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印刷2018/10/31 21:10

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「JOGA 中国市場進出セミナー」聴講レポート。日本企業が中国でゲームを展開するための課題と対策とは

 2018年10月30日,一般社団法人日本オンラインゲーム協会(以下,JOGA)は,オンラインゲーム事業活動の中国市場進出支援を目的とした「JOGA 中国市場進出セミナー」を開催した。

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 講演では,中国にてゲームアプリを展開するアソビモ 代表取締役の近藤克紀氏が,中国でアプリを配信するさいの問題や課題について語った。

 一般的に,中国でゲームを展開すると手数料が50%から70%かかると言われる中,わずか数パーセントの手数料で配信を続ける同社の運用手法について,本稿にてレポートしていこう。

アソビモ 代表取締役 近藤克紀氏
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こちらは講演で紹介された,中国での市場規模について。中国市場でのアプリ収益は日本を上回っており,今後さらに拡大することが見込まれている
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中国ゲーム市場が抱える問題と対応策について


 講演の冒頭では,近藤氏よりアソビモの中国での事業展開について紹介された。アソビモでは,MMORPGをはじめとするオンラインゲームの配信だけでなく,UFOキャッチャーや一番くじなど,日本でも馴染みのある事業も展開している。中国のゲーム市場はUnreal Engineを使用したMMOか,HTML5を用いたゲームの二極化の傾向にあり,同社でも新規ゲームを開発中とのこと。

 続いて紹介されたのが,中国でゲームを配信するさいに必要な免許について。近藤氏は,免許を取得してゲームを配信するまでの道筋の長さが,そのままハードルの高さになっていると語る。中国でゲームを配信するために必要な“インターネット文化経営許可証”や,課金収入を得るための“ICPライセンス”を会社として取得する必要があり,そのためには1000万元ほどの資本金を用意しなくていけないという。

 加えて,ゲームごとに必要になる免許も多岐にわたり,この準備にも相当な時間を要するようだ。

ゲームのカスタマーサポートについても,日本と違い中国ではメールを使用する機会がないため,チャットなど独自の方法でサポートをしているようだ
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複数の免許を取得したうえで,最終的に“批文”という許可証を得てようやくゲームを配信できる
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実際にアソビモが取得した配信許可証。同様の許可証がほかにも数種類必要になるそうだ
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 中国では類似商品が多く出回るため,商品の所有者を証明する著作権を明確にする必要があるという。また,“版号(バンハオ)”という証明書を取得するさいには,ゲーム内容の審査が入り,表現規制で多くの項目がチェックされる。キャラクターの肌の露出や英語表記,反政府的な内容はすべて規制対象となるそうだ。対策として“版号”取得時に提出するアプリは規制に該当する内容を削除し,正式配信時に実装するケースも多いという。

 そこまでの経緯を経て“版号”を取得し,最後に“批文”を取得すると,ようやくゲームが配信できるようになる。しかし現在“版号”の審査が停滞しており,多くのゲームが配信できずにいる状況という。

審査に必要な時間だけでも,4か月ほどの期間が必要になる
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 中国では,2018年3月から“版号”の申請を出してもライセンスが発行されない状況にある。税金の徴収が厳しくなっている背景から,国内ではなく,国外展開をして外貨を稼ぎたい目論見があると噂されているが,真偽のほどは不明。ゲームの配信が滞る状況の中,“版号”を売買する動きや,半年間だけレンタルする企業も現れているそうだ。

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 また,HTML5のアプリを作り,ゲームではなく“ツール”として販売するケースも。内情はゲームアプリだが,ツールとして扱えば“版号”を取得する必要がなく,課金での収益もできるという。

iOSアプリも規制の対象外だが,“版号”がないと広告が出せず収益に結びつかない
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近藤氏は,2019年3月までは“版号”の取得は難しいと考えている
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日本と中国,ゲームユーザーの遊び方の違い


 続いて紹介されたのは,アソビモがこれまでに中国で配信してきたオンラインゲームの歴史について。近藤氏は,アソビモのゲーム展開は成功とは言い難いと語る。しかし,複数のタイトルを配信していく中で,中国で配信をする際のノウハウも段階的に学べたそうだ。

