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[インタビュー]青春ものといえば「ウインドボーイズ!」と言われるように。プロデューサー波多紘幸氏に1周年を迎えたウインボの新年の抱負を聞く

 吹奏楽×男子高校生×青春をテーマにした「ウインドボーイズ!」BROWSER / iOS / Android)は,金沢市の「石川県立威吹高等学校」吹奏楽部に所属する個性豊かな生徒たちの成長を,先生としてサポートしていく育成シミュレーションゲームだ。

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 2021年の11月にサービスが始まった「ウインボ」は,2022年11月に1周年を迎えた。その勢いは衰えず,全国の吹奏楽ファンの興味を引きつつ現在に至っている。一時期の女子向けゲームのラッシュから比べると,現在は“ファンに愛されるコンテンツしか生き残れない”淘汰の時代だ。そんななか我が道を歩み,ファンと固い絆でつながっている「ウインボ」は,今後どのような展開があるのか,気になるところだろう。

 今回4Gamerは,「ウインボ」の今後について生の声を引き出したく,プロデューサーの波多紘幸氏に直接話を聞く機会を得た。今後見せていきたい展開や,波多氏が感じる「ウインボ」の魅力などを聞いたのでお届けしよう。

波多紘幸氏
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これまでの「ウインドボーイズ!」の魅力を深める年にしたい


4Gamer:
 本日は1周年を迎えた「ウインドボーイズ!」の今後についてうかがいたいと思います。まずは,波多さんの本作における役割から教えていただけますか?

波多紘幸氏(以下,波多氏):
 僕はプロデューサーとして,ゲームに関するプロデュースを担当しています。

4Gamer:
 あらためてプロデューサーのお立場から「ウインドボーイズ!」の魅力を教えてください。

波多氏:
 “エバーグリーン”や“ビタースイート”といった,“青春”というのが1つのキーワードです。昨今の女性向け作品は,闇の部分に注目したものが多い印象がありますが,「ウインドボーイズ!」はとにかくピュアで,胸がきゅんとなるようなところを魅力としています。僕自身は闇のある物語も嫌いじゃないんですが,関わるタイトルはピュアな世界観のものが多いので,そういう運命なのかなと思います(笑)。

4Gamer:
 闇もいいですが,同じくらい青春のさわやかさは心惹かれる要素ですよね。

波多氏:
 相対的なものだと思います。ダークな世界観のものが増えるほど,ピュアなものが光って見えるというか。両方とも大事な要素ですよね。

4Gamer:
 ゲームプロジェクトを推進していくにあたって,開発のスタッフのメンバーの方々といろいろなお話をされてきたと思います。話せる範囲でどのようなやりとりをしてきたのか教えていただけますか?

波多氏:
 吹奏楽部,男子高校生,青春というキーワードはしっかりどこまでもこだわっていこうという話をしてきました。開発スタッフのメンバーともこの部分は分かち合えていますので,この世界観を深められるように引き続きプロデュースしていきたいと思います。

4Gamer:
 心強いお言葉ですね。運営を積み重ねていくなかで,今まで開発スタッフのメンバーから,こうして欲しい,こうすべきといった意見や要望はどのくらいの頻度であるのでしょうか。

波多氏:
 開発スタッフのメンバーは,個々にウインボに強い思い入れを持っています。意見は常にあるというのが答えです。最初に決めたコンセプトを大切に,ウインボの魅力をより一層感じていただけるようチーム内で日々議論を重ねています。

4Gamer:
 最初の開発コンセプト,テーマにブレない形で運営を進めているのですね。作品が大事にされているというのが分かるのは,ファンにとって安心できるお話だと思いました。

波多氏:
 自分の好きな作品が,開発者や運営側の都合で変化していくのは,ファンにとっては不安に感じると思います。そういう不安は払拭していきたいと思っていますし,こうして欲しいというファンの皆さんの声を聞きながら作品を深めていきたいです。ただ,変えないとは言いましたが,ゲームのプロデューサーとして,作品を長く続けるための改善や分析は怠ることのないように考えています。

4Gamer:
 運営されるなかで,ファンやプレイヤーの声に注目する場面は多いのでしょうか。

波多氏:
 そうですね。どこの運営も同じかと思いますが,カスタマーサービスに意見が届くこともありますし,SNSを見ることもあります。こうしてほしいという要望はもちろんですが,肯定的な部分や,コミュニティの空気感など参考になることが多いです。今後もSNSやファンの皆さんが盛り上がっているコミュニティやコメントの意見は,参考にしていきたいと思っています。

