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西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
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印刷2011/12/26 00:00

プレイレポート

西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG

画像集#001のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
 ライターの西川善司氏というと,「GPUや映像機器に強い」という印象を持っている人が多いだろうが,元々は音楽系のライターであった。氏のライターデビューは高校生の頃で,X1用FM音源ボード+PSGの11和音でスーパーアレンジした「組曲イース」を雑誌に投稿したことから始まった。後述されるように,X1turbo版「ソーサリン」はFM音源対応だったのだが,その前に発売されていたX1版「イース」はFM音源に対応していなかった。そこで独自に,フルアレンジをしたデータを作り上げたのだ。ファルコム作品への思い入れは人一倍強い。そんな彼に,iOS版「ソーサリアン」をプレイしてもらった。


ソーサリアンとPC-8801FHとX1turboとワタシ


画像集#002のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
 「ソーサリアン」というゲームをご存じだろうか。
 無思考に何でも「そうさ!」と同意してしまう人のことをソーサリアンと呼ぶことがあるのかどうかについて筆者はそれほど詳しくはないが,一般にソーサリアンというと日本ファルコムが1987年から1988年くらいに和製パソコン向けに広くリリースした名作アクションRPGを指す。
 ソーサリアンは,「イース」「ロマンシア」「ザナドゥ」などと並んで「ファルコム黄金期」を支えた名作として人々に記憶されていると思うが,この歴史的作品がついにiOSへ移植されることになったのだ。
 筆者は,8ビットパソコン時代に5.25インチフロッピーディスクを入れ替え差し替え,夢中になって遊んだ世代の人間だ。個人的な事情で恐縮だが,軽くソーサリアンの思い出エピソードを語らせてもらおう。

画像集#003のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
 名作ゲームが多い当時の日本ファルコムのタイトル中でも,このソーサリアンはゲームメディアの盛り上げ方が凄く,当時のパソコンゲーム小僧達はこぞって夢中になったものだった。筆者もその一人である。
 1987年,ソーサリアンは,まずNECの8ビットパソコンPC-8801シリーズ専用タイトルとしてリリースされたのだが,当時,筆者はシャープの8ビットパソコンであるX1turboユーザーだったので,ソーサリアンをプレイできなかったのである。悔しかった。その頃高校生だった自分は,ソーサリアンのために春休みにアルバイトをしてPC-8801FHを購入するのであった。めでたく,PC8801FHを手にしてソーサリアンをプレイしている最中,X1turbo版への移植のニュースを知り,唇を出血するほど噛み締めたのであった。


ソーサリアンってどんなゲーム?


画像集#004のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
 名作「ソーサリアン」がiOSに移植されると聞いて,いても立ってもいられなくなった筆者だが,現在iOS搭載製品を持っていないため,移植開発を担当したアエリアへ押しかけ,体験させてもらうことにした。そちらを紹介する前に,ソーサリアンと聞いてもピンとこない人のためにゲームの基本紹介をしておこう。

 ソーサリアンは,「1本の太い物語があって,最後にボスを倒して世界が平和になりました」といった内容ではなく,プレイ時間が数時間(慣れれば数十分)程度の1話完結型のショートシナリオを複数内蔵した,いうなれば短編集スタイルのRPGだ。
 イメージ的には,架空の旅人達の町「ペンタウァの町」に居合わせた冒険者達がパーティを作って,世界各地へ事件解決や冒険に出かける……という感じだ。キャラクターはFIGHTER(戦士),WIZARD(魔法使い),DWARF(ドワーフ),ELF(エルフ)の4タイプから選んで自由な名前を付け,ある程度の範囲でパラメータエディットを行って作ることになる。
 なお,各種族には男女の設定もあって見た目が異なる。ちなみに,プレイヤーキャラクターにグラフィックスのバリエーションがあるというのは,当時としては画期的なことだったのだ。

画像集#007のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG

画像集#010のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
画像集#011のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
 各キャラクターは,ペンタウァの街に暮らして職業についているという設定なので,種族設定とは別に職業設定もできる。種族や性別によって設定できない職業があったり,職業によってキャラクターの成長とともに強化されるスキルパラメータの違いもあったり……と,このあたりの成長システムやパラメータシステムは,現在のゲームと比較しても凝っており,複雑度は高い。実際のプレイ時には,このあたりのシステムを理解するために攻略本や攻略サイトを参考にしたほうがいいかもしれない。

