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NVIDIA,「GeForce RTX 3060」で仮想通貨の採掘処理性能を制限。製品を本来のターゲットであるゲーマーに届けるため
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と,聞いても何のことだか分からないという人も多いだろうから,簡単に背景を説明しておこう。
現代のGPUは,グラフィックス用途以外にもさまざまな演算処理に用いられることは,4Gamer読者なら周知のことと思う。そうしたGPUによる汎用演算(GPGPU)を積極的に活用している用途のひとつが,仮想通貨のマイニング処理だ。GPGPU用途でも価格対性能比の高いNVIDIA製GPUは,マイニング処理を行うユーザー(※マイナー)に人気が高く,本来はゲーマー向けが主用途であるはずのGeForceシリーズは,ゲーマーだけでなくマイナーにも引っ張りだことなっている。
NVIDIAとしては,自社製品がゲーマーだけでなくマイナーにも売れるというのは,本来であれば喜ばしいところであろう。しかし,2020年から世界規模で深刻となった半導体の供給不足が,単純に喜んではいられない状況をもたらしているようである。ゲーマー向けに製造,供給するはずのGPUが,本来のターゲット層ではなくマイナーに買われてしまうのは,ゲーマーだけでなくNVIDIAにも望ましいことではなくなったわけだ。
そこでNVIDIAは,GeForce RTX 3060においてドライバソフト側で制限をかけることで,仮想通貨のマイニング処理には適さないようにする施策を取ることにした。具体的には,仮想通貨の1つである「Ethereum」(イーサリアム)のマイニング処理に特有のアルゴリズムに着目してハッシュレート(採掘速度)を制限することで,マイニング効率を本来の50%まで低下させたそうだ。
つまり,マイニング用途での価格対性能比を意図的に悪くすることで,マイナーがGeForce RTX 3060を選択しないようにして,本来のターゲットであるゲーマーの手に渡りやすくしようというわけである。
GeForce RTX 3060以外のGPU,たとえば「GeForce RTX 3080」や「GeForce RTX 3070」は,この措置に加えないのかという疑問はあるし,ドライバソフト側の対処であれば,該当する制限を無理矢理解除したパッチドライバが登場するだけではないのかという気もするのだが,NVIDIAがGeForce RTX 3060をゲーマーの手に届きやすくするために,今までにない措置を取ったということ自体は,ゲーマーとしては歓迎できる話であろう。
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CMPとは,「Cryptocurrency Mining Processor」の略で,同シリーズを搭載する数値演算アクセラレータカードは外部映像出力を持たず,グラフィックス処理も行わないそうだ。その一方で,マイニング処理中の冷却効率を改善しており,1台のシステムにカードを複数搭載しやすくしたほか,GPUの最大コア電圧と動作クロックを低くして,電力効率を向上しているという。
GeForceシリーズはゲーマー,CMPシリーズはマイナーと住み分けが進むことを期待したいものだ。
NVIDIA公式Blogの当該ポスト(英語)
NVIDIA CMP HXシリーズ製品情報ページ(英語)
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