーディエンスがいて,その人たちは自分を支援したいと思っている。
財務的には,サポートを続けるほうがたいていは賢明だろうと述べた。
しかしクリエイティブな人間は新しいものを作りたがるので,新しいことに移りがちだ。自分もそうだ,と締めくくっている。
■就職か,起業か
![]() |
パク氏は,考え方によってはかなり明瞭な質問かもしれない,と切り出した。インディーゲーム開発と呼んでいるからそう聞こえるだけで,実際にはこれは起業である。
だから,ただの起業だと考えてほしいというのが同氏の提案だ。そう捉えれば,もう少しはっきりするという。
起業だとすれば,それはリスクを背負うということになる。
何年も一生懸命苦労したのに,年齢は重ね,時間は過ぎ,貯めた金はなく,何の成果も出せないかもしれない。それが起業の持つリスクであり,インディーゲーム開発もまったく同じだと考えている。
だから,自分に一度問いかけてみるのがいいのではないかと語った。そうしたリスクをすべて背負ってでも本当に成し遂げたい夢や目標があるか。
そう考えたときに大丈夫であれば,進めばいい,という基準だ。
もっとも自分の場合はそこまでの覚悟があったわけではない,とパク氏は続ける。あれこれやっていたために人より少し遅く,休学も長くしていて社会進出が遅れた。
どうせ遅れたのだから,もう少し遅れても大丈夫だろうと思って始めたのだという。リスクは知っていたし背負うつもりもあったが,どうせ遅れていたぶん,選択自体は少し楽にできたと振り返った。
さらに同氏は,質問者を年下と想定して,と断ったうえで補足を加えた。起業と最初の就職を,必ずしも同一線上に置く必要はないという指摘である。
起業は就職したあとでもできる。実際,業界の先輩には,業界での経験を積んでからスタジオを立ち上げて出ていくケースが多い。
むしろそれまでの経験とノウハウがあるぶん,より安定した運営ができたり,キャリアがあることで最初から投資を受けて始められたりするケースも多く見られるという。
そのためパク氏自身,自分ももう少しゲーム業界で学んでおくべきだったのではないか,とときどき考えることがあるとも明かした。
1人で何かを続けていると,学べずに惜しいと感じる部分が多いのだそうだ。
ファン・デン・ベルグ氏はこれに強く同意すると述べたうえで,自分にも本業があった時期は長かったが,それはゲーム業界ではなかった,と振り返る。
大きなゲームスタジオで働いた経験があれば非常に有益だっただろう,というのがその理由だ。
今でも,こうやるのか,これが本当のやり方なのか,と何かを見つけるのに3〜4年かかることがよくある。大きなチームで働いていれば,その経験を得られていたはずだと同氏は語る。
大手スタジオで学んでいたら,いくつかのことはもっと早くできていたと正直に思う,とも述べた。
また,インディーゲームがうまくいかなくなったら,いつでもスタジオに戻ればいいとずっと考えてきたという。
ただし今の世界ではそれは少し怖い見通しでもある,と続けた。就職が難しいという話をよく耳にするからだ。だから自分がどうなるのかは分からないが,もうこの道に腰を据えたので,このままここにいることになるのだろう,と締めくくっている。
ソ氏も,多くのリスクをすべて背負ってでも本当に作りたいもの,目標があるか。それを基準にすればいいと思う,と応じた。
共通質問:AI活用の範囲と,業界の空気感
セッションの最後は,ランダムカードではなく3名全員への共通質問として,現場でのAI活用の範囲と積極性,そして就職の難易度と業界の雰囲気が問われた。
![]() |
3氏はいずれも,自分は業界全体を語れる立場にないと断ってから答え始めている。
パク氏はまず,自分はほかの代表たちとそれほど活発にコミュニケーションを取っておらず,コミュニティなどに参加する頻度も少ない,と前置きした。
情報自体は入ってくるものの,それでも業界の雰囲気がどうこうと自分が語るのは非常に難しく,慎重にならざるをえないという。それを踏まえて聞いてほしい,としたうえで,自社の事例を挙げた。
最近,SUNNY SIDE UPは大型アップデートを1つ実施しており,その中には最適化に関する項目も含まれていた。
最適化の問題は多岐にわたったが,そのうちの1つについては,自社の規模と人員,残り時間,投じるコストを考えたときに,これは絶対にできない,うちのチームでは手に負えない問題だと判断していたという。
それを最近,AIの助けを借りて解決した。それがそのまま答えになったと思う,とパク氏は語る。自分たちにはできないと思っていたことを,ただできるようにしてしまったからだ。
一方で,複雑な思いも率直に述べた。ゲームをプレイするのも好きだが,先ほど話に出た自己実現,創作というものが好きで愛しているからこの仕事を始めた。
その自分が愛する仕事において,自分の立つ場所がなくなること,あるいは最初に考えていたものと変わってしまうことは,実のところとても怖いという。