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 中国進出の一歩目として,通信容量の少ない「イルーナ戦記オンライン」iOS / Android)を配信開始。これは,当時の中国の通信環境の悪さから,通信容量の少ないゲームを選択した結果だという。

 しかし,日本のサーバーからVPN接続での配信だったことに加え,ガチャやVIP(有料で追加サービスを受けられる要素)が導入されていなかったことから,中国では受け入れられなかったようだ。加えて,中国のインターネット規制(金盾)によりサーバーにアクセスできないこともあり,ユーザーの不満も大きくなってしまった。

 また,中国のゲームユーザーは最新のバージョンでプレイすることを好む傾向にあり,先行してアップデートされている台湾版をプレイしていることが判明。不安定な通信環境,中国ユーザーのニーズに応えられなかったことで,「イルーナ戦記オンライン」は配信を終了したようだ。

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 「イルーナ戦記オンライン」での反省を生かし,配信をした「アヴァベルオンライン」iOS / Android)は現在も継続して配信されている。サーバーを中国に設置し,アプリも中国で開発する環境を整えたが,そこで新たな問題が浮上。日中双方の開発者の負荷が高くなり,アプリのアップデートが遅れてしまったことでユーザーは減少傾向にあるという。

 中国でのゲーム展開における大きな問題として,中国にはGoogle Playがなく,Androidのプラットフォームが多岐にわたるため,各プラットフォームに提出するSDKを20個以上用意しなくてはならない。これが開発者にとっても負荷につながったようだ。

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 「アヴァベルオンライン」の反省点を解消し,次に配信された「オルクスオンライン」iOS / Android)は問題点がある程度解消されたものの,中国市場の変化により良い成績を残せなかったと近藤氏は語った。背景には,中国発のゲームアプリが急成長を遂げ,ゲームとしてのクオリティが上がってきたことが挙げられる。

 また,「オルクスオンライン」配信のタイミングから前述した“版号”の問題が浮上し,対応コストと売り上げが見合わなくなり,サービスは終了してしまった。

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 最後に取り上げられた「トーラムオンライン」iOS / Android)では,新たに独自のプラットフォームでの配信にチャレンジしたという。オリジナルのプラットフォームを立ち上げることにより多くのSDKを用意する必要がなくなり,対応コストが大幅に軽減したそうだ。また,従来のプラットフォームでは売り上げの50%ほどが手数料として取られていたが,独自のプラットフォームにすることで手数料が数パーセントまで減少している。

 開発環境は中国側で実行し,サービス提供の速度も上げたことで現在も配信を続けられているとのことだ。中国の大手アプリ配信ストアTapTapとの連携も,売り上げにつながっているという。

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中国で配信する際にオススメの手法とは?


 講演の最後には,中国で配信するうえで押さえておきたいポイントが紹介された。配信するさいは独自のプラットフォームを用意し,TapTapと連携することが大切だと近藤氏は語る。中国のコアゲーマーはTapTapの利用率が高く,広告を出すことで多くのユーザーの獲得につながるのだそうだ。

 また,中国のゲームユーザーはコンテンツの消費スピードが日本に比べて速く,アプリの開発も中国側で運営して対応するのが最適だという。短期間でコンテンツを消化するため,長期間での運用よりも,短期間での収益化を図るほうが効果が上がりやすいとのこと。

独自プラットフォームを用意し,課金方法を集約することで手数料を最小限に抑えられるようになる
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 講演のまとめとして近藤氏は,自身が述べてきたことを総括し,アクセス規制など中国独自の問題に対応しつつ,収益に結び付く内容を活用していく必要性を語った。中国のユーザーに遊んでもらうために必要な最低限のカルチャライズや,常に新しいバージョンのアプリを提供することでユーザーが定着する傾向にあるとのこと。

 手数料を大幅に減らす独自プラットフォームの開発や,TaPTaPで広告を出すことが,今後中国でゲームを展開するうえで重要になると語り講演を締めくくった。

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