そんなインディーゲームコーナーを歩いていると,見覚えのある楽器が目に留まった。
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あれっ,スティールパン?
そこにあったのは,カリブ海に浮かぶ島国,トリニダード・トバゴで生まれた楽器「スティールパン」だった。
スティールパンとは,もともとドラム缶などの金属製の容器を加工して作られた打楽器だ。表面をくぼませ,音階ごとに区切られた部分をマレットと呼ばれるバチで叩くことで,さまざまな高さの音を奏でられる。1930年代から1940年代にかけてトリニダード・トバゴで発展し,現在では同国を代表する楽器となっている。
ポン,ポンと軽く叩くと,金属製の楽器とは思えないほど柔らかく,澄んだ音が響く。南国の音楽を思わせる,なんとも心地よい音色が特徴だ。
……って,ゲームイベントの取材記事なのを忘れていた。ではなぜTGSの会場にスティールパンがあったのか。もちろん,ちゃんとゲームに関係している。
そこは,トリニダード・トバゴのゲームスタジオ「Accent Game Studios」が出展する,スティールパンを題材にしたリズムゲーム「Ramajay! Riddim Rabbit」のブースだったのだ。
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カリブ海の音楽をゲームに。双子の兄弟が手がける「Ramajay! Riddim Rabbit」
Accent Game Studiosは,トリニダード・トバゴ出身の双子の兄弟,Jordan Smith氏とJerard Smith氏による2人組のインディーゲームスタジオだ。Jordan氏がプログラミングとゲームデザイン,Jerard氏がアートを担当している。
カリブ海地域の音楽や文化,日常生活などを題材に,世界中のプレイヤーが楽しめるゲームを作ることを目指しており,現地のアーティストやミュージシャンとも協力して作品を制作しているという。
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今回のTGSに出展された「Ramajay! Riddim Rabbit」は,そんな彼らが自国を代表する楽器,スティールパンにスポットを当てて開発したリズムゲームだ。
プレイヤーはかわいらしいウサギたちのバンドを率いて,カリブ海地域のスティールパン奏者によるオリジナル楽曲を演奏していく。スティールパンの演奏技法を取り入れたリズムパターンなど,楽器そのものの魅力をゲームに落とし込んでいるのが特徴だ。
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実際にプレイしてみると,ポン,ポンとリズムに合わせて音を鳴らしていく感覚が気持ちいい。
何より,ヘッドフォンから響くスティールパンの音がいい。柔らかく,どこかのんびりとした音色が耳に心地よく,プレイしていると自然と楽しい気分になってくる。
かわいらしいウサギたちの姿も相まって,なんだか幸せな気分になる。といってもけっこうしっかり音ゲーとしてのやりごたえもありしっかりリズムゲームだった。
なお,本作はPC向けにSteamで早期アクセス配信中だ。今後は楽曲やステージ,キャラクターのカスタマイズ要素などを拡充していく予定となっている。
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トリニダード・トバゴから日本へ。ブースを支えたのはスティールパン人脈?
ブースでは,Accent Game Studiosの創設者の一人であるJordan Smith氏が来場者を迎えていた。
そして,その周りには日本人のスタッフも数名。来場者にスティールパンの説明をしていた。
どういうつながりか話を聞いてみると,彼らは日本在住のスティールパン奏者で,今回のTGS出展にあたって声がかかり,ボランティアとしてブースの運営を手伝っているのだという。スティールパン人脈!
トリニダード・トバゴのゲームスタジオが日本のゲームイベントにやってきて,日本で活動するスティールパン奏者たちがその出展を手伝っている。国境を越えた楽器つながりというわけだ。
スタッフによると,ブースには「これ,何だろう?」「あっ,見たことある!」と,スティールパンに興味を持って立ち寄る人がけっこういるそうだ。
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ここで突然だが,筆者は東京の西側のとある地域の民で,そこには民族雑貨を扱う店があちこちにある。そして歴史的(?)に,コンガやジャンベといった打楽器を家でポンポン叩いていそうな人たちがなんとなく集まりがちである。
そんな土地柄もあってか,筆者にとってスティールパンは,それほど縁遠い楽器ではない。最近も奥さんと「なんかテレビでも取り上げられたりして,ちょっと流行ってるっぽいよ」「一家に一台,持ちたいものだ」なんて話をしていたくらいだ。
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だから,今回のTGSでは,楽器そのものを珍しがって足を止める人が多いという話も,ちょっと新鮮だった。スティールパンの知名度や馴染み深さは人それぞれ。普段から音楽に親しんでいる人なら知っているかもしれないし,今回のTGSで初めて目にした人もいるだろう。
だが,そのどちらにとっても,ゲームと一緒に本物の楽器に触れられるブースは,なかなか楽しいものだったのではないだろうか(会場のルール的に音を鳴らすことはできないけど)。
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今年のTGSは,例年以上にさまざまな国と地域のゲームに出会えるイベントだった。主催者の発表によると,今年は過去最多となる53の国と地域から1138の企業・団体が出展。海外からの出展は598社と,国内の540社を上回った。
そんななかでも個性的なインディーゲームが数多く集まっていたが,そのなかでも本物の楽器を持ち込んだこのブースは,ゲーマーとしてというより音楽好きとしてなかなか印象的だった。心のベスト10第一位はこのゲームだったかもしれない。ゲームを見に来たはずが,スティールパンの話までできてよかったなあ。そんなブース取材なのだった。


















![画像ギャラリー No.001のサムネイル画像 / スティールパンの音が聞こえてきたら,そこはTGSです。トリニダード・トバゴのゲームスタジオが持ってきた,カリブ海の音色が心地よいリズムゲーム[TGS2026]](/games/044/G104438/20260920008/TN/001.jpg)
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