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GPU温度が65℃以下でファン回転を止めるクーラーはゲームプレイに何をもたらすか。ASUS新ブランド「STRIX」のGTX 780カードを試す
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印刷2014/07/30 12:00

レビュー

GPU温度が65℃以下でファン回転を止めるクーラーはゲームプレイに何をもたらすか

ASUS STRIX-GTX780-OC-6GD5

Text by 宮崎真一


STRIX-GTX780-OC-6GD5
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:テックウインド(販売代理店) info@tekwind.co.jp
実勢価格:7万8000〜8万円程度(※2014年7月30日現在)
画像集#003のサムネイル/GPU温度が65℃以下でファン回転を止めるクーラーはゲームプレイに何をもたらすか。ASUS新ブランド「STRIX」のGTX 780カードを試す
 ASUSTeK Computer(以下,ASUS)がこの夏,「R.O.G.」とは別のゲーマー向け製品ブランド「STRIX」(ストリックス)を立ち上げた。ハイエンドゲーマーとオーバークロッカーがターゲットとなるR.O.G.の“下”,ASUSが言うところの「それ以外の,すべてのゲーマー」がターゲットとなるシリーズだ。
 STRIXブランドでは,マウスやヘッドセット,マウスパッドなどといった周辺機器も登場予定だが,今回取り上げるのは,「GeForce GTX 780」(以下,GTX 780)搭載のグラフィックスカード「STRIX-GTX780-OC-6GD5」(以下,STRIX GTX 780)である。

 STRIXブランドのグラフィックスカードは,「GPU温度が65℃を下回る場合にGPUクーラーのファンを回転させない」という特徴を持つため,デスクトップ作業や,3D描画負荷の低いゲームタイトルであれば,グラフィックスカードを無音で動かせるというのが大きなウリとなっているが,実際のところ,「無音でのゲームプレイ」はどの程度期待できるのか。4Gamerでは実機をASUSから入手できたので,その使用感をお伝えしたい。


カードからはみ出る大型クーラーの搭載で

65℃以下の環境におけるファンレス動作を実現


 GTX 780というGPUがどんなものかという話は過去に掲載したGPUレビュー記事をチェックしてもらうとして,さっそく,入手したSTRIX GTX 780を詳しく見ていこう。

8ピン+6ピンのPCI Express補助電源コネクタは,大型クーラーに囲まれており,やや奥まった感じの配置となっている
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 そのカード長は基板レベルだと270mm。GTX 780リファレンスカードの同266.7mmと大して変わらないが,搭載されるASUS独自のGPUクーラー「DirectCU II」がカード後方に同18mmはみ出る格好のため,カードとしての全長は同288mm(※突起部含まず)と,リファレンスカード比でけっこう長い。
 また“横幅”も拡張されており,マザーボードに差したときの垂直方向へクーラーが最大でブラケット部から実測約42mmもはみ出している。基板も変則的なデザインで引き伸ばされているので,小型のPCケースに取り付ける場合などは,さまざまな干渉に注意する必要があると思われる。

大型クーラーが基板を覆うSTRIX GTX 780。クーラーを支えるためか,補強具がカード側面,補強板がカード背面にそれぞれ取り付けられており,結果,カード全体にはずっしりとした重みが生まれている。クーラーの大きさに対応するため,SLIブリッジコネクタが“引っ張り出される”基板設計になっている点にも注目してほしい
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ファンの中央に貼られたシールの色もあって,どことなくフクロウの顔に見える
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 そんなDirectCU IIクーラーは,2スロット占有タイプのもので,90mm角相当のファンを2基備える。STRIXのイメージキャラクターはフクロウなのだが,クーラーのカバーとファンの配置が,そのフクロウを彷彿とさせるデザインになっているのは面白い。
 脇から覗き込んでみると,ヒートパイプは10mm径が1本,8mm径が2本,6mmが2本で,従来のDirectCU IIクーラーと比べてもスペックはかなり豪華なのが分かる。GPU温度が65℃以下の状態でファンが回転しない仕様に「0dB Fan Technology」という名を与えているASUSによれば,このクーラーは,リファレンスクーラーと比べて冷却性能が最大38%高く,動作音もリファレンスカードの36.5dBAに対して27dBAにまで抑えてあるとのことだ。要は,クーラーを大型化し,ヒートパイプの熱伝導効率も高めて,一定負荷以下においてファンレスでも動作できるようにしたというのが,STRIXグラフィックスカードにおける本質と言うことができるかもしれない。