4Gamer:
 運営を進めていくなかで,いろいろな意見が寄せられると思います。こんな意見が欲しい,こんな声を聞きたいなどありますか。

波多氏:
 ファンと一緒に進んでいくというのが,とても大事なことだと思っています。ワンマン運営で「やる方はついてきて!」も違うし,逆に意見を聞きすぎても「運営側が世界観やコンテンツをリードしてくれないと困る」と思われてしまうので,バランスと距離感が大切です。現段階で「こういう意見が欲しい」といっても押し付けになってしまうので,自然にそういう声が聞こえる信頼関係を築いていきたいです。でもしいて言えば,今後キャラや音楽性の深掘りなど新しいことをしていくので,意見を聞かせてほしいですね。それが,叱咤激励になるかもしれません。運営側と,ファンの皆さんが一丸となって,ウインボを盛り上げている,ウインボに夢中になっている,というところに到達できたらいいと思います。

4Gamer:
 これからどのようなことをやっていきたいという,展望は固まっているのでしょうか?

波多氏:
 生徒たちの個性や想いにもっと踏み込んで描いていきたいなと思っています。将来を想像できるようにすると言いますか……。例えば,才能がある飯塚ミナトは演奏家になる未来もありえると思うのですが,そのきっかけになったのが威吹高校吹奏楽部だった,など未来につながるようなエピソードを用意していきたいです。そこは,今シナリオチームの人たちと話をしています。

4Gamer:
 高校生は,将来に向けていろいろと揺れ動く時期。彼らのいろいろな可能性が見られるのは,ゲームならではの楽しみでもありますね。

波多氏:
 そうなんですよね。高校生活の3年間は人生のなかではほんの一瞬ですが,音楽で熱い想いをしたり,影響を受けたりしたことは,その後の人生を支えていくものになると思います。「ウインドボーイズ!」では,そんなドラマを描いていきたいです。そのために生徒たちを深掘りして,こんな風になりたいとか,誰かに影響されて一緒に演奏をするとか,そういう想いをうまく見せていけたらなと思います。

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より“推し”に共感,応援してもらえる作品に


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4Gamer:
 先ほどお話ししてくださったように,より遊びやすくするためや,新たに始める人のためにシステムの改善などの予定はあるのでしょうか。

波多氏:
 もちろん,考えています。ゲームのプロデューサーとして,作品を長く続けるための改善や分析はしていきます。基本的には今まで通り,システムを大きく変えることはせずに,そのなかで新たな視点を加えてより遊びやすく,続けやすくしていきたいです。日々のKPIを分析したり,BIツールでさまざまな検証をして,より遊びやすく,プレイヤーにストレスを感じさせないようなシステムに改善をしていきたいと思います。

4Gamer:
 本作のプレイヤーには,あまりゲームに慣れていない人も多いと思います。そういう層に向けた開発で,気を付けている点はあるのでしょうか。

波多氏:
 女性ユーザーの多い作品は,勝敗を重視するゲームと違って,映画などのコンテンツに近い気がします。僕が女性向け作品に関わって感じたのは,作品のなかに入って共感したり,世界に関わったりすることが大切だったり,もっと言うと日々の普段の生活のなかにあるもう1つの世界が,その人にとっての心の拠り所や,現実から離れて空想に浸れる場所になって,そのなかで自分の心情が洗われ,普段の生活が少しだけ前向きになれるコトやモノの提供なのかなと……。

 空里は,どうしてそんなに我が道をいけるんだろうとか,了太郎のクールな印象とバリトンの奏でる音の関係,どうしてそんな音を出せるの,あの子をもっと知りたいとか,そういう単にスコアを稼ぐためにキャラを強化したいという思い以外の,芽生えてくるさまざまな思い入れ,それを壊すことなく,自然なあるべきように導いていきたいと考えています。

4Gamer:
 難しいアクションが得意な人もいますし,さまざまな層が楽しめるのもゲームの良さですからね。でもお話を聞いていて,見ていると元気が出る“推し”の要素を大事にされているんだなと感じました。

波多氏:
 作品で“推し”を見つけて,応援したり,気持ちを投影したりしてくださる方は多いですからね。いかにストレスなく,“推し”を応援してもらえるかの塩梅が大事だと思っていて,そこは気を付けているポイントです。

 実際に女性向け作品を作るとき,制作スタッフや世界観やシナリオが大事だと考えてそこに注力することが多いです。でも遊んでいる方のデータを見るとメインストーリーはあまり読まれず,好きなキャラのカードを集めるコレクション要素が強くなっていく傾向があるんですよ。

 それでも魅力がある作品は続いていきますが,残念ながら閉じてしまうコンテンツもあります。押しなべて考えると,世界観を見せていくと言いながら,我々側もファンに伝えきれていない部分が多いと感じていて……。もっと世界観を楽しんでもらう,“推し”を応援,共感してもらいつつ,その世界全体がプレイヤーの心の居場所になっていくような,そういう作品としてもらえるように,作品としてうまく導いていくのが大事だと考えています。