 また,ゲーム上ではショートシナリオであっても,ゲームの世界観としては「冒険に出かける=1年が経過する」という設定も独特だ。各キャラクターには年齢という概念があって,冒険に出かける(シナリオをプレイする)たびに1歳,年を取る。初期設定は16歳。戦士と魔法使いは人間なので,60歳以上になると老衰で死ぬこともある(老衰で死ぬと子供を作ることが可能:世代交代システム)。ドワーフは人間の約2倍,エルフは約3倍長寿命で,その分,老化スピードも遅い。ちゃんと年を取ると老齢のグラフィックスになるあたりも凝っている。

画像集#008のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
 ゲームシステム上のパーティ編成は最大4人までだが,シナリオによっては,パーティの中の誰か一人が,特定の種族である必要があったり,特定のパラメータ属性を満たしていないと進められないという「謎」「トラップ」もある。こうしたシナリオをクリアするためには,キャラクターを,そのシナリオが要求する仕様を満たすように育てておかなければならないわけだ。
 また,別のシナリオでは,NPCがパーティに加わったりすることがあるため,より少ない人数編成にしなければならない場合もある。

画像集#005のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
 なのでプレイスタイルとしては,複数種族のキャラクターを5〜6人作り,それらの中から適宜メンバーを選んで冒険に出かけ,各キャラクターをバリエーション豊かに育てていく必要がある。ソーサリアンは,冒険としてのゲームプレイを楽しむのと同じ割合くらい,キャラクターの成長そのものを楽しむということに重きが置かれているといってもいい。なので必然的に同じシナリオの冒険に,異なるパーティ編成で出かけるということが多くなる。このあたりを楽しいと感じるか,面倒臭いと感じるかで,ソーサリアンの面白さは変わってくるといえるだろう。


移植開発元のアエリアでiOS版ソーサリアンを体験してきたゾ!


画像集#009のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
 実際にアエリアの会議室でiPadをお借りし,開発途中版のiOS版ソーサリアンのプレイに臨んでみた。なお,まだ開発途中版ということで,アエリア社内で数時間体験させてもらっただけなので,本稿はプレビューレポートという形で受け止めてもらいたい。

 まず,起動すると「♪レソラシ・ソラシドシラシ〜」のオープニング曲がかかり,懐かしさ一杯の気分に包まれる。
 ベースとなっているのは2000年に発売されたWindows用「ソーサリアン・オリジナル」とのことで,これをiOSへ最適化をする形で移植しているという。

 iOS版ということで,操作系は当然タッチ仕様。最近のゲームに慣れていると,文字ばっかりのメニュー画面に驚くかもしれないが,オリジナル版は本当にこんな感じのデザインだったのだ。当時は画面解像度が640×200ドット)程度だったので,情報量の多いゲームは文字ばかりになりがちだったのである。
 当時のレトロな雰囲気がそのまま甦っているという感じだが,華やかな画面に慣れ親しんだ最近のゲームファンにはちょっと寂しく映るかもしれない。

画像集#006のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG

初期状態のバーチャルパッドは指を置いた位置にコ逐次ントローラ部が移動し,指を離さずグリグリ動かして操作していく。配置を固定するモードもある
画像集#013のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
 ソーサリアンは,ジャンルとしては横スクロール型のアクションRPGになる。操作は,8方向移動,武器攻撃,魔法攻撃といったシンプルなもので,iOS版においては,この操作系を画面上のタッチ操作で実現するバーチャルゲームパッドでプレイすることになる。なお,武器攻撃と魔法攻撃の同時押し操作を行う局面も多いので,iOS版のバーチャルゲームパッドでは二種類の攻撃を同時に行う,同時押し相当の専用ボタンもあしらわれていた。

 移動先や攻撃対象を直接するようなタッチ操作には対応しておらず,このバーチャルゲームパッドを使用してプレイしなければならない。アエリアの担当者によればいろいろと検討した結果,こうした仕様が最適解だと判断したとのこと。なお,バーチャルゲームパッドの表示位置などをカスタマイズすることは可能だ。

