今期は,1クールに2本同時放送という業界初の試みに挑戦中の
「ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園-」 が注目株。終始シリアスな
未来編 とコミカルな
絶望編 ,どちらもいい味を出しているので甲乙つけがたい感じだ。ただ,同じキャラクターがまったく違う性格付けで登場するため,頭がパニックを起こすこともしばしば。もっと脳の性能を上げなきゃダメかも。
さて,第9回となる今回のタイトルは
「マクロスΔ(デルタ)」 。1982年に放送された
「超時空要塞マクロス」 から続く,ロボットアニメシリーズの最新作で,10月20日発売予定のPS Vita専用ソフト
「マクロスΔスクランブル」 と,ディー・エヌ・エーからスマホ向けアプリの開発も決定し,さまざまな作品ともコラボしている話題のタイトルだ。制作スタジオは
サテライト で,原作・総監督はシリーズお馴染みの
河森正治氏 が務めている。
「マクロスΔ(デルタ)」
西暦2067年,銀河系各地で人間が凶暴化する謎の奇病
「ヴァール・シンドローム」 が発生。星間複合企業体ケイオスは,これを歌の力で鎮静化するため,戦術音楽ユニット
「ワルキューレ」 と護衛用の可変戦闘機バルキリー部隊
「Δ小隊」 を投入する。銀河辺境の惑星アル・シャハルで,事件に巻き込まれた
ハヤテ・インメルマン(CV:内田雄馬) は,ワルキューレに憧れる少女
フレイア・ヴィオン(CV:鈴木みのり) と出会い,それぞれΔ小隊とワルキューレの新たな一員として加わることになる。
そんな折,フレイアの故郷である「ウィンダミア王国」は,新統合政府に対して宣戦布告。2人はその戦いの渦中に身を投じていく。
シリーズ7作目となる本作は,これまでの作品と同様に「マクロス」作品の3大テーマ
「歌」「恋愛(三角関係)」「戦争(可変戦闘機)」 が踏襲されているが,ほかのものとは大きく異なるポイントが何点か存在する。そのひとつが,
戦う相手が同じ人類 ということだ。これまで,戦うことしか知らない異星人や地球外生命体が相手だったものが,人類になったことで,相手サイドの戦う理由(ドラマ)が描かれ,今回はそれも大きな見所となっている。
Δ小隊に入隊したハヤテだが,パイロットとしてのウデは素人同然
どんなときも明るさを失わないフレイア
また,ハヤテ達の敵となるウィンダミア王国には,空戦部隊として
「空中騎士団」 が登場し,Δ小隊と何度も衝突するのだが,タイプの異なるバルキリー同士の激しいドッグファイトは見応え十分。
“板野サーカス” と呼ばれるミサイルの乱舞シーンも健在で,空中戦好きのマクロスファンも大いに満足できたのではないだろうか。
空中でのアクションはマクロスの花形
「ワルキューレ」の原点は「マクロス7」のジャミングバーズ
そして,最大の違いといえるのが,5人の少女による
音楽ユニット「ワルキューレ」 の存在だ。1994年に放送された
「マクロス7」 では,バンドユニットとして「FIRE BOMBER」が登場したが,複数の歌い手が存在するユニットは,ワルキューレが初めてのこと。「マクロス7」でFIRE BOMBERに対抗する「ジャミングバーズ」から今回の着想を得たという河森氏は,彼女達で
チームプレイが描きたかった と,インタビューで語っている。
右からリーダーのカナメ,美雲,マキナ,レイナ,フレイア
ワルキューレに憧れていたフレイア
ミステリアスな美雲。彼女が今後のキーマン?
しかし,ワルキューレが歌う曲は,アイドルソングとはまるで異なるパワフルでメッセージ性の強いものばかり。それもそのはず,フレイア役の鈴木みのりさんは,約8000人の中からその歌唱力でオーディションを勝ち抜いた逸材。また,エースボーカルの
美雲・ギンヌメール(CV:小清水亜美) の歌を担当している
JUNNAさん は,14歳ながら今回の大役を射止めた本格派のシンガーだ。彼女達のデビューシングル
「一度だけの恋なら/ルンがピカッと光ったら」 は,初登場でオリコン3位という成績を残し,その実力を証明する結果となった。
彼女達の曲は,オープニング&エンディングだけではなく,挿入歌としても登場し,その数は19話の時点で15曲以上。
アニメの挿入歌としては異例ともいえる曲数 で,毎回新鮮な感動を与えてくれる。歌にこだわる「マクロス」ならではの豪華さだ。
ワルキューレ/一度だけの恋なら TVアニメ「マクロスΔ(デルタ)」OPテーマ
ワルキューレ/絶対零度θノヴァティック TVアニメ「マクロスΔ(デルタ)」新OPテーマ
ハヤテとフレイア,ミラージュの三角関係の行方
今回は,テーマのひとつである恋愛要素がやや控えめに感じられるが,それはΔ小隊やワルキューレなどの群像劇を中心に描くという意図からきているとか。タイトルのデルタは,
恋愛の三角関係のほかに友情という意味も含まれている とのこと。
もちろん,ハヤテとフレイア,そこにΔ小隊の先輩である
ミラージュ・ファリーナ・ジーナス(CV:瀬戸麻沙美) が絡んでの恋愛模様もおぼろげながら見え隠れしている。恋愛にオクテのミラージュのせいで(?)進行速度は亀のようにのんびりしたものだが,クライマックスを前に徐々に3人の関係がはっきりしてきた。3人の恋の行方がどうなるのか,見逃せないポイントのひとつだ。
今のところ三角関係と呼べるほどではないが,今後はどうなる?