カードを側面から。3種計5本のヒートパイプが走っている
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 GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為であり,取り外した時点でメーカー保証は失われる。その点を断ったうえで,ASUSの許可を得てクーラーを分解してみると,DirectCU IIクーラーらしく,ヒートパイプは片側がGPUのダイに直接触れる格好になっているのが分かる。

GPUクーラーを取り外したところ(左)と,GPUクーラーの底面側に寄ったところ(右)
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補強具や補強板,ヒートシンクも取り外したところ
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 メモリチップにヒートシンクは用意されない一方,電源部には用意されるのも,基板レベルにおける特徴の1つだ。
 電源部は見る限り8+2フェーズ構成で,ASUS独自の電源品質規格「Super Alloy Power」準拠の部材と,デジタルVRMコントローラ「DIGI+ VRM」の搭載も確認できる。

カード全景。温度を下げ,コイル鳴きを抑えたとされるチョークコイル「Super Alloy Choke」に加え,耐用年数を2.5倍に向上させたという高耐久コンデンサ「Super Alloy Capacitor」,対応電圧を30%拡大したMOSFET「Super Alloy MOS」を表面側に採用。オーバークロック時の安定性を最高28%向上するとされるGPU専用コンデンサ「SAP CAP」を,背面側,GPUチップの裏側部分に搭載している
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GTX 780 GPU
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SK Hynix製のGDDR5メモリチップ。12枚で総容量6GBを実現している
 以上,見るからにコストがかかっているSTRIX GTX 780だが,ASUSは,それを無音動作だけではなく,より高い3D性能を実現するためにも用いており,メーカーレベルにおけるクロックアップを図っている。具体的な動作クロックはGPUベースが889MHz,ブーストが941MHz。後述するテスト環境でTechPowerUp製のGPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 0.7.8)を用いてチェックしたブースト最大クロックは1045MHzとなっていた。GTX 780リファレンスカードだと順に863MHz,900MHz,1005MHzだったので,リファレンスクロック比ではおおむね3〜5%引き上げられている計算だ。
 なお,メモリクロックは6008MHz相当(実クロック1502MHz)で,これはリファレンスと同じ。クーラーを外したときに確認したところ,メモリチップはSK Hynix製のGDDR5「H5GC2H24MFR-T2C」(6.0Gbps品)だったので,スペック上のマージンもないことになる。


“軽い”タイトルでは確かに無音動作が可能

高負荷のタイトルは描画設定を下げてもファンが回転


STRIX GTX 780の外部出力インタフェースはDisplayPort×1,Dual-Link DVI-D×1,Dual-Link DVI-I×1,HDMI(1.4,Type A)×1。GTX 780リファレンスカードと同じだ
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 今回のテスト環境はのとおり。「クロックアップ版GTX 780」カードではあるので,今回,性能検証にあたってはリファレンスカードとの比較のみを行うことになる。

 テストに用いたグラフィックスドライバは,テスト開始時点の最新版となる「GeForce 340.43 Driver Beta」だ。

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 いつもならここで,性能検証に用いるアプリケーションを列挙するのだが,今回はその前に,STRIX GTX 780における最大の特徴でもある0dB Fan Technologyの効果を検証してみよう。
 ASUSは「描画負荷の低いオンラインゲームであれば,たいていをファン回転数ゼロでプレイできる」としているが(関連記事),果たして実態はどうか。今回は,2Dブラウザゲームである「艦隊これくしょん -艦これ-」(以下,艦これ)と,描画負荷の低い3Dオンラインゲームである「Minecraft」,描画負荷が決して低くない「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」(以下,新生FFXIV)の3タイトルで,ゲームをプレイしているときにファンがどのような挙動をするのかを追ってみることとした。
 なお,テスト時の室温は24℃。テスト条件をできる限り揃え,かつ,ビデオ撮影をしやすくするため,システムはPCケースに入れていない。