バーチャルパッドは,左のコントローラ部で移動,右の[A][B][X]のボタンで攻撃,魔法,攻撃+魔法といった操作を行う
画像集#012のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG

 肝心の操作感は,筆者がiOS機器(iPad,iPhone)に慣れていない部分も大きかったのと,当時のキーボード/ジョイパッドでのプレイイメージが強すぎたため,筆者個人の感想としては操作が少々難しいという印象を受けた。とはいえ,慣れさえすればちゃんとプレイできるようになるとも感じた。まあ,これを買うような人はタッチパネルを使い慣れていると思うので,もっと違和感は少ないのかもしれない。

画像集#014のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
画像集#015のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
 さて,前述したように,今回のiOS版ソーサリアンのベースとなっているのはWindows版の「ソーサリアン・オリジナル」なので,グラフィックスは8ビット版の8色・VGA解像度から描き直された多色・高解像度版になっている。ただし,マップやキャラクターのグラフィックスの作りはブロックパーツ単位(ゲームプログラマの間で当時「チップ」といわれたもの)のままになっている。スクロールも当時のようなチップ単位のカクカクスクロールではなく,スムーズスクロールが実現されているのだが,衝突判定や移動単位はチップ単位のままだ。その意味では,見た目を適度にリッチにしつつ,ゲームの雰囲気は適度にレトロな装いを残しているという感じだ。

「懐かしくて,思わす押入れから引っ張り出した」(西川氏)というパソコン版のパッケージ
画像集#018のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
 サウンド/BGMは,PC-8801シリーズ版のOPN仕様でFM音源3和音+PSG3和音の6和音構成を基本としている。妙なアレンジが行われなかったことは幸いだが,当時,シリーズ最高峰といわれたFM音源8和音(BGM用は6和音),PSG3和音のX1turbo版仕様が搭載されていないところが少し残念だ。X1turbo版のBGMであれば,例えばオープニング曲でピッコロの裏メロのパートがあったりと,全曲がとてもゴージャスでリッチになっていたのだ。また,X1turbo版のBGMはその評判の高さとは裏腹に,全曲収録のサウンドトラックCDが存在していないため,今となっては貴重な存在。ということで,アエリア担当者には「X1turbo版のBGMモードもアップデートとかで搭載してくださいよ」と強くお願いしておいた。

画像集#019のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
 iOSでの拡張部分としては,Game Centerに対応しており,実績の記録や各種ランキングなどが実装され,同じiOS版ソーサリアンをプレイしている人と競い合って楽しむことができるようになっている。
 また,携帯電話での使用を前提としているためか,セーブはリアルタイムのオートセーブになっており,ちょっと手を止めてゲームを終了しても,次回は続きからプレイ可能になっている。ただ,これは,ある意味ではゲームを難しくしているといえるかもしれない。もともとが「リセット上等」なゲームだっただけに,辛い局面も出てきそうだ。ただ,多くのプレイヤーが目指すであろう「不老不死」などについては,別途救済策が用意されるとのことである。


シナリオは5本単位の追加パックで提供


画像集#016のサムネイル/西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
 iOS版ソーサリアンは,当時を懐かしむ筆者のようなオヤジゲーマーには文句なくお勧めだし,あるいは当時小中学生でお兄さんお姉さんがプレイしていたのを指をくわえて見ていたような,現在30歳前後のゲームファンにも魅力ある製品になっているのではないかと思う。また,ソーサリアンは1980年代ゲームミュージックの代表的存在でもあるので,「遊べるサウンドトラック」としての価値も高い。
 なお,今回リリースされるiOS版はダウンロードサイズと単価を引き下げるべく,1ダウンロード当たり,5本単位のシナリオがプレイできるパッケージ構成になっているとのこと。ゲーム本体となる部分のリリースは2012年初頭の予定。これには5本のシナリオが入っている。発売後の反響やリクエストによっては拡張シナリオのリリースやシナリオコンテストなども検討したいとのことだ。
 筆者は今,当時のPC-8801FHのときのように,iPadを買おうかと検討中だ(笑)。
  • 関連タイトル:

    ソーサリアン for iOS

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