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印刷2015/01/22 14:27

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Microsoftの驚くべき隠し球,立体映像対応HMD「HoloLens」は何ができるのか?

HoloLensのイメージ。開発中の機材と思われるが,このまま製品化できそうなくらい完成度が高いように見える
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 既報のとおり,北米時間2015年1月21日,Microsoftは,次期Windowsである「Windows 10」の詳細を説明するイベントを開催した。だが,そのイベントで最も驚くべき話題だったのは,立体映像を表示する拡張現実型ヘッドマウントディスプレイ「Microsoft HoloLens」(以下,HoloLens)が発表されたことだ。
 立体映像を投影するヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)などと聞けば,まだまだ未来の技術であるように思えるが,MicrosoftではHoloLensを,Windows 10の出荷後(※おそらくそう遠くないタイミング)に発売する予定である。
 今回はイベントで公表された情報をもとに,HoloLensではいったい何ができ,それがWindows 10とどう関わってくるかについてを簡単に説明したい。


ゴーグル型ディスプレイでユーザーの周囲に立体映像を投影


 まずはHoloLens本体から見てみよう。HoloLensは,スキーゴーグルのような外見をしており,装着した状態でも外が見える透過型のHMDとなっている。透過型なので,ユーザーの視点からは現実世界に立体映像が重ねて表示されるように見えるはずだ。
 HoloLensには立体映像ディスプレイだけでなく,各種センサーや3Dカメラ「Kinect」の技術も統合されている。そのため,たとえばユーザーが手で立体映像を掴むような動きをすると,その動きを検出して映像を実際に動かすといった動作を実現できるのだ。

別の角度から見たHoloLens。ヘッドバンドにあたる部分にはうっすらと,左右2個ずつのレンズらしいものが見える(左)が,3Dカメラはここにあるのだろうか。ヘッドバンドにあたる部分は意外と厚みがある(右)。眼鏡をかけたままでの装着も考慮されているようだが,鼻あてが邪魔になりそうにも思える
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 公開されたデモムービーでは,HoloLensに対応した「Minecraft」をプレイする場面が出てくるのだが,そこではユーザーの周囲にある家具の上にオブジェクトが表示され,それを手の動きで操作する様子が描かれている。この映像だけでも,HoloLensが周囲に存在する物体の形状を認識できること,物体に合わせて立体映像を投影できること,そして投影した立体映像をジェスチャーで操作できることが読み取れるわけだ。
 それにしても,現実空間に投影されたMinecraftというのは実に魅力的で,ぜひともプレイしてみたくなる。

HoloLens対応Minecraftをプレイしているイメージ(上下ともに)。ユーザーの周りにある家具の形状に合わせて映像が投影されていることに注目してほしい。投影されたオブジェクトは,手の動きで操作できる
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 これらセンサーの情報を扱うために,HoloLensには高性能なCPUとGPU(※詳細は未公開),そして「Holographic Processing Unit」(以下,HPU)なるプロセッサを搭載しているという。HPUが何をするのか,その詳細までは言及されなかったものの,立体映像の投影に必要な処理を受け持つのだろうということは想像できそうだ。これらのプロセッサに加えて無線LAN機能も搭載しているため,PCとの接続はワイヤレスで行える。また,立体音響技術も組み込まれているとのことだ。
 なお,視野角や解像度,追従性能といった“ディスプレイ”部分の詳細な仕様については,今のところ公開されていない。

 HoloLensはPCとつないで立体映像ディスプレイとして利用するだけでなく,単体でもアプリケーションを動作させられる機能を持つ。Windows 10搭載PCやスマートフォン,およびXbox Oneで動作するように作られた「Universal App」と呼ばれるアプリケーションは,このHoloLensで動作するという。そうなると,HoloLensが搭載するCPUやGPUは,現行のスマートフォン並みの処理能力を備えていることが想像できる。

HoloLensのデモムービーより。壁や家具の上にムービーのウインドウやアプリケーションのアイコン,ToDoリストらしいガジェットが投影されている。ムービーのウインドウは空中でピンチ(つまむ)操作をしてサイズを変えられる
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ビジネス用途を想定したHoloLensのデモムービー。開発中のオートバイ上に立体映像でカウルを投影したり,燃料タンクをつまんで大きさを変えたりしている
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 イベント会場ではムービーだけでなく,実際のデモも披露された。HoloLens専用に開発された「HoloStudio」と呼ばれる3Dモデリングアプリケーションによるデモで,デモの演者が右側に並んだ部品から必要なものを選び,空中にそれらを並べてドローンの3Dモデルを作るという内容だ。
 立体映像はユーザー自身にしか見えないので,第三者には合成映像によるムービーという形でしか表現できないのだが,これを見るだけでもHoloLensが単なる研究的なプロジェクトではなく,実際に動く製品として開発が進められていることが理解できる。

HoloStudioのデモ。ユーザー以外には立体映像が見えないので,ステージ上のカメラで撮影したユーザーの映像に,ユーザーが見ている映像を角度調整したうえで重ねてそれらしいデモ映像としている
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Windows 10の「Windows Holographic API」対応は未来への布石か


 HoloLensで重要な点は,このシステムを機能させるための基盤となる拡張現実(Augmented Reality,AR)や仮想現実(Virtual Reality,VR)の技術が,Windows 10に標準で搭載されるということだ。
 Microsoftでは,これらの技術を「Windows Holographic」と呼んでおり,Windows Holographicをアプリケーションが利用するためのAPI(Application Programming Interface)は,Windows 10に組み込まれて提供される。つまり,Windows 10が動作するPCだけでなく,Windows 10対応のタブレット端末やスマートフォンでもHoloLensを利用することが可能となるわけだ。

Windows Holographicは他社のHMDやモーショントラッキング技術でも利用できるとアピールするAlex Kipman氏
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 Windows HolographicはHoloLens専用のAPIというわけではなく,Oculus VRのVR対応型HMD「Rift」や,Googleの「Google Glass」といった他社のHMD,あるいはMagic Leapという企業が開発している手の動きを認識するモーショントラッキングセンサーなども,Windows Holographicから利用することが可能になると,MicrosoftでHoloLensを担当しているAlex Kipman氏は述べていた。
 氏の説明から判断するに,Windows HolographicはAR・VR技術の基本的なフレームワークを提供するもので,Windows 10のアプリケーションは必要に応じて,HMDやモーショントラッキングセンサーなどを使えるようになるようだ。

 もっとも,デバイスがWindows Holographicを利用するためにはドライバソフトウェアを開発する必要があるし,対応するかしないかはデバイスメーカー次第になるので,「Windows 10ではWindows Holographicを使ってRift用アプリケーションが動かせる」ようになるかどうかは分からない。

 Windows 10そのものにARやVRを利用するための基本的なフレームワークが組み込まれることには,大きな意味があるといえる。HoloLensそのものが商品として成功するかどうかは分からないが,ここで築いたフレームワークを拡張することで,将来登場するかもしれないAR・VR対応デバイスもWindowsから利用できるようになる可能性が高いからだ。
 こうした未来への布石を導入することが,あるいはWindows 10の最も重要な役割となるかもしれない。

HoloLens 公式ページ(英語)

Windows 10: The Next Chapter(英語ページ)

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