 まずは,ブラウザベースの2Dタイトルであるがゆえに,GPU負荷がほとんどない艦これから。今回は「西方海域」の「ジャム島攻略作戦」,通称「4-1」に出撃する模様をPCシステムごとビデオカメラで録画した結果を下に示すが,CPU処理がほとんどということもあり,GPU温度は上がらず,結果,STRIX GTX 780のファンはぴくりともしない。


 続いては,3Dゲームながら(少なくともModなどを適用していない,いわゆるバニラでは)描画負荷が非常に低いMinecraftだ。今回は国内のマルチプレイサーバーリストから,テスト時にそこそこの人数がいたところへ接続し,世界を歩き回ることにした。下に示したビデオは接続後,5分ほど歩き回った時点からのものだが,やはり,ファンはぴくりともしなかった。


GPU Tweakからフレームレートターゲットを設定した
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 最後は新生FFXIVだが,先に結論めいたものを述べておくと,解像度1920×1080ドット,グラフィックス設定プリセット「最高品質」では,ゲームは快適にプレイできるものの,ファンはほぼ常時回りっぱなしとなった。そこでグラフィックス設定プリセットを「標準品質(デスクトップPC)」に変更してみても挙動に変化はなし。それを受けて今回は,「標準品質(デスクトップPC)」を選択しつつ,さらに,ASUS製のオーバークロックツール「GPU Tweak」(Version 2.6.3)に用意された「Frame Rate Target(FPS)」スライダーからフレームレートの上限を30fpsに設定し,描画負荷を一定の枠内で抑えることにした。
 下に示したムービーは,いま述べた設定を行ったうえで,「北ザナラーンで,人が少なめのキャンプ地点から移動して戦闘を行い,またキャンプ地点に戻る」というプレイを行い,その間を録画したものだが,「戦闘が始まると,エフェクトやキャラクターの描画負荷が高くなってGPUコア温度が高まり,ファンが回り出す。その後,ファン回転数が上がってGPUコアが冷却されるとGPU温度が下がり,結果,ファンの回転が止まる」のが繰り返される内容となった。
 移動中など,明らかに負荷の低い局面ではファンの回転も止まるが,現実問題として,描画負荷が一定レベルより高いタイトルは,仮に描画設定を落としたとしても,無音でプレイするのは難しいと理解したほうがよさそうだ。



スペック値以上の性能向上を確認

GPUクーラーの性能はさすがに優秀


 前段で,比較対象はGTX 780リファレンスカードのみとすることを述べたが,性能面について言えば,STRIX GTX 780はクロックアップ版GTX 780カードに過ぎない。そのため,性能検証にあたっては,4Gamerのベンチマークレギュレーション15.2から,「3DMark」(Version 1.3.708)と「Battlefield 4」(以下,BF4),「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」(以下,新生FFXIVベンチ キャラ編)の3つに絞った。
 解像度は1920×1080ドットと2560×1600ドットの2パターンを選択している。

 というわけでまずは3DMarkの結果からだが,グラフ1を見ると,STRIX GTX 780のスコアがGTX 780リファレンスカードより約7%高い。動作クロックの違いは3〜5%なので,クロック差以上のスコア差が生まれているわけだ。

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 どうして動作クロックのスペックを超えたスコア差が生まれているのか。それを知るべく,GPU-Zから3DMark実行中の動作クロックを追ったものがグラフ2で,これを見ると,GTX 780リファレンスカードが最大で900MHz台半ばまでしかクロックが上がらないのに対し,STRIX GTX 780では1000MHz台半ばまで上がっているのが分かる。実クロックは966MHz対1045MHzと,約8%の違いが生じているので,これがグラフ1におけるスコア差を生んでいるということなのだろう。

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 続いてBF4のテスト結果がグラフ3,4だが,ここでは2製品のスコア差が11〜15%まで開くのを確認できた。動作クロックを追ってみると,STRIX GTX 780とGTX 780リファレンスカードの最大クロックはやはり1045MHz,966MHzだったので,大型GPUクーラーの高い冷却能力により,安定的に高い動作クロックで動作できるのが,STRIX GTX 780のアドバンテージと言ってよさそうである。

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 その傾向はグラフ5,6にスコアを示した新生FFXIVベンチ キャラ編でも同じ。STRIX GTX 780とGTX 780とのスコア差は9〜11%程度まで広がっている。