本作は,前作「マクロスF」から8年後の世界が描かれたシリーズ作品だ。しかし,前作のキャラクターが登場したり,専門知識がないと楽しめなかったりするかというと,そんなことはない。「マクロス」作品は,そのタイトルですべてが完結するように配慮されているので,ワルキューレの歌を聞いて,「マクロス」の世界に入ってみようという
初心者にも,オススメできる作品 だ。SF作品として完成度の高い本作が,アニメにハマるきっかけになるかもしれない。
キャスト
ハヤテ・インメルマン:内田雄馬
フレイア・ヴィオン:鈴木みのり
ミラージュ・ファリーナ・ジーナス:瀬戸麻沙美
美雲・ギンヌメール:小清水亜美
カナメ・バッカニア:安野希世乃
レイナ・プラウラー:東山奈央
マキナ・中島:西田望見
アラド・メルダース:森川智之
メッサー・イーレフェルト:内山昂輝
チャック・マスタング:川田紳司
アーネスト・ジョンソン:石塚運昇
ロイド・ブレーム:石川界人
キース・エアロ・ウィンダミア:木村良平
ボーグ・コンファールト:KENN
ヘルマン・クロース:遠藤大智
カシム・エーベルハルト:拝 真之介
テオ・ユッシラ/ザオ・ユッシラ:峰岸 佳
グラミア6世:てらそままさき
ハインツ2世:寺崎裕香
スタッフ
原作:河森正治・スタジオぬえ
総監督:河森正治
監督:安田賢司
シリーズ構成:根元歳三
キャラクター原案:実田千聖[CAPCOM]
キャラクターデザイン・総作画監督:まじろ,進藤 優
バルキリーデザイン:河森正治
メカニックデザイン:ブリュネ・スタニスラス
美術設定:ニエム・ヴィンセント
デザインワークス:大橋幸子
マクロスビジュアルアーティスト:天神英貴
撮影監督:岩崎 敦[T2studio]
CGディレクター:森野浩典
CGスーパーバイザー:加島裕幸[unknownCASE]
CGアニメーションディレクター:崎山敦嗣[unknownCASE]
メインバルキリーモデリング:池田幸雄,坂本圭司
音楽:鈴木さえ子,TOMISIRO,窪田ミナ
音楽制作:フライングドッグ
音響監督:三間雅文
音響制作:テクノサウンド
アニメーション制作:サテライト
■Blu-ray&DVD情報
マクロスΔ 01【特装限定版】
発売中
価格:
Blu-ray:¥7800 (税抜) DVD:¥6800(税抜)
発売・販売元:バンダイビジュアル
※特装限定版は予告なく生産を終了する場合がございます。
※Blu-ray&DVD 全9巻/以降、毎月一巻ずつ発売
※各巻Blu-ray:¥7800(税抜)、DVD:税抜¥6800(税抜)
※レンタル専用DVD同時リリース
マクロスΔ 02【特装限定版】
2016年8月26日発売
価格:
Blu-ray:¥7800(税抜) DVD:¥6800(税抜)
発売・販売元:バンダイビジュアル
映像特典
☆でるた小劇場(ちびキャラフラッシュアニメ)
☆マクロスΔ超時空製作発表会映像
☆ノンテロップOP「一度だけの恋なら」ver.02
☆カラオケ映像(JOYSOUND協力)
☆スペシャルPV
(ハヤテ&ミラージュ&ワルキューレが語る!「マクロスΔ」スペシャルPV)
☆CM
音声特典
☆Mission 04+ オーディオコメンタリー
<出演:鈴木みのり(フレイア役)、小清水亜美(美雲役)、安田賢司(監督)、根元歳三(シリーズ構成)>
特典
☆特製ブックレット(40ページ予定)
他、仕様
☆特製スリーブケース(マクロスビジュアルアーティスト「天神英貴」描き下ろし)
☆インナージャケット(キャラクターデザイン「まじろ」描き下ろし)
[Blu-ray 特装限定版]
126分(本編71分+特典55分)/リニアPCM(ステレオ)/AVC/BD50G/16:9<1080p High Definition>
・映像特典一部16:9<1080i High Definition>/日本語・英語字幕付(ON・OFF可能)/BCXA-1136
[DVD 特装限定版]
126分(本編約71分+特典約55分)/ドルビーデジタル(ステレオ)/片面2層/16:9(スクイーズ)/ビスタサイズ
日本語・英語字幕付(ON・OFF可能)/BCBA-4778