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そうだ,ニートになろう! 「放課後ライトノベル」第52回は『神様のメモ帳』でたった一つのニートなやり方
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印刷2011/07/30 10:00

連載

そうだ,ニートになろう! 「放課後ライトノベル」第52回は『神様のメモ帳』でたった一つのニートなやり方



 バンダイチャンネルの8月からのサービスが凄い。1050円払うだけで110作ものアニメが一か月間見放題って,これって一日12時間見るとして,たった1050円で360時間分のアニメが楽しめるってことじゃないですか! 出血大サービスすぎるよ。これでもう100円レンタルの時にだけアニメを借りてくるという貧乏くさい生活とはおさらばだ。

 いったい何を見ようかしら,やっぱ今流行のアニメの予習としてウテナやビッグオーを見るべきか,久しぶりに勇者シリーズを見返すのも悪くない。あっ,魔神英雄伝ワタルも捨てがたいぞ……と,うかれていたら,担当編集氏から「一般人は一日12時間もアニメは見られねえんだよ」という,大変ごもっともなツッコミをいただきました。

 何を言ってるんですか,そこでニートですよ。みんながニートになれば早起きや満員電車で辛い思いをする必要もないし,深夜アニメもリアルタイムで見られる。ニートとは,何て素晴らしいライフスタイルなんだ。さぁ,これを見ているみなさんも学校や仕事なんて辞めて,さっそくニートになろう! そして,君たちが抜けた雇用枠を狙って俺が正社員の座に就く!!

 ……そういうわけで世間の人々をうまいことニートへと導くために,今回の「放課後ライトノベル」では魅力的なニートが多数登場する『神様のメモ帳』を紹介しよう。現在TVアニメも放映中なので,ニートになってリアルタイムでそちらもチェックだ!

そうだ,ニートになろう! 「放課後ライトノベル」第52回は『神様のメモ帳』でたった一つのニートなやり方
『神様のメモ帳7』

著者:杉井光
イラストレーター:岸田メル
出版社/レーベル:アスキー・メディアワークス/電撃文庫
価格:620円(税込)
ISBN:978-4-04-870691-9

→この書籍をAmazon.co.jpで購入する


●NEET探偵事務所と愉快なニートたち


 駅から5分のしょぼくれた雑居ビルの1階に位置する「ラーメンはなまる」。ニートたちのたまり場になっていたり,ラーメンよりもアイスのほうが美味しかったりと,いろいろ変わったところがあるお店だが,そのビルの3階にはそれ以上に風変わりな事務所があった。その名は「NEET探偵事務所」。そして,そこで暮らしているのが“全知無能”のニート探偵・アリスだ。

 見た目は美少女ながらも,必要な栄養素をドクターペッパーで補給するという重度の偏食家のうえに,部屋から一歩も出ない引きこもり。その彼女がどうやって探偵業務を行うのか? アリス自身もパソコンのクラッキングに関してはかなりの腕前だが,当然それだけでは探偵の仕事ができるわけがない。そこで彼女の手足となって動くのが「ラーメンはなまる」に集うニートたちだ。

 荒事にはめっぽう強く,警察とのコネクションも持つ“テツ先輩”,ヒモとして生計を立てており,女性限定で広い情報網を持つ“ヒロさん”,そして生粋の軍オタで盗聴や盗撮を得意とする“少佐”。普段はだらだらとラーメン屋の裏でチンチロリンなどをして遊んでいる彼らだが,ひとたび目標を持てば,ニートとは思えない働きぶりを発揮する。
 そして,そんな彼らに仲間入りして,アリスの助手として働くことになるのが本作の主人公・藤島鳴海(ふじしまなるみ)だ。


●探偵を通じて語られるビターな真実


 物語の当初は他人との距離をおき,消極的な態度ばかり取るナルミだったが,ニートたちと交流を重ね,さまざまな事件に遭遇するうちに,ハッタリや口八丁で事件を解決に導いたり,地元の不良グループ「平坂組」のリーダーである“四代目”と杯を交わしたりするなど,成長する姿を見せてくれる。

 そのナルミも助手になる前に,一度アリスにある事件の調査を依頼していた。その際に,アリスは真実を暴き立てることについて,このような問いかけをする。

無知によって保たれたはずのきみの平穏を破壊する可能性がある。それでも知りたいか?

