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「GPUのワット性能は8年で100倍に」。NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO,国内のGPUコンピューティングイベントで大いに語る
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印刷2010/12/02 00:00

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「GPUのワット性能は8年で100倍に」。NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO,国内のGPUコンピューティングイベントで大いに語る

NVIDIA CEO Jen-Hsun Huang氏
画像(002)「GPUのワット性能は8年で100倍に」。NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO,国内のGPUコンピューティングイベントで大いに語る
 12月1日,NVIDIAは,都内で「NVIDIA GPUコンピューティング2010 Winter」と題するイベントを開催した。GPUをさまざまな分野の計算に応用するGPUコンピューティングを推進しようという趣旨のイベントで,わりとお堅い分野が主なターゲット。4Gamerの守備範囲から外れてしまう話も多いのだが,基調講演には,NVIDIAのCEOであるJen-Hsun Huang(ジェンスン・フアン)氏が登壇して同社のGPUコンピューティングに対する取り組みを述べたので,今回は,ゲストスピーカーを交えつつ1時間40分以上にわたった氏の講演から,興味深いところを拾って紹介してみたい。


サーバーにGPUを搭載してスーパーコンピュータに


 さて,Huang氏はまず,今日の講演の主なポイントを3つにまとめてみせた。いわく,

  1. GPUスーパーコンピュータをメインストリームに
  2. CUDAの普及は臨界を超えた
  3. これは始まったばかり

とのことだ。

Huang氏が示した3つのポイント
画像(001)「GPUのワット性能は8年で100倍に」。NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO,国内のGPUコンピューティングイベントで大いに語る

 スライドだけでは少々分かりにくいが,1.について氏は「GPUをサーバーと組み合わせ,スーパーコンピュータにする」とぶち上げる。現時点でもGPUはHPC(High Performance Computing)分野に受け入れられ,一部で大きな成功を収めているものの,HPCの市場はさほど大きくはないのが悩みだ。GPUの利用を,一般的なサーバーまで拡大すれば,より大きなビジネスにつながるため,次の狙いをそこに定めた,といったところだ。
 問題は「サーバー市場でGPUは必要とされるのか」という部分だが,この点について,Huang氏は自社の例を挙げて説明する。それによると,NVIDIAの社内にあるCPUコアの85%はプロセッサの設計に利用されており,また論理シミュレーションには専用のスーパーコンピュータを利用しているのだそうだ。NVIDIAのビジネスには,スーパーコンピュータを活用したテクニカルコンピューティングが重要な役割を果たしている,というわけである。

画像(003)「GPUのワット性能は8年で100倍に」。NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO,国内のGPUコンピューティングイベントで大いに語る
NVIDIAが利用している4万個ものCPUコアのうち,実に3万5000個はGPUの設計に利用されているという
画像(005)「GPUのワット性能は8年で100倍に」。NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO,国内のGPUコンピューティングイベントで大いに語る
GPUの論理シミュレーションには専用のスーパーコンピュータを利用しているとHuang氏。その“証拠写真”がこれで,マシンの上半分で100万トランジスタのシミュレーションが可能だそうだ。氏は「CUDAへの移植も試みている」と触れていたので,将来的には”GPUでGPUを設計する”ことも考えているらしい

 氏によると,GPUの設計における論理回路のシミュレーションに専用のスーパーコンピュータを用いることで,汎用のコンピュータを用いるときと比べて数百倍の性能が得られ,ビジネス効率を大きく上げることができたという。
 Huang氏は,分子生物学や金融など,他分野のシミュレーションは,論理回路の設計ほど容易に実現できるわけではないと認めつつも,CUDAによってさまざまな分野のシミュレーションが可能になったと強調。「仮に従来比10倍の速度でシミュレーションが可能になるなら,ビジネスに重要な意味を持つ。将来的には9割がテクニカルコンピューティングになるだろう」と断言してみせた。

画像(004)「GPUのワット性能は8年で100倍に」。NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO,国内のGPUコンピューティングイベントで大いに語る
2006年を境として,企業が所有するコンピュータの計算能力が急激に上昇しているというデータ。緑色の線は企業が持つコンピュータの計算能力(TFlops)で,水色の線はムーアの法則を示している。「2006年を境に企業のコンピュータの能力はムーアの法則を超えて伸びている」(Huang氏)

画像(006)「GPUのワット性能は8年で100倍に」。NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO,国内のGPUコンピューティングイベントで大いに語る
ゲストスピーカーとして登壇した,東京工業大学の青木尊之教授
 NVIDIAにとって,同社のGPUを使ったテクニカルコンピューティングを支える開発言語環境かつプラットフォームとなるのが「CUDA」である。
 先ほどのスライドの2.で「CUDAの普及は臨界点を超えた」としていたHuang氏だが,それを証明するかのように,数人のゲストスピーカーを招いてCUDAの応用例が紹介された。
 まずは,東京工業大学で教鞭をとり,GPUコンピューティングで意欲的な活動をしている青木尊之教授から。