ただし他方では,自分たちはインディー開発会社であり大企業ではないため,限界のためにできずに諦めてきたものが本当に多いはずだ,とも続けた。
それらを自分たちも試せるようになるのではないかという期待も生まれており,その意味では期待感もある,というのが結びだった。
ソ氏も同様に,自分も孤立した島の中にいるので,就職の難度や業界の雰囲気を軽々に語れる立場にはない,と前置きした。
そのうえで感じたこととして挙げたのが,業界で相当なキャリアを積んだ人たちが最近になって外に出てきて,インディーゲームを作るケースが多いという点である。
そうした状況を見ていると,業界の雰囲気は確かに厳しいのだろうという気もする,と同氏は語った。自分が把握しているのはその程度だという。
AI活用の範囲については,パク氏の話と同様,本来なら時間的に開発できず,優先度も低かったものを簡単に開発できるようになった点が本当に良いという。
前の質問にあった,ある機能のために誰かをチームに入れるか外注するかといった悩み自体が減るのだ,と説明した。優先度が低く時間さえかければ開発できるものはAIがやってくれるので,その部分では確実にメリットがあるとしている。
一方で,自分たちのスタジオが作るゲームはナラティブや世界観,キャラクターが非常に重要なストーリー中心のゲームであるため,アートやサウンドに関しては慎重な部分がある,とも述べた。
自分たちがそれを望んでいないし,自分たちのゲームを遊んでくれる人たちも望まないと思うからだ。したがって使うとしてもツールを作る部分やプログラミングの範囲にとどめ,リソース制作については自分たちで直接作るのが今は良いと思う,というのがソ氏の立場である。
ファン・デン・ベルグ氏も,業界全体についての質問である以上,自分は自分の「バブル」の中についてしか答えられない,と断った。
そのうえで,2つの態度が見えるという。1つは,以前ならゲームを完成させるのが難しかった小さなスタジオやソロ開発者が,今は大きく力を得ているということだ。
他業界で経験を積んだ人が入ってきて夢のゲームを作る。あるいは以前はゲームのアートだけを担当していたアーティストが,今はそのゲームを実際に形にするツールも手にしている。以前なら開発者を探さなければならなかった人たちである。
自身もAIをグラフィックス面で少し試してみたが,自分の好む具体的な結果を得るためのツールにはならなかったという。きれいに見えるものは得られる。
しかし自分のビジョンを的確に体現するものが欲しくもあり,そのワークフローを作るのは本当に難しいと感じた。だから自分には合わなかった,と語る。
皮肉なことに,よりうまく機能するのは開発側だという。
同氏はプログラミングのバックグラウンドを持ち,AIの修士号も取得している。しかし自分はプログラマであり,プログラマとしての仕事はいつでも安泰だと思っていた。それが今,AIによって最も脅かされている部分になっているように見えるという。
ある意味でこの部分は自分のクラフト,つまり技芸であり,自分が持っているスキルを本当に誇りに思っていた。それが今,少し危うくなっているように見える。ただし他方では,はるかに多くのことができるようになった,とも述べる。
業界の雰囲気という観点でファン・デン・ベルグ氏が実感しているのは,自分たちのプロセスではアートの必要性が増している,ということだ。
開発が速く進むようになった一方で,自分の考えではAIはアートをそこまで支援できない。開発が速くなったぶん,そのプロセスを埋めるためにより多くのアートが必要になる。アートがボトルネックになっているのだという。
業界への影響という点では,自分の場合,この小さなスタジオではアーティストの必要性がむしろ増えた。それが同氏の結論だった。
開発者コミュニティへ
セッションの締めくくりとして,3名がそれぞれ同業者へのメッセージを述べた。
ファン・デン・ベルグ氏は,特に共有すべき具体的な考えがあるかは分からない,としたうえで,今は非常に興味深い時期だと語った。
プロセス全体について考えるようになったのだという。どうやってゲームを作るべきなのか,何が重要なのか。それは自己実現に関することなのか,それとも単に金を稼ぐことなのか。
AIなどによってプロセスが変わってきたために,そうした考えがより多く浮かんでくるようになった。だから興味深い時期であり,誰とでもそれについてもっと話せることを楽しみにしている,と結んだ。
パク氏は,文化コンテンツや芸術の業界は成功を予測することが本当に難しいと言われる,と切り出した。もちろん他分野も同じだろうが,外部から影響を受ける要素がより大きく作用するのだという。
だから,単に自分たちが品質を備えたからといって常に良い成果が出るわけでもないし,逆に,あのときはうまく作れなかったと思うような作品が大ヒットすることもしばしばある,と同氏は語る。
自分も運よく,自分の口から言うのは少し恥ずかしいがいくらかの成果を収めた経験はある。しかし結局,成果を得るというのは運の要素があまりに強いと思う,というのがパク氏の見方だ。