 そういう意味では「ウインドボーイズ!」の青春,エバーグリーンの要素は普遍的なものだし,共感を得やすいポイントがあると考えています。10代以上の人なら,誰もが経験している原体験です。そして,それは,現在も進行中の人生のなかで言えば,それぞれの心にリアルさも残っている。そういう切り口は大事にしたいです。青春のなかで何を魅せてあげられるか,ですね。

4Gamer:
 学園ものという日常の延長線上にあるという親近感がありますね。また闇まではいかなくても,吹奏楽の仲間であると同時に,音楽ではライバルにもなりえるという刺激のある関係性が見えるのも魅力ですよね。

波多氏:
 まさにそうなんです。本作の世界はアニメやコミックにすれば,分かりやすいという意見もあります。それをあえてゲームで描いているのは,音楽があるからなんですよね。自分の好きなキャラでグループを作って,スキルを発揮して,音楽会を成功させる。これはゲームだから表現できる部分なんだと,強い意志を持ってストーリーもコンテンツも総合的にボトムアップしてファンに皆さんに喜んでもらえるようにしたいです。

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生徒の音楽性もより深掘りされていく!?


4Gamer:
 音楽に対する熱いこだわりを感じたのですが,もともと音楽や吹奏楽はお好きだったんでしょうか。

波多氏:
 実は,人生で一番影響を受けたのが音楽なんです(笑)。楽曲制作はノイジークロークさんにお願いしているのですが,作曲・編曲の坂本英城さんとは,古くから間接的につながっていました。それが「ウインドボーイズ!」でご一緒できることになりましたので,多くを語らずとも,打ち解けやすい関係だと僕は思っています。

 音楽って波長やハートビートだったり,いろいろなものによって変化します。ライブで演奏していると相手の音に感化されて,練習からは思いもよらない音が生まれて,それがグルーヴ(高揚感)になっていくこともあります。今後のメインストーリーでも生徒たちの掛け合いがあって,それで生まれた音がこれだというシーンは出していきたいですね。

4Gamer:
 それは胸アツですね。

波多氏:
 中高生時代は,いろいろなことを吸収していますからね。吹奏楽部もコンクールの曲だけを好むだけではなく,ラップやジャズ,両親の影響で60年代のロックを聴いている人もいるかもしれません。その影響がフレーズに出てくることもあると思うので,キャラの音楽性ももっと深掘りして表現していきたいと考えています。

 そして音楽性がぶつかり合う瞬間も,しっかり描いていきたいですね。ぶつかり合った結果生まれた音楽が,ポップでソリッドで高校生が奏でる音とは思えないサウンドが出たなんてドラマにつながったら面白いのではとも考えています。キャラクターの誰かがプロミュージシャンへと成長したときに「あのフレーズがずっと残っているんだ」なんて展開が描けたらいいなと思いますね。

4Gamer:
 お話を聞いていて,ゲーム内でもゲーム外のコンテンツでも威吹高校の活躍が広がっていきそうだなと感じました。

波多氏:
 そのために,微力ではありますが本作の世界観を皆さんに伝えていきたいなと思っています。

4Gamer:
 期待しています。そろそろ締めの質問に入らせていただきますが,波多さんから,これだけは伝えておきたいということはありますか。

波多氏:
 「ウインドボーイズ!」をより“深化”させていきたいなと思っています。2018年の発表から支えてくださっているファンの皆さんをはじめ,先生になってくださっている皆さんの日々の,確かな楽しみになる作品であり続けられるように,これまで以上に盛り上げていきますので,ぜひご期待いただきたいです。

 また,金沢が舞台になっていますので,石川県や金沢市とのタイアップや,ゲームのなかでできることも考えていきたいですね。

4Gamer:
 作中に登場したところに行けるのは,やはり楽しいですよね。ちなみに生徒たちのなかで“推し”はいるのでしょうか。

波多氏:
 全生徒が主役ですからね。そのなかで“推し”と言うと,特別なのかと言われてしまいそうですけど(笑)。ウインボの生徒たちはみんな好きなので,選べないですね。

4Gamer:
 生徒にも愛情を注がれているのも分かり,ほっこりした気持ちになりました。最後に,応援してくださっている先生の皆さんにメッセージをお願いします。

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波多氏:
 これからも作品を盛り上げ,長く続けていきたいと思っています。そのなかで発展していく世界を楽しんでほしいです。ずっと考えていたけどまだ出来なかった要素も追加し,さらに面白くしていきます。青春ものといえば,「ウインドボーイズ!」といわれるように頑張ります。また今月(2023年1月)中にメインストーリーの新章が公開されますので,こちらも楽しみにしてください。

4Gamer:
 ありがとうございました。


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