次世代の気象モデル「ASUCA」(Asuca is System based on Unified Concept for Atmosphereの略。再帰名になっている)をCUDAに完全移植したという青木教授。東工大のスーパーコンピュータ「TSUBAME 2.0」を利用し,50倍の性能向上が得られたそうだ。「元のコードがFORTRANだったため,配列の並びを変える必要があった」など,興味深い話もあった
画像(007)「GPUのワット性能は8年で100倍に」。NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO,国内のGPUコンピューティングイベントで大いに語る

青木教授がもう一つ例に挙げた流体シミュレーション。粒子法ではなくメッシュ法を利用するというもので,液体内部の気泡などが非常にリアルに再現されていた。「ゲーム目的ならメッシュ法で十分では」と青木教授
画像(008)「GPUのワット性能は8年で100倍に」。NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO,国内のGPUコンピューティングイベントで大いに語る

TSUBAME 2.0に利用されている計算ノードの一つが,会場に展示されていた。1ノードに3基の「Tesla M2050」が収容されている。Teslaにファンはなく,エンクロージャ側の冷却システムで一括して冷やす仕組みだ
画像(009)「GPUのワット性能は8年で100倍に」。NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO,国内のGPUコンピューティングイベントで大いに語る 画像(010)「GPUのワット性能は8年で100倍に」。NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO,国内のGPUコンピューティングイベントで大いに語る

 なお,青木教授によるTSUBAME 2.0の例以外にも,医療や品質検査といった分野のゲストが招かれたほか,Amazonとの協業で展開されているGPUクラスタのクラウドサービスなどもデモが紹介されたが,本稿では写真を示すに留める。

Amazonとの協業で開発されたGPUクラスタのクラウドサービス。AmazonのGPUクラスタのクラウドサービスを利用することでフォトリアリスティックな3Dグラフィックスのレンダリングが可能になる
画像(011)「GPUのワット性能は8年で100倍に」。NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO,国内のGPUコンピューティングイベントで大いに語る

 以上のように,さまざまな分野で利用が進むCUDAだが,「普及のカギは,アーキテクチャを簡単に手に入るものにすること」とHuang氏。「ソフトウェア開発者が使ってこそアーキテクチャが有効になる。だから我々はすべてのGPUにCUDAを採用した。これは戦略的な決定だ」。

 さらに,2010年11月に開催されたGPU Technology Conference 2010(以降,GTC2010)で存在が明らかにされた「CUDA-x86」――x86プロセッサ上でCUDAの利用を可能にするコンパイラ ――についても「来年の何処かのタイミングで出荷する」と宣言。あらゆるコンピュータでCUDAの利用を可能にしていくという,同社の方針をさらに推し進めると強調していた。


8年以内に,GPUの消費電力あたりの性能は

Fermiの100倍に


Echelonを実現するためにはFermiの100倍のパフォーマンスが必要になるとHuang氏は語る。「8年以内に,この目標は達成されるだろう」
画像(012)「GPUのワット性能は8年で100倍に」。NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO,国内のGPUコンピューティングイベントで大いに語る
 3.の「これは始まったばかり」というのは意味深だが,「NVIDIAは何をしようとしているのか」と言い換えられるだろう。
 ここでHuang氏は,GTC2010でその存在が明らかになった「Kepler」「Maxwell」(順にケプラー,マクスウェル。いずれも開発コードネーム)を紹介。さらに「DARPA」(Defense Advanced Research Projects Agency)から次世代のEchelon(エシュロン,大規模な通信監視システムとされているもの)のための研究助成金を受けたことに触れ「Echelonのためには,システムの作り方を抜本的に変えていかなければならない。システムを提供していくにあたって(電力あたりの)パフォーマンスを100倍にできると思っている」と述べていた。

画像(013)「GPUのワット性能は8年で100倍に」。NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO,国内のGPUコンピューティングイベントで大いに語る
 Huang氏は15年前に,セガAM2研(※当時)の鈴木 裕氏らに会ったことなど,日本とNVIDIAの深い関わりに触れ,日本のパートナーと協力していきたいと講演を締め括っていた。
 講演から,同社はCUDAを,HPC業界に留まらず,並列計算における事実上のデファクトスタンダードにしていこうと考えていることが分かる。Intelに続きAMDもGPUをCPUに組み込む方向に走っているなか,NVIDIAはCUDAや,(今回の講演ではさほど取り上げられなかった)Tegraを武器に,ややベクトルが異なる方向で対抗していこうとしているようだ。同社の動きはゲームグラフィックスの動向にも大きな影響を与えていくに違いない。今後の動きにも注目していきたい。
  • 関連タイトル:

    CUDA

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