 真実を知るということは,必ずしも良いことばかりではない。場合によっては,その明かされた事実によって依頼人や関係者が傷ついてしまうこともあるだろう。アリスは,探偵という仕事は「死者の代弁者」であると主張する。

失われてしまった言葉を墓の底から掘り返して、死者の名誉を守るためだけに生者を傷つけ、生者に慰めを与えるためだけに死者を辱める

 事件を解決するために,ニートたちや平坂組の面々がそれぞれの得意技によって活躍する様子はなかなか爽快で一気に読めてしまうのだが,調査が進むにつれて姿を現わす“死者の言葉”は苦く切ない。理論を一つ一つ積み重ねていくアリスが導き出す結論には,安易な奇跡やご都合主義的な救いなど存在せず,登場人物たちは事件の残酷な真相と向き合わなくてならない。
 それでも,それらすべてを受け止めたうえで,前を向いて歩こうとする依頼人たちの姿は読者に爽やかな読後感を残してくれるだろう。


●帰るべき場所を失った人々の物語


 最新刊の7巻は,ニートにとっても近いポジションにあるホームレスの物語だ。探偵事務所の近くにある公園が,企業に買い取られ全面改装されることになり,そこで暮らしていたホームレスたちはみんな追い出されることに。それに加えて,エアガンでホームレスたちを狙う集団も現れるなど,踏んだり蹴ったりな状況だ。

 もともとホームレスと仲の良かったニートたち,中でも軍オタの少佐は「非戦闘員を攻撃するのは、軍人として最低最悪の罪です」と,ホームレス狩りの犯人を見つけ出そうとする。

 そのような中で,「NEET探偵事務所」に売り出し中のアイドル・夏月(なつき)ユイが姿を見せる。彼女の依頼内容は,生き別れた父とそっくりなホームレスを公園で見かけたので,どうにかして再会させてほしいというもの。ユイの父親と思われるホームレスが知り合いのギンジであると気づいたナルミは公園に行き,ユイと会ってもらうよう直接交渉するが,すげなく断られてしまう。

 そうこうしてるうちに,公園内でギンジが殺され,首なし死体として発見されるという事件が発生する。エアガン襲撃の時から事件を追っていた少佐は,犯人に心当たりがあるらしく単独行動を取るが……。

 これまでいろいろな事件に立ち会ってきたナルミも,直接死体を見るような事件はこれが初めてであり,物語全体に重い雰囲気がつきまとう。果たして,犯人は誰なのか? なぜ死体の首は切り落とされたのか? そして依頼人の父親が死んでしまった状況で,アリスはどのような形で依頼に応えるのか? これらの謎の答えは,ぜひその目で見届けてほしい。

■ニートじゃなくても分かる,杉井光作品

『さよならピアノソナタ』(著者:杉井光,イラスト:植田亮/電撃文庫)
→Amazon.co.jpで購入する
そうだ,ニートになろう! 「放課後ライトノベル」第52回は『神様のメモ帳』でたった一つのニートなやり方
 『神様のメモ帳』の著者・杉井光は『火目の巫女』で第12回電撃小説大賞の銀賞を受賞し,2006年にデビュー。本作,『神様のメモ帳』を手がけて以降は,多くのシリーズをさまざまな出版社から発表している。
 執筆スピードが早く,ジャンルが多岐にわたっているのが大きな特徴だ。電撃文庫から出ている『さよならピアノソナタ』はロックバンドを組んだ少年少女による青春物語。一迅社文庫から出ている『死図眼のイタカ』は伝奇モノ。同じく一迅社文庫から出ている『さくらファミリア!』はキリスト教ネタを盛り込んだラブコメディで,『シオンの血族』は何故か18禁ゲームに移植されようとしている。MF文庫Jから出ている『剣の女王と烙印の仔』はファンタジーで,GA文庫から出ている『ばけらの!』は小説家の「杉井ヒカル」が主人公のメタフィクション。『狼と香辛料』の支倉凍砂がモデルとなっている葉隠イヅナなど,実在する小説家が美少女になったりして登場するのが特徴だ。そしてガガガ文庫の『花咲けるエリアルフォース』は仮想戦記作品。舞台が靖国でヒロインがやんごとなきお方という過激な設定だ。
 これら以外にも,メディアワークス文庫などから読み切り作品もいくつか出版されている。一度ファンになってしまえば,しばらくは退屈するようなことはないだろう。

■■柿崎憲(ニートライター)■■
『このライトノベルがすごい!』(宝島社)などで活動中のライターにして,「放課後ライトノベル」のスクウェアと聞いてブシドーブレードが真っ先に思い浮かぶほう。ニートの素晴らしさをしばらく熱弁したあとに,「ニートにゃ学校も〜仕事も未来もな〜い」と歌いながら去っていきました。いっそのこと,ニート探偵にでもなっちゃえばいいのに。
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