連載
インディーズゲームの小部屋:Room#372「Apotheon」
小学生の甥に,昼まで寝ていて,起きたらゲームばかりしているダメな人だと認識されている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第372回は,Alientrapの「Apotheon」を紹介する。本作は,古代の壺絵のようなアートスタイルが特徴のギリシャ神話をモチーフにした横スクロールアクションだ。大体,合ってるけど,大人にはいろいろと事情があるんだよ……(言い訳)。
神々の恩寵を失ったため,太陽はその光を失い,海も森も大地も荒れ果て,人間界は滅亡の危機に瀕していた。神々の王ゼウスが人間達の傲慢さを罰するため,その子供達が人間に神の恵みを与えることを禁じたのだ。
そんな時,故郷の村を襲ってきた侵略者を撃退した主人公ニカンドレオスの目の前に女神ヘラが降臨する。そして,ゼウスの妻でありながらも反対の立場をとっていたヘラから英雄としての力を認められたニカンドレオスは,その助けを借りてオリンポス山へと乗り込み,ゼウスを頂点とするオリンポスの神々に戦いを挑むことに……。
というわけで,まるで「ゴッド・オブ・ウォー」シリーズのような壮大なストーリーが展開される本作。ゼウスとヘラのほかにも,ポセイドンやアポロ,アルテミスやアテナといったギリシャ神話でおなじみの神々が登場する。すべての神が人間に敵対的かというとそうではなく,中にはニカンドレオスの手助けをしてくれる神もいるが,もしクレイトスが主人公だったらと思うと,ガクブルである。たぶん問答無用で皆殺しになっていたんじゃないかな……。
ニカンドレオスの操作方法は,W/A/S/Dで移動,Spaceバーでジャンプ,左クリックで攻撃,右クリックで盾による防御,マウスホイールのクリックで持っている武器を投げるというもの。このほかに,左Ctrlキーでローリングによる回避ができる。ニカンドレオスには体力ゲージ,アーマーゲージ,スタミナゲージという3つのゲージがあり,攻撃を受けるとまずはアーマーゲージが減少し,これが無くなると今度は体力ゲージが減っていくという仕組みだ。
また,武器を振り回すとスタミナゲージが減少していき,スタミナが少なくなるほど攻撃スピードが遅くなっていく。そのため,敵との間合いをよく見て攻撃を仕掛けていく必要があるのだ。
武器には,剣のほかに斧や棍棒,槍といった近接武器,弓矢やスリングなどの遠隔武器,爆弾や罠などの投擲武器があるので,状況に応じて切り替えながら戦うべし。近接武器と盾には耐久度が設定されており,基本的には使い捨てだが,高性能なものは壊れる前にリペアキットを使って修理していくといいだろう。
そんな本作最大の魅力は,何といっても“黒絵式”と呼ばれる古代ギリシャ時代の壺絵のようなアートスタイルのグラフィックス。絵画の中の人物がそのまま動き出したような,その見事な表現には思わず目を奪われずにいられない。神秘的な音楽と相まって,プレイヤーをギリシャ神話の世界にぐいぐいと引き込んでくれる。
とにもかくにも,その圧倒的なセンスのグラフィックスだけでも一見の価値があるので,興味を持った人はぜひプレイしてみてほしい。もちろん,ゲームとしての出来栄えも文句なしです。
■「Apotheon」公式サイト
http://www.alientrap.org/games/apotheon- この記事のURL:
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