今すぐ成果が出ないからといって,自分がすごく間違っているのか,自分が作ったものはそんなに問題が多いのかと,あまり思い詰めないでほしい。
自己省察をするのはもちろん良いことだが,過度に挫折したり,簡単に心が折れたりすることのないように──同氏はそう語りかけた。
反省し,検証し,直しながら発展していけば,いつかまた良い成果を出せるのではないか,というのが結びである。
最後にソ氏は,結局,自分たちは自分の作りたいものを作るために,あらゆるものを諦めてここにいるのだ,と述べた。だから,他人が悪く言おうと,鋭いフィードバックを寄こそうと,萎縮しないでほしい。
本当に自分が望むものを作るために,自信を持って作れるようになってほしい。そう会場に呼びかけて,セッションは終了した。
![]() |
![]() |
![]() |




















![画像ギャラリー No.025のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/025.jpg)
![画像ギャラリー No.026のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/026.jpg)
![画像ギャラリー No.027のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/027.jpg)
![画像ギャラリー No.028のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/028.jpg)
![画像ギャラリー No.029のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/029.jpg)
![画像ギャラリー No.030のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/030.jpg)
![画像ギャラリー No.031のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/031.jpg)
![画像ギャラリー No.032のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/032.jpg)
![画像ギャラリー No.033のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/033.jpg)
![画像ギャラリー No.034のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/034.jpg)
![画像ギャラリー No.035のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/035.jpg)
![画像ギャラリー No.036のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/036.jpg)
![画像ギャラリー No.037のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/037.jpg)
![画像ギャラリー No.038のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/038.jpg)
![画像ギャラリー No.039のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/039.jpg)
![画像ギャラリー No.040のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/040.jpg)
![画像ギャラリー No.041のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/041.jpg)
![画像ギャラリー No.042のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/042.jpg)
![画像ギャラリー No.021のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/021.jpg)
![画像ギャラリー No.022のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/022.jpg)
![画像ギャラリー No.023のサムネイル画像 / 一度作れば,ゲーム開発はずっと続けていけるのか。創作,生存,持続をテーマにインディー開発者3名が本音で話すセッションをレポート[BIC2026]](/games/931/G093154/20260815018/TN/023.jpg)