※グラフ画像をクリックすると,平均フレームレートベースのグラフを表示します
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 豪華な電源部を採用するオリジナル基板を搭載し,より高いクロックで長時間動作できるとなると,リファレンスカードと比べてどの程度消費電力が増えているかは気になるところだ。今回も,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用い,システム全体の消費電力を比較してみることにしよう。
 なお,テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう設定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 その結果はグラフ7のとおり。STRIX GTX 780は,GTX 780と比べて,アイドル時に14W,アプリケーション実行時には45〜51W程度も,GTX 780より消費電力が大きくなった。さすがに,より高いクロックで安定的に動作するとなると,支払う代償が小さくないというわけだ。

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 無音動作がウリのSTRIX GTX 780だが,ファンが回ったときの冷却能力はどうだろうか。3DMarkの30分間連続実行時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともどもGPU-ZからGPU温度を取得し,スコアとしてまとめたものがグラフ8となる。なお,テスト時の室温は24℃で,システムはケースに組み込まない,いわゆるバラックの状態に置いてある。

 アイドル時はSTRIX GTX 780のファンが停止するため,リファレンスカードと比べて高くなるのは当たり前だが,3DMark実行時にGTX 780リファレンスカードと比べて明らかにGPU温度を低く保てているのは見事だ。大型クーラーは,低負荷なオンラインゲームをプレイするときにファンレス動作をもたらしてくれるだけではない,ということである。

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 ただ,個人的には,クーラーが持つその冷却能力よりも,極めて高い静音性にこそ注目したい。GTX 780カードを買うような人だと,3D描画負荷の高いタイトルをプレイすることのほうが多いのではないかと思われるが,そのとき得られる静かさのほうがインパクトは大きいように思う。ファンが回転したときの静かさをASUSはもっと謳ったほうがいいのではないかとさえ思うほどだ。

 ……と述べても言葉では伝わりきらないと思うので,今回は音声データを用意した。下に示したのは,システムを1分間放置した後,新生FFXIVベンチ キャラ編を4分間実行した,計5分間にわたって,システムの動作音を追ったものだ。なお,マイクはGPUクーラーに正対する形で,距離30cmの地点に置いて録音している。

STRIX GTX 780のファン動作音

GTX 780リファレンスカードのファン動作音


 最初の1分間は,グラフィックスカードのファンが動作しない(※CPUクーラーは動作している)STRIX GTX 780のほうが静か。また,新生FFXIVベンチ キャラ編の実行後,2分あたりでSTRIX GTX 780のファンは回り始めるのだが,その状態でも動作音はあまり上がらないのが分かるだろう。GTX 780リファレンスカードとの違いは明らかだ。


GTX 780 Tiカードを買ってお釣りの出る価格がネック

現時点では「静音」を徹底重視する人向け


製品ボックス
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 GTX 780クラスのGPUと搭載するPCを持っていたとしても,普段から描画負荷の高いタイトル“だけ”しかプレイしないということはあるまい。艦これやMinecraftのような,GPU負荷が低いゲームタイトルもプレイしたり,デスクトップ作業もしたりするのがほとんどだろう。その場合に,多くの局面でグラフィックスカードのファンレス動作が可能で,ファンが回転したとしても十分に静かというのは,確かに大きなメリットとなるはずだ。

 ただ,お勧めするには価格が高すぎるというのも正直なところである。
 他社のGTX 780カードがオリジナルクーラー搭載のクロックアップモデルですら5万円台後半から入手可能で,1ランク上のGPU「GeForce GTX 780 Ti」搭載製品ですらブランドを問わなければ6万円台中盤から購入できるのに対し,STRIX GTX 780の実勢価格は7万8000〜8万円程度(※2014年7月30日現在)。これでは,「すべてのゲーマー」が対象の製品とは,とてもいえない。現状では,R.O.G.とは別のハイエンド製品シリーズといったところであり,静かさにならいくらでもコストを払える人向けの,スペシャルな製品ということになってしまうだろう。

 STRIXブランドでは今後,ミドルクラスのGPUを搭載する製品も登場の予定だ。それが,現実的な店頭価格で販売されることを期待したい。

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ASUSのSTRIX-GTX780-OC-6GD5製品情報ページ

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